『愛』はすべてに打ち克つ!   作:とかとか

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純粋に、強引に物語を進める回です。


第51話『赤桃竜と茶白黒とたまに闇』

 

 

 ソイツ(・ ・ ・)がもう完全に息を引き取ったと確認し、クルリとフェイトさんの方へと目を向ける。

 

 

 しかし、そこにはフェイトさんの姿はどこにもなく、その代わりにぐちゅり、と、まるでびちゃびちゃの生肉をナイフで突き刺したような音がオレ(・ ・)の身体の内から聞こえて来た。

 

 

 オレ(・ ・)の身体……?

 

 

 腹部の辺りを見てみると、フェイトさんが涙を流しながら『バルデイッシュ』のザンバーフォームを突き刺していた。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

第51話『赤毛と桃毛とたまに竜』

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

~時はかなり進み、少し巻き戻り 新暦75年 ある日の午前~

 

「はーい!今日の教導はここまで!みんな、あとは身体を休めてしっかりとイメトレと復習頑張ってね」

 

「「「「はい!ありがとうございました!」」」」

「キュク!」

 

 これにて今日のなのはさんの教導は終了……。今日は珍しく教導は朝だけで昼からは各自自由行動となっている。……教導を始める前になのはさんが『今日こそあおな君にプロポーズ……』って言っていたのは聞かなかった事にしよう。あと、あおなさんはあおなさんで『今日はフェイトさんと一緒にランチ食べるんだ……』って浮かれてたのはなのはさんには言わないでおこう。二人とも同じことを毎日言うもんだから完全に地球の諺で言う耳にタコって奴になってる気がする。

 

「エリオ君、お疲れ……」

 

「キュクゥ!」

 

 と言うわけで着替えて更衣室を出ると、そこには疲れきった顔のキャロと何故か元気そうなフリードがいた。

 

「あ、キャロ、お疲れ。フリードも」

 

「エリオ君、今日の教導どうだった?」

 

「あー……うん。何て言うか今日のなのはさん、僕達の弱点ばっかり狙って来たよね。僕の場合は『頑張ってねエリオ君!半径20m、アクセルシューター!』とか……。正直、あんなにぎっしりと展開されたら避けられる気がしないよ……」

 

 ……でもあれ(半径20mアクセルシューター)より酷いのをあおなさんは避けたってフェイトさんが言うし……あおなさんって強いのか弱いのか本当によく分からない。

 

「……エリオ君はそれだったんだ。私の場合はね?なのはさんが『ファンネr……ピット!』とか言いながら6つくらいピットが飛んできて、そのピットから飛び出てくる魔法弾を避けながら強化魔法を掛けなくちゃいけなかったの……。あれ、一発でも当たったら掛けてた強制で詠唱が途切れさせられる効果持ってたから避けるのが辛かったよ……」

 

 ……うぅ……なんだかやる気がドンドン無くなってきた……。僕達はいつになったらあの人達みたいになれるんだろう……。

 

「昔のあの人達、見てみたいね……」

 

「そうだね……」

 

 そんな事を呟いた時、ふっと足元が軽くなった感覚があった。

 何て言うか、地球のダルマ落としって遊びのような、下にあったモノが無くなって重力に逆らえなくなった感覚。

 

「「へ?」」

 

 だからこそ反応なんてすぐに出来る訳がなく、僕達の身体は磁石のNとSのように地面に引き寄せられる結果となった。

 ちなみに、フリードはキャロに尻尾を掴まれ、そのままそこにいる。

 

「き、キャロォォォォォ!?」

 

「どうしてぇぇぇぇぇ!?エリオくぅぅぅぅん!?」

 

 地面へと向かっていく速さは落ちる時間と共に加速していく。防御魔法を張っている暇もなく、ただただ、心の中でフェイトさんに先立つ不孝をお許し下さいとしか思うことが出来なかった。

 

 

 

 だけどその直後。

 

 

 

「ハルトォォォォォオォォォォォ!!!」

 

 僕達は背中に羽のようなモノを着けたマヨネーズみたいな頭をした人に落ちている最中に背中を掴まれ、救われた。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

~新暦81年 ある休日~

 

「トーマ!トーマ!このフライパン凄くない?すっごい軽いよ!まるでここに無いみたい!」

 

 あるのに無いってどういう事なんだろ……。

 

「……このフライパン……爆破にも対応している……だと!?」

 

 対応しているのは分かったから爆破しようとしないでくれ……アイシス。

 今、俺達は八神司令に(アイシスが頼み込みまくって)もらった休日を利用して何故かなのはさんから勧められた『次元世界のフライパン展示会』と言うのに来ている。……いや、本当になんでなのはさんは俺達に勧めて来たんだろう。

 

「トーマ!これ、あおなさんが持ってるフライパンと同型機だよ!」

 

 そう悩んでいた時にリリィから唐突に声を掛けられる。その声を聞きながら俺はその声の指す方へ目を向けると、そこには立派な四角いフライパンがあった。

 そのフライパンを見ながらふと思う。……あおなさんって今までこんな……言っちゃ悪いけどパッと見ふざけたような得物で数々の事件を解決に導いているんだなって。

 

「これがあおなさんの持ってるフライパン、か……」

 

 ……ってこれ、よくよく見たら『ユニコーン・レプリカ』って書いてある。同型機って言うよりあおなさんの持ってるフライパンの忠実な再現(コピー)って奴かな……。

 でも、どこにでも売ってそうな感じがするし……実際の所は全く分からないけど。

 

「……う~ん。悩んだけどやっぱりこの三角っぽいフライパンにしようっと」

 

「ん?……アイシスはそのフライパンを買うの?」

 

「うん。だって見てよリリィ。このフライパン、第1116管理外世界の鉱石をふんだんに使ったフライパンらしくって、爆破耐性どころか炎熱耐性に冷却、電撃耐性となんでもござれのフライパンだよ?それなのに熱の伝導率もそこそこいいとくればこれはあたしにとっては完全に買い、だよ!」

 

「じゃあ私は……この長丸っぽいのを買う~」

 

「あれ?リリィも買うの?……でもなんでその形(長丸)?」

 

「だって可愛いもん」

 

「可愛いなら仕方ない」

 

 ……二人とも、ちゃっかりフライパンを買おうとしてるけど、それの代金出すの俺だからね?……まぁ、別に構いやしないんだけど。……どうせなら、俺も一つ買って帰ろうかな……。スゥちゃんのお土産にもなるし……だけどスゥちゃんだけにお土産って言うのはナカジマ家の人達が『あれ?私達のは?』って言いながら怒るのが手に取るように分かる……。どうしよう……。

 

《それでしたら、ナカジマ家自体へのお土産とすればいいんじゃないでしょうか》

 

「……そうか、その手があったか!ありがとうスティード!流石は俺のデバイス(相棒)!」

 

《いえいえ、このくらいは》

 

 そうと決まれば善は急げだ!俺は手頃な丸い形のフライパンを手に取り、既に会計を済ませた二人を横目に会計に向かおうとして振り向くと――

 

 

「は?」「え?」「あれ?」《ファッ!?》

 

 

――そこには会計どころか会場すらなく、ミッドチルダとは到底思えないような商店街がそこに拡がっていた。

 

「……どこだ?ここ」

 

 その質問に答えてくれたのは、以外にもスティードだった。

 

《……その質問に簡単に答えるとすれば……新暦66年の第97管理外世界『地球』の海鳴市って所らしいです》

 

 ……なんでそんな所に俺達が……?

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 私達はただ今、『システムU-D』のいるであろう丸い玉の前に来ております。……いや、大変でしたよ。

 探しても、追い付いても、捕縛しても逃げるんですから。

 それをようやっと捕まえましたよ……。まぁ、この疲れはあおなに癒して貰うとして……さて、それではご開帳と行きますかね?

 

「では桃色。頼めるか?」

 

「もぉ王様ったら私はキリエだって何度言えばいいのかしら……」

 

 そう言いながら『システムU-D』のプログラムを起動しようと小さな画面を出し、ハッキングを仕掛けている女性の名前はキリエ・フローリアンと言うらしく、どうやら目的は私達と同じような『システムU-D』を利用しようとしているらしいですが……その理由は王が知っているらしいので私は別にいい、と考えを放棄しました。

 

「さぁってと……強制起動システム正常。リンクユニットフル稼働。……いつでも目覚めさせる準備はOKよぉ!王様!」

 

「おうともさ!」

 

 ……あれ?ハッキング速すぎません?

 

 

 

 

「さぁ、今こそ蘇り我が手中に収まれ!忌むべき存在として生まれ、誰からも疎まれた無限連環機構、『システムU-D(砕け得ぬ闇)』よ!」




~その頃の未来(新暦75年)のフェイトさん~

(エリオとキャロとフリードと一緒にご飯食べようと思ったのに三人ともいないよぅ……)


◆◇◆◇◆◇◆◇


さて、遅くなりましたが、フライパンの名前はアンケートの結果、『ユニコーン』に決まりました!

…………『こういう発表ってもうちょっと速くした方が良かったんじゃ』、と思われる方が多数だと思われますし、私自身もその方が良かったんじゃ、と思いましたが、発表するなら実際に出してからの方が良いのでは?と思い、こんな形での発表になりました。
……今では後悔してまいす。もし次にアンケートをやるような事があれば、もうちょっと速く、いや終わった直後に発表するように全力で努力します。

その時はまた、不躾ですが、ご参加していただければありがたいです。


さて、感想、質問、批評、誤字脱字報告待ってます。
次回もよろしくお願いいたします。

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