金次に転生しました。   作:クリティカル

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皆さんお久しぶりです。
前回は更新出来ずにすいませんでした。
風邪治りましたのでもう大丈夫です。
(まだ、喉がダメですけど。コミ症の私には関係ない)


23 コインと紅茶と忍者と

「キーくんはさ、表面張力って知ってる?」

 

「水が溢れそうで、溢れない力の事だろう?………今にも紅茶は溢れそうだけど」

 

理子は、カップを指で突つき溢れそうで溢れない紅茶を二~三回静かに揺らしてから

 

「本当はお洒落にグラスとお酒でやりたいんだけどねぇ~」

 

「何だ?お前の好きなゲームのマネでもしようってのか?ギャルゲーか?エロゲーか?」

 

「けっこう有名な漫画だと思うんだけどね。キー君そう言うの読まない?」

 

「ゲームも漫画もやってる暇はそんなにないな……たまにやるくらい」

 

「ふ~ん。ま、キー君裏じゃ問題児だもんね表向き、諜報科のSランク武偵なのに」

 

「勘弁してくれ。あれは、入学試験の時ヒスッた俺がやった事だ。本当はEかC位で目立たない用にしたかったのに」

 

俺の愚痴に理子は手を合わせて合掌のポーズをとりおどけた感じで

 

「それは、御愁傷様」

 

チャポンと、世間話をする軽さで理子はカップにコイン(100玉)を一枚入れた。

紅茶は僅かに揺れただけで、溢れはしなかった。

 

「ごめんね、キー君。まだルールを説明して無かったよね」

 

「まぁ、今ので大体察したが………」

 

何か、違和感が有る。

何処かでこんな感じの会話を俺はしている。

もしかしたら、次の理子の台詞は

 

「カップの中に、コインを交代で入れて先に、紅茶を溢れさせてた方が負けってことで……理子が負けたらオルメスの場所を教えてあげるキー君が負けたら、組織ごとイ・ウーに入って貰うって事で元々商売相手だし良いでしょ?」

 

まぁ、そうみたいだけど………菊代から聞いたが、イギリスで度々入って来た依頼の中にも『アヴェ・アンク』の名前が入ってたみたいだし。

悲しい事に俺は、昔から巻き込まれてたみたいだ。

だが、今は、そんなことはどうでも良い。

やっぱりだ。

前半の台詞は何処かで聞いた事がある。

其も金髪ツインテールの少女に

 

「なぁ、一つ聞いて良いか?」

 

「なに?もう白旗を挙げるの?」

 

「違う。変な事を聞く用だが、俺はどっかでお前と賭けをしたことはあるか?」

 

質問に訳が分からないと言う用に理子は首をかしげ

 

「無いね今日が始めてだよ………変なキー君、ボケたの」

 

「生憎、昨日食った晩飯も覚えているからその心配はねぇよ」

 

チャポンと、俺は一枚のコインを話ながらも静かに入れる。

その際に、理子にバレない用にコインの裏側に隠した脱脂綿で紅茶を少しだけ吸い上げる。

表面張力は意外にも強力で、コインなら八枚位は入ると言う。

なら、此方から水を増やしたり減らしたりと調整することが出来れば、俺の勝ちは絶対。

こちとら菊代から色んなイカサマ教わってんだこう言う賭け事は自信あるぞ。

此で俺達がイ・ウー行きは無いな。

誰が、あんな女装変態兄貴のいる所なんかに行くか。

万が一負けそうになったらカップ叩き割って勝負を無かった事にしてやる事も少しだけ考えておこう。

だけど

 

「折角ゲームをするんだ。見届けてくれる客がいねぇとな」

 

「御意!」

 

天井が捲れそこから降りて来たのは、俺の戦妹の大食いの風魔だった。

駐車場で車体の下にヤモリみてぇにくっついていたのを腹の音で見つけて連れてきた。

 

「おお~~!この子がキー君の義妹のヒナッチか~風魔一党の!感激だよ~!」

 

「うわわ!?もしや、話に聞いたリュパンの娘!?」

 

理子は、どうやら風魔の事が気に入ったらしい……抱き付いて犬猫みたいに撫で回している。

そう言えば、風魔一党はリュパンの一味の侍と戦った事が有るとか無いとかエルやクレフトから聞いた事が有るな。

 

「しかし、東京の武偵校はどうなってるんだ?理子にホームズにウルスに、間宮の生き残り武装検事の娘が二人に風邪の噂じゃ、コウモリヒーローの娘までいると聞いている。此処まで、有名所の子孫が集まるなんて本当に偶然か?お前んとこの奴等紛れ込んでんじゃ無いだろうな?」

 

理子は、風魔を撫でるを止めずに、顔だけ此方に向けて

 

「ん~。夾ちゃんが要るくらいで他はいないかな。此で安心だね!」

 

ちっとも安心出来ん。

今俺少しだけ、人間不信になりかけてるぞ。

そんな話をしながらも交互に入れて来たコインは三枚ずつ計六枚のコインがカップに沈んだ。

 

「そろそろ溢れても良い頃だと思うんだけどねぇ、キー君」

 

「そうだな」

 

理子が七枚目のコインを入れながら、俺の手元を見ながら言う。

―――気づかれたか?

そうだとしても、おかしい。

何故七枚目が入ったのに溢れない?

俺は、脱脂綿をスポイト変わりに使って確り七枚目で溢れるように調整したはず。

 

「次、キー君だよ」

 

「………分かってる」

 

何だ?何を理子はした?どんなトリックだ?

分からない。

だが、理子は何かの漫画をモデルにしたと言った。

単純なゲームほど奥が深く難しいのだ。

お互いにイカサマをしているならば尚更。

賭け事にイカサマは付き物。

ハンバーガーとポテト位はセットで付いてくる。

其に文句を言う奴は始めから賭け事をしなければ良い。

 

だが、今俺は文句を言いたくなるくらい分からない。

何の作品だ?俺も知ってる奴か?もしそうなら何か勝てる方法が有りそうな物なんだが。

 

「師匠」

 

「ん?何だ?今考え中で――――――」

 

チュ――――

 

「ん!?」

 

「おお~~!」

 

まるで、恋人の用に自然な動作で首に腕を回され目を閉じた風魔の姿が見えた時にはもう、キスされていた。

俺が、HSSになるためには、菊代、白雪、エルこ三人のみと言った。

だが、一つだけ例外が有る。

其が、風魔の『ギャップ萌え』と言う物で有る。

普段はあまりに異性として見ない―――いや、見ないようにしている風魔の突然の行動による興奮。

今俺の目の前には、美しいと言うより、まだ幼さを残した可愛らしくけれども何処か色気を出す、整った顔立ち今、俺に重ねられている艶やかな唇、砂糖御子のような甘い匂い。

戦妹だからと出来るだけ数に入れてはいなかったが、血流はもう限界の用だ。

 

―――あぁ、風魔。

君は、分かってやってくれたんだね。

流石自慢の妹だよ。

 

「師匠への房中術の使用お許し下され」

 

やがて、首に回されていた腕がほどけて、頭を垂れ方膝をつきまるで時代劇で忍が主に報告するような姿勢になる。

 

「くふふ。キー君その為のヒナッチだったんだね…………一人で来てって言ったのに」

 

「妹は、勝手に付いて来ただけだよ。ルール違反では無いだろう?ただの見物客なんだから」

 

風魔を後ろに立たせ庇うように手を風魔の前に出しながらも目線は理子に向ける。

その視線の先で理子がニヤリと笑い

 

「其が、キー君のHSS何だぁ~。始めて見たよ」

 

「元兄のは、見ないのかい?同じイ・ウーのメンバーなのに?」

 

「其と此れは別だよキー君」

 

「そうなのかい?では、理子の意見を象徴してそう言う事にしておこう。人の価値観は人其々だからね」

 

「普段は、獣。ヒスればぬいぬいみたいになるんだねキー君って」

 

「ハハハ…………」

 

精神的に、グサッと来たね今。

そう言う風に言われると、乾いた笑い声しか出せなかったが、危うく血流が静まってヒステリアが解ける所だった。

俺アイツみたいになってんのかよ。嫌過ぎる。

俺は、誤魔化す用に、コインを一枚手に取り理子の方に見せて

 

「此が最後の一枚だ。溢れ無かった俺の勝ち。アリアが今何処に要るのか教えて貰おうあの親子は手放す訳には行かないみたいだからね」

 

「そして、キー君が負けたらイ・ウー行き」

 

無言で頷いて見せて、目線をカップへと移す。

ヒステリアは、体の様々な能力を格段に上げる事が出来る。

その中で俺は視力と嗅覚と聴力この三つに意識を集中させる。

このゲームは理子からしてみればまだ序盤に過ぎない。

俺が、理子にあの話を持ち出すのは、その時が来てからで良い。

今は、目の前の事を楽しもう。

賭け事何て久し振りだ。

 

「どうしたのかな?紅茶が蒸発するまで待つ気?」

 

「その方法は有り?」

 

「無し」

 

ですよね~。

―――だが、今の会話中に見つけたぞトリックを。

カップの影がほんの数㎝傾いてるのを。

手元に隠した、鏡を傾かせて見てみると米つぶサイズ黄色い固まり―――栗か。

あの栗は、モンブランの奴だな。

其の破片を予めカップの底にくっつけて傾かせて俺の調整をミスらせたんだ。

だから俺は、後一枚で溢れると思い込んで脱脂綿で紅茶をコイン一枚分増やしてしまったんだ。

あの栗をどかさない限り俺のコインは入らない。

栗さえ退かせれば。

もう脱脂綿での調整はバレているだろう。

もうあのイカサマは通用しない。

何か別の手段―――――有った。

あれが有る。

一か八か、失敗すれば溢れるがやる価値ははさある。

 

「すまないね。今から入れよう」

 

コインを紅茶に入れるフリをして

 

フッ!

舌を口の中で丸め前歯にくっ付け隙間から空気を素早く撃つ。

即席で作った空気の弾丸はカップの隙間を通りそのまま、栗の破片を、弾いた。

上手く行くもんだな。

風魔の技を真似た見よう見まねの息短筒(そくたんづつ)

口の中で銃身を造り空気砲とする技

その技に賭けたが吉と出たようだ。

 

「イカサマはダメだよ理子。勝負は正々堂々としなきゃ」

 

自分の事は棚上げし、皮肉を混ぜつつ素早く滑るようにコインを入れる、コインは回りに波紋を広げつつも、沈んで行きそのまま下のコインと音をたてずに重なった。

紅茶は一滴も溢れなかった。

 

「あ~あ。理子の負けか」

 

ん~と、両手を前に組んで伸びをしながらもくやしそえな顔はしていなかった。

まるでこうなることが始めから分かっていたみたいに。

 

 

「さぁ、教えて貰おうか。アリアの居場所を」

 

その言葉に理子はニヤリとし

 

 

 

「良いよ教えてあげる。最終ステージまでキー君達にはとことん付き合ってもらうからね」

 

 

 

男なら誰もが虜になりそうな満面の笑みでそう言った。

いや、だから先祖云々はエルに頼んでよ。

一応関係者だぞ?アイツ。




菊代の二つ名を変更しました。
菊代の二つ名は踊ると赤が重要なんで其処だけ覚えてくれたら良いなと、思います。

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