楽×マリー『オネガイ』その後   作:高橋徹

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第31話「カイモノ」

万里花の家で夕食会をする日の前夜。

 

楽と万里花は、それぞれの部屋で考えていた。

 

「…明日は夕食会…の、前に、万里花と食材の買い出し…と言う名目、の…デート」

「らっくんとデート楽様とデートらっくんとデート楽様とデート…!!!!」

「…ん、なんか今すげえ念が飛んできたような…気のせいかな?…初めから二人でどっか行くって初めて…う、うおおおおお………!!!」

「らっくんとデート楽様とデートらっくんとデート楽様とデート…♡♡♡!!!!」

「…またすげえ念が飛んできたような…?」

「はあああ何着て行きましょうかああもう…!!…多少、上品な色気を出せるように、しましょう。らっくんをさりげなく悩殺してやるのです…!!」

「…なんかすごい気迫が頭上をかすめたような…?気のせいか…?ああ、にしても」

「はわわ…なんにせよ…」

「「どきどきする…」」

 

そして迎えた、当日。

朝10時の5分程前。

ぴんぽーん

がらら、と楽がドアを開ける。

「らっくん、おはようございます♪」

「…お、おは…よう」

「?どうしたんですか?」

楽はたどたどしい返事をする。

万里花の服装は綺麗な白のシャツワンピースだった。露出こそ少なく、色合いから清楚な雰囲気が漂うものの、胸のラインが強調される形となりかわいさと色香の両立がばっちり成されていた。

「…いや、なんでも…いややっぱ言おう。すげえかわいいよ。」

「!!ふわわ…あ、ありがとう…ございます…」

楽のストレートな褒め言葉に、万里花は真っ赤になって照れる。

「…じゃ、じゃあ行くか!」

「そ、そうですわね!では早速築地に!」

「いやなんでだよ!?」

「は!はわわすみません…!!」

「…ぷ、あははは…」

「!も~笑わないでください~!」

「ははは…ごめんごめん。…二人で居ることは結構あったのに、いざデートってなるとこんなに緊張するもんなんだな。」

「…ふふ、そうですね♪」

「…あ、そうだ、食べ物を買うタイミングなんだけどさ」

「?なんでしょう?」

「…初めての、そのデートだし…いきなりスーパーに行くのも味気無いかなって思って、さ。まずはショッピングとか、行ってみないか?」

「!は…はい♡らっくんが望む場所ならどこへでも!」

「はは、ありがとな。じゃあ途中で普通に食べ物も買えるから、ボンヤリショッピングモールに行かないか?」

「はい!♪」

そんな訳で、二人はショッピングモールへ。

 

特に目的の店も無いので、二人は中をぶらつく。

ふと、万里花の目に、店の中のぬいぐるみが目に入る。

「!きゃ~!あのくまさん、かわいいですわ~!」

そんなことを言って、はしゃぎながらぬいぐるみの下へ駆け寄る万里花。

「…あ」

「どうした?」

「…これ、UFOキャッチャーというもので取るようですわ…」

どうやら景品だったようだ。

UFOキャッチャーなど全くやったことのない万里花は、深いため息をついた。

「!ああ、そういうことか!それなら、ちょっと待ってろ…よっと!ほら♪」

「え!…わあ…♪」

楽は慣れた手つきで、あっと言う間にぬいぐるみをゲットした。

通りがかりの店員の、楽の腕前に唖然としている。

「…ありがとう…ございます…一生の…宝物です…♪」

万里花の表情が輝くような笑顔になる。

「…お、おお…。(やばい抱きしめたいけどまだ時間が早すぎるぞ楽我慢だ我慢)」

楽はものすごい勢いで葛藤している。

「…あ、でも、こんな大きいぬいぐるみ、かさばるか…ごめんな、タイミングを考えてなかった。」

「そんなことありませんよ!本当に嬉しいです♪」

そう言うと、万里花はぬいぐるみを自分の右側に差し出した。

「?」

その行動にハテナが出る楽。

「右助」

しゅばっっ

「はい!」

「これを。ポイントC-15に置いておきなさい」

「はい!」

しゅばっっ

「…み、右助さん…」

「うふふ♪」

右助の素早さとか、右助の扱いとか、C-15ってなんだよどれだけ区分けしてんだよとか、色々ツッコみたいことがあったのだが、少しでも長い時間このデートを楽しみたいと考えた楽は…色々考えるのをやめた。

 

その後しばらくショッピングを楽しんだ後、スーパーへとやってきた二人。

二人とも買い物慣れしているので、二人きりという状況による緊張はどこへやら、てきぱきとカゴに必要な食材を入れて行く。

すると、通りがかったおばさんが話しかけて来た。

「おやまあ、かわいいカップルだこと♪お熱いわねえ♪」

「…!!」

「…あ、ありがとうございます」

「!?ら、らっくん!?」

おばさんはにこにこしながら去って行った。

「い、言われて悪い気はしねえだろ?」

「う、うう、そうですけど…はわわ…」

「…お、俺だって、恥ずかしいんだぞ…」

「え…」

万里花が楽の言葉を聞いて楽の方を見ると、耳まで真っ赤にしている。

「…!」

ぼんっっ

「!?万里花ー!?」

万里花から湯気が吹き出した。

そんなこんなで、スーパーでの食料調達はスムーズに終えた二人。

 

「…さて、そろそろご飯にするか?」

「そうですわね♪」

右助にさっさと食べ物を預けながらも、笑顔で応じる万里花。

「(右助さん…)」

言葉に出来ないまま何とも言えない切なげな目を右助に向ける楽。右助はそんなことは知る由も無い。

「それでは、いつも私が行っているフレンチレストランに…」

「い、いや、普通のとこでいいよ!」

「あら、そうですか?」

「肩に力が入っちまうだろ?」

「…ふふ、それもそうですね♪」

「じゃあさ、あそこの喫茶店、スイーツがおいしいらしいから行ってみないか?」

「そうなんですか!ぜひ!」

 

「わあ~本当においしい!らっくん、はい、あーん♡」

「!ば、ばか、こんな人前で…!」

いつもは屋上で二人きりのため普通にあーんに応じる楽だったが、今回は休日で通りも店内も賑わっている状況である。流石に楽も恥ずかしいようだ。

「はい、あーん♡」

「い、いや、だから…」

「…は~い、あーーんん♡」

どんどんと笑顔の強度を増して迫る万里花。どうやら躊躇など全くないようだ。

「…うう…あ、あーん…」

ぱくっ

「うふふ…♪…らっくん、おいしい…?」

「!!!」

時間で言えばつい最近ではあるが、体感では遠い昔にも感じる。

万里花が楽への攻め方を変えてきた初めの頃に、弁当をあーんして食べさせた後に万里花が言った言葉だった。

楽はそのときのことも思い出し、一気に赤くなる。

「…えへへ♪思い出してくれました?」

そう言うと万里花は、甘えたように首を少しだけ傾げた。

「…思い出したし、あんとき言えなかったことも今なら言えるわ。超かわいい。」

「…あ、ありがとうございます…」

二人して真っ赤になる。こんなことでこの先もつのだろうか。

 

しばらくして、喫茶店を出た二人。

「そろそろ…帰った方がいいかな?」

「うーん、まだ少し早い気もしますが…中でも楽しめますものね!♪」

そんな会話をしつつ、二人は万里花の自宅へ向かう。

 

歩いていると、ふと、二人の手が触れ合った。

「ご、ごめん!」

「い、い、いえ、そんな…!」

しかし、一度触れたことを意識し始めると止まらない。しばらくして、二人にある意識が芽生えた。

「「…手を、繋ぎたい…!!」」

そうは思ったものの、中々手を繋げない二人。

 

「(…俺から…行かなきゃ)」

そして、楽が、男を見せる。

…きゅっ

「はひゃっ!?」

「…ダメか…?」

「いえいえいえいえいえぜひとも…!!はわわ…」

優しく万里花の手を握る楽。

「…」

「…」

「(緊張して…)」

「(会話が…)」

「「(繋がらない…!!)」」

そんなことを二人同時に考えていた。

 

この時、楽は考えていた。

「(…もっと万里花に触れたい…)」

 

そして。

 

「…」

きゅっ…

「ひゃわああああ!!?」

今度は万里花のそれぞれの指の間に自分の指を入れ、恋人つなぎをする楽。

「ご、ごめん、や、やっぱダメか…?」

「ちちちちがうんです!!嬉しいんですけどびっくりしてしまって嬉しいんですけれどはうううう…!!」

照れに照れる万里花。

「…しばらく、このままでいいか?」

「は、はい…喜んで♪」

 

しばらく歩いていると、楽があることに気付いた。

「…ふっ…ふっ…」

「…?…万里花、息、荒くなってないか?大丈夫か?」

「あ、あ、えと、これはその、大丈夫です!あの、その、嬉しさと、興奮で…」

「…興奮…?」

「…はわああああ!!!ち、ち、ち、ちがうんですいやちがわないんですいや私はもう何をおおおお!!」

思わず口が滑り大混乱に陥る万里花。

 

万里花の言葉で、楽にスイッチが入る。

「…へえ…」

「ひゃんっ!?」

楽は意地悪く微笑むと、万里花の肩を掴んだ。

休みでも、人通りがほとんど無い通りだった。

…はっ…はっ…はっ…

両肩を掴まれ、じっと見つめられる状況に耐えきれず、顔を真っ赤にしながら楽から目を逸らす万里花。

「…興奮…してたんだ?」

耳元で囁かれる。

「…は、はい…」

耳に楽の息がかかる度に、びくっと震える万里花。

「…」

「ひゃう…?」

万里花の頭を、楽が優しく撫で始めた。

「あ、ど、どうして…?」

「…かわいいから撫でたいんだよ。ダメか?」

「…」

無言で首を横に振る万里花。楽の目を見つめ返すことが出来ない。

肩を掴んでおきながら、優し気な態度を見せた楽に万里花は安心する。

 

しかし次の瞬間。

「!!?んんんんんんん~~~…!!!」

突然、万里花の胸を揉みしだく楽。

「ふぐ…んぐ…んぐううう~~~…!!!」

膝ががくがくと震えながらも、両手で口を塞いで声を抑える万里花。

 

すぐに終わるのか、と思いきや、楽は何も言わず、ひたすら愛撫を続けた。

その時間、約10分。人が通らないぎりぎりのタイミングまでひたすら揉み続ける。

気付くと万里花の目は虚ろになり、口は半開きになり、両手は楽の腰を押さえていた。

「う…あ…んあ…」

「…!」

万里花、虚ろな目をしたままワンピースの胸元のボタンを2つ、外した。

清楚なワンピースが一転、谷間が強調された挑発的な服装になる。

「らっ…くん…」

「…万里…花」

 

てくてくてく…

 

「「!!」」

足跡に敏感に反応する二人。

…ふっ…ふっ…ふっ…

ただ立ち止まって会話しているような体勢をとるが、先程までの行為の余韻もあり、二人の荒い息遣いが聞こえる。

 

「…行ったみたい…だな」

「…そ、そうです…ね…」

「「…」」

「…万里花、早く、部屋に行こう」

「きゃっ!は、はい…」

楽は万里花の手を引くと、再び歩き出した。

 

 

「万里花、ごめんな。その…気が逸って、乱暴になっちまった。」

万里花の自室に着くと、楽は謝り始めた。

「…いいんですよ。…私も、早く続きが…」

そう言うと、万里花は恥ずかしげに楽の顔を見上げる。

「…!」

「ひゃう!…あ…あ…あ…あ…」

再び万里花の胸を揉み始める楽。

今度は人の目も気にする必要が無いためか、意識が万里花に集中している。

「んん…ふう…私…も…」

「!…う…あ…」

万里花は微笑むと、楽の股間に手をやった。

触り合い、の状態になった。

 

お互いに見つめ合いながら、徐々に徐々に刺激を強めて行く。

「…万里花、ボタン、外すぞ…?」

「はい…じゃあ私は、らっくんのここを…」

二人はそう言うと、楽は万里花のワンピースのボタンを、万里花は楽のズボンのファスナーを下ろし始めた。

 

 

 

続く。

 

 

 

 




健全に終われる訳が無かった()

続きは今日のいつになるか分かりませんが、エロの方に書きます!R-18の方でご検索くださいませ(^^)

それでは、今回もお読み頂きありがとうございました(^^)!!

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