問題児達と錬金術師×2が来るそうですよ?   作:射水 終夜

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ついに初めてのギフトゲーム、ガルド戦が始まりますね♪

「だね。でも、僕あまり出番ないんだよねー」

しょうがないですよ。だって、ギフトゲーム参加しませんから
それでは、本編をどうぞ!


第9話 初めてのゲームですよ?

『よォ、錬金術師。ここに来るのは初めてだなァ』

「誰だ、お前」

『オレかァ?オレは、××××だ』

「そう。それで何か用?」

『愛想のねェ奴だなァ、まったく』

「で、用はなんだ?」

『別に用って用はねェが質問だよ。質問』

「何だ?」

『この世界を楽しンでいるかァ?』

「この世界?」

『箱庭だよ。箱庭』

「別に、退屈はしなさそうだ」

『そォかい、そォかい。感情が薄いお前からそれが聞けただけ良かったよ』

「何故俺のことを知っている?」

『答えは簡単だ、オレが××だからだよォ錬金術師。おおっと、そろそろ時間だぜ錬金術師』

「時間?」

『最後に言っとくが、錬金術師お前がここに居れるのはオレの力ってことを忘れるなよォ』

カズマは自室のベッドの上で目覚めた。

 

 

 

箱庭二一○五三八○外門。ペリベット通り・噴水広場前。

参加者である4人と観戦者+審判の3人と一匹は、“フォレス・ガロ”の居住区に向かう途中“六本傷”の猫店員から「二度と不義理な真似が出来ないようにしてやってください!」と熱烈なエールと「舞台区画ではなく、居住区でゲームを行うらしいんですよ」と言う情報を教えてもらった。

「ねえ、カズマ。なんか考え事?」

「別に。ただ眠い」

「?」

ジンはカズマの顔を見るが昨日と同じ無表情だ。

「コーキさん。カズマさんは何か考え事をしているのですか?」

「ん?ああ、ジン君はまだあって1日しか経ってないからわからないと思うけど何か考えてるみたい」

ちなみにコーキのフレンドリーな性格もあってジンとコーキはすぐに打ち解けていた。

「あ、皆さん!見えてきました·····けど、」

黒ウサギは一瞬、目を疑った。

他の(カズマは居眠り中)メンバーも同様。

それもそのはず、居住区が森のように木々が生えているからだ。

鬱蒼と生い茂る木々を見上げ、耀は呟く。

「·····ジャングル?」

「“フォレス・ガロ”だけに~?」

「虎の住むコミュニティだしな。おかしくはないだろ」

「Zzzzz」

「いや、おかしいです。ってカズマさん寝ないでくださいっ!!今から、ギフトゲームですよ!」

「·······寝てない」

「いや、バッチリ寝ていましたよね!?『Zzzzz』って上に書いていますし」

そんな黒ウサギたちに対しジンは木々に手を伸ばす。

その樹枝は生き物のよう脈を打っていた。

「······。“鬼化”してる?いや、まさか」

 

 

『ギフトゲーム名 “ハンティング”

 

・プレイヤー一覧 久遠 飛鳥

         春日部 耀

         カズマ・N・エノモト

         ジン=ラッセル

 

・クリア条件 ホストの本拠内に潜むガルド=ガスパーの討伐。

・クリア方法 ホスト側が指定した特定の武具でのみ討伐可能。指定武具以外は“契約(ギアス)”によってガルド=ガスパーを傷つける事は不可能。

・敗北条件  降参か、プレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合。

・指定武具  ゲームテリトリーにて配置。

 

宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗の下、“ノーネーム”はギフトゲームに参加します。   

“フォレス・ガロ”印』

 

「さて、それじゃあゲームスタートといきましょうか」

「視界が悪い」

「大丈夫。近くには誰もいないし近くに来たら匂いで分かる」

「あら、犬にもお友達が?」

「うん。二十匹ぐらい」

耀のギフトは獣の友達が多いほど強くなるらしい。だから身体能力や五感がかなり優れている。

「詳しい位置は分かりますか?」

「それはわからない。でも風下にいるのにわからないから、多分建物の中に潜んでいると思う」

「ではまず外から探しましょう」

4人は森の散策を始めた。

奇妙な木々は家屋を呑み込んで成長したらしく、住居等はほとんどが枝や根に食い破られている。

散策する二人とは別に、耀は高い樹からカズマは樹から樹へと飛び移りながらガルドを警戒している。

「·····ダメね。ヒントも見当たらないし、武器らしい武器も見つからないわ」

「もしかしたらガルド自信がその役目を担っているのかもしれません」

そうなると状況はかなりやっかいだ。

武器がなければこちらが一方的に攻められる。

リスクの低い一撃離脱を狙うなら、耀の力に頼るしかない。(カズマは“契約”により剣術を使っても意味がない)

「気が乗らないけど、方針を変えましょう。まずは春日部さんの力でガルドを探して」

「もう見つけてる」

耀は樹から飛び降りると残骸が残る街路を指し、

「本拠の中にいる。影が見えただけだけど、目で確認した」

耀の瞳は普段と違い、猛禽類を彷彿させる金色になっている。

三人が警戒しつつ本拠の館へ向かっていると樹の上からカズマが飛び降りてきた。

「あら、カズマ君。何処に行っていたの?ガルドなら本拠にいるわよ」

「確認した。向こうもこちらに気が付いてる。待ち伏せされてると考えた方がいい」

「なら、中に入る順番とかを決めた方がいいわね」

「ところで、錬金術は使えるの?」

「一応。でも、時間稼ぎぐらいにしか役にたたない」

「大丈夫。その間に私が武器を奪うから」

「見てください。館までも呑み込まれています」

作戦会議をしているうちに“フォレス・ガロ”の本拠についた。

「ガルドは二階にいたから、入っても大丈夫」

中も酷いありさまだった。

高級そうな家具は打ち倒されて散在している。

四人は、瓦礫を掘り返してみたりしてみたがヒントらしいものも武具もなかった。

「二階に上がるけど、ジン君。貴方はここでまってなさい」

「ど、どうしてですか?僕だってギフトを持っています。足手まといには」

「違う。上で何が起きてもいいようにジンには、ここで退路を守って欲しい。だよね?飛鳥」

「ええ。春日部さんの言う通りよ」

もっともな答えだったがジンはそれでも不安だった。

飛鳥と耀は根に阻まれた階段を音を立てずに上がっていく。

先に素早く上がっていたカズマは、扉に耳を当てて中を窺っている。

そして、意を決して三人が勢いよく飛び込んだ瞬間

「···········GEEEEEEYAAAAAaaaaaaa!!!」

言葉を失った虎の怪物が、白銀の剣を背に立ち塞がった。

 

 

 

門前で待っていたコーキと黒ウサギ、十六夜の元に獣の咆哮が届く。

「い、今の凶暴な叫びは·······?」

「ああ、間違いない」

「耀さんが虎のギフトを使ったんでしょう」

「あ、なるほど。ってそんなわけないでしょう!?しかもコーキさんは、私に化けないでください!」

「テヘ☆」

「可愛くしてもダメです!!」

ウサ耳を逆立てて怒る黒ウサギ。

笑顔で小首を傾げる黒ウサギ。

両方の黒ウサギを見比べた十六夜は

「うむ、コーキの方が可愛いな······。本物のウサギさん、マジ駄目だな」

「せめて聞こえないように言ってください!本気で凹みますから!」

ペシペシペシと叩く黒ウサギ。

その後ろで“YES!ウサギが呼びました!”のポーズをとる黒ウサギ(偽物)。

それの完成度に手を叩く十六夜。

そんな漫才のような空気の中でも黒ウサギ(本物)は、ハラハラしながら無事を祈っていた。

 

 

 

目にも留まらぬ突進を仕掛けるガルドを受け止めたのは、一番前にいたカズマだった。

辛うじてガルドの突進を受け流したカズマは、飛鳥に向かって叫んだ。

「逃げろ!」

ガルドの姿は先日のワータイガーではなく、紅い瞳を光らせる虎の化物になっていた。

階段の下にいたジンがガルドの姿を見るや否や、彼に何があったかを理解した。

「鬼、しかも吸血種!やっぱり彼女が」

「つべこべ言わず逃げるわよ!」

飛鳥はジンの襟を掴んで階段から飛び降りる。

「ま、待って下さい!まだカズマさんと耀さんが上に!」

『いいから逃げなさい!』

飛鳥の命令に、ジンの意識は津波に巻き込まれたように途切れた。

そして、ジンは飛鳥の手を握ると、

「一気に逃げます」

「え?」

飛鳥を腰から抱きかかえ、もうスピードで走っていく。

「ちょ、ちょっと」

飛鳥は抱きかかえられたまま鬱蒼と生い茂る木々を抜ける。

それはいいが、本拠から必要以上に離れるのは計算外だった。

「もういい、もういいわ!『今すぐ止まりなさい!』」

「はい。······あれ?」

ジンは我に返ったように足を止めた。

「わ、わ!」

「きゃ!」

ジンは力が向けたように後ろへ倒れる。

飛鳥を支えきれずに倒れたのだ。

「ちょっと、失礼ではなくて?」

「す、すみませんすみませんすみません!自分でも信じられないぐらい力が溢れて······」

飛鳥はとりあえずこの話を置いておくことにしてさっきのことを話す。

「ガルドが守る白銀の十字剣·······吸血鬼と化したガルド。間違いありません。指定武器は、その白銀の十字剣です」

「はい。元々ガルドは、人間・虎・悪魔から得た霊格、その三つのギフトから成るワータイガーです。ですが吸血鬼によって人間から鬼種に変えられたのでしょう」

つまり、ガルドが虎の姿をしていたのは人間のギフトを鬼種に変えられたからだ。

「もしかしてこの舞台を用意したのも·······?」

「ま、まだ吸血鬼かどうかは分かりません。でも、黒幕がいる可能性はかなり高いです」

「そう·····誰だか知らないけど、生意気なことをしてくれたものね」

不機嫌そうに飛鳥が顔を背けた時、二人のそばの茂みが揺れた。

「誰?」

「·····私」

「とカズマ」

茂みから出てきたのは、血だらけ耀を左腕で抱えたカズマだった。

二人は血を流す耀の右腕を見るや悲鳴のような声を上げた。

「か、春日部さん!大丈夫なの!?」

「大丈夫じゃ·····ない。凄く痛い。本気で泣きそうかも」

そう耀が言うとカズマは、ゆっくり横に寝せた。

そして、よく見るとカズマの右手には白銀の十字剣が握られていた。

「まさか、剣を奪おうとして·····?」

「本当は倒すつもりだった。せっかくカズマにも手伝ってもらったのに·····。油断した·····ごめん」

耀はそう言うと完全に気を失った。

「ま、まずい!傷そのものよりも出血が!このままだと······!」

出血多量で死んでしまう。しかし、応急処置をするにもなにもない。

飛鳥は悔しげ立ち上がると

「今からあの虎を退治してくるわ。ジン君はここで待ってなさい。十分で戻るわ」

髪を結んでいた二つのリボンを解き、ジンに渡した。

「カズマ君。悪いんだけれども、その白銀の十字剣を譲ってもらえないかしら?」

カズマは頷きもせず、右手の剣を前に出す。

飛鳥は、それを掴もうとしたがカズマが剣をヒョイッと右横に動かしたため受け取れなかった。

今度は右横に手を伸ばしたがまた同じ移動させられる。それを何度も繰り返した。

「いい加減にしてッ!遊んでいる暇なんてないのよ!!今がどんな状況かわかってるの!?」

「お前は、何故この剣が必要なんだ?」

「そんなのこのゲームを早く終わらして春日部さんを治療するために決まっているじゃないッ!!!」

「本当にそれだけか?」

「何よっ!他に何があるって言うのよっ!!??」

「後悔、罪悪感、罪滅ぼし」

「っ!?」

カズマは、淡々と事実を飛鳥の心理を述べていく。

ジンは先に飛鳥のリボンを耀の傷口にしっかり巻くとカズマを止めようとした。

が、そこでジンは違和感を感じた。

先ほどからの言い合い(今は飛鳥が必死に否定している)を第三者目線で見たから気がついたのだ。

カズマの言葉、そして動きまでも空虚に感じた。

カズマの動きに意志がなく、言葉は無感情ではなく無機質に聞こえる。

瞳も飛鳥を見ているようで、ただそこに眼球を向けているだけに見える。

そう、まるで機械のように人形のように空っぽのように見えた。

「素人ガ使ッタトコロデ殺セナイ。マシテヤソンナ心理状況デ冷静ナ判断モデキナイ」

「そんなことないわっ!!!!」

「久遠、言ッテオクガ俺ハ優シクナイ。ダカラ、オ前ノ罪滅ボシニ付キ合ワナイ」

そう言い捨てるとカズマは本拠に向いて歩き出すと消えた。

 

 

ガルドは、森を駆けていた。獣として。

ガルドは、吸血鬼として一番近い血の臭いに導かれた。

「結局は獣と言うことだな。動きが単純」

獣は足を止めた。警戒心からではない。

標的の白銀の十字剣に対して恐怖した。

「・・・。」

カズマは白銀の十字剣を腰を落とし、片手で構えた。

「GEEEEEYAAAAAaaa!!!」

鬼種を持つガルドは豹よりも遥かに速い踏み込みで襲いかかった。

正面から飛び込んだガルドに、同じく真正面から飛び込むカズマは、

加速(アクセラレイト)

と呟いた。

その瞬間カズマの動きはガルドの目にも、消えたとしか言いようがないほどに加速した。

「ゲームセット。俺たちの勝ちだ」

という言葉が聞こえた時にはカズマはガルドの後ろにいた。

すぐに振り向こうとしたが、気づいていなかった。

頭と体が離れていたことを。

悲鳴一つあげる暇もなかった。

痛みを感じる暇もなかった。

ただ、気づいた時には死んでいた。

それが虎の怪物になってしまったガルドの最後だった。

 

 

 




錬金術師の雑談部屋

今回は、諸事情によりカズマさんには強制的に休んで貰いました★

「ゴメンね、カズマ。そして、ゲストは、この人!」

「十六夜様だぜ!よろしく」

二回目の登場ですね。

「おう!」

「さてさて、カズマがいない内に早くしないと」

「だな。何されるか分からないぜ」

さっさと、しましょう。実は、現在アンケートというか協力者を募集しています

「カズマ女装計画のね。詳しい説明は、活動報告のところに書いてあるよ」

「一応、簡単な説明もしようぜ」

「今、僕たちは来るべき日に備えてカズマをいかに女装させるかを話合っているんだよ」

メンバーは、白夜叉さん、コーキさん、十六夜さん、あと私の四人です!

「でな。俺たちだけで、話し合うより読者にも考えて貰えばもっと面白い案が出るって話に今なってんだ」

ちなみに提案は、私です!

「初めは、作者のサボりだと思ったよ」

「でも、その意見には一理あるって話になって、実際に実行しているんだぜ」

いや~、感想でしぐれさんに言われて思ったんですよ。読者ってどんな服装が好きなのかな?と

「しぐれさんには、感謝だね」

「ああ、全くだ。猫耳メイド服とは、いいチョイスだぜ」

というわけで、皆さんの好きな服装とかを適当に答えるだけでも全然いいですので

「ご協力を」

「よろしく頼むぜ」

それでは、
「「次回も見てください!!!」」

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