『愛』はすべてに打ち克つ!   作:とかとか

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なんとか年明けまでには間に合わせました。


第7話『愛ゆえに致し方無し』

 彼の魔力を蒐集して、気付いた事がある。

 どれだけ蒐集しても、魔力が全く減らない。それどころか逆に増えている感覚があった。

 

 

 

 

 

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第7話『愛ゆえに致し方無し』

 

 

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 さて、俺こと、盾街 あおなはただ今自分の胸から出てきた謎の球体を掴まれ、更にその謎の球体に詰まっているであろうなにかしらの力を厨二心を(くすぐ)られる本に吸われております。

 ……なんか、思ってたのと違うんだよなぁ、これ。

 だってほら、ドレイン系の技ってあるじゃん?ドラ○エ然り○物語シリーズ然り、それらとはまた違うんだろうけど、少なくとも俺が知ってる限りだと、ドレイン系の技はあんまり痛そうなイメージは無かった。精々気力が削がれるとか、やる気が出なくなるとかその程度にしか考えてなかった。

 だけど、今俺を襲ってるこの激痛は凄まじい。例えるなら鳩尾を無言で雑巾絞りの状態。

 ……分かりにくいか。えっと……運動不足で脇腹が唐突に痛くなる奴が身体全体に拡がったようなそんな感じ。

 

「………なぁ、シャマル。まだ終わらないのか?」

 

 そんな言葉をシグナムさんが漏らすが……。うん。それ俺も思った。いつまでこんなに痛い思いをしなくちゃならん事やら。

 

「……あの……なんて言っていいのか分からないんだけど……この子、魔力を蒐集しても蒐集しても全く減らないの……。逆にドンドン増えてる……」

 

「「え」」

 

 減ると増えます。そんなキャッチコピーが頭に浮かんだ。

 

「……それは……無限に魔力が湧き続ける、と言う事か?」

 

「いや、今は魔力の増加は止まってそれほどでも無いけど………」

 

 つまり減る一方と?……こんな痛いの我慢は長引かないから、もう、抵抗してもいいよね?

 

「……くっ……」

 

「……お前、こんな状況でも動こうとするのか」

 

 哀れみの言葉を掛けられた後、腕と足に紫色のリングが現れた。それがガッチリ俺の両腕と両足を掴む。

 おいおい、俺にはSMの趣味なんか無いぞ?

 そんな事を考えながら再び抵抗を試みようとするが、動けない。一体何が起こっているんだ……。ちなみにフライパンはザフィーラさんに没収されました。

 

「おぉーい!シグナムぅ!ザフィーラぁ!シャマルぅ!」

 

 まだ出来る事はある筈だとか思いながら頑張って動かせる所は動かしてみようとか考えていると、向こうから赤い少女がやって来た。……もしかして、フェイトさんと和解したのかな?……それにしては、傷が多いけど。

 …………物凄く、嫌な予感がする。

 

「ヴィータじゃないか。そっちは片付いたのか?」

 

 ……………………あ?

 

「あぁ。吹っ飛ばして、魔力を奪ってきた」

 

 …………………………おい。コイツは、コイツらは今、なんつった?何を、片付けて、何を奪ってきたって?

 

「アイツ、中々強かったが、アタシ程じゃ、無かったな」

 

「そうか」

 

「そういや、アタシが倒した後『あおな、なのは……ごめん』とか言ってたが青菜と菜の花がどうしたんだろうな」

 

「知らん。そんなのは私が預かり知る所ではない」

 

 …………………フェイトさん、最後まで……。

 

「………っ!?な、なにこの魔力量……。闇の書が蒐集するよりも早く回復を……!?」

 

「それならもっと蒐集スピードを早くすれば……」

 

 俺、堪忍袋の緒が切れた。

 

「……だめ!このままじゃ、私の旅の鏡で押さえられるキャパシティがオーバーしちゃう……」

 

 これは……なんだ?

 身体を満たすこの力は……。

 ……嗚呼、そうか。これは"怒り"なのかも知れない。

 あれだけいっちょまえに大口叩いて、その結果フェイトさんも守れず、フェイトさんを傷付けられた……。

 ……フェイトさんを思えば想うほど、強くなれる、そんな気がした。なら、俺にはまだ足りなかったんだろう。覚悟も、勇気も、誓いも…………そして、何より圧倒的に『愛』が、足りなかった!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――フェイトさぁぁぁぁぁぁぁんっっっ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう、叫んだ途端に身体の奥底から力が湧いてきた。

 それと同時に俺を縛っていた紫色のリングが弾け飛び、俺の近くにいた四人組も吹っ飛んだ。

 

「な、なんだコイツ!?化け物かよ!」

 

 そんな事を言われるなんて心外だ。

 だけど、気にしている暇は俺には存在しない。一刻も早くフェイトさんの元に向かい、手当や介抱をしなくちゃいけない。

 

「すいませんが……今は貴方方に構っている暇はありません。……ですので、ここで俺は去ります!」

 

 俺はその場から飛び去る。その際、シグナムさんが『待て!止まれ!うわぁぁぁ!』とか言っていたが、気にしたら負けだ。

 

 

 

 

 

 …………暫くして、フェイトさんが気絶しているであろう場所に着いた。その場所は、至る所がボロボロにされており、それだけでどれだけここで激しい戦いが行われていたのかが伺える。

 その場所に留まり、周りをキョロキョロと、見逃しが無いように慎重に、されどフェイトさんを助ける為に全力でキョロキョロする。――見つけた!

 フェイトさんは、どこぞの公園の噴水の中で水を被っていた。……って、ヤバイ!このままじゃ風邪を引くどころの話じゃ無くなる!

 

「フェイトさん!フェイトさん!しっかりしてください!」

 

 地面に降りた後、すぐさまフェイトさんの近くに駆け寄り、安否を確認する。

 幸い、傷らしい傷は見当たらず、傷という傷は二の腕辺りの擦り傷と太股辺りの内出血による青いあざが出来、少し気絶しているだけのようだった。

 それで一安心は出来たが………激しい怒りが胸の中に渦巻く。

 絶対に許さねぇ……。あの騎士共……(特にヴィータ)。

 次会ったら絶対に泣かせてやる(特にヴィータ)。

 そんな事を考えていると、後ろから声を掛けられる。……誰だ?今の俺は気が立っているからかなりご立腹だぞ?

 

「おい!お前、フェイトに何をした!」

 

 それは女性だった。オレンジの長髪にワイルドな格好。女らしさはデカさ(どこがとは口が裂けても言えない)と髪の毛と顔立ちと体つきだけのような女性は剣幕を顔に浮かべ、俺を睨む。

 俺も負けじと睨み返す。

 

「……貴女こそ、誰ですか?俺は今フェイトさんの応急手当で忙しいんですよ。邪魔をしないで貰えますか?もしかして貴女はあの騎士共の仲間ですか?もしそうだとするなら決して容赦することなく骨の5、6本は折ることになりますがそれでもいいですよね?さて、貴女は誰ですか?」

 

 多少ヤンデレが入っているが、怒っているもの。仕方ない。人は怒ると早口になる、言葉に詰まりながら喋る、ゆっくり喋るようになる、無言の腹パン、などといった行動に別れる。

 俺の場合は早口になる。

 

「あ、なんだ……よく見ればフェイトが言ってた男友達と容姿が似ているが……もしかしてあんたがあの『盾街 あおな』なのか?」

 

 俺がフェイトさんの応急手当をしている、と言った瞬間にその女性の顔から一瞬で剣幕が消え、そして俺の名前を口に出してきた。驚ろき過ぎてザフィーラさんの所にフライパンを忘れた事を思い出してしまったじゃないか。どうしてくれるんだ……マジでどうしよう。

 ………さて、その女性をよくよく見てみるとその女性の頭からは髪の毛と同じ色の耳と、お尻の当たりから申し訳なさそうな感じで垂れているこれまた髪の毛と同じ色の尻尾がある。

 もしかして、最近こういったコスプレが趣味の人が多いのかな……(ザフィーラさんを思い出しながら)。

 

「あ、はい。確かにその盾街 あおなは俺で合ってますよ。……で、貴女は誰なんですか?」

 

 フェイトさんとはなにかしらの関係があるとしても、流石にそれだけで信用できる程俺はだだ甘じゃない。

 

「あぁ、ゴメン。あたしはアルフ。その子の……フェイトの、使い魔だよ」

 

 …………TUKAIMA?

 

「……あの、その、使い魔ってその……」

 

「あー……。恐らくあんたが想像してる通りの事でだいたい合ってるよ」

 

「えっと……主人の目的の為だけに作り出され、維持するのが大変だから目的を終わらしたら消される、あの?」

 

「…………凄いなあんた。プレシアが言った通りの事を言いやがった……」

 

 …………もし、その通りだとしても、俺は絶対にフェイトさんを嫌いにはならない。きっと、何か理由があるはずだ。

 

「あ、何か勘違いしているようだから言っておくけど、フェイトはあたしをそんな『使い捨ての道具』みたいに使った事は一回も無いよ?………どちらかと言えば、フェイトはあたしよりも重荷を背負っちゃう子だったし」

 

「え?じゃあ、フェイトさんは貴女を、使い魔と言うよりは姉妹みたいな関係で接している、と?」

 

「うん」

 

 あぁ、やっぱりフェイトさんはフェイトさんだった。もう辞書の慈愛の欄にフェイトさんって入れてもいい程だと思えるくらい、やっぱりフェイトさんはフェイトさんだった。

 

「あ、そうだ。フェイトの応急手当、手伝うよ」

 

「ありがとうございます。……正直に言えば、俺だと触れない所とかあるので、治療はどうしようと思ってました」

 

 特に二の腕とか太股とか。

 マジで俺の煩悩死すべし。慈悲はない。

 

「あはは……。仕方ないな」

 

 そう言い、アルフさんは掌をフェイトさんの少し傷がある所に(かざ)すと謎の光線が出てきて、フェイトさんの傷を癒す。

 ………いやぁ、良かった良かった。一時はどうやる事かと……ん?

 …………………どうして、掌を翳しただけで傷が治るんだ?

 ふと、思ったが、俺はいつの間にファンタジーの世界に足を踏み入れてしまったんだ?

 

 気付いた時には後の祭である。




~その後の仮面の男達~

((出番ェ……))


◆◇◆◇◆◇

 あおなが覚醒(w)と、ここで初めてプレシアさんの名前が出ました。
 後、最後の方が駆け足気味になり、申し訳ございません。もし私が思う所があれば直します。

 感想、質問、批評、誤字脱字報告待ってます。
 次回もよろしくお願いいたします。

 では、良いお年を。

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