どの子も皆本当に可愛い!
と、言いつつ自分は、何気にライカちゃんと佐々木ちゃんが好みだったりと。
けど、あかりちゃんの真っ直ぐでちっこくてアリアLOVEなキマシタワーも……あ、やっぱり全員でしたわ。
―――金次です。
あれから、数日経ちました。
白雪は、一度起きたのだが、俺とアリアを交互に見たとたんにブツブツと何かを呟きながら、何処かに去って行った。
………引き留めようとはしたんだ。
だが、部屋を出た瞬間幽霊みたいに消えたとです。
星伽の巫女は皆出来る芸当なんだろうか。
――金次です。
生きる意味を半分失いかけてます。
あの日から白雪が俺の事をあからさまに避けるとです。
一度部屋を直しに来てくれた時も、目もろくに合わせてくれないとです。
今まで、あれだけ側にいてくれたのに俺はどんな形であれ白雪を裏切った事になるとです。
俺の部屋のその一室白雪の部屋となっている場所にはまだ何処かの
完璧に嫌われた訳じゃないと信じたいです。
―――金次です。
腹いせに、
少しだけ気持ちが落ち着きました。
――金次です。
生まれ変わったら、アンゴラウサギか、何処かのくノ一の頭に乗ってる狸(どうせならたぬぬと言う名前をつけられたい)になって頭の上に乗りたいです。
動物になったら、きっとそう言う誤解もされずにすむし、普通な生活を遅れるんじゃないかと僅かに思ったりしてるんです。
動物になって白雪に撫でられたい。
――金次です。
――金次です。
――金次です。
「って、いつまでうなだれてんだい!!」
ズーンと、燃え尽きたボクサーみたいに椅子に座って真っ白になっていると、いい加減にしなさいと、菊代に一喝された。
でも……あの
「シラユキの事なら心配要らないさ。シラユキがどれ程君の事を想っているかなんて、トウヤマが一番良く知っている事だろう?」
「エル……」
ポンと、俺の肩に手を置き励ましてくる。
その事に少し安心と嬉しさを感じ
「たまには良いこと言うんだな」
「失礼だな君は!」
お礼を言ったら怒られた。
割りと素直な感想なんだが。
「折角君の元気が出る話を持って来たと言うのに!」
前言撤回だ。
「まぁ、今回は素直に聞く価値があると思うわよ」
菊代が、エルの隣から真剣な表情で言う。
でも、今は何時もの儲け話はちょっとパス………
「シラユキに関する事なんだが」
「是非とも話を聞こう」
「本当に分かりやすいわね」
白雪に関わる事なら、しょげてる暇は無い。
白雪への名誉挽回だ。
椅子から立ち上がり、エルと向かい合う。
「んで、その白雪の話って?」
「んー?先ず遠山は、アドシアードって知ってる?」
菊代からの聞いたことも無い単語に首を振る。
まぁそうよねと菊代は、一人納得したらしく
「まぁ、一年の頃に合ったのよ。あんたは、白雪一緒にイチャイチャしたんだろうけど」
菊代が、何処か刺のある言い方をしてくる。
さ、流石にイチャイチャとかは、無いぞ。
本当に。
割りと引きこもった生活はしてたけど。
単位稼ぎに任務はある程度してたし。
訳有り任務も含めて。
その監禁されてた間も白雪が手回したんだが、星伽が関わったんだか、長期の特別任務で学校にいなかったか事にされてたし。
そう言う情報は、入って来なかったんだよ。
そんな事は、知ったこっちゃないと、菊代は説明をしだす。
「アドシーアードって言うのはね、どの武偵高でも年に一回は、やる国際競技なのよ。例えるなら、インターハイとかオリンピックみたいなものよ―――まぁ、大体の種目は、
なるほど、普通の高校で言う体育祭みたいなものなのだろう。
全く興味も無いが。
面倒くさそう、仮病使って部屋で寝ているに限る日だ。
「確かキクヨはチアをやっていたんだったよね?」
「バカ、恥ずかしいからやめてよ」
「なん……だと」
バカな。
そんな貴重なイベントを俺は、見逃したと言うのか?
菊代のチアガール姿なんて、絶対に拝めない用なプレミア物じゃないか。
学校の予定位調べておくんだった。
内心激しく落ち込んでいると
「其で、シラユキの事なんだけど」
エルが、真剣な顔でそう言った。
そうだ。
問題は白雪の事だ。
白雪の身に何か合ったのだろうか。
この武偵高なら外からの事なら
「何でもここ最近奇妙な噂が流れているのを、偶然聞いたんだ」
「奇妙な噂?」
ピクリと僅かに眉が動く。
白雪に関する奇妙な噂が流れていると?
其は無視出来ない。
今すぐ流した奴を見つけ出して、血祭りに上げなければ。
「落ち着きなさい顔に出てるわよ」
横から、菊代が少し呆れた表情で俺とエルを見てから。
「今日アリアとエルと一緒に学校で、
珍しい事だな。
偏差値75の優等生で、生徒会長で、園芸部長で、手芸部長で、女子バレー部長で、容姿端麗、頭脳明晰、生活態度も完璧で人望もある正に大和撫子だと言うのに。
………その気になれば、ある程度はこの学校で好き勝手出来そうだ。
「そしたら、アリアが『あの凶暴女の弱味を握るチャンス』だと一人で教務科に突っ込んで行ったんだよ」
「何やってんだあいつは」
菊代に続いたエルの言葉に思わず頭を押さえる。
そして、白雪の何処が凶暴だと言うのか?
証拠を持ってこい。証拠を。
寧ろ凶暴女はお前だ。
「其でアタシ達も、何か有ってからじゃ遅いし、何よりあの二人だけだと」
「絶対に揉め事を起こすからね」
「そうなのよねぇ~」
「揉め事を………ね」
なるほど、その辺りなら風魔に聞いたぞ。
流石にしょげてても其くらいなら聞けた。
渡り廊下で白雪がアリアに水をぶっかけたり、何処からか吹き矢が飛んできたり落とし穴に落とされたりと『泥棒猫!』と猫のイラスト付きで送られたりと、武偵高じゃ可愛らしいに入るくらいの小さなイタズラだ。
其くらいで動く気にもならなかったからな。
ま、お互い様としか言えん。
「其でまさか、
「ええ、そうよ」
「んなっ!?」
あっけらかんと言う菊代に、驚きを隠せなかった。
この武偵高の教務科の教師は危険人物ばかり。
前職が、各国の特殊部隊、傭兵、マフィア、殺し屋等、下手に関われば此方がしている事がバレる可能性が有るような奴等ばかりな出来るだけ関わりたくない相手ばかりだ。
そんな所にアリアは兎も角、エルと菊代は行ったと言うのだ。
「まぁ、其で、ボク達は、通気口から様子を見てたんだけどね」
チラリとエルが、菊代を見ると、菊代もその先を良いずらそうに、目をそらす。
まさか
「まさか、呼び出しをした教員が、
「「………」」
露骨に二人して目をそらした。
いや、エルは、菊代に合わせて目をそらしたと言う方が正しいだろう。
エルはここの生徒では無いのだから、綴なんて単語が出ても今一ピンと来ない筈だ。
綴は、尋問と言う、技術に置いて日本でも五本の指に入るプロ。
何をされているのか分からないが、綴に尋問されると、どんなに口の堅い奴も何でも白状しちまう。
その後、頭が可笑しくなって綴を女王とか女神とか呼ぶようになると言う。
様々な意味で関わったら終わりな奴だ。
そんなのに
「目を付けられたのか?」
「あ、アタシ達は会ってはいないわ!」
「そ、そうそう!ボク達は、覗き聞きをしていただけで……」
ブンブンと激しく首を振り否定をしているが
「アタシ達?ボク達?」
「「あ」」
しまった!と二人揃って口を抑える。
その仕草に嫌な予感が次々と浮かぶ。
「えーと、止める暇が無かったのよ。本当に一瞬過ぎて」
「アリア………か」
俺が呟いた名前に、少し間を置いてからコクリとゆっくり頷く。
やがて、エルが口を開き
「一人で、その、ツヅリ?とか言う教員の前に出ていって………其処から先は」
「長年の勘よ。絶対に危険な目に合うと思って、エルを連れて直ぐに撤収したの。まだ、
なるほど、だとすると今日中に、アリアも此方に来るな。
しかも、トラブル付きで。
と言うより、白雪とアリアを一緒にしてしまって、大丈夫なのだろうか?
こないだ、あんな事になったばかりだし。
取り合えず、そのトラブルになりそうな奴は、二人とも知ってそうだし、聞いてみるか。
「………んで、その呼び出しが、どう噂に関係してくるんだ?」
そう言った、瞬間菊代は、目を細めて、シリアスな声で
「
「デュランダル………」
聞いた事あるぞ、そいつは、少し前に風魔から聞いた事だ。
何でも、超能力を用いる武偵、通称、『超偵』を狙う誘拐魔だ。
武偵高には、
そろそろ新しい顔………じゃなくて体を見つけた頃だろうか?あのヤドカリ魔女は。
――んで、その
誘拐されたとされる超偵も、実は別件で失踪したのでは?と言う見方が強いと言う。
今では、殆ど、都市伝説扱いの犯罪者なのだ。
―――なのだが
「
「そう言う事よ」
だとすると少し気になることができた。
よりによってこのタイミング。
武偵高には、目的は違えどイ・ウーメンバーが二人も来たのだ。
今回のだってその可能性の方が高いだろう。
だとすれば―――此は、またとない
「なぁ、エル。イ・ウーにそう言う呼ばれ方をされている用な誘拐魔はいないのか?」
「いや、残念だが、イ・ウー内でそう言う風に呼ばれているようなメンバーはいない」
エルは、申し訳なさそうに首を左右に振る。
なるほど、だとしたら
「地獄を見せても良いと思うわよ?」
「……菊代」
ニッと口の橋をつり上げて不適に笑う。
なるほど、イ・ウーの可能性も捨てきれないが、白雪にちょっかいを掛けようと言うんだ。
痛い目に合っても文句は言わせない。
だけど、菊代は、其だけじゃ無さそうだ。
「菊代も何か狙いが有るって事か」
「そう。寧ろアタシとしては、此方の方が興味深い」
――菊代が、話したのは以下の通りだった。
何でも、この
都市伝説と言うのは、次から次へと、付け足されるものである。
何故、そんな噂が広まったのだろうかと言うものまで、次々と枝を伸ばして別れていく。
その一つに、菊代は、興味を引かれたのだ。
菊代の大好きな『お宝』と『芸術品』だ。
何でも、魔剣とその名前の通りかなりの名刀を持っていると言う。
嘘か本当か、斬れない物は無いと言うほどの剣で、見るもの全てを凌駕するほどの美しい剣なんだとか。
目撃者がいるのかとか。
そこまで突っ込んでしまう程の信憑性の低さだが、菊代曰く
『別に、剣じゃなくても、其が
との事だった。
確かに、組としてなら一理ある言い分だ。
噂通りで捕まえることが出来ればの話だが。
まず、その為には、プライベートして動き、誰にも
他の武偵にも、警察にも、アリアにもその存在が知られてはならない。
今の話を纏めれば、今最な最善の手は、これしか無いだろう。
「頼みがある」
「なんだい?」
エルが、不思議そうな顔で此方を見ながら言う。
俺は、一度深く息を吸ってから。
「今回の一件は、完璧な『
そう決断した。
今回の一件は、白雪に不安を与える事になるだろう。
だからこそ、ただの噂として少しでも白雪を安心させたい。
根も葉もない下らない噂だったと。
其が今の最善の手となるだろう。
「まぁ、星伽の連中に目をつけられたくも無いしね………只でさえウルスがこの学校にいるって言うのに其処に追加で問題が起こるのも面倒よね」
その決断に菊代は、子供の我儘を聞く母親のようにしぶしぶと合意の意を表した。
まぁ、確かに少し派手に動かなければ、俺達の仕業だとは気付かれにくいかも知れないが、其処は少し我慢して欲しい。
「君としては、お宝が手に入れば問題ないだろう?」
「其だけじゃ無いさ」
手をひらひらと左右に振り否定する。
そして、俺とエルを真っ直ぐに見詰めてから
「弟の意中の相手で、ユキちゃんはアタシの
ニヤリと、頼りになるリーダーを思わせる良い笑顔でそう言った。
……一生付いて行きます!
「其でそのお宝なんだけどね――――」
其処以外で付いて行きます。
―――其から数分たち。
「なぁ、所で一つ気になってた事があるんだが」
菊代が、熱弁を続ける横で俺は、白雪とアリアが此方に到着するまでの時間潰しとしてエルに疑問を投げ掛けてみた。
「ん?なんだい?」
「何で、お前この学校の制服着てるんだ?」
そうエルは、今日ずっと、武偵高校の女子制服に身を包んでいたのだ。
自然にそれこそ当たり前と言わんばかりに。
エルは、菊代やアリア達と一緒に学校へ行ったと言うのだ。
それもまるで正面から堂々と入ったような言い方で。
「手作りだ。凄いだろう?」
「いや、そう言う事じゃなくてだな」
フフンと、胸に手を当てて自慢げに言う。
え、なにそれ無駄に凄い。
エルは、イタズラの成功した悪ガキのようにニンマリと笑って
「あ、此れとは別に本物が正式に明日届くんだ」
「は?」
「暫くの間は、
にっこりとこれまた良い笑顔で、エルはそう言った。
……………ハイ!?
この間感想の方で、実は金次って〇〇だったんじゃ無いかと仮説を立ててくれた人がいました。
本当に嬉しいです。
ありがとうございます。
一応ヒントは、もう其処らにいっぱい有るのですが、ピンと来てる方はもう来てるのでは無いでしょうか?
え~答えは、一応、3つです。
全てストーリーに関係しています。
其と、このお話は、確かに合ったかも知れない可能性のお話です。
もしも、金次君が本気で平凡を望んだらどうなるのか?と、そしてどうしてこうなった。
まぁ、別に何処かの殺人鬼みたいに、爪で色々占ったりとか、女性の手首を集めたりとか、触った物が爆弾に変わるなんて事は、有りませんので安心してください。
原作12巻の菊代さんの台詞『義兄妹の杯を交わそう』この台詞がこの作品を作る切っ掛けとなってます。
後、白雪ルートに行かせたかった。
その結果、何故かこうなりました。
反省はしております。
後悔は…………し、してません!(震え声)
今後とも、お付き合いお願いします。
……打ち切りでもなければ最終回でも無い。
だけどこのようなお話を致しました。
其では、また次回。