……あれから、もう3日くらい経ったかな……。
あの後……あおなが目覚めて気を失ってあと、なのはと私も検査を受けることになって、色々と精密検査を受けた。結果はただ手首を捻挫しただけで、それ以外はなんの外傷も無かった。
今は、退院してもいいよって言われたから私は『バルディッシュ』と『レイジング・ハート』が修理されてるこの場所に来てる。
……そこでヒビ割れている『バルディッシュ』を見るたびに、胸の奥底がギュウって握られてるような悔しさが込み上げてくる。
……私には、まだまだ力が足りないんだって。
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第60話『問おう。あなたが何を考えてるのかを』
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
さて、俺が気を失って目覚めた時、個室に閉じ込められていた。突き破ろうとしたが今度の扉は新品らしく突き破れない。今はこんな所に閉じこめられている場合じゃない、気になることがあるのに……特にフェイトさんは無事なのか、とかフェイトさんはもう泣いてないよね?とか。それをクロノに聞いたら懇切丁寧に教えてくれた。
無事ってね。
だが俺はクロノをそんなに信じてない。
だからとりあえず早くこの個人用個室……別名牢獄から出してくれやがれやとの事で何度も何度も扉を拳で殴ったら痛いから中身の入った缶ジュースを投げつけてる。それでなんとか扉を凹ませる事は出来たがそれ以上は無理みたいだ。なので今度は壁を突き破ろうと植木鉢で殴ってみたらヒビが入るには入ったが植木鉢が粉砕した。
どうすりゃいいってんだ……早くフェイトさんに会ってちゃんとこの口で大丈夫だって言いたいのに。
こうなりゃ自棄だ。タックルでこじ開けてやる。
部屋の限界まで助走をとり、そのままDASH!
「……盾街あおな。とりあえず話を聞きに……ぐぅっ!」
おおっと偶然扉が開いて出てきたクロノ君!吹っ飛ばされたー!
「ひっ!?」
と、そんな俺をドン引きしたとでも言わんばかりのニュアンスで悲鳴をあげたのは、クロノが恐らく連れてきたであろうピンクの髪の女の子がいた。
「ダリナンデスカアンタタチイッタイ……」
その女の子が俺を見るや否や一歩後ろに下がるとそれに呼応するように赤髪の少年と茶髪の少年……青年が守るように前に出る。後ろでは白い髪の女性とちっp黒髪の少女がピンクの髪の女の子を慰めていた。
……その布陣、もしや初対面で引かれる程俺の顔面が酷くなってるって事の証明か?そうじゃなくても深く傷付くレベルだぞ。
あぁ分かった。オンドゥル語だったからダメだったんだ。ここはグロンギ語じゃないとダメだったのか……。選択ミスっちまったかぁ……。
「……貴方は、本当にあおなさんなんですか?」
赤毛の子(恐らく同年代)はどうやら質問に質問で返す子らしい。
まぁ名を訪ねる時は自分から………って
「なんで俺の名前知ってるんです?……自己紹介しましたっけ?」
話を聞くと、彼らもどうやらヴィヴィオちゃんも同じように未来からこちらにやって来たと言う。そこで見たことがない場所で困惑してたら未来の俺を幼くしたような人物を見付けてなんか安堵してたら満面の笑みで襲ってきて、防戦一方だった時に茶髪君がやって来てなんとか持ち直したけれどやっぱり勝てなかったよ……って時にクロノが来て助けてくれたとか。
ふぅーむ……。
「えぇっと……一つ確認してもいいですか?」
「……なんですか?」
そんなに警戒しなくても……。
「貴方達って未来のフェイトさんに鍛えられてたんですよね?」
「あっはい。フェイトさんだけじゃなく、なのはさんとかヴィータ隊長とか、あおなさんに鍛えられてました」
あぁそれなら確実に俺じゃねぇや。
「安心してください。それ、俺じゃないです」
「…………え?」
おうそこの茶髪ボーイ。文句あるならちゃんと面と向かって言いやがれ。
………コホン。
「未来で今よりも確実に強く美しくなっているフェイトさんと元から魔王なのに進化して第六天魔王くらいになっている高町さんに鍛えられたって事は未来の俺の事は分かりませんが、貴方達から見たら今の俺は指先一つとまでは行きませんでしょうが、軽く捻り潰せる実力はあると見受けられますよ」
それを聞いて考え込む未来ボーイ&ガールズ。ここまで言って信じられないって……あぁ、まぁ、実際俺が出てきたって話だし……どうなってんだ。
……さて、どうするべきか。実際に戦ってみるとか?確実に俺が一人死ぬから却下。
「パパを疑うのはそこまでにしてもらおうか!」
そんな時に出てきたのはヴィヴィオちゃん。もうこの際疑いを晴らしてくれるのならどう呼んでも許可する。
「えっ……ヴィヴィオちゃん?……僕達が知ってるヴィヴィオちゃんよりも……若干大きい、ような……」
「え?小さくない?」
意見の相違?この場合は時間軸の相違?
「私はこれから大きくなるから問題は無いもん。……コホン。さて……貴方達がそのあおなパパっぽい人と戦ってたらしき時、パパはずっと私達といたよ?事実、それでパパ死にかけてた……訳だし……」
こらこら、そこで深い影を落とすのをやめなさい。
「……でも、俺達が出会ったのは確実にあおなさんだった。だって、あんな
「………むむむ」
……えっ?なにそのむむむ。
「……でも、もしかしたらそれあおなパパを語った人なんじゃ……」
「……僕も、あのあおなさんと戦ってた時に違和感はあった。……けどあのフライパンを見たときにやっぱりあおなさんはあのあおなさんしかいないって……思って……」
「そう、だよね……。私達は過去の事は画像でしか知らないし、その画像も載ってたとしてなのはさんとかフェイトさんとか八神部隊長にヴォルケンリッターの方々の活躍ぐらいしか……」
……ん?あれ?そういやヴィヴィオちゃんに俺のフライパン、見せたっけ?
つか、黒?……まさかあのフライパン、カメレオンよろしく体色変化の機能まで持ってるんじゃ……?
《流石にそんな事はできんぞ。お主は儂をなんだと……》
フライパン。
《それはそうじゃが……》
「あの…「やっぱり、あおなパパが……?」
おいヴィヴィオちゃん。まさか掌をセットしてたとは思わなかったぞ。それでもリバースするの早すぎだろ。
「いや、そうじゃなくて……あの、俺の持ってるフライパン、白……いや、だらしねぇ灰色ですよ?」
『え?』
すごい。ここまで大合唱な疑問を初めて聞いた。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「ここに、いらっしゃいましたか。フェイト・テスタロッサ」
私を呼ぶ、声がした。
そちらに顔を向けると、なのはによく似てる……確かあおなが呼んでた名前は……
「しゅてるん……だっけ?」
「……貴女には
一瞬ムッとした顔をした後に敵意丸出しの声でそんな事を言われた。……簡単に呼んじゃ、ダメだったんだ……。悪いことしちゃった。
「えっと、ごめんなさい……。その、悪気があった訳じゃ……」
「……そんな泣き出しそうな顔で謝らないでください。……まるで私が悪いみたいじゃないですか」
「あっ、そ、そんなつもりじゃ……ごめ「だから謝らないでくださいって」……あ、あぅ……」
しゅてるん……もといシュテルは溜め息を吐き出した。もしかして私、呆れられたのかな……。
「……
「……え?」
「いえ、なんでもありません」
なんだったんだろう。……よく聞き取れなかった。
――ここは聞いたらダメだよフェイト。空気を読めるようにならなくちゃ
あっ、姉さん起きてたんだ。
――………フェイトぉ……
「さて、改めて。……フェイト・テスタロッサ」
「は、はい!」
シュテルが私を強く睨んでくる。……うぅ、さっきの事、やっぱり相当頭に来てるんだ……。
「私は、貴女に言っておかなければならないことがあります」
説教、かな。……安易に人のデリケートな所に踏み込んじゃダメだ、とかそういった感じの……。
「私は盾街 あおなを愛していますが……貴女はあおなの事をどう想っているんですか?」
「…………え?」
説教が来るって予想していて、油断していたのからかなのかどうかは分からないけど、シュテルのその問いは私の心の中にズキリと突き刺さった。
~その頃フェイトさんとシュテルの話をたまたま聞いてしまったなのはさん~
(えっ……えぇ!?……シュテルが、あおな君を?えぇ?ライバルが増えたぁ!?)
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さて、これで一応出すべき人は全員出しました(赤毛熱血お姉ちゃんから目を逸らしながら)。
………ちゃ、ちゃんと出番はありますよ?(震え声)
さて、感想、質問、批評、誤字脱字報告待ってます。
次回もよろしくお願いいたします。