楽×マリー『オネガイ』その後   作:高橋徹

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ジャンプのニセコイの急展開に激しく動揺し、16巻予約限定版のシンコンマリーver.とOVA「オシゴト」「ヘンボウ」で悶えて…もう大変です()


第42話「ハジメテ」(前)

楽の家までの道中、二人は手を繋いで歩いていた。

 

時折、楽が万里花の方をちらりと見ると、ふと、目が合う。

「?…♪」

万里花は一瞬首を傾げるような動きをした後、にこりと微笑んだ。

「(あ~、死ぬほどかわいい…)」

たったそれだけのことではあったのだが、それだけで楽は赤面していた。

「あら、楽様?どうなさいました?♪」

楽の反応を見て、万里花が聞いて来た。

「お、おまえなあ、わかってて聞いてんだろ…」

見透かされていることがわかり、恥ずかしくなる。

「えへへ…らっくん、ぎゅー♡」

楽の顔を見て愛おしくなったのか、甘えるように抱きつく。

「!!…ん、んがー!!」

「きゃっ♪ん、んむう…んっ…」

理性の糸が切れたのか、楽は抱きしめ返してキスをした。

舌を深く絡ませて、唾液の交換をする。

「ふぐっ、んむっ、ふうんっ…んんっ…」

万里花の甘い声が漏れる。

それを聞いた楽は、尚のこと興奮してきた。

「…」

「…!んっ、んんっ、んあうう…っ」

楽は万里花のスカートの中に、膝を潜り込ませた。

万里花は少し身をよじったが、楽の膝と自らの下着とが余計にこすれてしまう。

「んんっ、ふうっ、んんっ、んああ…」

路地に、万里花の悩ましい声が響く。

 

「…は!」

と、ここで、楽は我に返った。

「…い、いけねえ、ここでおっぱじめちまうところだった…」

すっ、と、万里花を掴んでいた手を優しく放す。

「あん…もう♪既に半分始まってましたよ?」

「う…す、すまねえ…」

「うふふ♪いいですよ♪さ、行きましょう♪」

「ああ」

そうして、二人は再び帰り始めた。

 

途中、楽がふと足を止めた。

「…あ、ちょっとコンビニ寄っていいか?」

少し、落ち着きに無い顔をしている。

「いいですよ♪何かお買いに?」

楽は普段、スーパー等で組の者に作る料理の食材をまとめて買っているため、コンビニであまり物を買わない。

そのため、万里花はふと疑問に思った。

「…いや、その、な…」

少し顔を赤らめて言葉を濁す楽を見て、万里花はぴんときた。

「…あ。ふふ、大丈夫ですよ♪この日に備えて前もってピルは飲んでいますから♪」

ぶぼばっっ

万里花が平然と言った言葉に、楽は思わず吹き出した。

「んなーーー!?…マジか。で、でも、それでも念のため…」

顔を真っ赤にしながらも、楽はコンビニに行こうとする。

すると、万里花が耳元で囁いた。

「…無しで、したくありませんか…?きっと、粘膜同士の接触はすごーく気持ち良いですよ…?」

天使のような笑顔で、悪魔のような誘惑をしてきた。

「…したいです」

「よろしい♪」

あっさり従い、コンビニに立ち寄るのを止めた二人であった。

 

しかし、このまま真っ直ぐ帰るのかと思われたが、実際はそうもいかなかった。

今まで、唯一していなかったキスをした、という事実は、二人のたがを外すには十分だった。

二人は、その後の道中でも、何度も何度もキスをした。

ある時は楽から、ある時は万里花から。

家に着くまで我慢できないのか、キスをしながら、お互いの身体を貪るようにまさぐった。

…そして、度々我に返って手を止めた。楽が。

万里花は全く止めないので、下手をすれば帰るだけでも一晩かかりそうだったのである。

 

 

「…ふう、やっと着いたな…」

ようやく家に着いた。

普通に歩けば20分程で着くであろう道中を、軽く一時間はかかっていた。

「うふふ♪…寄り道、しすぎちゃいましたかね?♪」

「…やりたくてやってんだから、構わねえよ」

「はい♪」

「しっかし、すっかり暗くなっちまったなー」

「そうですわね…」

時刻は19時をまわっていた。

夏とはいえ、既に日はすっかり暮れてしまっていた。

どこからか、虫の鳴き声が聞こえる。

穏やかな、夏の夜だった。

 

「すぐにでも部屋に…って思ったけど、そういや夕食を組のもんに作ってやんなきゃだな」

楽がため息混じりに言った。

人数が人数のため、作るにも気合と時間が必要である。

この後の、万里花と過ごす時間を考えると、今まで当たり前のようにやってきたことであっても、億劫になってしまうのは当然と言えた。

「あら…それなら、私が作りましょう!♪」

万里花がふと、提案した。

「え、い、いいのか?」

「いいのですよ?らっくんのお家の皆さんと仲良くなれる良い機会ですし♪」

非常に張り切っていた。

「…ありがとな。」

「はい♪」

そう言って、二人は家に入った。

 

「おかえりなさいやせーぼっちゃん!お、そちらの嬢ちゃんは…まさか、新たな愛人ですかー!?」

「(あ、らっくん、どう答えてくださるのかしら…)」

「ちげえよ、恋人だ、恋人。」

「ふえっ!?」

楽は竜たちにきっぱり答えると、万里花の肩をがしっと掴んだ。

「おおお!!流石ですぼっちゃん!!ささ、嬢ちゃんもどうぞ上がってくだせえ!」

「え、マジか…ま、いいか。」

細かいことを聞かないことに楽も驚いたが、細かい説明は追い追いすれば良いと思ったのか、詳しく話すのはやめておいた。

「らっくん…」

肩をしっかり掴まれた万里花は、ぽーっとした表情で楽を見つめている。

「…聞かれたら、ありのまま答えることにしようと思ってな。…ちょっと、恥ずかしいけど、よ」

そう言うと、楽は照れくさそうに目を背けた。

「…ありがとう、ございます…♪」

穏やかに笑った。

「(…ああもうかわいすぎだろ…抱きしめてえ…)」

組の者がいる手前、必死で衝動を抑える楽であった。

 

「みなさーん!お料理、私が作りますよ♪」

「そう言うことだ。俺は手伝えることは手伝うって感じになるからよ、まあ、待っててくれ。万里花の料理はうめえぞ?」

楽は、誇らしげににかっと笑った。

その笑顔を見て、万里花がほんのり顔を赤らめたのだが、楽はそれには気付かないのであった。

「え、そうなんですか!じゃあ、ご厚意に甘えて…」

最初は少し驚いた組の者たちも、楽が太鼓判を押したことであっさり納得した。

 

数十分後。

「出来ましたわよー!♪」

「は、はええ!すげえな嬢ちゃん!」

「おらーおまえら!手を合わせろ!せーのお…」

「「「頂きます!!!」」」

野郎共の威勢の良い頂きますが響く。

「もぐもぐ…うお、すげえうめえ!坊っちゃんに負けず劣らずとは…すげえな嬢ちゃん!」

食べた者が、口々に万里花を褒め称える。

「うふふ♪ありがとうございます♪」

万里花はそれに丁寧に応じる。

「これくらいでしたら、毎日でも♪」

「なんだって!?…うおおおお!!今夜は宴だーーー!!!」

万里花の一言一言で、場が大いに沸く。

 

「…すげえな、万里花。一発であいつらの胃袋を掴んじまった…」

楽は宴会騒ぎになっているところから少し離れて、万里花に話しかける。

「えへへ…嬉しいです♪そうだ、らっくんはこちらをお召し上がりくださいまし!♪」

どんっ

どどんっっ

どどどんっっっ

含まれている食材:うなぎ、にら、にんにく、山芋etc…

少し前に万里花の弁当で見た面々であった。

「んなー!!?ってこんな食材、一体いつ!?」

楽は驚きを隠せない。

「それは…」

万里花はぱちんと指を鳴らした。

「はいっ!」

万里花の右側に、右助が颯爽と現れた。

「よろしい」

再び指を鳴らすと、あっと言う間に消えてしまった。

「み、右助さん…!」

何故か、涙が込み上げてきそうになる楽であった。

「ま、マジか…。」

料理の意図が手に取るように分かるレパートリーに、楽はたじたじになる。

そんな楽の耳元で、万里花はそっと囁いた。

「…これを食べて、いーっぱい、いじめてくださいね♪」

「!!…オーケー。頂きます!」

そう言うと、楽はばくばくと食べ始めた。

褒め言葉を、ありったけ並べながら。

 

 

「あ~食った食った!坊っちゃん、嬢ちゃん、片付けは俺らがやりますんで、後はお二人でゆっくりしてくんなせえ!」

「おお、わりいな。そうさせてもらうわ。じゃ、万里花、俺の部屋に行くか。」

「はい♪」

二人は楽の部屋に向かって、屋敷の廊下を歩き始めた。

すると、万里花は自分の異変に気付いた。

「あ、あれ…私、緊張してるのかしら…な、なんで急に…べ、別に身体のコミュニケーションは初めてではないのに…!」

「?万里花…どうした?」

「!ななな、なんでもないですわ!あははは…」

緊張を悟られまいと、必死で繕った。

「うっし着いた。よっと…さあ、いらっしゃい」

楽が部屋の戸を開ける。

「おおお、お邪魔…し、しま、します…」

部屋に入って、万里花の心臓はもう爆発しそうになっていた。

そんな万里花の様子を気にしながらも、楽はふと、切り出した。

「…万里花」

「ひゃいっ!?」

名前を呼ばれ、飛び上がるように驚く万里花。

「こっちに来てくれ」

そう言うと、楽は座椅子に座り、優しく手招きをしてきた。

「は、はい…(も、もう始まるのー!?)」

万里花はがちがちに緊張しながら、楽の前に座った。

すると、楽は万里花の頭を優しく撫でた。

「…身体、大丈夫か?」

「え…」

「今日は朝からずっと動きっぱなしだし、心の浮き沈みもたくさんあっただろうから…疲れただろうなって思って。おまえに料理を作るって言ってくれたのも、嬉しくてついお願いしちまったけど…内心、ちょっと後悔してたんだ。心配なんだ。今日、その、…やりたいとは思ってたけど、おまえの体調が悪いようなら絶対にしないから、な?」

心の底から、万里花を気遣っての言葉だった。

右手で万里花の頭を撫で、左手を優しく万里花の首にまわす。

「…らっくん…。…大丈夫ですよ、本当に。らっくんとキスすると、もう、体調の悪さなんて綺麗さっぱり吹っ飛んじゃうんです♪それに、お料理もやりたいからやったんですから、気に病まないでくださいまし♪…あ、でも、少し疲れたのは事実ですので…少しだけ、らっくんの腕の中で休ませて頂けませんか…?」

「…ああ、いくらでもどうぞ」

「ありがとうございます…。らっくんは本当に、お優しい…愛しています…んむう…」

疲れていたのか、楽への言葉を言い終えると、すぐに寝付いてしまった。

「…俺も、愛してるよ」

そう言うと、万里花のおでこに優しくキスをした。

 

「ん…むにゃ、あれ、どれくらい時間が…?」

万里花が起きた。

「小一時間てとこだな。寝顔、かわいかったぞ?」

そう言うと、ふふっ、と笑った。

「…もう。ありがとうございました…もうすっかり元気です♪」

確かに、少し疲れ気味に見えた顔色も、すっかり良くなっていた。

普通にベッドで休むよりも、よっぽど安らいだのだろう。「

それでも、念には念を入れて、楽は万里花に聞く。

「…本当か?」

「はい!…そろそろ…しましょう…?」

「…いいんだな?」

「は…はい…」

語調は優しいまま、徐々に冷たさを帯びてくる楽の声に、万里花は先程までの緊張が蘇ってくる。

 

「…じゃあ」

そう言うと、楽は立ち上がり、襖につっかえ棒をかけた。

「あ、え、え…?ら、らっくん…?」

楽の行動に戸惑う万里花。

「…これで、おまえがどんな声を上げたって、誰も助けに来れないからな」

楽は妖しく微笑む。

「…は、ふあ…」

万里花の表情は、徐々に『女』のそれになってくる。

「…」

「ひゃんっ!?」

楽が万里花を後ろから抱きかかえた。

そして、耳元で囁く。

「この部屋を出るときは、万里花、おまえはもう、身も心も俺のものだ…いいな?」

万里花の背中を、ぞくぞくっとしたものが一気に駆け抜けた。

「は、はい…♡」

うっとりした声で返事をする。

 

 

 

続く。

 

 




後編は同時に上げます。エロの方でご覧くださいませ(^^)!


それでは、今回もお読み頂きありがとうございました(^^)!!

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