岩沢雅美の幼馴染   作:南春樹

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第十一話「試練のデート〜岩沢編〜」

朝6時。この日の天気は晴れ。説明していなかったが、季節は夏で非常に暑い。

 

そんな中俺は布団の中に違和感を感じて目を覚ます。

 

 

「んん……?」

 

「太一♪」

 

「うわぁ!?雅美!?」

 

「そんなに驚かなくたっていいだろ……」

 

 

そりゃあ驚くよ。朝起きていきなり女の子がベッドにいたらびっくりするよ。

 

 

「……何しに来たの?」

 

「何しにって、太一を起こしに来るついでにベッドに潜りに来たんだよ。なんたって今日は太一の彼女だからな!」

 

 

まだ朝ですよ……?

 

 

「こんなに早くなくてもいいんじゃ……」

 

「少しでも太一と一緒にいたいんだ」

 

 

食い気味に返答する雅美。その顔を見ると少し赤くなってる。

 

さて、冷静になって現状を考えてみよう。俺の部屋に美人の幼馴染がいる。そしてその幼馴染は俺と一緒にベッドで寝ている。更に言うなれば一週間前にその幼馴染から告白された。

 

う〜ん、素晴らしいシチュエーションだ。

 

正直言って悪い気はしない。むしろ良い気持ちだ。昔から俺の味方でいてくれた女の子が好意を寄せてくれているだと?最高じゃないか。

 

しかしここで問題なのは告白してきたのはこの幼馴染一人ではないということだ。幼馴染の相方と言っても差異のない子からも告白され、更には後輩のイタズラ好きからも告白されている。

 

修羅場、とまでは行かないが俺の胃に負担を与えるには十分な状況だ。

 

さて、ちょっとベッドにいる雅美を見てみよう。

 

恥ずかしそうにしながらも俺の顔をしっかりと見て、なんというか……可愛いな。頭撫でてやる。

 

 

「ん……」

 

 

目を瞑って更に嬉しそうな表情になった。

 

 

「今日、なにする?」

 

「なにするって?」

 

「ほら、俺だって一応雅美の彼氏ってことじゃん?少しは彼氏らしいことしたいなって」

 

 

言っていて絶妙な背徳感が出てくるが、今日からの三日間は気にしないことにした。相手の三人が本気なら俺もそれに相応しいことをしなければ失礼だろうと勝手に自分の中でたった今決めたからだ。

 

 

「とりあえず……二度寝したいかな」

 

「なんだそれ」

 

「やっぱり少し眠くてさ……」

 

 

そうだよな。こんな朝早くから来たら眠くなるよな。

 

 

「ん、分かった。はい」

 

「?」

 

「腕枕。彼氏らしいでしょ?」

 

「ああ、そういうことか」

 

「なんだと思ったのさ?」

 

「腕が痺れて伸ばしてるのかな〜って」

 

「なんでだよ」

 

 

雅美は少し常人とは違うところがあるからな。天然というか……う〜ん。まあそんな雰囲気があるのだ。

 

今日の天候から考えたら暑苦しいかもしれないが、この寮にはエアコンが着いていて今はそれをフル稼働中だ。

 

故にそこまで暑くない。

 

 

「まあいいや。ほら、頭乗せて」

 

「それじゃあ……」

 

「どう?」

 

「よく眠れそう。でも……」

 

「な、なにか不満が?」

 

「こっちのほうがよく眠れそう〜♪えいっ!」

 

「おわっ!?ちょ、ちょっと!」

 

「ん〜、太一の匂い♪」

 

 

思いっきり抱きついてきた。そんでもって胸の辺りに顔を埋めてる。

 

普段なら引き剥がすところだが、今日は恋人同士ということで俺も受け入れる。

 

 

「よく眠れそう?」

 

「うん♪」

 

 

超ご機嫌。更によく寝れるように背中を擦ってやろう。

 

 

「あ〜、安心する……」

 

 

その言葉を最後に雅美は安らかに眠ってしまった。なんか死んだみたいだけどただ単に寝ただけだからね?

 

 

「俺ももう一眠りするかなぁ……」

 

 

雅美を見てたらなんか眠くなってきたよ。

 

 

「おやすみ、雅美」

 

 

俺も意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2時間後。

 

 

「あの……なんで俺の上に乗ってるんですか?」

 

「そこに太一がいるから」

 

 

いや訳がわからん。

 

今の状態を説明すると、俺が仰向けでその上にうつ伏せの雅美が乗っかっている、という風になる。

 

 

「お顔が近いのですが……」

 

「よく見えるからいいじゃん」

 

 

確かによく見えますけども……。むしろ見えすぎてますけども。

 

ってか肌めちゃくちゃ綺麗だな。

 

 

「あと色々当たってるのですが……」

 

「相手が太一だからいいんだよ」

 

 

嬉しいお言葉ですけども……。流石にこれ以上は俺の理性が危ういので退いて貰おう。

 

 

「雅美、気持ちは嬉しいけど下りてくれない?」

 

「え?なんで?」

 

「なんでって……ほら、ご飯とかも食べに行きたいし」

 

「私はこのままがいいんだ」

 

 

困った。いい感じの理由が浮かばないぞ。

 

仕方ない。奥の手だ。

 

 

「雅美、後でなんでも言うこと聞いてあげるから…」

 

 

そう雅美の耳元で囁く。

 

すると顔を真っ赤にしながらすぐに退いてくれた。

 

 

「な…なんでも……?」

 

 

尚も真っ赤のまま聞いてくる。

 

 

「うん。なんでも」

 

「その…き、き、き、キスでも……?」

 

「き、キスぅ!?」

 

「なんでもって言ったじゃないか……」

 

 

いやなんでもって言ったけどさ……。キス……キスかぁ……。まあ恋人なら……。

 

 

「……うん、いいよ。雅美が望むならキスするよ」

 

 

ぼんっ、と音を立てたように雅美が更に赤くなる。

 

 

「……ありがとう」

 

 

もじもじしながらお礼を言ってくる。めっちゃ可愛いんだけど。っていうかなんのお礼?

 

 

「さ、ご飯食べに行こうか」

 

「う、うん……」

 

 

身なりを整えて部屋を出る。

 

 

「あ、あのさ!」

 

「ん?」

 

「今は恋人なんだから……腕…とか……組んじゃだめかな?」

 

「うんいいよ。はい」

 

 

腕を差し出す。多少暑くてもこれくらいはな。

 

 

「ん…」

 

 

雅美が腕を絡めてくる。

 

 

「じゃあ改めて行こっか」

 

「うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

食堂に行く間にやはり多くの人の視線が送られてきた。なんか最近慣れてきたよ。

 

 

「太一、なにうどんにする?」

 

 

あ、やっぱりうどんなのは決定なんですね。

 

 

「じゃあ月見うどんで」

 

「はい、月見うどん」

 

「ん、ありがと」

 

 

5分後。

 

 

「はいよ、月見うどんと山菜うどんお待ち」

 

 

いつも通り雅美もうどんを注文した。

 

それぞれ品を貰うと近くの空席に腰を下ろし、向かい合わせに座る。

 

 

「「いただきま〜す」」

 

 

ズルズル。

 

 

「ん〜!幸せ!」

 

「そんなに幸せなの?」

 

「私がどれだけうどんが好きか太一だってわかってるだろ?」

 

「まあね」

 

 

雅美は本当にうどんが大好きだ。多分音楽と同等くらいに好きなんじゃないか?

 

 

「それに……今日は仮にも太一の……恋人として一緒に食べてるから……」

 

「えっ!?恋人っ!?」

 

 

雅美が下を向きながら恥ずかしそうに言うとそれをたまたま近くにいたゆりが聞いたようで、非常に驚いた表情をしている。

 

 

「篠宮くんと岩沢さんって恋人同士だったの!?」

 

「ち、違う!いやでも違くもない……」

 

「……どういうこと?」

 

 

昨日の出来事を説明する。

 

 

「へぇ……モテる男って辛いわね」

 

「別に辛くはないよ」

 

「モテるは否定しないのね?」

 

 

ニヤニヤしながら見てくる。なんだよその目。

 

 

「まあ実際モテてるしいいんだけど。それよりそのデートとやらに私も参加出来るのかしら?」

 

「えぇっ!?」

 

「まあ…出来るんじゃないかな?でもなんで?」

 

「純粋に好奇心よ」

 

「はぁ……」

 

 

好奇心でまた一日増えるのか……。

 

 

「ライバルがまた一人……」

 

「雅美さーん?」

 

 

なんか上の方見てぶつぶつ言ってるぞ。

 

 

「え?な、なに?」

 

「いや、なんか遠くを見てたからさ。大丈夫?」

 

「……うん、大丈夫…だよ」

 

「そっか、なら良かった」

 

「じゃあ篠宮くん、私とのデートはいつかしら?」

 

「順当に行けば明々後日かな」

 

「オッケー、了解よ。それじゃあ明々後日楽しみにしてるから。それと岩沢さん」

 

「な、なに?」

 

「私、負けないわよ」

 

「っ!」

 

 

そう言い残してゆりは食堂を後にした。

 

雅美を見てみると少し悩んでいる顔をしている。

 

そして。

 

 

「太一」

 

「ん?」

 

「今日は最高の日にしような!」

 

「え?あ、ああ!もちろん!」

 

 

 

 

 

 

 

ご飯を食べ終わって食堂を出る。時計を見ると時刻は午前9時を回っていた。

 

 

「そう言えば今日の練習ってどうなるの?」

 

「今日も明日も明後日も練習は休み。明々後日についてはこれから相談する。そんなことよりこれからどうする?」

 

「この世界には娯楽施設がないからなぁ……また俺の部屋に戻る?」

 

「まあそれしかないか」

 

「またお姫様抱っこしながら窓から入ってみる?」

 

「い、いやいやいや!いいよ!」

 

 

軽い気持ちで言ったらガチで断られた。トラウマになっちゃったのかな?だとしたら申し訳ない……。

 

 

「じゃあ普通に入るか」

 

「あ、でも……」

 

「ん?」

 

「お姫様抱っこは……して欲しい……かな」

 

「うん、いいよ」

 

 

という訳で雅美をお姫様抱っこする。雅美ももう慣れっこなのか、自然と手を首に回してきた。

 

幸いこんな体なのでちょっとやそっとじゃ汗はかきづらい。首に手を回されても雅美が不快な思いをすることは無い。と思う。

 

ここで周りを見てみよう。前は丁度ご飯時ということもあってNPCからかなり視線を浴びていたが、今は授業中なので誰からの視線を浴びることもない。

 

ないと思っていたのだが……。

 

 

「ひゅ〜、お熱いねぇ」

 

「……なんだよ日向」

 

 

あった。

 

 

「いや〜たまたま通りかかったらなんかいちゃいちゃしてたからさ〜」

 

「ふーん。こんなところでなにしてるの?」

 

「え?あ、ああ!いや!ちょっと散歩をな……」

 

「第一線の奴らが集合する時間なのにか?」

 

 

お姫様抱っこされたまま、雅美が鋭いメスを入れる。

 

 

「うっ……そ、それは!今日は俺だけ休みなんだよ!」

 

「はいはい、わかったよ。偵察という名の休みをゆりから貰ったんだろ?」

 

「ギクぅ!」

 

 

雅美の一言が真実だったようで明らかに動揺している。っていうかわかりやす!

 

 

「お前アホだなー。話しかけずに遠くから見ていりゃバレなかったのに」

 

「しまったああああぁぁぁぁ!!」

 

 

いや本当にアホだな。

 

 

「お前らにバレたことは内緒にしておいてくれ!頼む!」

 

「え〜?どうしよっかな〜?ねえ、雅美」

 

「どうしようかね〜?太一」

 

「頼む!この通りだ!」

 

 

めっちゃ必死。もうちょっとからかってやろうか。

 

 

「でも俺たちに言わないメリットがないしな〜」

 

「……一週間分のうどんの食券でどうだ?」

 

「オッケー。言わないでおいてやる」

 

 

早っ!?雅美さん早いっすよ!もうちょっと遊びたかったのに!

 

 

「んじゃ、頼むぞ!」

 

「そっちこそうどんの食券持ってこなかったら即チクるからな」

 

「わかってるって!」

 

 

そのままスタコラと帰っていった。

 

 

「さ、邪魔者もいなくなったし早く部屋に連れてってよ」

 

「ああ、行こっか」

 

 

 

 

―――――――――

――――――

―――

 

 

「さて、部屋に着いたことだし……」

 

「着いたことだし?」

 

「ちょっと作曲の手伝いをしてくれ」

 

 

ズコー。

 

 

「そんなのいつでも出来るじゃん……」

 

「いや、太一と二人っきりで昔みたいにやりたいんだ」

 

「ああ、そういうこと」

 

 

昔みたいにとは、なにも特別なことをするわけでもなく、ただただ雑談をしながら作曲をするというものだ。

 

そんなんでいいのか?と思うだろう。俺だってそう思ってる。でも本人的にはこれが一番いいのが降りてくるそうだ。

 

最近では大体ガルデモメンバーと一緒にやっていたので、二人っきりで作曲というのは確かに無かった。

 

 

「でも改まって話すことなんかある?」

 

「一つ気になってたことがあるんだよ。太一の限界ってどこ?」

 

「限界?」

 

「どれくらいの重さなら持ち上げられるかってこと」

 

「ああ〜……わかんない」

 

「わかんない?」

 

「いままで重いって感じたことが無いんだよ」

 

「え……?」

 

 

言葉を失ってしまったようだ。まあそうか。

 

 

「……ちなみに今まで持った中で一番重量があったのって?」

 

「う〜ん……戦車かな」

 

「ああ、あのアメリカ軍にやられたやつか。重さは?」

 

「確か80トン?90トン?とか言ってた気がする」

 

「………………?」

 

 

またもや言葉を言葉を失う。しかもよく理解してないようだ。

 

 

「きゅ、きゅうじゅっとん?それはどのくらいの……」

 

「大体雅美2000人分」

 

「……………………」

 

 

3回目。

 

 

「えっと……それでも重くなかったのか?」

 

「うん」

 

 

雅美が4度目のフリーズを起こして会話が終了する。

 

 

「いいの降りてきた?」

 

「……全部飛んでいった」

 

 

そりゃあ残念だ。

 

 

「じゃあ話題変えるね。夏休みの思い出でどう?」

 

「お、いいなそれ。良いのが降りてきそうだ」

 

「また一緒に花火見た話する?」

 

「いや、二人で肝試しした話とか」

 

「あ〜…あれは怖かった」

 

「太一は本当に怖がりだからな〜?」

 

 

そう、俺は怖がりなのだ。虫とか動物とかは大丈夫なのだが、オカルト系にはめっぽう弱い。

 

 

「珍しく私に抱きついてきて涙目になってたよな〜」

 

「い、いいじゃんか……」

 

 

そんなニヤニヤしながら見ないでくださいよ……。誰だって苦手なものの一つや二つはありますよ……。

 

 

「あのときは嬉しかったよ」

 

「え?」

 

「初めて太一が私のことを必要としてくれたと思ってさ。太一ってなんでも一人で出来るから私は必要ないのかなって、どこかで思ってたんだ」

 

「そんなこと思ってたんだ……。大丈夫、俺にとって雅美は必要な存在だったから」

 

「そう言ってくれて嬉しいよ」

 

 

ちょっと顔を赤めながら喜んでくれた。

 

喜んでくれたんだけど……。

 

 

「……あれ?なんの話だっけ?」

 

「肝試しの話」

 

「ああ、そうだった」

 

 

本筋を忘れてたようだ。

 

 

「まだ中1だったっけ」

 

「うん。またあの山でやったんだよな」

 

「俺の親は俺のこと怖がって何も言ってこないし…」

 

「私の親はそもそも私に興味なかったから何も言ってこなかったから…」

 

「「自由だったよね(な)〜」」

 

 

そう、二人とも親からの監視が無かったため、どれだけ遅く帰っても何も言われなかったのだ。

 

流石に日をまたぐことは無かったが、11時頃に帰るなんてザラだった。

 

まあそのお陰で楽しい思い出がいっぱい出来たんだけどね。

 

 

「肝試しの時は夜8時くらいに待ち合わせして、そこから行ったから…」

 

「あっ!今良いの降りてきた!ちょっとメモするから待ってて!」

 

 

よくこんなので降りてくるよなぁ。天才だよ。

 

 

「ごめん、それからどうしたんだっけ?」

 

「それから自転車に二人乗りして山に行って…」

 

「ああ、思い出した。向かってる途中にうだうだ言ってたよな」

 

「そりゃあ言うよ……途中でもすっごい怖かったんだから」

 

「鳥が飛んだだけでもビクってなって……」

 

 

雅美が笑いを堪えながら言う。

 

 

「また行きたいなぁ〜」

 

「絶対やだ!」

 

 

心の底から行きたくない。

 

 

「っていうかなんであの時行こうっていう話になったんだっけ?」

 

「え〜っと……あの山に何か出るらしいから見に行こうって雅美が言い出したんだよ」

 

「あー、そうだそうだ。確か山姥が出るとかなんとか言って行ったんだ」

 

「結局見れなかったんだけどね」

 

「見たかったの?」

 

「うんにゃ、全然」

 

 

見てたら卒倒してたさ。

 

 

「久々に怖がってる太一、見たいなぁ〜」

 

「いや、チラチラ視線を送られても絶対嫌だから」

 

「あの時どうやって説得したんだっけ」

 

「行かなきゃ家出するって脅してきたんじゃん」

 

「ああ、そうだそうだ」

 

 

笑ってますけどあの時結構参ったんですよ?

 

 

「ごめんごめん。もうあんなことしないからさ」

 

 

俺の表情を読み取ったのか謝ってくる。笑いながらだけど。

 

 

 

その後はまた雑談を続けながら作曲を続けていた。忘れてるかもしれないけど、作曲中なんですよ?

 

まあそんなこんなでもうお昼時になった。

 

 

 

 

 

 

 

「ほんと、あの時はヒヤヒヤさせられたよ……っと、もうこんな時間だね。お昼どうする?またうどん?」

 

「それは勿論なんだけど、今日はちょっと違うぞ」

 

 

ちょっと違うってなんだろう。

 

 

「今日はなんと……手打ちうどんを作る!」

 

「おお!」

 

 

ちょっとテンションが上がった。なんせ雅美の作るうどんは美味い。なぜなら元々うどん屋でバイトしていたのでノウハウがあるからだ。

 

 

「またこねるのお願いできる?」

 

「もちろん!」

 

 

昔からこねるのは俺の仕事だった。力が強いのでいいコシがでるらしい。

 

さて、早速調理を開始するのだが、調理中は特に面白いこともないので割愛させてもらう。

 

 

1時間後

 

 

「「いただきま〜す」」

 

 

ズルズル。

 

 

「ん〜!これこれ!これだよ!絶品!」

 

「ふふ、太一の麺が良いからだよ」

 

「いやいや、こんな美味いつゆを作る雅美の腕だって」

 

 

本当に美味いんだよ。普通に店を出してもおかしくないレベルだ。1杯1000円払ってでもぜひ食べたいね。

 

 

「はい、あ〜ん」

 

 

雅美が目をぱちくりさせる。まあ急にやれば驚くか。

 

忘れがちだが、今日は恋人という設定だ。今までの過ごし方ではただの幼馴染同士の一日で終わってしまう。

 

 

「あ、あ〜ん……」

 

 

恥ずかしそうに食べる。可愛い。

 

 

「ほら……太一も…あ、あ〜ん」

 

「あ〜ん……。うん、美味しいよ」

 

「そ、そうか」

 

 

今日何度目か分からない顔真っ赤。やっぱり可愛い。

 

可愛い雅美を見れたところで話題はこの後のことへ。

 

 

「午後からどうする?」

 

「う〜ん……私はなんでもいいぞ」

 

「なんでも……なんでもねぇ……」

 

 

なんでもって一番困るのよね。

 

朝も述べたがこの世界には娯楽施設というものが無く、学生がエンジョイ出来るものは大変少ない。

 

 

「う〜ん…………」

 

「あ、あのさ」

 

「ん?」

 

「川とか……どう?」

 

「川?」

 

「そう、川」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と、言うわけで雅美の提案で川にやってきました。

 

 

「……今更だけどなんで川?」

 

「ほら、ゆく河の流れは絶えずして、しかも元の水にあらずってあるじゃん?」

 

「ああ、方丈記ね。それがどうしたの?」

 

「………?」

 

 

いやいやいや。首を傾げられましても。普通に水周りは涼しいからとかでいいんじゃないですかね。

 

 

「まあいいや、川入って遊ぼうぜ」

 

「まあいいけどさ……」

 

 

川に向かおうとしたその時、雅美が服を脱ぎ始めた。

 

 

「ちょ、ちょっとちょっとちょっと!」

 

「なんだよ」

 

「なんだよじゃないよ!なに脱いでんのさ!」

 

「水着着てるからいいだろ」

 

「女の子が野外で裸なんて……ん?水着?」

 

「うん。ほら」

 

 

そう言って白いビキニ姿になる。

 

 

「………」

 

 

思わず見とれてしまった。スラリと伸びた手足、綺麗な肌、決して大きくはないが成長した胸とお尻。それなのにしっかりとくびれがあり、あの時よりも女の子らしい体つきになっていた。

 

なんというか……スタイル抜群だ。

 

 

「なんだよ…そんなジロジロ見て……」

 

「いや…そりゃあ見るでしょ……っていうかいつ着替えたの?」

 

「太一が洗い物してる時」

 

 

あの時か……と思いつつまだまだ凝視。

 

雅美は少し恥ずかしそうにしながらこう言った。

 

 

「ま、まあ太一なら見てもいいぞ。っていうか見てもらう為に着替えたんだし……」

 

 

雅美はぼそぼそ言っているが俺の耳にはハッキリ届いている。理由はまあわかってもらえるだろう。

 

 

「で……どう?」

 

「どうって?」

 

「そ、その……水着になった私……」

 

 

もじもじ&顔真っ赤。しかも白ビキニ。なんだこの可愛いの。

 

 

「か、可愛いよ……」

 

「た、太一〜!」

 

「うわぁ!ちょ、ちょっと!」

 

「太一〜!」

 

 

そんな格好で抱きついてスリスリはだめ!色々まずいって!暑いとかそういう問題じゃない!

 

 

「ま、雅美!暑いんだし泳ごうぜ!」

 

 

強引に話を変えてみよう。

 

 

「やだ。今はこのままがいい」

 

 

強引すぎたね。何か他に策はないか考えてみよう。

 

 

「あー…えーっと……その……雅美」

 

「なぁに〜?」

 

 

あ、ダメだこれ。すっげー上機嫌だもん。

 

 

「その……なんでもないよ」

 

「? 変な太一」

 

 

 

 

 

ここから20分間、俺はひたすら我慢した。素数を数えたり、徳川歴代将軍のフルネームを思い出したり、山手線の駅の名前を思い浮かべたりなど様々な手を使ってきたが、もうそろそろ限界かもしれない。

 

このまま続けられたら理性が吹っ飛んでヤバいことになる。

 

ヤバいっていうのは……まあ想像通りだよ。

 

 

「ま、雅美。そろそろいいだろ?泳ごう?な?」

 

「もうちょっと堪能したかったけど……まあ満足かな」

 

 

良かった。離れてくれた。

 

 

「部屋に帰ったらもっと堪能させてもらうからな」

 

 

……まだまだ戦いは続きそうだけど。

 

 

 

 

 

 

「太一ー!こっちこっちー!」

 

 

俺を開放した雅美は川の中ではしゃぎ回っていた。

 

こっちこっちって言われても俺は服を着ているので行けないんですよ。

 

 

「早く来いよー!」

 

「服着てるから行けないー!」

 

「あ、そっか」

 

 

素でわかっていなかったようだ。

 

バシャバシャと泳ぎながら俺のところへ来る。

 

 

「太一も脱げよ」

 

「俺水着着てないんだけど……」

 

「じゃあ服着たまま泳ごうぜ」

 

「いや意味わかんない」

 

 

意味わかんない。

 

 

「一人で泳いでもつまんないじゃん」

 

「そんなこと言われたってなぁ……」

 

 

そもそもなんで川って提案したんだよ……。

 

 

「じゃあ足だけ捲って浅いところまででどう?」

 

「う〜ん……まあいいか」

 

 

妥協してくれた。

 

 

「準備するから先に行ってて……」

 

「な〜んちゃって」

 

 

靴を脱ごうとした瞬間、ぐいっと手を引っ張られる。

 

 

「おわっ!?」

 

 

バシャーンと二人で川に飛び込む。いくら力が強くたって不意打ち喰らえばそうなるさ。

 

 

「なにすんの!」

 

「アッハッハ!太一びしょびしょ〜!」

 

「全く雅美はいつもいつも……」

 

「まあまあ、涼しくなっただろ?」

 

「涼しいけどさ……」

 

 

思い返せば俺はよく雅美に振り回されていた。

 

毎回雅美がなにかやりたいと言い出して俺がそれに付き合う。そして大抵俺が何かしらのいたずらをされるのだ。

 

もちろん最初の頃は嫌な気もしたさ。

 

でも、雅美がいたずらを仕掛けてくるのは決まって俺がつまらなさそうにしている時だ、と気づいた瞬間、嫌気なんてどこかへ飛んでいった。

 

それに、仕掛けた後は決まって雅美はとびっきりの笑顔になる。その笑顔を見ると自然と俺も笑顔になってしまう。

 

 

「ほら、太一、仕返しはいいのか〜?」

 

 

楽しそうに尋ねてくる。

 

ああもう。そんな顔されたら楽しまずにはいられないじゃないか。

 

 

「くっそ〜!いくぞ〜!」

 

 

どうせもうびしょびしょになってしまったんだ。思いっきり水遊びを楽しんでやろう!

 

 

「きゃっ!やったな!」

 

「うおっ!?まだまだぁ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――

――――――

―――

 

 

結局2時間も川で水遊びをした。

 

なんだかんだで楽しんだのだが……。

 

 

「はぁ…はぁ…」

 

 

雅美はすっかりバテて、あのギルド降下作戦の直前みたいになってる。

 

 

「大丈夫?」

 

「はぁ…だ…だめ……はぁ…はぁ…」

 

 

ダメみたいです。

 

それから10分後。

 

 

「……よし、もう大丈夫だぞ」

 

 

雅美、復活。

 

 

「んじゃあ部屋戻る?」

 

「うん」

 

 

戻る前に服着てもらいますけどね。

 

着替えを済ませて川を後にする。もう少し日が傾きかけていた。

 

 

「太一、また腕組んでもいい?」

 

「いいけど、俺の服濡れてるよ?」

 

「あー……そっかー……」

 

 

ちょっと残念そうに答える。

 

 

「ま、部屋に戻ればまた抱きつけるからいいか」

 

 

そうだったね。それがまだ残ってたね。

 

 

「あ、ちょっとその前に購買に寄ってもいい?」

 

「? いいけど?」

 

 

何のために購買に寄るかといえば、入浴剤を買うためだ。

 

別に俺は入浴剤が好きだとかいい香りのお風呂に入りたいだとか疲れを取りたいから等の理由で買うわけではない。

 

恐らく部屋に戻れば風呂に入るだろう。

 

風呂に入れば雅美は「私も一緒に!」と言い始めるはずだ。

 

前回はなんとかやり過ごせたが、今回はどうなるかわからない。

 

だから今回はどう転がっても大丈夫なよう白濁タイプの入浴剤を買わなければいけないのだ。

 

 

幸いこの学校の購買は通常では考えられないレベルで品揃えが良い。

 

少し探したらお目当ての品はすぐに見つかった。

 

購買のおばちゃんにお金を払い、寮に向かい、再び俺の部屋に帰ってくる頃にはもう5時を回っていた。

 

 

「太一、夕飯まで時間あるけど、どうする?」

 

「とりあえずお風呂に入ろうかな」

 

「あ〜…そうだね」

 

 

少し申し訳なさそうに言う。

 

 

「じゃあまた背中流してやるよ」

 

 

予想通りの展開。

 

 

「ああ、頼むよ」

 

「えっ……?」

 

 

予想外の展開。

 

 

「ど、どうしたの?」

 

「いや…いつもなら断られるのに……」

 

「今日は水着を着てるからさ」

 

「ああ、そういうことか」

 

「俺も下着着たまま入るし」

 

「うん、分かった。じゃあ脱衣所に行くか」

 

 

と、言うわけで脱衣所。

 

俺と雅美はそれぞれ脱ぐ。さっきも会話してた通り俺は下着(パンツ)着用、雅美は水着着用だけど。

 

 

「はい、太一、座って。シャンプーからするから」

 

「ん」

 

 

お湯で髪の毛を濡らしてシャンプーでシャカシャカ。

 

中々良い手付きだ。

 

 

「痒いところはありませんか〜?」

 

「ありませ〜ん」

 

 

再びシャカシャカ。

 

そしてジャバー。

 

擬音でしか表現できなくて申し訳ない。

 

 

「はい、次雅美も座って」

 

「ん」

 

 

お湯をかけて髪の毛に手を触れた瞬間、ビクッとされた。

 

 

「ど、どうしたの?」

 

「いや…人に髪の毛洗われるの何年ぶりだから……」

 

「ああ、そう言うことね。続けて大丈夫?」

 

「うん…大丈夫だ…」

 

 

シャカシャカシャカシャカ。

 

 

「痒いところはございませんか〜?」

 

「右側がちょっと痒いかな」

 

 

あ、言うんですか。素直に申告する人初めて見ましたよ。

 

 

「ここ?」

 

「あーちょっと右すぎ」

 

「ここ?」

 

「そこからもうちょっと後ろ」

 

「う〜…ここ?」

 

「ああ、そこそこ。気持ちいぃ〜」

 

 

お気に召したようです。

 

 

「よし、こんなもんだね」

 

 

お気に召したところで、お湯をかける。

 

「うわっ!か、かけるならかけるって言ってくれよ!」

 

「ごめんごめん」

 

「も〜……」

 

「はい、次はこのまま体洗うから」

 

「ん」

 

 

ボディソープを手に出し、少し泡立ててから背中を触る。

 

すべすべしていてとても綺麗な肌だ。

 

 

「……背中流してもらうなんて中学以来だな」

 

「そういえばあの頃からこんなことしてたっけ」

 

「その頃からめっきり一緒に入ってくれなくなったからなぁ」

 

「だ、だってさぁ……」

 

「だってなんだよ?」

 

 

ええ!これ言うの?すっげー言い辛い……。

 

 

「だって……」

 

「だって?」

 

「その……雅美が……」

 

「私が?」

 

「雅美が……なんでもない!」

 

「えぇー?」

 

 

恥ずかしくて言えるか!

 

 

「ほら!背中お湯かけるぞ!」

 

「ぶー……」

 

 

ふくれっ面されても言いません!

 

 

「まあいいか。次は私が太一のを流す番ね」

 

「ん、お願い」

 

 

入れ替わって次は雅美が背中を流してくれる。

 

 

「……なんか安心感があるな、太一の背中は」

 

「なんか親父臭いなぁ〜」

 

 

少し笑いながら言うと……。

 

 

「そ、そんなつもりじゃないぞ!何というか……包容力があるというか……」

 

 

いやいや、背中に包容力って。

 

 

「大丈夫、冗談だって」

 

「なんだよぉ……冗談かよ……」

 

「ごめんごめん」

 

「もう……お湯かけるぞ」

 

「ん」

 

 

ジャバー。

 

その後、雅美が前も洗おうとしてきたがお断りした。

 

いくらパンツ着用してたってそれはまずい。

 

その後は各自で身体を洗って湯船に浸かる。

 

 

「ふぅ〜……」

 

「夏場だから少しぬるくしたんだけど、どう?」

 

「気持ちいいよ」

 

「良かった〜」

 

 

さて、改めて状況を説明しよう。

 

湯船の大きさはそこまで大きくない。なので直接肌と肌が触れ合う。

 

正直気まずい。俺も雅美もさっきから目を合わせていない。

 

すると、痺れを切らしたのか雅美からアクションを起こしてきた。

 

 

「そういえばまた抱きつかせて貰うって言ったよな」

 

「……うん?」

 

「えいっ!」

 

「ちょ、ちょっと!ええ!今!?」

 

 

さっきよりヤバい。布で隠されているところ以外の肌が触れ合っているのだから。

 

 

「服来てる時もそうだけど、直接だと改めてがっちりした身体だってわかるなぁ」

 

「ま、雅美さん……さっきよりダイレクトに当たってます……」

 

「太一だから良いんだって」

 

「俺が持たないんですが……」

 

「…興奮する?」

 

「……え?」

 

 

驚いた。まさか雅美からそんな言葉が飛び出るなんて思ってもなかったからだ。

 

 

「私がいくら抱きついても平気に見えるからさ……。女として魅力が無いのかなって……」

 

「そんなこと……ない。俺だって抑えるのにいっぱいいっぱいだよ……」

 

「……抑えなくていいのに」

 

「………」

 

 

抑えるよ。

 

 

「ま、まさ……んぐっ!?」

 

 

雅美に話しかけようとした瞬間、俺の唇に柔らかいなにかがあたっていた。

 

それは紛れもない雅美の唇だった。

 

 

「ぷはっ……私だって……抑えるのに必死だよ……」

 

「ま、雅美…?」

 

「でも、もう限界……」

 

「………」

 

「ふふ、キスだけで抑えられるなんて我ながらすごいと思うよ」

 

 

頬を染めながら言う。

 

 

「それで……?どうだった?」

 

「どうだったって……?」

 

「私の……キス」

 

 

目をそらしてもじもじしながら聞いてくる。

 

 

「その……良かったよ……」

 

「良かった〜……ファーストキスは太一にあげるって決めてたんだ」

 

「え!?ファーストキスだったの!?」

 

「うん、そうだよ」

 

 

さも当たり前のように言う。

 

 

「太一は何回目なんだ?」

 

「いや…俺も初めて……」

 

「ふふ、じゃあ私が初めてのキスを奪ったわけだ」

 

「ま、まあそうだね」

 

「……嬉しい」

 

 

ここでなぜか雅美が泣き出した。

 

 

「ま、雅美!?どうした!?」

 

「……すっごく嬉しいんだよ…いままで伝えたくても伝わらなかったことが伝わって……」

 

 

尚もボロボロ泣いている。

 

 

「太一……好き……大好き……愛してる……」

 

 

また抱きつきながら言ってくる。

 

ここから泣き止むまで5分ほどかかった。

 

 

「落ち着いた?」

 

「うん……ごめんな」

 

「いいよ」

 

 

ここでお風呂から出て少し頭を冷やすことにした。

 

それぞれ別々に脱衣所で着替えを済まし、ソファーへと腰掛ける。

 

 

「なんか…ごめんな」

 

「なにが?」

 

「突然キスなんかして」

 

「ううん、嬉しかったよ」

 

「そう言ってもらえると楽だよ」

 

 

ここでふと時計を見てみると、時刻はもう午後7時を回っていた。

 

 

「ご飯、食べに行こうか」

 

「うん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

食堂ではいつも通りのやりとりしか無かったので割愛させてもらう。

 

そして夕食を食べ終えて再び俺の部屋。

 

 

「そういえばさ、風呂でも聞いたけどなんで一緒に風呂に入ってくれなくなったの?」

 

「え〜…それ言わなきゃだめ?」

 

「キスまでしたんだから今更恥ずかしがることないだろ」

 

「まぁ……そうか」

 

「よし、理由を聞かせてくれ」

 

 

俺は当時の心境を余すこと無く語った。

 

ざっくり言えば、雅美の体つきが女の子らしくなったことによって性的な興奮を覚えた、ということなんだけどね。

 

流石にドン引かれるかと思ったが……。

 

 

「……そっか。なんか…その頃から異性として意識してくれるなんて……嬉しいよ」

 

 

出てきたのは喜びの言葉。

 

 

「うん、それだけ聞ければ今日は満足だよ」

 

「満足って?」

 

「私は部屋に帰るってことだよ」

 

「まだ早いんじゃない?」

 

 

事実、まだ8時を過ぎたくらいだ。

 

 

「今日は色々付き合わせちゃって疲れてるかなって。だからもう休んで明日のひさ子の番に備えてよ」

 

「随分余裕だね」

 

「幼馴染だからね」

 

「そっか」

 

 

誰よりも一緒にいる時間が長かったからこその信頼があるってわけか。なんか照れくさいな。

 

 

「じゃあ、今日一日ありがとうな」

 

「おう」

 

「それと……」

 

「ん?」

 

 

チュッ

 

 

「私の事、絶対選んでくれよな」

 

 

またもや唇にキスをして、そう言い残し帰っていった。

 

しばらく俺は玄関に立ち尽くしていた。

 

 

「……ファーストキスを雅美に……か」

 

 

つい2時間もしない内に幼馴染と口づけを交わしたのだ。

 

そりゃあ多少放心状態になるさ。

 

しかし、いつまでも放心状態ではいられない。

 

 

「ふぅ…明日に備えてもう寝ますか」

 

 

そう、明日はひさ子の番なのだから。




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