ご了承いただければ幸いです……。
最後にはちゃんと答えあわせ的なモノもしますので。
ちなみに今回あおな君の出番は名前だけとなっております。
彼女は『嫌だ』、『やめて』と
構うものかと両の腕に更に力を込める。
彼女は
そのうち、彼女の瞳からは大粒の涙と、口からは『ごめんなさい』が溢れ始めた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
第48話『ナハトヴァール』
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
八神家の、朝は早い。
「ふぁ……ふ……」
「………」
一番に目が覚めるのは『烈火の将』シグナムと『盾の守護獣』ザフィーラ(獣形態)。この二人(一人と一匹)は毎日決まった時間……5時頃に目を覚まし、顔を洗った後、日課のジョギングと散歩へと繰り出す。
そして朝御飯の時間である6時までその二人(一人と一匹)の姿を誰一人として家の者は誰も見ることは無い。
二番目に目を覚ますのは主で、僅差で三番目に『祝福の風』リインフォースが目を覚ます。時刻は5時20分……この点で私が怖いと思ったのが、主が目を覚ましたその五秒後には必ず目を覚ます、と言うこと。……二人とも、部屋が違う筈なのに、目覚ましも無いのに、だ。
……まぁ、それはいいか。リインは起きるとすぐに主の部屋へ行き、主の着替えの手伝いをする。主は『そんなんええねんて』と言いつつもリインの手伝いを拒みはしない。流石は主と言ったところか。
着替え終わると、主はリハビリも兼ね、手すりに掴まりながらキッチンへとやって来る。サポートには勿論リイン。
無事キッチンに着いたのを確認すると、リインは自分の服を着替える為に部屋へ戻る。
その戻ったのを確認し、主は料理を開始する。
「……なぁ、ナハト。なにさっきからカリカリ書きよん?」
「人間で言うところの『観察日記』。小学生で言うところの『私と家族の一日』と言う作文のようなモノだ。別に気にしないでくれ」
「さよか」
ちなみに、私は夜は眠らずに起きたままだ。人間や守護騎士達とは違い、夜に眠る必要性を感じない。確かに眠る事は出来るけど、『出来るだけ』であって眠ったとしても私になんのメリットもない。
……それでも主にはガミガミガミガミ耳にタコが出来ても言われるけどね。
さて、話が脱線したが、四番目に起きてくるのは『鉄槌の騎士』ヴィータだ。眠そうに目を擦り――――そのままソファーに轟沈する。その腕には彼女の大好きな『のろいうさぎ』のぬいぐるみがしっかりと抱き締められている。
「こら~ヴィータ。そないなとこで寝たら風邪引くで~?」
「んにゃぁ~……」
どこか間の抜けた声で主が注意するが、ヴィータは既に2度目の眠りにつこうとしている。そこで私の出番だ。
私はヴィータの『のろいうさぎ』を取り上げ、『のろいうさぎ』を探すように手を伸ばすヴィータの手を掴み、耳元で主には聞こえないように――
「……
――と囁きかけてやる。するとヴィータはゼンマイをしっかりと巻いたチョロQのように動く。これは見ていて私も面白い。勿論『のろいうさぎ』はしっかりと返してやる。
「おふぁよ~はやてちゃん……」
最後に目を覚ますのは『湖の騎士』シャマルだ。……今日の寝癖は海星型……ふむ。シャマルのメンタルを砕くナニかが起きると言うことか。
シャマルの寝癖は日によって変わる。海星型、海月型、蟹型、海老型、トマト型の5つ。その寝癖によって今日のシャマルの運勢を占う事が出来るのだ。私達はこの占いをそのまま『シャマルの寝癖占い』と呼んでいる。ちなみに、シャマル本人はその事を知らない。
「みんな、ごはん出来たで~」
シャマルが着替え終わり、シグナムとザフィーラが帰ってくるのを見計らうかのように、主が朝食を出す。
私達は誰一人と逆らうことなく、欠ける事なく各々の席へ座り朝食を取り始めようと準備する。
「こら、ナハト!今からごはん食べようって時に作文書くのはお行儀悪いで!」
「分かった。ならば魔法で浮かせて書かせていただく」
「そういう、問題と、ちゃうんや」
「…………わ、わかった。分かりましたからそうやって私の顔面を掴むのをやめてくdいだだだだだだ」
……主にバレないようこっそりと下で足を使って書いていたのは秘密だ。
「……さて、ナハトがちゃんと分かってくれた所で……ほな、みんな、食べよか」
私を含む7人が一斉に手を合わせるのには謎の清々しさを感じる。
「「「「「「「いただきます」」」」」」」
……まさか、この私が守護騎士やリインと食卓を囲むとは思わなかったし、今でもまだ信じられない節がある。だが、これは私が今現在経験している事で、夢ではない。その事に暖かさを感じながら主の作ってくれた朝食を口に運ぶ。……やはり、美味しい。
多分、これが『家族』の暖かさだろう。
今日は取り合えずこの辺で筆を置いておこう。なんだか、書くのも面倒臭くなってきたし、それに――
「書くな言うたやろ」
「あだだだだだだだだだだ!?」
――私は食べる事に集中したい。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「……なんやて?学校に行きたい?」
「あぁそうだ。……この時代を生きていくのにこの時代の常識や知識は必要だ。それに、私のこの格好なら通うのに問題は無いと思うが……?」
それは私が皆が食べたあとのお皿の片付けをしとった時やった。唐突にナハトが私に近付いてきて言うたんや。『私も学校に通ってみたい』って。
確かにナハトは身長もあおなと同じくらいやし、通うのには構へんと思う。私としても別に通ってもええし、グレアムおじさんの許可さえ出てくれればすぐにでも……なんやけど……。……それを是としないのが一人。
「その意見、反対させて貰う!」
それはリインやった。
「何故だリインフォース。私は純粋に『学びたい』という気持ちから学校に通いたいと思っているのだが」
「違うそうじゃない。……何故お前が通えて私が通えないのだ!」
「おい論点がズレッズレだぞ!そもそもまだ行けるかどうかすら決まっていない!更にお前が通えない理由としてはその大き過ぎる(シグナムと同じくらいの)身長を挙げておこう!」
「私も主と一緒に通いたい!」
「私の話を聞けぇ!」
あれよあれよとしとる間に、口論(?)が始まってしもうた。……そう言えば、前にリインに聞いたんやけど、リインが
「何故小さくならない!」
「あれは私の力を圧縮した結果だ!ほら言うだろう?『水鉄砲は穴が小さい方がよく飛ぶ』、と。あの道理だ!」
「じゃあ、あれか?小さくなってしまうと手加減出来なくなると言うことか!」
「その通り!だから困っている!」
……うぅん……どんどん激しくなって来とるなぁ……。止めようにもザフィーラは井戸端ならぬ犬猫会議行っとるし……ヴィータはゲートボール……シャマルは料理をしようとしてシグナムに止められて
……どないしよう。……あっ、閃いた。
「なぁ、二人とも」
「はい!なんですか?主はやて」
「なんだ?」
「二人がユニゾンしたら、どうなるん?」
その言葉に二人はハッと気付いたように向き合った。まぁ、元々一つやったんやし、これはワンチャンあるんやないかなーっと淡い希望のせて言ってみたんやけど……。ま、流石にやらへんやろなぁ。さっきまで口論しとったし。
「よし!やろう!ナハト!」
「あぁ!そうと決まれば行くぞ!リイン!」
…………あるぇ?なしてこないに二人はやる気満々なん?
「「『祝福の風と、夜の闇!今ここに一つにならん』」」
あれこれ割りとガチな奴とちゃうか?
リインとナハトが手を繋ぎ、呪文を唱えると魔法陣(ベルカ式)が足元に浮かび上がり、魔力が立ち込める。
「「『我らの力は主の
その魔力が最高潮に達した時、二人の体が眩しく光輝いた。
煙が晴れ、そこにおったのは……
「……成功、した?」
髪の毛が灰色で、肌の色は真っ白。瞳の色は真っ黒なリインを私達とおんなじくらいにした少女やった。
「や、やった!これで主と学校に通うことが出来る!」
その者の名は『リヒト』。ドイツ語とベルカ語で光を意味する……らしい。……正直、最終決戦で出すようなフォームのようなモンがこんな日常の一ページで出てくるとは思わんかった……。
~その頃のしゅてるん~
(……システムU-D……まだですか……。あおなに会いたいです……。……さみしい)
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ナハトの性格が固まらなくて苦労しました。
……リインさんのファンの方々には悪いことをしたと思ってます。
それと、最初のシリアス部分のヒントを挙げるとすれば……大統領、ですかね?
恐らくこれでピンと来ている方が大多数出てこられると思いますが、出来れば何も言わずにいただければありがたいです。
さて、感想、質問、批評、誤字脱字報告待ってます。
次回もよろしくお願いいたします。
それと、6月15日の午前9時頃から活動報告欄にて(初めての)アンケートを取ろうと考えています。締め切りはその時にまた。
アンケートの内容は常々考えていた『フライパンの名前』について、です。
参加していただければ……ありがたいです。