邪魔をするな、と
そのまま拳を振り上げて殴る。
顔面、胸、腹、肩……どこだろうと、例え拳を地面に打ち付けたとしても殴る。
殴って、殴って、殴って、殴って殴って殴って殴って殴って殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る、反応が無くなったと確認し、また、殴る。
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第50話『
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桃子さん の 『エクレアレシピ』 を 手に入れた!▼
……
まぁいいや。兎にも角にも早速学校に帰ろうじゃありませんか。
と、言う訳で特に何事もなく学校に帰れたのでその描写はカット。
強いてなにかをあげるとすれば、途中で上空から『キャロォォォォォ!?』とか『エリオくぅぅぅぅん!?』とか『ハルトォォォォォオォォ!!!』って聞こえてきたぐらい。…………やべぇ。まじに幻聴聞こえてきたんじゃなかろうか。今度病院に行くべきだろうか。……まぁそれは幻覚でも見てからにしよう。
さて、学校に着き、靴箱を経て教室まで辿り着きました。そんで教室の扉を開けた瞬間に教室から何かしらの……大きさにして大体ドッジボールくらいの何かが俺の腹部(の主に鳩尾の部分)めがけて飛んできたんですよ。
口から桃子さんが実験として作って俺に食べさせてくれた試作型ケーキ三号(美味しかった)が出てきそうになったが、何とか喉元で押さえることに成功した。
「ごぶぅ!?んぶっふ!?」
あ、鼻にケーキが入った。めっさ痛ぇ……それこそ涙が滲んでくるほどに……。その痛み分の憎しみをマシマシにその飛んできたモノに目を向けると、そいつは三女だった。……どうして三女が飛んできたんだろうと謎に思ったのも束の間に三女が顔をあげ俺の顔を見る。ちなみにその時の俺の顔は鼻から白いもの(多分クリームとケーキのスポンジが混ざった奴)を目に涙を溜めながら流しかけていた顔だったらしい。どんな顔やねん。
「あ、盾街君。おかえり!で、どうだったの?」
「ぶ、ふぇ……。あ、えっとシュークリームのレシピは無理でしたけど、エクレアのレシピは手に入れました」
「エクレア!本当に?」
「はい。どうぞ」
と、メモを三女にそっと渡しておく。まぁなんにせよ三女も喜んでいる訳だし、土下座をしなくてよかったよ……。
「あ、じゃあ視察に……って言っても時間的に早すぎるし……」
「それなら視察に行くまで……昼前まで手伝いますよ」
「ありがと!」
……その後、四女の部隊で靴や雑巾よりもこき使われる俺の姿があったそうな。あれかな?初日に遅れたのが原因だったりするのかな……。
さて、昼前になったんでただ今フェイトさん達のクラスの扉の前にいます。そう、視察。なんか風の便りと虫の知らせを足して二で割った噂でどうやらここで和風喫茶をやるとかやらないとか。更に今日はその衣装を試着するとか。それを聞いたら黙っておられず視察のためもとい俺はフェイトさんの和服を見たいが為に、それ以外のバニングスとか月村とか高町を見ようとしてたうちのクラスの他の視察団もここに来たがっていたがその方々はジャンケン(物理)で蹴落とし今ここにいる訳です。だって一人一クラスだったからね。仕方ないね。
それで教室の中を見ようとしているんだけど、中からね、そう、聞こえるのだよ。何て言うんだろうかその、ね。『わぁ!フェイトちゃんその格好似合ってる!』とか『そう……かな。でも、なのはの方が可愛いと思うんだけど……』とか『アリサちゃん、今度はこの猫耳とか、どう?』とか『アタシ、猫耳よりも犬耳だわ』とか聞こえて来たら、ね。突入なんて出来る訳がない。
しかも周りをよく見てみるとフェイトさんのクラスの男子達も外に追い出されていると言う状況。
………………えっ?なに?もしかしてここでフェイトさんが着替えてんの?
………………………………。
っ!駄目だ駄目だ駄目だ!妄想も想像もしたら駄目だ!そんな事したら……あぁ……駄目だ……。鼻血がタラリ……。
「終わったわよ男子達。もう入ってきても大丈夫よ」
鼻から出てきた赤き液体を再び身体の内に戻そうと上を向いているとバニングスが扉を開き男子の入室を許していた。……さて、鼻血もちゃんと危険だけど飲み込んだし(吐き気や腹痛が起きるらしいから駄目なんだと)……突撃、しますか。中から『なんでバナナ味だけバナージなのよ!』って声が聞こえるが気にしてなるものか。
いざぁ……扉を開く!
扉の向こう側には各々それぞれの和服や着物を着た少女達がいたが、その中でも一際俺の視線が釘付けにされた
「きゃ!な、なに……。え!?あおな!?」
そう、フェイトさんだ。
「…………フフ。ゴブォ……ぶふっ」
くそ……。まさか、吐血してしまうとは思わなかった……。だが床にぶちまける前に口を閉じたからただ口を膨らましただけの俺の姿がそこにあるだけだ。……まぁ、口の端からチョロッと流れてるが……本当にぶちまけ無かっただけマシだ。ゴクリと再び飲み込み、さてここいらでもう一度フェイトさんの姿を見てみよう。
髪型はポニテと二つ結びを合わせたモノだった。表情は俺の出現により驚いている……かつて俺が罪悪感で板挟みになった表情だったが、今はその表情が美しい……。そして服装だが、巫女服だった。そう、上が白、下が赤、の巫女服だった。
フェイトさんのまるで光輝く太陽のような金髪に巫女服の白い部分が完全にマッチしていると言わざるを得ない……。
「う……」
「う……?」
「麗し過ぎますよ……。フェイトさん……」
「う、うるわしい……?」
こんなの、崇めるしか無いじゃないか。ちなみに高町が祟るような目でこちらを見てきているが、気にしない事にした。ちなみに高町だが、高町は桃色の浴衣に、おろした長い髪の毛を右に結った髪型、つまりサイドテールって奴にしてた。……案外似合っててビックリしたってのは墓場まで持って行く事にしよう。さて、次に月村だが…………うん。青を基調とした着物、更には腰の部分に立派な帯があるから振り袖って事は理解出来たが、その頭に乗っかってる黒猫耳はいったいなんなんだ……。最後にバニングスだが、割烹着だった。圧倒的なまでの白さを誇る割烹着だった。……いや、似合ってるからいいとは思うけども。割烹着はどうなんだろ……。
「その前にどうしてアンタがいるのよ!」
「俺も、男子ですから。バニングスさんのおっしゃった『達』の中に含まれるのかと思い馳せ参じました」
「んな訳がないでしょうが……。頭痛くなってきた……」
ならちゃんと『うちの』って付けなくちゃ……。そうしなかったから、ほら、他の視察に来ている方々も入って来ちゃってる事になってるよ。
「なら言わせて頂くけど、アタシ達のクラスの人間じゃない奴は即刻出て行きなさい!!」
「断固として辞退します!」
「ここから出て行けぇ!」
「ウボァ!?」
バニングスによるアッパーにも似た腹パンが先程三女の突撃によりダメージをおっていた鳩尾に綺麗にストライク。
俺が審判だったらこのまま次の投球へって行くんだろうが、今の俺はさながらデッドボールが当たったバッターだ。それも、かなりアカン所にボールが当たったような、ね。
その為、そのまま教室を退場し、腹部を押さえながら、先程飲み込んだ血液の胃からの逆流を抑えながら、自分のクラスへと戻って行くのであった……。
でもフェイトさんの巫女姿が見れてそれだけで俺は満足……出来たぜ……。(大満足状態)
~その頃のフェイトさん~
(あ、あおなに見られた……?で、でもなんでだろう。恥ずかしいって気持ちもあるのに、嬉しいって気持ちもある……)
◆◇◆◇◆◇◆◇
フェイトさんに巫女装束を着て欲しかった……。
ただそれだけの理由です。
反省も一片の悔いもありません。
さて、感想、質問、批評、誤字脱字報告待ってます。
次回もよろしくお願いいたします。