もしもクリエイティブモードで幻想郷に転生したら 作:秋雨 椛
さて、里長に頂いた土地に着いたのだが……空を見ると既に太陽が沈みかかっているようだ。
このままでは掘っ建て小屋程度しかつくれないだろう……だが!俺には暗い中でも作業をすることが出来る秘策アイテムがあるのだよ!
それがこれだ
1 2 3「
と
「ヘッドライトぉ〜」
この二つがあれば夜の作業でも怖くありません!
それより皆さんは何故、旧世代の道具と新世代の道具を出したか不思議に思っている方もいると思います。
理由はこの里の人が現代の光源を見て何だあれは!? となるのを防ぐためです。
ヘッドライトなら人が来たらすぐ消せるし便利だから採用しました。
松明は使っていても不審がる人はいないでしょうということで……べっべつに松明があったほうがマイクラやってる気分になるからとか、そんな不純な理由じゃないんだからね!
ということで建築作業に入っていきましょう。
目標としては"現代の建物のような室内をしているが里の風景を壊さない建築物"です。
まぁ普通に1LDKあれば良いほうでしょう。
入口から入ったら玄関→和室、そこから襖をまたぎ洋室で引き戸の先はトイレとお風呂という造りにしようと思う。
では建築作業開始!
~2時間後~
「ふぅ〜……やっと完成したぜよ!」
見た目は完全に他の家と変わらず長屋のように見える、だが中身は全然違う和洋の客間に簡易水洗便器を取り付けたトイレ、そして魔法瓶浴槽……シャワー無し
と、現代の設備を数点設置してあるのだよ
「ん〜誰も来なかったから淡々と進められてよかった」
「いや、私はずっと見てたんですけどね」
えっ?はっと振り向くとそこには慧音さんが立っていた。
ヘッドライトの灯りが顔に当たり眩しそうに手で目を隠す慧音さん
「いつからそこに立っていました?」
「壁を作り始めたところからかな?……それよりその額で光っているものを消してはくれないかな?眩しくてかなわない」
俺は慌ててヘッドライトの電源を消す
やっべ、ヘッドライト見られたよ……どうしよ……それより建築工程結構見られちゃってるし……
「ありがとう、それより面白い建て方をするんだね」
「えっ、あっそれほどでも」
慧音さんは少しずつ俺に詰め寄ってくる
「木材が手元から出てきたと思ったらパッと建物の骨組みが完成していた」
ギクッ
「大工も苦労すると言われる木材の加工も一瞬のうちに完成していたし」
ダラダラダラダラ
「上履さんは……」
アワアワ(目の焦点があっていない)
「便利な能力をお持ちなんですね」
「はい、そうなんです」シャキン(`・ω・´)
もう吹っ切れちまえよ、もうやけだよ俺
「俺が建築に使っていたのは全て能力でやっていたからなんです」
「どういった能力なんですか?」
「欲しいものが手元に出てくる能力です」
嘘入っていない
「なんともそれは……なんでも出てくるんですか?」
「はい、なんでもです」
慧音さんは少し考える素振りをみせ、次に俺の襟首をつかみ俺の家に入っていった。
最初の和室の客間には四角の背の低い机を置いており、その上には急須と湯呑、ボウルに入った煎餅を置いていた。あと数冊の漫画本、みんな大好き【アジンパンマン】である。
俺は慧音さんとは反対側に座り正座をしていた。
慧音さんは真剣な顔をしており、場には通夜のような雰囲気が立ち込めていた。
えっ?何この空気?訳わかんないんだけど!?
「上履さん、その能力にはいつ目覚めたんですか?」
「えっと……今日?」
「えっ?今日目覚めたんですか?」
そういえばこの世界に来てまだ一日しかたっていないのか……なんか濃い一日だった気がする。
椛は元気にしているだろうか?大天狗は気を落としてないだろうか?ルーミアは……どうでもいいや
「ちょっと上履さん?話聞いてるんですか?」
「あ、はい」
「じゃぁ私がさっきどのような質問をしたか言ってみてください」
「えっと……好きな団子の味はなんですか?」
「違います!その能力は本当に今日目覚めたのかきいたのです!」
やばい慧音さん怒っちゃったよ……
「本当に今日目覚めました」
「では何故そんなに上手く扱えているんですか?」
「前に似た能力の人を見たからです」
慧音さんの目が鋭く細められる……なんかゾクゾクする
「ではその人物の名前はわかりますか?」
「確か……スティーブという名前でした」
「スティーブという方ですか……それは本名ですか?」
「本名だと思います」
なにこれ?事情聴取?怖すぎるんだけど……
なんか慧音さん唸ってるし……
「それでは最後に聞きますけど、その能力を悪用しようとか考えていますか?」
「そんな訳ありません」
「なぜそう言いきれるんですか?」
「私は建物を建てることが大好きで、その為だけに能力を使いたいと思っているからです」
俺と慧音さんは数秒間目を交差させていた。慧音さんは真偽を図るため、俺は本心だと伝えるため
そして暫くして慧音さんは息を吐き先程のような鋭い目ではなく最初に会った時のような柔らかい目を俺に向けていた。
「ふぅ……分かりました、その言葉を信じましょう」
やった!と心の中で喜んでいると慧音さんが「ただし!」と遮るように言った。
「もしその言葉が嘘だったら……嫌いになっちゃいますからね?」
と顔を赤らめ上目使いで言ってきた。
えっ?何この可愛い生き物?
「大丈夫です!男に二言はありませんよ!」
「絶対ですよ?」
「はい!」
ふふっと小さく笑い「ではそろそろ帰りますね」と席を立った慧音さんに俺は「送っていきますよ」と言う
「大丈夫ですよ、この辺は治安もいいですし」
「でも……」
「執拗い男の人は嫌いです」
「気をつけてお帰りください」
慧音さんはふふっと笑い「では、また明日」と帰っていった。
俺は少し不安だったので家から少し出て背中が見えなくなるまで見送っていた。
空に浮かんでいた月に雲がかかり辺りが真っ暗になり見えなくなったところで家の中に戻ろうとした直後、肩を叩かれた。振り向くとそこには金髪の少女
「会いに来たわよ上履大介ぇ〜……よくもやってくれたわね!!」
「げぇぇ!ルーミア!?」
目は真っ赤に染まり怨敵を見るような目で俺を睨みつける。背後からは禍々しい黒い何かが渦を巻いており目が赤いことに禍々しさがアップしていた。
「アンタのせいで目が真っ赤になったじゃない!!」
「あっそれ仕様じゃないんだ」
「この目の恨み晴らさずにいられるかぁ〜」
地を蹴りもの凄い勢いで俺に襲いかかってくるルーミア
どうしよう!?よけたら家が壊れちまう……
次回!【大介の決断】
遅くなってすみませんでした