キリエさんの事情は分かった。それに助けてもらったしこれ以上責める必要ないだろう。実際、フェイトさんが被害を受けた訳じゃないし。俺としてはちょいと早めの娘との出会いがあっただけで角辺りの異臭に気を付ければなんとかなるだろう。まぁ見たって訳じゃないから大丈夫……なはず。
さて、キリエさんの話を聞いてたらフェイトさんがしゅてるんを引き連れやって来た。
……流石にレヴィちゃんとかヤガミモドキとかいるから本物だとは思うけど……本当にしゅてるん、だよね?
「……
疑いの眼差しを向けていたが、しゅてるんがこちらを見てニッコリと笑ったのを見てあぁ本物だと理解できた。と、言うか、フェイトさんと一緒にいる時点でもう信頼出来る。
なのでフェイトさんの方へ目を向けたんだけど……フェイトさんは俺の顔を見るなり慌てたように目を泳がせ、顔を下に向けた。
……なんだろう。こう、胸が辛くなるタイプの目頭が熱くなってくるやつだこれ。
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第62話『でもそれって根本的な云々』
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「……
おっと、つい俺のどこが悪かったのかを考えてたら話を聞くことすら放棄してたようだ。……結論としてはんー……やっぱり、守れなかった事なのか、それともヴィヴィオちゃんを泣かせた事。大穴狙いで死にかけたもとい死んだ事かなぁ……。
そんな俺をクロノが完全に呆れてるような口調で話し掛けてくる。
「……その顔を見るに君は聞いてなかったようだな」
「すいません。まだ意識が戻ったばっかりなんでつい」
「そういえばそうだった。……身体の具合はどうだ?」
先程まで眠りこけてたんだ。この手を使わない訳にはいかない。
「まぁ大丈夫です。それで、どうしたんです?」
「あぁ。今はあのシステム『U-D』についての対策会議を開いてたんだ」
話を聞くところによると、今の所大きな動きは余りないそうだ。……小さな動きとしてはここら一帯の次元世界を有人だろうが無人だろうが関係なしに乗り込んで魔力を奪うだけ奪ってまたどこかへってのを繰り返してるそうだ。前よりもパワーアップしてるとかどうとか。しかも世界を軽く滅ぼせたいつぞやの『ナハトヴァール』よりも強くなってるそうで。
あとは
あとついでに徳三四姉妹がぶちギレてるそうだ。知りたくなかったその事実。
「……と、こんな所だけど、何か質問は?」
「特に」
今はそんな事よりもフェイトさんの事でいっぱいいっぱいだ。……むむぅ。まさか本当に今度こそ嫌われてしまったんだろうか。
そう思いフェイトさんを目で探すが見つからない。……フェイトさんの事を考えたいたのにフェイトさんから目を離すなんて俺はなんて駄目な奴なんだろうか。
その代わり、と言うかフェイトさんに代わりはいないけど、
「お待たせ。ようやく戻ってこれたわよ……ってあれ?もしかしてもう会議終わってる?」
そんな
「ついさっき終わった所です」
「そっか。……まぁ詳しいことはあとで聞きましょう。……さて」
終わったのなら俺もフェイトさんを探すために席をはずそうと立ちかけたらクロノにガッと肩を掴まれ椅子に尻を叩きつけるように座らされた。尾てい骨の辺りがジーンとする……。
「まずは生きてて良かった。……久し振りね。プレシア」
「……えぇそうね。久し振り、リンディ」
二人はシリアスな顔でお互い向かい合っている。
つか、
「……あの、俺は関係無いんじゃ?」
「……いや、僕もあまりよく分からないがプレシア女史が君をご指名だ」
つまりはあれか?リンディさんとの話し合いが終わったら次は俺との個人面談でもするのか?内容はフェイトさんとのお付きあいを考慮に入れた進路相談?
……それとも、母親から直にお断り?
そんな俺の悩みなんて完全に無視して二人のシリアスな表情が氷が溶けるように笑顔になっていって懐かしむようにリンディさんが話始める。
「あの時も、こんな感じだったわね」
「そうねぇ、ガタノなんとかが出たときもこんな感じだったわね。……あの時はリンディがわたわたしてたっけ」
「あっ、あれは、その……私だってあんなのに会ったの初めてだったんだし……」
いったいどう言うことなのか俺にも詳しく聞かせて欲しい。
……クロノ曰く二人は
「……で?貴女がここにいるって事はゆっくり昔話をしに来た訳でも捕まりに来た訳でも無いんでしょう?」
どうやら
虚数空間ってなんだ。
「そうね。……まぁ、はっきりと言っちゃえばそこにいる『盾街 あおな』。……確かめたらあの二人の子供だってさ」
唐突にこちらを向いて俺の名前を出すなんて心臓が跳ね上がるくらい驚きますよ
「知ってるわよ。……知ってる」
そこでなんで肩を落とすのかを小一時間問い詰めたいぞリンディさん。
「あ、あの……盾街がどうかしたんですか?」
ここぞとばかりにクロノ君がはっきりと聞いてくれた。ナイスだクロノ君。好感度が高町よりも少し上になったぞ。
「……彼の父親である盾街 ごくはと母親である六柱 すずむには昔、お世話になったのよ」
父さんと母さん、ほんとなにしてんだよ。
「……あれは今でも思い出したくないわ。なんで魔法を鉄山靠で打ち消せんのよ……。ごくは君は『極め続けた』とか言ってたけれども、それでも限度があるわ……」
父さん昔はやんちゃしてたって聞くがこれはやんちゃってレベルじゃねぇぞ。
「懐かしいわねぇ。プレシアとかよくすずむちゃんに突っ掛かってたじゃない。『どっちが魔法を使えるか勝負だ!』って」
「そりゃあんだけ才能を見せられたら黙っていられる訳が無いわよ」
知りたくなかった両親の昔の暴れっぷりを聞きつつ、頭を抱える。
なんというかこう、身内が恥ずかしいというそんな羞恥心で死にたくなってくる。
「……えっと、それをふまえてなんで俺を?まさか昔話を聞かせるためにってのはあり得ないですよね?」
それか父さんか母さんが『もしも子供が産まれたらそいつは管理局には入れちゃ駄目』だとか言ってるとか?
……それならまぁ謎の感動が俺の心を覆うわけだが。
もしかして父さんと母さんは俺の事を……!
「そんな事は一言も言ってなかったわ」
今度父さんに出会ったら首締め背負いしてやろう。母さんには俺お手製の食い合わせ料理を一週間作ってあげよう。なに、日頃の
「……そうねぇ、あおな。貴方は本気で管理局に入るつもりなの?」
「えぇそうですが」
フェイトさんの為なら例え火の中水の中墓穴掘っても堀抜いて、フェイトさんを守れるならば俺の勝ち。
「なら、覚悟しときなさい。貴方は才能だけならあるんだから。精々管理局の上に気を付けることね」
覚悟ならフェイトさんに出会う度に何度でも重ねがけされるから問題はない。
~その後のプレシアさん~
(まぁ、その才能もその恋心に一途な所為で変な方向に捻じ曲がっちゃってるけどね)
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それとあおな君の容姿について質問があったので
あおな君の容姿は決めてません。
強いて言えば黒髪黒目の少年という感じでイメージしてます。
なんでしたら読者の皆様のご想像に……いや、なんでもないです。
さて、感想、質問、批評、誤字脱字報告待ってます。
次回もよろしくお願いいたします。