岩沢雅美の幼馴染   作:南春樹

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第九話「ギルド降下作戦、そして告白」

「よーし、今日の練習はここまで!」

 

「うへぇ〜……疲れた〜……」

 

「しおりんお疲れ〜」

 

「今日は珍しく頑張ってたな、関根」

 

「なっ!いつも通りですよ!」

 

「そうか〜?」

 

 

練習終わりの一幕。今まで張り詰めていた空気が一気に消えて和やかなムードになる。

 

 

「だってしおりんいつもなら途中で休憩したいとか言うじゃん」

 

「あ、もしかして篠宮の前で悪い格好できないとか思ってたんじゃないか?」

 

「な、なんでそこで篠宮先輩が出てくるんですか!」

 

「お?図星か〜?」

 

 

なんでそこで俺の名前が出てくるんだよ。

 

 

「ち、違います!」

 

 

関根もそんな強く否定しなくても……。

 

 

「まあまあそこはいいじゃないか。それよりもうどん食いに行かないか?」

 

「なんでまたうどんなんだよ。まあ、丁度腹減ってたからいいけどさ」

 

「賛成!もちろんみゆきちも行くよね?」

 

「うん!もちろんだよ」

 

「太一も行くよな?」

 

「もちろ……」

 

 

あ、そうだ。これからギルドに降りるんだ。忘れてた忘れてた。

 

 

「ごめん、これから予定があってさ」

 

「予定?」

 

「ちょっとギルドに行くんだよ」

 

「太一は陽動だろ?なんでギルドなんて行くんだよ」

 

 

雅美がちょっと心配そうに聞いてくる。

 

 

「実は俺、陽動と第一線掛け持ちっていう扱いになっててさ」

 

「そ、そうなのか?」

 

「うん」

 

「そ…そっか。なら仕方ないな」

 

 

少し残念そうな様子だ。俺だって一緒にうどん食いに行きたかったよ。

 

雅美がちょっと落ち込んでいると

 

 

「篠宮がギルドに行くなら私も行こうかな〜」

 

「え?」

 

 

ひさ子が突拍子もない提案をしてきた。ちょっと待ってくださいよ。

 

 

「ひさ子、それ本気で言ってる?」

 

「ああ、一度行ってみたいと思ってたんだ」

 

「わ、私も!」

 

 

雅美さんもですか……。でもどうなんだろ。新入りの俺が勝手に連れて行くって決めてもいいんだろうか。

 

 

「まあ迷惑になるようなら行かねえよ」

 

「いや迷惑ってわけじゃ……う〜ん……」

 

 

どうしよう……ここで俺の口からOKを出す訳にはいかないし、かと言ってダメと決まってないのに断るわけにもいかないし……。

 

 

「とりあえずゆりのところに行って聞いてみればいいんじゃないか?」

 

 

………まあ、それが妥当か。聞いてみなくちゃわからないしね。

 

 

「そうするか。関根と入江はどうする?」

 

「わ、私たちはそんなギルドなんて……」

 

「ちょっと怖いよね?しおりん」

 

「そうそう!ちょっと怖いので遠慮しておきます!」

 

「そうか。よし、じゃあ行くぞ篠宮、岩沢」

 

「あっ、おい!待ってくれよ」

 

 

関根と入江に確認を取るとひさ子は素早く歩き始めた。

 

 

「どこに行くのかわかってる?」

 

 

俺がそう聞くとひさ子はピタッと動きを止めた。

 

 

「……どこ行けばいいんだ?」

 

 

どうやら見切り発進だったようだ。

 

 

「体育館だよ」

 

「よーし!体育館だ!走れ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「……なんでそんなに息切れてるの?」

 

「ひ、ひさ子が……走れ……って……」

 

「篠宮が……ずっと……走り続けるから………」

 

 

体育館に着くと雅美とひさ子は息を切らしながら仰向けに寝てしまった。

 

俺?俺はこんなんじゃ疲れないよ。

 

 

「そもそもなんで二人がここに?」

 

「なんかギルドに行ってみたいんだって」

 

「なんでまた……」

 

「さあ?」

 

 

急に言い出したんだから俺だって分からないよ。

 

 

「まあいいわ。危ないところでもないし」

 

「えっ?いいの?」

 

「ええ」

 

「よかったな!雅美!ひさ子!」

 

「ゼェ……ゼェ……」

 

「ハァ……ハァ……」

 

 

二人を見てみるとまだ仰向けになりながら息を切らしていた。

二人が回復したのはそれから5分後、3時55分だった。その頃になると今朝校長室にいたメンバーが全員集まっていた。

 

 

「あれ?岩沢とひさ子?なんでいるんだ?」

 

「二人の希望で今日は岩沢さんとひさ子さんも同行するわ」

 

「大丈夫なのか?」

 

「そんな危ないところでもないし大丈夫でしょ」

 

 

日向がメンバーを代表して疑問を投げかけ、ゆりがそれに答える。

 

 

「というわけで今日はよろしく」

 

「よろしくな」

 

「はーい!それじゃあ行くわよ!松下五段、椅子を出して」

 

「おう」

 

 

二人が挨拶をして、ゆりが松下五段に指示を出す。

 

……椅子を出すってどういうことだ?

 

 

「篠宮くん、ここが入り口よ」

 

 

ゆりが指す方を見てみるとギルドへの入り口とみられる穴が開いていた。それは松下五段が椅子をどけた場所にあった。

 

なんか秘密基地みたいで男心がくすぐられるね。

 

 

「すげえー……」

 

「こんなところにあったのかよ……」

 

 

雅美とひさ子も驚きながらもワクワクしているのか目が輝いて見える。

 

 

「よくこんなところに作ったな」

 

「結構苦労したのよ〜?」

 

「あー、あのときは大変だったな」

 

 

音無の言葉で作成当時を思い出したのか、他のメンバーがしみじみとした顔になる。

 

 

「ま、感傷にひたるのは後でもできるわ。さっさと行きましょ」

 

 

 

 

 

 

 

「みんないる?」

 

「おう、全員いるぞー」

 

「まて!誰かいるぜ!」

 

 

ゆりが点呼を終えると、藤巻が懐中電灯で照らした先に何かが立っていた。メンバーに緊張が走る。

 

しかし、よく見てみるとそこにいたのは……

 

 

「うーわ、バカがいた」

 

 

野田だった。

 

日向、野田を見て第一声がバカって……。

 

 

「音無とか言ったか。俺はお前をまだ認めていない」

 

「わざわざこんなところで待ち構えてる意味がわかんないよなあ」

 

「野田くんはシチュエーションを重要視するみたいだよ」

 

「意味不明ね」

 

 

この場にいる全員が呆れている。

 

 

「篠宮はいいのか?」

 

「俺はあいつを認めたんだ」

 

 

音無が俺の名前を出した瞬間ビクッとして声が裏返った。トラウマになってなきゃいいんだけどなあ。

 

 

「単に俺が弱そうだから狙ってるんだろ?」

 

「うるせえ!貴様、今度は1000回死なせ…グハァ!」

 

 

野田がなにか言い終わる前に校長室前にしかけられていたようなハンマーが野田を襲った。

 

 

「っ!臨戦態勢!」

 

「トラップが解除されてねーのか!」

 

 

なんかわかんないけどとりあえずヤバイ状況だというのは読み取れた。

 

 

「何事だ?」

 

「見ての通りだ。ギルドへの道のりには対天使用の即死トラップがいくつも仕掛けられてある。そのすべてが今もなお稼働中というわけさ」

 

「え?それってヤバいんじゃないか?」

 

 

雅美が不安そうに日向に聞く。

 

 

「ああ、そりゃあもうヤバいぞ」

 

「トラップの解除忘れかな」

 

「まさか俺たちを全滅させる気かよ!」

 

 

全滅という言葉にいままで冷静でいたひさ子も少し不安そうになった。

 

 

「いいえ、ギルドの独断でトラップが再稼働されたのよ」

 

「なんのために」

 

「答えは一つしか無い。天使が現れたのよ」

 

「この状況に天使まで加わるのかよ……」

 

「不安なら引き返せばいいんじゃないか?」

 

「そうもいかないのよ。ギルドは私達が使っている武器を製造しているの。そのギルドが天使にやられたらどうするの?」

 

「行くしかないってことだね……」

 

 

キュッと服の袖を雅美が掴んだ。

 

 

「大丈夫だって。いざとなったら助けるよ」

 

「太一……」

 

「私も頼むぜ、篠宮」

 

「そうね。篠宮くんはできるだけ二人の護衛を頼むわ」

 

「他のみんなは?」

 

「私たちは何回も経験してるから大丈夫よ」

 

「お、俺は初めてなんだが……」

 

 

音無が弱く質問した。

 

 

「男の子なんだから大丈夫よ」

 

 

一蹴されたけど。

 

 

「よし、進軍よ!」

 

 

 

 

 

 

ギルドへの道のりでゆりは常に周囲を警戒しながら進んでいった。どこに何があるのか自分たちでもよく把握していないらしい。

 

 

「そういえばどんなトラップがあるんだよ?」

 

「いろんなのがあるぜ〜?楽しみにしてな」

 

 

いや全然楽しみにできないんですけども。むしろ不安でいっぱいなんですけども。

 

 

「まずい…くるぞ!」

 

 

不安になっていた矢先、椎名から不吉な言葉が飛び出た。

 

 

「えっ?なにが?」

 

 

グラグラと地面が揺れ始めた。すると、次の瞬間

 

ミシミシ……ドーン!

 

ドデカイ鉄球が天上から落ちてきて転がってきた。

 

 

「走れ!」

 

 

椎名の掛け声と共にメンバーが一斉に走り始める。

しかし鉄球のスピードは結構早くこのままではみんな下敷きになってしまう。

 

 

「なんとかならねーのかよ!ゆりっぺ!」

 

「そんなこと言ったって走るしかないでしょ!」

 

「ダメだ!早すぎる!」

 

 

ドンッ

 

 

「え……?」

 

「て、鉄球が……止まった……?」

 

「みんな!早く行って!」

 

「し、篠宮くん!?」

 

「俺は後で行くから早く!」

 

「お、おう!」

 

「後からちゃんと来いよ!」

 

 

みんな激励ありがとう。ってか最初から俺が止めればよかったんじゃん。まあ万が一手を滑らせることもあるだろうから早く行ってもらおう。

 

 

ゴロゴロゴロ………

 

 

「はい、お待たせ。怪我人は?」

 

「……いないわ」

 

 

ならよかった。

 

 

「太一も怪我はないか?」

 

「え?俺?あるわけ無いじゃん」

 

「あるわけ無いじゃん、ってお前なぁ……」

 

 

日向が呆れた顔をしている。なんだよ。

 

 

「……まあいいわ。進みましょ」

 

 

 

 

 

 

次はなんだ?なんか近代的な部屋だぞ?

 

 

「開く?」

 

「もち無理だぜ」

 

 

ガシャン!

 

 

「な、なに?」

 

「ああ〜!しまった忘れてたよ!ここは閉じ込められるトラップだったよ!」 

 

「そんな大事なこと忘れるなよ!」

 

「あさはかなり」

 

 

赤暗い部屋が一気に明るくなる。

 

 

「ここからやばいのが来るわよ…!」

 

 

ヤバいのってなんだよ……。

 

 

「避けろ!」

 

「しゃがんで!」

 

 

殆ど全員がしゃがんだが、眼鏡のインテリ男だけは遅れてしまったようで……。

 

 

「グアっ!」

 

「な、なに!?」

 

「見ちゃダメだ!」

 

 

雅美が振り返ろうとすると日向が阻止をする。

 

 

「くっ!」

 

 

椎名が何かを投げると煙が部屋中に広がった。そして浮かび上がってきたのは……

 

 

「なんだありゃあ……」

 

「当たるとどうなるんだ?」

 

「最高の切れ味で胴体を真っ二つにしてくれるぜ」

 

 

なんだそのトラップ!こえーよ!ってかそんなのよく作れたな!

 

 

「第二射来るぞ!」

 

「どうすりゃいいんだよ!」

 

「くぐるのよ!」

 

 

第二射は全員クリア。と、思ったのも束の間。

 

 

「第三射来るぞ!」

 

「第三射なんだっけ?」

 

「エックスだ!」

 

「あんなのどうしろって言うんだよ!」

 

「それぞれなんとかして!」

 

 

ゆりの言う通りそれぞれがくぐるなり飛ぶなりで避けた。

 

 

「おい!開けろ!」

 

「ちょっとどいて!」

 

 

ドォン!

 

 

「みんな逃げて!」

 

 

ドアを蹴破った。

 

 

「おう!」

 

「ありがとな!」

 

「みんな!早く!」

 

 

しかし……

 

 

「どわあああぁぁぁ!!」

 

「ま、松下五段!?」

 

 

松下五段がやられてしまった……。あの体格なら仕方ないのか……?

 

 

「見るな!見ちゃいけねぇ……」

 

 

松下五段を見ようとした俺を日向が抱きしめる形で視界を遮る。ちょっと気持ち悪いんだが。

こらこら雅美さん、ひさ子さん、そんな冷たい目で見るんじゃない。

 

 

「……お前これなのか?」

 

「ちげーよ!」

 

 

俺の思ってたことを音無が代弁してくれた。サンキュー音無。

 

 

 

 

 

 

 

次はなんだ?梯子を使ってなんか広い部屋に出たぞ?

 

少し歩くと上からパラパラと小石が落ちてきた。

 

 

「っ!?トラップが発動してるわ!」

 

「しまった忘れたよ!ここは天井が落ちてくるトラップがだったー!」

 

「だからそんな大事なこと忘れるなよ!」

 

 

そう言ってる間にも天井はどんどん落ちてくる。

 

 

「みんなしゃがんで!いいから!早く!」

 

 

俺がそう叫ぶとみんなは戸惑いつつもしゃがんでくれた。

 

 

「よぉし……」

 

 

ちょっと気合を入れて俺は天井を受け止める。

 

 

「うらぁ!」

 

 

そして天井を跳ね返す。

 

 

「今のうちに!」

 

 

俺が走り始めるとみんなも走り始めた。

 

 

 

 

「どうやら全員無事のようだな」

 

「今回は篠宮くんに助けられてばかりね」

 

「困ったときはお互い様だよ」

 

「太一らしいや」

 

「このお礼は後でたっぷりするとして、先に進みましょ」

 

 

お礼?なんだろ?楽しみだなぁ〜。

 

 

 

 

 

 

次はなんだぁ?なんか床がグラグラ揺れてるぞ?

 

ガシャーン!

 

 

「うわあああぁぁぁ……!忘れてたよ!ここはーー………」

 

「だからそんな大事なこと忘れるなー!」

 

 

床が崩れ落ちた。

 

俺は壁に指を食い込ませてなんとか留まってる。雅美とひさ子は奇跡的にも俺の足にしがみついていて助かっていた。

 

 

「た、太一……!」

 

「篠宮!」

 

「ちょっと動くけど我慢してくれ……よ!」

 

 

二人をぶら下げたまま横に移動し、そのまま落ちていない床を目指す。

 

まあ、すぐそこなんだけどね。

 

俺と雅美とひさ子は早々に安全地帯に来ていたが、見てみるとゆり、音無、日向、藤巻がまだぶら下がっている状態だ。

 

これは助けなきゃいけないね。

 

 

「椎名、ちょっといい?」

 

 

そう断りを入れて椎名のロープに手をかける。

 

 

「きゃ!なに!?」

 

「体が上がってく……?」

 

「みんな耐えろよ!」

 

「し、篠宮!」

 

「次!ゆり!」

 

 

ぐいっとゆりを引き上げる。

 

 

「日向!手を掴め!」

 

 

同じく日向も引き上げる。

 

 

「音無!」

 

 

同じく音無も。

 

 

「他のみんなは?」

 

「全員……落ちたわ……」

 

「そっか……」

 

「ま、まあ死ぬわけじゃないんだからさ」

 

 

落ち込んだ様子の俺とゆりに日向が励ましの言葉をかけてくれる。

 

 

「……そうね」

 

「にしてもよく新入りの二人と初めての岩沢とひさ子が残ってるもんだな。大したもんだぜ」

 

「俺はたまたまだって」

 

「俺もたまたまだよ」

 

「何言ってんだよ。私たちがここまで残れたのは篠宮のおかげじゃねえか」

 

「そうだぞ。太一がいなかったら私は鉄球でやられてた」

 

「そうね、今回は篠宮くんを連れてきてよかったわ」

 

「なんだかんだで俺らも助けられたしな」

 

「そ、そう?」

 

 

みんながうんうん、と頷く。

 

 

「さあて、次に進むわよ!篠宮くん、今後ともよろしくね?」

 

「え?あ、うん」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

ーーーーーー

ーーー

 

 

「こいつカナヅチだったのか……」

 

 

次のトラップ、「水責め」によって藤巻が脱落した。

 

これはどうしようもない。うん。

 

 

「出口はこっちだ」

 

 

椎名が出口を見つけたらしい。

 

 

「行きましょ」

 

 

水責めのトラップは藤巻以外全員クリア。

 

その先には川が流れていた。

 

 

「こんな洞窟の中にも川が流れてるんだな……」

 

「もちろんこの川は天然よ?」

 

「流石にここれまで作るなんて思ってないよ」

 

「あー!子犬が流されてるー!」

 

 

椎名が叫ぶのと同時に走り出した。

 

 

「椎名さんだめー!」

 

 

ゆりの声をよそに椎名は流されてる何かを掴み上げた。しかし、そこにあったのは……。

 

 

「ワンワンワンワン」

 

「っ!?ぬいぐるみ!?」

 

 

犬のぬいぐるみだった。ってか見ればわかるだろ。

 

 

「不覚っ!」

 

 

その言葉を最後に椎名は滝から落ちてしまった。

 

 

「あれもトラップなのか!?」

 

「ええ、そうよ」

 

 

なぜ椎名にしか効果のないトラップを作った。

 

 

「こうなっては仕方ないわ……進みましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

ただ広い通路をひたすら歩く。どうやらここにトラップは仕掛けられていないようだ。

 

 

「……篠宮くんがいなかったら全滅だったわ……」

 

 

ポツリとゆりが呟く。

 

 

「ゆり?」

 

「ど、どうしたの?」

 

「本当の軍隊ならみんな死んで全滅じゃない……リーダー失格ね……」

 

「仕方ないだろ。対天使用のトラップだ。これくらいじゃねえと意味ねえよ」

 

「………」

 

 

音無の励ましも虚しくゆりは下を向いて黙ったままだ。

 

 

「あ……うーん………少し休憩していくか?」

 

 

日向の呼びかけに全員足を止めて道端に座る。

 

しばらく沈黙が流れた。みんなどう話を切り出せばいいのかわからないでいるみたいだ。

 

 

「……ゆりはなんでリーダーになったんだ?」

 

 

沈黙を破ったのは音無の言葉。

 

 

「最初に天使に歯向かったからよ」

 

「そーそー、ゆりっぺが最初に歯向かったんだよな」

 

「日向は知ってるのか?」

 

「俺、こう見えても戦線メンバー最古参だぜ?」

 

「へぇ〜……」

 

 

通りでみんなに溶け込んでると思ったらそういうわけなのか。

 

 

「私は……」

 

「ん?」

 

「私は生前守るべきものを守れなかったの……」

 

 

ポツリポツリとゆりは自分の過去を話し始めた。

 

四人姉弟の一番年上として生まれ、長女として弟と妹を大切にしてきたこと。しかし、両親不在のときに強盗に入られわずか30分でその大切にしてきたものを全て奪われてしまったこと。

 

それはもう壮絶な物語だった。

 

 

「私は本当に神がいるなら立ち向かいたいだけよ。だって理不尽すぎるじゃない……!」

 

「ゆ、ゆり……」

 

「悪いことなんてなにもしてないのに……。あの日までは立派なお姉ちゃんでいられた自信もあったのに……」

 

「………」

 

 

ゆりの目に涙が溜まり始める。

 

 

「守りたい全てを30分で奪われた。そんな理不尽てないじゃない……。そんな人生なんて……許せないじゃない………!」

 

 

そう言い終わるとゆりの目から涙が一筋流れた。

 

 

「はい、これ」

 

 

俺は持っていたハンカチを差し出す。

 

 

「……ありがとう」

 

「ゆりは立派だよ」

 

「……どこがよ」

 

「そんな悲惨な体験をしても神に抗えるところがだよ」

 

「……」

 

「あとさ、ゆりを見てるとさ、人一倍責任感が強いんだよね。でも、なにも責任を自分だけで背負わなくてもいいんじゃない?」

 

 

ゆりは不思議そうな顔で俺の方を見つめる。

 

 

「困ったときの仲間だよ?もうちょっと俺たちを頼ってもバチは当たらないよ」

 

「そうだぜゆりっぺ、お前は頑張りすぎている。俺達も心配だ」

 

「私たちも同意見だ」

 

「みんな……」

 

 

ゆりがまた涙ぐむ。

 

 

「……そうね、私も少し悩みすぎてたかもしれないわ。これからはみんなのことも頼るから覚悟しなさい!」

 

「おっ、ようやくいつものゆりっぺらしくなったじゃねえか」

 

「特に篠宮くん、あなたのことを頼りにしてるわよ」

 

「えぇ!?なんで俺!?」

 

「当たり前じゃない。ここまで残れたのは誰のお陰だと思ってるの」

 

 

自分で言うのもアレだけど……まあ俺のお陰かな。

 

 

「みんな、心配かけたわね。私はもう大丈夫だから先へ進みましょ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゆりが通常に戻ってから約10分。ギルドの入り口と思われる扉が出現した。

 

 

「さ、更に潜るのか?」

 

「ええ、そうよ」

 

 

入り口と思われる扉があったのは地面。つまり、ここより更に深いところにギルドがあるのだ。

 

 

「篠宮くん、開けてちょうだい」

 

「はいよ」

 

 

ギギギギ……と扉を開ける。

 

 

「この梯子を降りればギルドよ」

 

 

ゆりが梯子を指差しながら言う。

 

 

「行きましょ」

 

 

ゆりを先頭に音無、日向、ひさ子、岩沢、俺の順番で梯子を降りる。

 

それにしても相当な高さがあり、足を滑らせたら俺以外なら一貫の終わりだ。慎重にみんなが降りていく。が……。

 

 

「きゃっ!」

 

 

ひさ子が足を滑らせてしまった。

 

 

「っ!ひさ子!」

 

 

俺は咄嗟に梯子を蹴り、落下中のひさ子をめがけて手を伸ばす。

 

 

「ひさ子さん!?篠宮くん!?」

 

 

ゆりが叫んでいるが知ったこっちゃない。

 

 

「ひさ子!手!」

 

「っ!篠宮……!」

 

 

ひさ子が俺に気づき手を伸ばした。

 

そのままガシっと手を掴みひさ子の体を抱き寄せる。

 

 

「このまま落ちるぞ!」

 

 

俺が下になりひさ子を上にする。

 

 

「怖かったら目瞑って!」

 

「し、篠宮……!」

 

 

やはり怖いのか、かなり強く俺に抱きついてきた。

 

俺たちはそのまま自由落下を続け……

 

 

ドオオオォォォォン!!

 

 

地面に叩きつけられた。

 

 

 

 

 

 

「ひ………ひさ子………大丈夫……?」

 

 

流石に肺が潰れて中の空気が押し出されたのでキツい。

 

 

「し、篠宮!私は大丈夫だ!お前は大丈夫なのか!?」

 

「だ…大丈夫……」

 

「な、なんだなんだ?」

 

「どうした?」

 

「誰か落ちてきたぞ……」

 

 

ギルドのメンバーと思われる人たちが集まってきた。

 

 

「おい!お前らどうした!」

 

「チャーさん!上から人が落ちてきました!」

 

「上から……?ってひさ子じゃねえか。こんなところで何やってんだよ」

 

「助けてくれ!篠宮が……篠宮が……!」

 

「落ち着け。篠宮っていうのはこいつか?」

 

 

チャーと呼ばれた男性が俺を見ながらいう。

 

 

「ああ!そいつだ!」

 

「どれ……ふむ……脈はちゃんとあるな……ただ、呼吸が苦しそうだ」

 

「ど、どうすれば!」

 

 

と、そこへ……。

 

 

「太一!ひさ子!」

 

「篠宮くん!ひさ子さん!大丈夫!?」

 

「大丈夫か!篠宮!ひさ子!」

 

「様態は!?」

 

 

他の四人が到着したようだ。

 

 

「おお、ゆりじゃねえか」

 

「チャー!篠宮くんは無事なの!?」

 

「外傷とかは特に無いが……少々呼吸が苦しそうでな」

 

「どうするんだ!?」

 

「まあ……人工呼吸だな」

 

 

その言葉にゆり、雅美、ひさ子がビクッとする。

 

 

「「「人工呼吸!?」」」

 

「ああそうだ。肺に空気を送ってやらなきゃいけん」

 

「「「……」」」

 

 

三人が何やら睨み合っている。

 

 

「わ、私は太一の幼馴染だし!私がやるよ!」

 

「いやいや!私がリーダーだし!私が!」

 

「いやいやいや!篠宮は私を庇ってこうなったんだ!私に人工呼吸をする義務がある!」

 

 

三者三様の言い分を吐いてまたもや睨み合う。

 

しかし……。

 

 

「ふぅ〜……治った〜……」

 

「太一!?」

 

「篠宮くん!?」

 

「篠宮!?」

 

 

そりゃあこの体であんだけ時間あれば治るわ。

 

 

「ん?どうしたの?」

 

「「「………」」」

 

 

三人とも心底がっかりしたような顔だ。

 

 

「お前鈍いな〜」

 

 

日向がからかうように言ってきやがった。なんだよ、そのニヤケ顔は。

 

 

「ま、まあいい。治ったならなによりだ。それより今は天使のほうが問題だ」

 

「っ!?天使は!?」

 

 

一瞬でリーダーの顔に戻ったゆりがチャーに問う。

 

 

「まだここには到達してないが……時間の問題だな」

 

 

一同に不安が走り、ざわつき始める。

 

ゆりが何やら真剣な表情で考えている。そして出された結論は。

 

 

「ここを破棄するわ」

 

「マジかよゆりっぺ!」

 

「正気か!?」

 

「そうだぜ!武器の製造ができなくなってもいいのかよ!」

 

「大切なのは場所や道具じゃない、記憶よ。あなたたちそれを忘れたの?」

 

「どういうことだ?」

 

 

俺も思っていたことを音無が質問した。

 

 

「この世界では命あるものは生まれない。けど、形だけのものなら生み出せる。それを構成する仕組みと作り出す方法さえ知っていれば本来なにも必要ないのよ。土塊からだって生み出せるわ」

 

 

へぇ〜。へぇ……ええっ!?

 

 

「だが、いつからか効率優先となりこんな工場でレプリカばかり作る職人だらけになってしまった」

 

「チャーさん……」

 

「本来私たちは形だけのものに記憶で命を吹き込んでいた筈なのにね」

 

「なら、オールドギルドへ向かおう」

 

 

俺が驚いている間になんか話が進んでる……。

 

 

「ねえ」

 

「ん?」

 

「本当に土塊からなんでも作れるのか?」

 

「ああ、作れる。チャーは最初の頃それで銃を部品一つ一つから組み立てたんだぜ?」

 

「ええ!?銃を!?」

 

「ああ、俺らも驚いたさ」

 

「そりゃあ驚くよ……ってかチャーは銃の仕組みを知ってたってわけ!?」

 

「まあそうなるな」

 

「何者だよあの人……」

 

「お前にだけは言わたくないな」

 

 

声のする方を振り返るとチャーが立っていた。

 

 

「篠宮とか言ったな。お前は何者だ?あの高さから落下しても外傷が一つもつかないなんて」

 

「いやまあ他人より頑丈なだけですよ」

 

「……まあいい、この件に関しては後々たっぷりと聞かせてもらおう。このギルドにダイナマイトを仕掛けてくれ。ここは爆破することになった」

 

 

そう言ってチャーは山積みのダイナマイトを指した。

 

 

「これを全部?」

 

「そうだ」

 

 

正直骨が折れそうな仕事だ……。なんせ数が数だからな……。

 

 

「そういえばゆりはどこにいったんだ?」

 

 

音無に言われてハッと気づく。周りを見てもゆりの姿がない。

 

 

「ゆりなら天使の足止めに行ったぞ」

 

「天使の!?」

 

 

そういえば俺はまだ天使とやらをみたことがない。

 

 

「四人とも!ダイナマイトの設置は任せた!俺はちょっと天使と戦ってくる!」

 

「あっ!おい!」

 

「太一!」

 

 

下で四人が呼び止めるが、今回はゆりを優先させてもらおう。あんだけのトラップで止められない相手となればゆり一人で太刀打ち出来るわけがない。

 

 

「ゆり!」

 

 

梯子を駆け上がった俺はすぐにギルドの入り口へと着いた。

 

 

「篠宮くん!来てくれたのね!」

 

 

俺の顔を見るや否やゆりは安堵の表情を浮かべる。

 

 

「天使は!?」

 

「あそこよ」

 

 

指の先を見てみると白髪の女の子が立っていた。

 

 

「君は天使なの?」

 

「私は天使なんかじゃないわ」

 

「天使じゃないって言ってるけど?」

 

「あれは決まり文句みたいなもんよ。正真正銘、紛うことなき天使よ」

 

 

確かに見た目は天使みたいだけど……。

 

 

「悪いけどここを通すわけにはいかないわ」

 

 

ゆりが銃を構えた。ってか撃つのか!?あんな女の子を!?

 

しかし、次の瞬間。

 

 

『ガードスキル・ハンドソニック』

 

 

腕から透明な剣が生えてきた。

 

 

「な…なにあれ……?」

 

「あれが天使である証拠よ。あれのせいで私たちは何度もやられてきたわ」

 

「そんなに厄介なの?」

 

「厄介なんてもんじゃないわ…よっ!」

 

 

パァン!

 

銃弾は天使に当たる弾道だったが、透明な剣によって弾かれてしまった。

 

 

「ね?」

 

「ほぉ〜……」

 

 

思わず関心しちゃったよ。

 

 

「こうなったら接近戦しかないの…よっ!」

 

 

ゆりが懐に隠し持っていたと思われるナイフを片手に天使に向かっていく。

 

 

「ふっ……!くっ…!ええいっ!」

 

 

すげぇ……。ゆりのやつ、天使と対等に戦ってる……。接近戦得意なのかな。

 

 

「篠宮くんも加担して!」

 

「えっ?あ…ああ!」

 

 

忘れてた。何のために俺は来たんだよ。

 

 

「ゆり!ちょっと離れて!」

 

 

俺は地面を蹴り、そのままの勢いで天使を30mほど突き飛ばす。

 

砂埃が立ち込めて視界が悪くなる。

 

俺はてっきり天使を倒したと思っていたが甘かったようだ。悪くなった視界から天使がものすごいスピードで現れた。

 

天使の剣が明らかに俺を狙っている。俺はその剣を素手で掴む。天使も流石に驚いたのか今まで無表情だったのが少し崩れた。

 

俺は掴んだ勢いのまま天使を投げ飛ばす。

 

 

「うぉらぁ!」

 

 

天使は抵抗するすべもなく背中から岩に叩きつけられた。

 

 

「や…やったか?」

 

 

しかし、天使はゆっくりとではあるが立ち上がった。

 

 

「ば、化物かよ!?」

 

「篠宮くん、あなたも人のこと言えないわよ」

 

「どうすればいいんだ……」

 

 

俺が途方に暮れていると、いきなり地面が揺れ始めた。

 

 

「な、なんだ!?」

 

「なに!?」

 

 

振り返ると巨大な大砲が現れていた。ギルドのメンバーが乗っているから彼らが作ったものだろう。

 

まあ何はともあれこの状況なら救世主だな。

 

 

「あんたたち、やればできるじゃない!そんなの簡単に作れないわよ!」

 

 

確かに簡単に作れそうにない。まあ今はそんなことどうだっていい。

 

 

「ゆり!篠宮!こっちだ!」

 

 

ひさ子が俺とゆりを呼んでいる。

 

 

「総員、退避ー!」

 

 

ジリリリリリリリと通路内に警告音が響き渡り、俺とゆりはひさ子たちが避難しているところへと走る。

 

全員の避難が終わった瞬間

 

 

「撃てー!」

 

「「「「「うわああぁぁぁぁ!!」」」」」

 

 

という合図とともに大砲を火を吹いた。爆風の影響で砂埃がより一層立ち込もり、周りが見えなくなる。

 

 

「やった?」

 

 

爆風が収まり外を見ると大砲に乗っていたギルドメンバーが倒れていた。

 

 

「砲台…大破……」

 

「やっぱ記憶に無いものはテキトーには作れな……」

 

「テキトーに作るなぁ!」

 

 

ゆりのエルボーが炸裂。

 

 

「天使が起きるぞ!」

 

「くそっ……全員退避!」

 

 

ゆりの号令で全員予め作られていた通路から逃げる。

 

 

「全員退避完了!」

 

 

この間わずか30秒。早え〜。

 

 

「よし、ギルドを爆破する。いいな?」

 

「やって」

 

「爆破!」

 

 

カチッとスイッチが押される。するとけたたましい爆発音が響き渡る。

 

 

「た、太一……!」

 

 

怖いのか雅美が抱きついてきた。

 

 

「大丈夫、心配無いよ」

 

 

抱きしめ返すと胸に顔を埋めてきた。ちょっといまそういう雰囲気じゃないんだけど……。

 

その後はゆりの案内で俺たちはオールドギルドに来ていた。

 

 

「何年ぶりだろうな。本当になんもありゃしない」

 

「はははは!笑えるな」

 

「壁を続いたらどけだけでも土塊は落ちてくるわよ」

 

「ひでえ寝倉だよ」

 

「また一つ、よろしく」

 

「ああ、よおし、とっとと始めるぞお前ら!」

 

「「「「「おー!」」」」」

 

 

あれだけの施設を失ってもギルドメンバーは全く凹んでいなかった。それどころかこれから忙しくなるのを喜んでいるようだ。

 

 

「バカども、お目覚め?ギルドは破棄、天使ごと爆破したわ。総員に告ぐ。至急オールドギルドへ。武器の補充はそこで急ピッチで行われている。天使が復活する前に総員オールドギルドへ。繰り返す。急げ、バカども」

 

 

かなり上から目線のアナウンスが行われる。

 

 

「いや〜、一時はどうなるかと思ったよなぁ〜」

 

「ほんと、無事でよかったよ」

 

「これも太一のお陰だな」

 

「い、いや!俺はそんな……」

 

「少なくとも私が助かったのは篠宮のお陰だ」

 

「ひさ子……」

 

「そ、その……改めてお礼を言わせてくれ。ありがとう……」

 

 

そんな改まって言われると照れくさいじゃないか……。

 

 

「おっ?ひさ子の顔が赤いぞ〜?もしかして、篠宮に惚れたとか?」

 

 

日向がからかう。

 

 

「なっ!?」

 

「なにっ!?」

 

 

いやひさ子が反応するのはわかるけど、なんで雅美まで反応するんだよ。

 

 

「だ、ダメだぞ!ひさ子!太一は私のだ!」

 

 

なんの主張だよ。ってか私のだって……。

 

 

「べ、別に篠宮はお前のものじゃないだろ!」

 

「どうなんだ!太一!」

 

「どうなんだよ!」

 

「う、うえぇ!?」

 

 

なんで矛先が俺に……。

 

 

「やめとけって。篠宮が困ってるじゃないか」

 

 

音無、ナイスフォロー。

 

 

「そうだぜ、それに篠宮のことだから多分なんの話か分かっちゃいないさ」

 

 

そうなんだよ。これなんの話だよ。

 

 

「あー……はっきり言わなきゃいけねえのかぁ……」

 

「もしかして、太一は私の言ってることもわかってない?」

 

 

コクン。

 

 

「私まで言うのかぁ〜……」

 

 

二人共頭を掻きながら困った顔をする。

 

 

「……しゃあねぇ」

 

「ひ、ひさ子!言うのか?」

 

「ああ、言わなきゃ一生わかってもらねえからな」

 

 

そう言うとひさ子は俺の前に立ち、深呼吸をして口を開いた。

 

 

「私は篠宮のことが好きだ。付き合ってくれ」 

 

 

え?

 

 

「うおおおぉぉぉ!言ったああぁぁぁ!!」

 

「日向!茶化すな!」

 

「ひ、ひさ子に先を越された……!」

 

 

未だ理解が追いついていない。それなのにさらに追い打ちをかけることが……。

 

 

「わ、私も太一のことが大好きだ!付き合ってくれ!」

 

「岩沢までええぇぇぇぇ!!」

 

「日向、うるさいぞ」

 

 

ひ、ひさ子と雅美が俺のことを好きって……?

 

 

「えっと……それはどういう意味で……?」

 

「どういう意味もあるもんか。異性としてだよ」

 

「私も異性として太一が大好きだよ」

 

 

しばらく沈黙。そして……

 

 

「ええええぇぇぇぇ!!!??」

 

 

俺の叫び声がオールドギルドに響き渡った。


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