よろしければ、前回の話からお読み下さい。
朝の一件から落ち着き武偵校は、何事もなかったのように時間は過ぎていった訳も無く武藤を初めとするアホどもの質問責めに再びダウンした菊代を背中におぶって武藤達を斬ったり撃ったりしながら何とかまいての昼休み理科棟の屋上で昼飯なんだが。
「なぁ、菊代そのほら、そろそろ元気出してくれよ」
「無理。初日からこんな……こんな銃ぶっ放すなんて…」
「俺の為に怒ってくれたんだろ?それにこっちじゃ銃を撃つのなんて日常茶飯事じゃないか」
「でも……だって……でも」
……どうしましょう。
どうやら菊代は、朝の事を引きずっているようだ。
こうして昼休みとなった今でも、菊代の周りに紫色のオーラが見えるほどに落ち込んでしまっているのだ。
だが、
「そうだよ。キンちゃんの為に怒ってくれたんなら落ち込む事何てないよ」
ね?と菊代の背中を擦っているのは、この武偵校の生徒会長で、純白のブラウス。臙脂色の襟とスカート武偵校の制服を正しく着た艶々の黒髪が特徴的な俺の幼馴染みの星伽白雪(ほとぎ しらゆき)だ。
菊代を背中を擦っている姿はまるでいじけてる娘とそれを励ます母親のようで見ていて癒され
グ~~~~。
突然俺の後ろから大きなよくドラマやアニメ何かで聞こえて来そうな腹の音が鳴り響いた。
「何でお前がいるんだ?」
「何やら屋上から美味しそうな匂いが漂ってきたもので」
俺が後ろを向くとそこには、口元を黒い布で隠し長い赤ワイン色のマフラーをしたポニーテールが特徴的な
「昼飯代は渡したはずだぞ風魔」
「焼きそばパン買って食べたので御座るが」
グ~~~~~~~~。
「足りなかったってことか」
「恥ずかしながら」
「戦妹契約したのにその辺は自分で何とか出来ないのか?中学の時から言ってるぞ」
風魔陽菜(ふうま ひな)こいつは、中学の頃から全く変わらない。
春休み中ですら白雪の作る飯を食べに来ていたのだから恐ろしいかな次第にこいつが来る事に慣れてしまっている。
「だが、残念だったな。もう食べ終わった後だ」
「そんな!!?」
「あぁ、食べた。ふんわり柔らかな卵焼きも脂の乗った銀鮭も白く光る米も旨かったぞ」
「な、なな何で呼ばなかったんで御座るかーー!!」
「朝だって人の部屋で食っていった癖に何言ってる」
ガーンと、まるでこの世の終わり見たいな顔でへにゃりとその場に膝から崩れ落ちていく。
いや、お前は焼きそばパン食べたんだろ?
「だ、大丈夫だよ。風魔ちゃんの分もちゃんと作って来たから」
白雪がもう一箱鞄から出して風魔の前に出す。
「本当で御座るか!?」
魚を見つけた猫のように直ぐに白雪から貰った弁当箱の蓋を開けて口に物凄いスピードで掻き込んでいく。
…どんだけ腹減ったんだ。
さすがにもう少し昼飯代を渡すべきなのだろうか?
いや、戦妹何だからもう少し厳しく。
でもこいつに足りないのは『図々しいさ』何だよなぁ……任務への。
「さっき教務科から出てきた周知メールさ、2年生の男子がバイクを爆破されたってやつ。あれ、キンジじゃない?」
ビクゥゥゥゥ!!!!?
突然聞こえて来た女子達の会話の内容に思わず心臓が飛び出しそうになった。
あーーー、周知メールもう来ちゃたのか~~。
勘弁してくれよ。
「あ。私もそれ思った。始業式に出てなかったもんね」
「うわ。今日のキンジってば不幸。バイク爆破されて、しかもアリア?」
「マジ引くわー」
はい。そうなんです私です。
現在も不幸継続中ですよ。
頼むからどっか行ってくれ!
聞こえるから二人に聞こえるから!
俺の願いも虚しくその女子達は、金網の脇に座って俺の朝の事で盛り上がっている。
幸いかな俺達の座っている所と女子達のいる場所はコンクリートの壁を挟んで調度物陰になってくれているから此方の姿は見えないのと菊代は、未だに落ち込み中。
白雪は急いで食って喉に詰まらせた風魔の世話焼き中。
……気ずかれずにすむか。
「さっきのキンジ、ちょっと可哀想だったねー」
「だったねー。アリア、朝からキンジのこと探って回ってたし」
「マジ引くわー」
思いっきり目ェ附けられてるじゃねぇかよ俺。
アイツはもう、色んな意味で関わりたくない相手何だから。
「あ。私もアリアにいきなり聞かれた。キンジってどんな武偵なのとか、実績とか。あ、けど、菊代様の事も聞かれたな実績とかキンジとの関係とかだから『諜報科じゃ有名コンビだよ』って答えといたけど」
菊代様?今ここにいる?鏡高菊代の事?
ピクッと一瞬菊代の体が跳ねたような気がした。
「あ!分かるーー今日の菊代様一段とかっこよかった!!」
「キリッとした目で『遠山が迷惑してるのわからないのかい?』って私も名前で言われたい!」
「分かる!何か極道妻って感じで物凄く凛々しいあんな目で睨まれたい!」
まぁ、本当に極道だもんな菊代は。
それはそれとして。
「おーい。菊代?」
何かさっきとは違う意味でプルプル震えながら下を向いている菊代を見ると、顔は林檎のように真っ赤に染まり口元は少しつり上がっていや、ニヤついている。
「おーい。菊代様ーー」
「う~~~~。う、ウルサイうるさい!バカ!分かっててやるな!」
「おっ!元気出た」
「本当?はぁ~~良かった。菊ちゃんずっと元気無いままだったから」
「何が合ったのか存じぬが戻って何より」
「喧しい!遠山も白雪もバカ!頭を撫でるなーーー!!」
白雪に撫でられながらまぁ、更に赤くなる菊代様もさすがに恥ずかしさの限界だったらしい。
ちょっと弄りすぎたと少し反省します。
「でも、アリアってフィギュアスケートとかチアリーディングの授業のポラ写真なんか、『万単位の値段』だってさ。後、新体操の写真も」
「万単位……」
「どうした?」
さっきまでは真っ赤に染まっていた菊代の顔は、今じゃみるみる青くなっていく。
腹でも痛いのだろうか?
「あーーーーーー忘れてた!今日だったのよ!」
「え?何が?ってうぉう!」
ガシッ!と菊代が俺の肩を掴みガクガクと揺らす。
あ、頭がシェイクされる。脳ミソジュースが出来上がってしまう。
「任務よ!任務!春休み中に取った任務私と遠山の!」
「そんなん合ったか?全然見に覚えが無いんだが」
「取ったわよ!報酬二千万の覚えて無いの!?」
いや、そんなん覚えて無いぞ?そもそも菊代が覚えていない事を俺が覚えている訳が無いだろう。そんな二千万の報酬なんて………二千万。
「二千万……本当なのかそれは」
「ええ、向こうが出すって」
「場所と時間は?」
「今日の17時ジャスト羽田空港」
俺は自分の腕時計を確認すると時間はまだ12時30分を過ぎたとこ間に合う。
それにそれくらい有れば全く同じ種類のバイクだって買い直せる。
いや、一応あのバイクにも保険掛けてはあるが手続きにも時間が掛かる。
急ぐならこっちの方がいいはずだ。
たった2回位しか乗ってないのに壊したなんて事をバレたくないしな。
「今から行こう。急いで行こう」
「あんた妙に焦ってない?」
そ、そのような事があろうはずが御座いません。
「まぁ、いいんだけど。じゃ白雪お弁当ごちそうさまちょっと遠山と行って来るから」
「そうゆう事だ白雪。決して携帯にメールか来ても見ちゃ駄目だぞ。それは絶体イタズラだから」
「え?ちょっとキンちゃんメールってなんのこと?」
白雪が台詞を言い切る前に俺と菊代は下に降りて行った。
そのさいにさっきまで俺と菊代の事を話題にしていた女子に合い向こうが驚いていたのは言うまでも無い。
だが、この任務が俺をもっと嫌な方向に進ませる切っ掛けとなってしまったと言うこともあらかじめ言っておく。
小さい頃は雪が降ると嬉しくて仕方ありませんでしたが、今は、雪なんて無くて良いホワイトクリスマスだって無くて良い。
雪嫌い雪かき嫌い休みが全部雪かきで潰れる。
皆さん雪は、大丈夫でしたか?