『愛』はすべてに打ち克つ!   作:とかとか

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今回は難産でした……。


第61話『愛しているんだあなただけ』

「ほら、見てくださいよこのフライパン。灰色でしょ?汚いでしょ?」

 

 色は確かに赤くなったりはするが、それは赤熱した時ぐらいしか見たことはない。

 

《汚いってやめんか。儂はこの通り綺麗な……》

 

 嘘だ!

 

《最大の否定!?》

 

「……本当に、灰色だ。でも俺が『次元世界のフライパン展示会』で見たときは真っ黒だったのに……」

 

 すげぇな。未来の人ってフライパンを飾りまくって楽しむのか。変わった趣味してんな。

 

「……名前も確か……『ユニコーン』って……」

 

 ……真っ黒でユニコーンって……それ2号機の方じゃ……。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

第61話『愛しているんだあなただけ』

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 シュテルの『貴女はあおなの事をどう想っているんですか?』の一言がズキリと突き刺さったと同時に、胸の奥にもやもやとした、なんというか、とてもとても不快になる気持ちが浮かんできた。

 一瞬……うん、一瞬だったけど、シュテルの事が嫌いになった。

 

「……私は……」

 

 私は、あおなの事を今よりももっと知りたいって思ってる。あおなに会えば嬉しいって気持ちも出てくるし、楽しいって気持ちも出てくる。アルフに言わせてみればそれは恋なんだって事らしいんだけど……。

 ……なら、私はあおなを愛していない、のかな。恋してるって事は、愛していないって事、なのかな。

 

「……私は、あおなの事が……」

 

 あおなといると、胸がドキドキする事がある。あおなといると、不意に顔が熱くなる事がある。

 あおなを大切な友達だって考えると、胸がぎゅっと切なくなって……辛くなって。

 この気持ちはなんだろうって思うことが沢山あった。

 

「私は、あおなの事が好き…………なんだと思う」

 

「……好き、ですか」

 

 今まではずっとあおなに大好きだって言われたり、愛してるって言われてた。けど、あんまり意味がわからずにいた。私だって、あおなは好きだよ。……でも、家族や友達とはまた違う。なんていうか純粋に好き……、なのかな……。

 

「一緒にいると、楽しくて、嬉しくて……」

 

「……それは、つまりタカマチナノハや、夜天の主と一緒にいたら楽しくない。そういうことですか?」

 

「なのはとはやてといたら、勿論楽しいし、とっても嬉しい事だよ。……でも、あおなの事をなのはとはやてと同じって思ったら私の胸が痛いんだ……。まるで違うって言ってるみたいに。確かになのはもはやてもアリサもすずかも、アルフに母さんにリニスにヴォルケンリッターの皆やリインやナハトや管理局の人達、皆大好きだよ。……だけど、あおなだけ、その好きとは違う」

 

 うん。そうだ。やっぱりあおなは、私にとっては特別な好きなんだ。そう認めたら、胸の奥にかかってたもやがすっきりと晴れた気がした。

 ……そっか……。

 

 

 

「私はあおなに恋してる」

 

 

 

 口に出して改めて理解できた。今、自分が誰を本当に好きなのかを。

 ……そう思うと、アルフってすごいなぁ。私のこの気持ちを早めに察知してたんだから。

 

「……そう、ですか。恋を……。ふむ」

 

 ……って、あ。そ、そういえばシュテルはあおなの事を愛して……。うぅ、また胸がもやっと……。

 

「……ふふ」

 

 シュテルに笑われたっ!?

 

「……どうやら、私は余計な事をやらかして最大のライバルを目覚めさせてしまったみたいですね」

 

「ライ……バル?」

 

「えぇ。そうです。これからは私達はあおなを巡るライバルになりますね。……これから、ライバルとしてよろしくお願いします」

 

「え?あっ、はい。……こちらこそ、よろしくお願いします……」

 

 少し焦りながら、だけど、シュテルの差し出した右手をしっかりと握る事は出来た。

 ……それと同時に、改めてシュテルがあおなの事が本当に好きなんだって分かった。

 絶対に、負けないんだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あと、先程の私の呼び方については失礼しました……。少し、ピリピリしてたモノで……」

 

「あっえっと、それは私も配慮が無かったから……その、本当にごめんなさい……」

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 ……結局、渋々とだが彼ら未来ボーイ&ガールズは納得してくれた。そんでクロノと共にヴィヴィオちゃんを残して部屋を出た。

 ……未来の俺ってそんなにイコールでフライパンなレベルでしか存在してないんだなって理解も出来たいい機会だったと感じておこう。納得は出来ないが。

 

「えへへーパパー頭撫でてー」

 

「嫌です」

 

「そんなぁ……味方したのに……」

 

 確かに俺をフォローして……まぁ、してくれたか。してくれたのはありがたかったが、すぐに掌をリバースオープン仕掛けたのはさすがに許せないというか、なんと言うか。

 ぶっちゃけるとどうしてフェイトさんじゃないのに同世代の頭を撫でなくちゃならんのか。

 ……もし、仮に、フェイトさんが『頭撫でて』って言ってくれたら……。

 

 しかし 俺 の 妄想力(M P) が 足りない!▼

 

 ちくしょう。こうなりゃいつしかフェイトさんを抱き締めた時の感触を思い出して……うわ俺キメェ……。

 

「……なら、どうしたら頭撫でてくれる?」

 

 うーむ。何故ここまで頭を撫でられる事に執着してんだ?それに、俺はついさっきまでベッドでスヤァしてた身だ。その間に勝手に俺の腕使って……あぁそういやボロボロだっからか。

 ……まぁ確かにヴィヴィオちゃんは今回フェイトさんと俺をあの金髪さんから助けてくれたって話らしいし、まぁいいや、撫でてやろう。

 

「……分かりましたよ。じゃあ頭こっちに貸してください」

 

「え!いいの?わぁい!」

 

 そうやってニコニコと近付いて来たヴィヴィオちゃんの頭に左手(・ ・)を乗せようとしたら弾かれた。

 …………ん?

 

「そっちの手は……いい」

 

 なんだァ?テメェ……。

 

「お帰りはあちらなんでさっさと出ていって下さい」

 

「……えっ!?あっ……ご、ごめんなさい!」

 

 なんだよ。撫でろ撫でろ言ってたから撫でようと思って手を伸ばしたら拒否られるって新手のいじめかよふざけんな泣きそう。

 

 

 それからクロノが俺を呼びに来るまでヴィヴィオちゃんは泣いていたと言う。自業自得だ。

 

 

 

「久し振りだね!盾街 あおな!」

 

 クロノに連れられ、泣くヴィヴィオちゃんを背中に背負いながら着いた会議室っぽい所には既に何人か集まっててそこには水色のツインテールを揺らすレヴィちゃんもいた。

 その隣に居心地が悪そうなヤガミモドキもいた。結局こいつはなんて名前なのか……。

 

「良かった……。生きてたのね~?」

 

 ……えっと……あぁ!

 

「傷だらけの桃色さんでしたっけ?」

 

「あっそういえば自己紹介してなかったわね。私の名前はキリエ。キリエ・フローリアンよ。よろしくね~?あおな君」

 

「そして私がキリエのお姉ちゃんであるアミティエ・フローリアンです!よろしくお願いしますね盾街さん!あっ、私の事は、アミタ、とお呼びください」

 

 キリエと名乗る女性の後ろからぬっと赤い髪の女性が現れた。

 俺の名前は既に知られてたようだ。

 

「あっはい。よろしくお願いします。……それと、出来れば説明をお願いしてもらってもいいですか?」

 

「……はい。分かりました」

 

 ……アミタさんから聞いた事を纏めると、アミタさん達がいた所(エルトリアって名前らしい)が『死触』ってので土地とかが死んでってる。

 その『死触』を止めようとしてるのがアミタさんとキリエさんを作ったグランツって博士なんだけど、そのグランツさんも不治の病らしく、先も長くない。だからそのグランツさんが死ぬ前に綺麗になったエルトリアを見せたい。そのためにあの忌まわしき金髪娘の持ってるであろうエグザミアってのが必要なんだとキリエさんが気付き、そんでそれが取れるであろうラストチャンスらしきこの時代に飛んできて、それを止める為にアミタさんも来て、で、それに巻き込まれるようにしてヴィヴィオちゃん達が来ちゃったと……。

 ……ふむ。

 

「……キリエさん。貴女はそのグランツさんのその努力を無駄にしようとしてるんですか?」

 

「…………」

 

 俺がキリエさんに問うと、キリエさんはそんな事は分かってるとでも言いたげに顔を背けた。

 

 

 

 ……なるほど。つまりはもうそれほどまでに追い詰められてるって事か。




~その頃のフェイトさん~

(改めて、そうだって思ったら……。あおなの顔を見るのが恥ずかしいよう……)


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


ようやく、フェイトさんが自覚しました。

あと、やっとまともにアミタさん出せました……。

さて、感想、質問、批評、誤字脱字報告待ってます。
次回もよろしくお願いいたします。

多分ガンダムブレイカー3のせいで遅れ…………ないようにほどほどにしときます。







そういえば、四月から遊戯王は10期ですね……。

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