ガルドとのギフトゲームから数時間後
ジンは、ノーネーム本拠の大浴場に一人浸かりながらガルドとのギフトゲームの後のことを思い出していた。
あのあと、すぐにゲームがクリアされたと通知が来た。
カズマが終わらせたのだ。
そして、耀の怪我を心配した黒ウサギと十六夜+コーキが駆けつけた。
黒ウサギは耀を見るや、いな直ぐに本拠の治療系ギフトで治療することを決め、担いで本拠に向かおうとした。
その時、意外なことにコーキが自分は医療系の錬金術が使えるし知識もちゃんとあるから着いていくと言った。
ジンも大まかな錬金術の原理を聞いていたがまさか医療にまで使えることと自分と4歳しか離れていないのに医療の知識があることに驚いた。
人は見かけによらないとは、このことだった。
カズマはコーキにタクシーの代わりに使われ、コーキをおんぶして黒ウサギと同じ速さで駆けていった。
飛鳥は、耀を心配しながらぶつぶつとカズマへの文句を呟いていた。
そんなちょっとしたやり取りは、色々あったが一番大変だったのは“フォレス・ガロ”に奪われた“名”と“旗印”をそれぞれのコミュニティに返す時だった。
十六夜がいきなり“名”と“旗印”を返還すると言った時には自分までパニックになりそうだった。
でも、ちゃんと自己主張もしながら返すことが出来たから、これで名前も広がったと思う。
とりあえずは、成功でいいかなとジンは思った。
丁度そんな感じで思考を締めくくった時、ガラッ!!と浴室の扉が開けられた。
十六夜さんかなっと思ってジンが見るとそこには、
「あっ、ジン君。お風呂入ってたんだ」
笑顔のコーキがいた。
「あ、コーキさん。どうも、お疲れ様です」
「お疲れー。今日はジン君も頑張ったね!立派だったよ。さすが、リーダー」
軽く挨拶を交わしながら、コーキは湯船に浸かった。
「いえいえ、僕なんか····。ほとんどは、十六夜さんがしてくれたことですし」
「謙遜しなくていいよ~。ジン君はジン君の仕事をしたんだから、もっと自信を持ちなよ」
「えっと、その、そうですかね。そうだといいな~」
あははっと笑うジン。
「でも、コーキさんだってすごいですよ!その歳で医療の知識があるなんて」
「確かに年齢で見ればそうかもしてないけど、基本的なことしかわかんないよ」
「それでもです!あっ、コーキさんって内科じゃなくて外科ですよね?」
「うん、まあ。一応、内科の知識もあるよ!」
「なら、これから病気や怪我をしても安心ですね」
「いや、出来れば怪我も病気もしない方がいいんだよ」
「それもそうですね」
あははっと二人揃って笑った。
コーキは、本当に話しやすい人だなっとジンは思った。
「そう言えば、コーキさんてカズマさんと幼なじみなんですよね?」
「うん、そうだよ。小さいころからの付き合いだよ~。で、何々?カズマの何が知りたいの?」
「え、いや、大したことじゃないんですけど·····」
と言うとジンはガルドとのギフトゲームで感じた違和感についてコーキに話した。
「なるほど。カズマらしいって言えばカズマらしいね。その言い合い。カズマって根っから理性型だし。
ああ~、でカズマが人形みたいだって?」
「はい、僕にはそう見えました」
「う~ん。どうしょっかな~?別に言ってもいいんだけどね~」
コーキは唸りながら考えている。
ジンとしては、その違和感の原因が分かるのなら知りたかった。
単純な好奇心としても。仲間としても。
「まあ、いいかな····。ジン君もコミュニティのリーダーだし。でも、絶対に秘密だよ」
「はい、絶対に誰にも言いません」
コーキは、一時真剣な顔でジンの顔を見たあといつもの笑顔で話初めた。
「実はね。カズマ・N・エノモトって人間は今から3年前に死んでいる」
◇◇◇
「えっ、意味がわからないって?まあ、そうだよね~。順番に話すから待ってね
「僕達は、“アメストリス国”のセントラルシティの少し南のそれなりに栄えた町に産まれたんだ
「ああ、セントラルシティって何?って言われたら·····そっちでいう首都って奴かな
「僕とカズマの家は、隣だったから小さいころから兄弟のように遊んでいたんだ。親同士も仲良かったしね
「その頃のカズマは、可愛かったな~。人見知りでよく知らない人がいると僕の後ろに隠れていたんだよ
「想像出来ないって?そりゃそうだよ~。今のカズマと違って感情表現豊かだし
「ここだけの話。実は、カズマって町中の同年代男子を振った功績を持ってるんだwwwwww
「だよね~。いくらカワイイからって同性に告白するなんてねー。でも、しょうがないよ。だって、皆知らなかったんだもん。カズマが男子だってwwwww
「ああ、ゴメンごめん。話が脱線したね。えーと、カズマが5歳の時····だったかな?カズマって急に倒れて病院に連れて行かれたんだ
「その結果心臓の病気でいつ発作が起きるかわからないって言われたんだ。でも、発作が起きない間は普通の生活をしていいって言われたから入院はしなくてすんだんだよ
「うん、まあ、確かに心臓に負担が掛かる運動は出来るだけしないようにしていたけど、とりあえずは日常を過ごしていたよ
「でも、時が経つにつれて発作が起きて入院することが多くなっていったんだ····。あの時は、よく病院にお見舞いに行っていたよ。それで、学校のこととかくだらないことかを話してカズマが笑ってそれなりに楽しかったな~
「····でもね。楽しい時間には、終わりがある。いや、楽しい時間だけとは限らないね····
「11歳の時、カズマは学校で発作が起きたんだ。その時は、放課後で僕とカズマしか教室にいなかったから慌てて先生を呼びに行こうとしたんだ
「だけどね·····だけどね。さっきまで苦しんでいたカズマが身動き一つしなくなったんだ·······
「ねえ、ジン君。それが何を意味をするか分かるよね?
「そう、死んだんだ。カズマ・N・エノモトは、死んだんだ
「そのあと、僕の泣き声に気づいた先生が一応病院に連れってたんだけど、僕には結果は見えていた···
「だけど、カズマは生きて帰ってきた
「え?僕の勘違いだったんじゃないかって?いや、それはない。あの時確かにカズマは死んだ
「まあ、もうすぐ終わるから最後まで聞いて。帰って来たカズマは、僕の知っているカズマじゃなかった
「記憶とかそう言うのは、ちゃんとあるんだけど感情が無くなっていたんだ
「いや、正しくはリセットされたって考えた方が良いね。ゼロだったんだ。完全な無。笑うこともない。
「まるで、
◇◇◇
ジンは、ここまでの話を聞いて一つの仮説を立てた。
カズマの死体に何かが憑依して、今のカズマがいるんじゃないかと。
死体に憑依する話など、伝説や昔話ならよくある話だ。
ウンウン唸りながらこの仮説に根拠を着けようとした。
そこで、気がついた。
いつの間にかコーキが真面目で悲しそうな顔からいつもに笑顔を通り越してニタニタして見ていることを。
「ええ~と。どうかしましたコーキさん?」
「いやー、別にー。僕の作り話を真に受けたジン君がウンウン唸りながら考えているなーって思ってwwww」
「え?作り話?全部嘘だったんですか?」
「そうだよ~。ああ、ゴメンね。全部ほら話だよ」
「な、な、それじゃあ真面目に聞いてた僕がバカみたいじゃないですか!!??」
「だねー。面白かったよ。ジン君がカズマについて悩んでいる姿とか笑いこらえるの大変だったんだよwww」
口元を押さえて笑うコーキ。
「ムー。いくらコーキさんでも酷すぎます。僕で遊ばないでください」
ジンは、プイッとそっぽを向いた。
「おっ、ジン君が拗ねた!カッワイイ~」
「うるさいデスヨ。コーキさん」
と言うとジンはコーキから距離をとった。
「まあまあ、そう怒んないでよ。僕だって悪気しかなかったんだから」
「なら、しかたありま、って悪気しかないんじゃないですか!!!」
「ナイスツッコミ。黒ウサギちゃん並みのツッコミセンスがあるね!」
「もう、いいデス。話になりません」
この時、ジンは黒ウサギの苦労を身をもって知った。
今度、休暇をあげないと····。
ジンは、そう思った。
どうも、皆さん。
今回は、完全オリジナルの話です。
ちゃんと、書けているか心配です·····
ああ、そうそうタイトルにRe:ってある場合は私一人のただ後書きです
今回のコーキさんの話を皆さんはどう受け止めますか?
本人が嘘って言っているから、特に気にしませんか?
それとも、実はその話は本当でコーキさんが嘘だと誤魔化したと思いますか?
それとも、念のために頭の片隅に覚えておきますか?
まあ、受け取り方も人それぞれですもんね
ヒントがあるなら、終焉の栞のこの言葉ですね
『この世にあるのは、「真実っぽい」ものと、「嘘っぽい」ものだけだのだ』
最後に、球磨川 空さん。アンケートにお答えもらいありがとございます。
その貴重な意見は、次回の後書きコーナーで話し合いをしますのでお楽しみに!
他の皆さんもアンケート実施中ですのでよかったらお答えください
それでは、また次回