『愛』はすべてに打ち克つ!   作:とかとか

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少しでもシリアス成分ぶちこまないとバッドエンドにしたくなる病にかかってしまったのでほんのちょっとだけシリアス成分ぶちこみました。

まぁ、今はまだ全然ですが。


第47話『夢を見た』

 

 

 周りは酷い火事だった。

 

 

 目の前には動かなくなったクロノや高町やアイツ(・ ・ ・)がそこにあった。

 

 

 目の前には愛しのフェイトさんが倒れていた。どうやら、ギリギリ事切れていないようだ。

 

 

 オレ(・ ・)はゆっくりと、その首に手を掛け、力を込めた。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

第47話『夢を見た』

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 そこで、目が覚めた。……12月だってのに嫌なくらい背中が汗でグッショリだ。正直、どんな夢を見たか、なんて覚えてない。……ただ、覚えているのはとっても胸糞が悪くなった事と掌に残る細くて温かい筒を握ったような感触のみだった。

 ……嫌な感触だった。柔らかくて、だけど一部は固くて……。……最悪だ、本当に最悪だ。例えるならフェイトさんとニコニコお出掛け最中に高町が横槍(物理)を入れてくる上にクロノが+αで着いてくるぐらいの最悪の目覚めだ。

 ……本当になんだったんだ?……まぁ、覚えてないって事はそれほど重要な夢じゃなかったって事だ。

 さて、そんな事よりもっと大事な事がある。そう。それはフェイトさんだ。結局昨日はフェイトさんとアルフさんとリニスちゃんはお義母さんと同じ部屋で寝てた。

 何故お義母さんがまだ目を覚まさないのは知らないが……リニスちゃんによれば長旅で疲れたとかなんとか。…………異世界からでも渡航して来たって聞いても驚かないようにするくらいの覚悟くらいは必要だろう。

 そんな覚悟を完了したのち、俺は俺の布団に潜り込んで来やがってるヴィヴィオちゃんを蹴りだし、起き上がる。

 とりあえず制服に着替え、布団をヴィヴィオちゃんを巻き込み畳む。……緑髪さん?緑髪さんならソファの上で寝るってさ。……結局名前は教えて貰えなかった。

 それはそれとして、部屋を出て一階へと降り、フェイトさん達が寝ているであろう襖の前に立つ。……開けるべきだろうか。それとも否か。よし、開けようと襖に右手をかけたその瞬間襖が開き、よっぽどの力だったのか俺はキッチンの方まで吹き飛ばされたのでした。……その際頭を椅子の足にぶつけた。超いてぇ。

 

「う~ん!今日もいい朝、だね!」

 

 ……あれ?なんだろう、フェイトさんの雰囲気が違う気がする……。

 でもなぁ……深夜のテンションとか早朝のテンションとかあるし、聞いたら駄目な気がするんだけど……。どうするべきか。

 ……非常に悩ましい、が。

 

「あ、あの……フェイト、さん?」

 

 そんなの気になって聞くに決まってるじゃないか。……一つだけ悔しいと思える事は俺は好奇心に負けてしまった、と言う事だけだ。悔しい……涙出てきた。

 

「ん?どうしたの?あおな君」

 

 ……最近、こんな状況と同じようのを体験したような……。確か、リインさんと限界バトルしてた時だったかな?フェイトさん(?)からの念話を送られて来たんだっけ。……今のフェイトさんはまさにその、なんて言うかフェイトさんだけどフェイトさんじゃない状態だ。

 なにか嫌な予感がするが、ここは退かずに聞かねばならぬぅ!

 

「貴女は……本当にフェイトさん、ですか?」

 

「………んん……。ふふ……」

 

 目の前のフェイトさん(?)がにやりと笑う。その姿も美しいが、フェイトさんにはその笑い方は似合わない。

 

「フェイトじゃなかったら………どうする?」

 

「なっ!?」

 

 なん……フェイトさんじゃない……だと?

 ……もしかしてフェイトさんがからかってるとか?それだったら嬉しいし、幾らからかわれても構へん構へんで済ませるが……。

 

「この姿が、()の本当の姿だったとしたら、キミ(あおな君)はどうする?」

 

 ……これは、本格的な奴かもしれん。幽霊的ななにかが取り憑いたとも考えられるし、多重人格なのかとも思える。だがそんな事を考える前に――

 

「……それでも、俺のフェイトさんへの『愛』は変わりませんよ。俺はフェイトさんの全てに惚れたんですから。心に~だとか顔に~だとか体に~だとかじゃなく、全てに惚れたんです。ですから、例えフェイトさんの本当の姿がなんであれ、フェイトさんが何を抱えていようとも、フェイトさんが俺の事をどう考えていたとしても……俺のこの『愛』はフェイトさんにしか向いてません」

 

 ――俺の口は自然とフェイトさんへの『愛』を語る。まるでそれが普通だとでも言わんばかりに。

 ……これで断られたり拒絶されたり、『他に好きな人が出来たよ』って言われたりすれば俺は素直に身を引く。だってそれがフェイトさんの為だから。『愛する』って事はそういうことだって……大切で大好きで支えあって行くことだって俺は思ってる。

 

「……そう。ならそれでいい。あおな君の想いははっきりと分かった。これでお姉ちゃん(・ ・ ・ ・ ・)は安心したよ。じゃあ、不甲斐ない妹だけど、フェイトをよろしくね?」

 

「――――はい!」

 

 そう言うと、フェイトさん(お義姉さん?)は壁に寄り掛かるように倒れていった。……お姉さん、か。……フェイトさんが心配で憑いてるのかな。……今回で俺は、お姉さんに認められたのだろうか。そうだといいな。そんな事を考えながら俺はフェイトさんをお義母さん達がいらっしゃる布団へと戻すのであった。

 もう既に憑依という事実に驚く事すら麻痺するくらい魔法(非日常)に近付いていたんだな、って考えながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、それと私アリシア・テスタロッサって言うの。よろしくね♪」

 

「ドーモ アリシア=サン。あおな=盾街です」

 

 寝かし付けた瞬間に目を開けての自己紹介にはビビった。

 

 

 

 

 

 さて、時間はもうそろそろ5時半になるのでフェイトさんをそっと起こす。そして朝食へ……。今日の朝ごはんは所謂『ラピュタパン』って奴だ。食いづらいって話だが、俺はそれをチーズという名の接着剤で強力接着してあるから無問題。どうやったかは謎。多分奇跡が起きたんだろう。更に栄養を考えて生野菜のサラダも作っておいた。レタスとキャベツを全力で水洗い→水を切ってお皿に盛るだけの簡単なお仕事。ちょっとしたアクセントにトメイトゥを乗せておくのも忘れずに。

 とにかくフェイトさんと向かい合っての朝ごはん。フェイトさんの顔がどことなく赤かったのはなんでだろう。……低血圧?さっぱり分からねぇ。あとで聞いてみるとしようか。

 朝食後、皿を洗い食洗機にかけ、アルフさん又はリニスちゃんへの書き置きをしておきフェイトさんと共に家を出る。

 

「「いってきます」」

 

 フェイトさんと『いってきます』が出来て俺満足。

 家出た瞬間に高町に出会って俺不満足。

 

「おはよ!あおなk………フェイトちゃん!?」

 

 高町が目を丸くした。ただでさえ大きな目が更に大きくなってた。

 

「おはようございます。高町さん」

 

「あ、おはよ、なのは」

 

「あ……うん。おはよ、フェイトちゃん……じゃなくて!どうしてあおな君とフェイトちゃんが同じ家から出てくるの!」

 

「……泊まったからだけど?」

 

 そんなさも当然とでも言わんばかりのフェイトさんには痺れを通り越して憧れを感じちゃうね。もうこれ以上無いんじゃないかってくらい。いや、まだまだありそうだけど。

 

「そ、そんな『当然だけどなに?』って感じで言わないでよぅ……。そ、そもそもなんであおな君の家に泊まったの?」

 

「えっと……私が住んでたマンションが火事で燃えちゃって……」

 

「そ、そうだったんだ……。で、でもそれならなおのこと私の家とかはやてちゃん家とかリンディさん家とかあったのに……なんであおな君の家に……(私だって泊まりたいのに……)

 

「いや、えっと……その報せが入ってきた時に丁度あおなの家にいたから……」

 

「そんなぁ……」

 

 高町が絶望した顔でフェイトさんの顔を見ている。……ダメだ。笑っちゃダメだ。ここで笑ったらダメだ……。

 笑いを堪えつつ、学校へと……詳しく言えばバス停へと俺達は歩を進めたのであった。




~その頃のナハト~

(私も主と共に学校に行ってみたいが……守護騎士とリインは許してくれるだろうか……)


◆◇◆◇◆◇◆◇


……なんと言うか、もうそろそろ主人公強化しないとなぁ……って考えてます。
今のところ、主人公が純粋に勝利したのなんて少ないですし……。

さて、感想、質問、批評、誤字脱字報告待ってます。
次回もよろしくお願いいたします。







気付いたらUAが十万超えてて驚きました。

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