『愛』はすべてに打ち克つ!   作:とかとか

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大学ェ……。


第39話『星光対雷刃』

 レヴィの水色の斧っぽいナニカが目前に迫る。……その瞬間、溢れ出すフェイトさんとの思い出の数々……。俺……死ぬのかな?俺、このまま安い割り箸みたいに不吉に唐竹割り……されちゃうのかな……。

 真剣白刃取りをしようにも既にタイミングを逃しました以前にスペルスピードが遅いって言われたようなモンだし、ここから超スピード!?って動こうにもどう足掻いても五体が満足しなくなる結果になっちまう。

 ……いや、フェイトさんに会えなくなるくらいならそれもありかもしれないと本気で考え、避けようとした瞬間、目の前にしゅてるん(救世主)が片膝立ちで地面に着地、そして高町の持っているような杖の色違いでレヴィの降り下ろした斧を受け止め、一言。

 

 

 

 

 

「――怪我は、ありませんでしたか?」

 

 

 

 

 

 正直に言おう。かっこいい。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

第39話『星光対雷刃』

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 私がレヴィのソレ(・ ・)を感じたのは、あおなのカードホルダーを漁っていた時の事でした。

 私はあおなの部屋の窓を開け、バリアジャケットを羽織りつつ、結界でこの辺り一帯を覆いながらダイブします。

 ……おおよそ、我が王があおなの事を試すとか言ったのでしょう。

 えぇ、確かにこれが言葉通り『試す』ならば少し手合わせする程度に済み、それならばあおなでもなんとかなるでしょう。ですが、レヴィから感じ取れたのは単純な『殺意(遊び心)』。

 更に都合の悪い事に、レヴィに襲い掛かられたあおなに現れた感情は『迷い』と、それによって生まれた油断。

 ……幾ら別人だと分かっていても同じ顔を持った、しかも想い人に似た人物に攻撃される、その一瞬の心の隙があおなに出てきた。……この油断はそんな所でしょう。

 このままだとあおなはレヴィによって真っ二つにされてしまいます、が――

 

「――――そんなこと、させるとお思いで?レヴィ」

 

「ッ!?……しゅてるん!」

 

 あおなを殺す(試す)つもりで降り下ろしたレヴィの『バルニフィカス』は、私の『ルシフェリオン』によって遮られたのでした。

 

「あおな、怪我はありませんでしたか?」

 

「え、あ、はい……」

 

 呆然となっていますが、まぁ、これは普通の反応でしょう。さて、問題は目の前のレヴィですが……。

 

「ぶぅ……。どうしてボクの邪魔するの?」

 

「当たり前です。もし貴女の攻撃であおなが死んだりしたら私はきっと怒る所の話では無くなってしまいますよ?」

 

「王様に試してこいって言われたから来たのに……」

 

「試すならば殺す気で行ってはいけません。もう少し手加減を加えて殺さないようにしなければ」

 

 ……それにしても、やはり王でしたか。全く……。つくづく思いますが、王の過保護っぷりが最近激しくなっているような気がします。もしかすればこれは親心、と言うべきモノなのかも知れません。

 とりあえず、それは置いておきましょう。

 

「……で、レヴィはどうするんですか?このままなにもせず帰りますか?」

 

「嫌だ。そんな事したらボク、王様に叱られちゃうもん。叱られるの大っ嫌いだもん」

 

 そうだとしても、ここは譲れません。……最悪、私のこの手を真っ赤に燃やし、(あおなの)愛を掴めと轟き叫びながらレヴィに掌を向けて突貫しなければなりませんかね?

 

「んー……あっ!ボク、いい事思い付いちゃった!ボクとしゅてるんが戦って、勝った方が負けた方の言うことを聞く!……この場合はボクが勝てばしゅてるんが退いて、しゅてるんが勝ったらボクは王様に叱られに行く。……これでどう?」

 

「それでしたら私は別にそれで構いませんよ。あおなに危険が及ばないならば私はそれで大丈夫です。……それと、貴女は恐らくただ私と戦いたかっただけでは?」

 

「あれ?バレちゃった?」

 

「まぁ、私達が生まれて来てからは一度も殺り合った事はありませんでしたし……貴女の気持ち、分からないでもありませんよ」

 

 ただ、今じゃなければもっと良かったんですけどね。

 

「力のマテリアル、雷刃の襲撃者(レヴィ・ザ・スラッシャー)ことレヴィ!」

 

「理のマテリアル、星光の殲滅者(シュテル・ザ・デストラクター)ことシュテル」

 

「「いざ尋常に決闘(デュエル)!」」

 

 口上の終了と共に、私はまずレヴィの左足と『バルニフィカス』を持つ右腕のみバインドで拘束し、『ルシフェリオン』を構える。

 

「『屠れ、灼熱の尖角ブラストファイア』!」

 

 私の『ルシフェリオン』が吐き出した収束砲撃はレヴィと目の前の民家を一気に吹き飛ばし、砲撃が終わっている頃には視界が多少(・ ・)広くなっているだけでした。

 ……ふむ。

 

「……あの、しゅてるん?」

 

 そんな時、あおなが私に語りかけてくれました。

 謎の嬉しさと達成感が胸の奥底から沸いてきて、私はあおなの方へ顔を向けます。

 

「大丈夫ですよ。ちゃんと結界は張っています」

 

「いや、そうではなく、レヴィちゃんは仲間なんじゃ……」

 

「私とあおなの恋路を邪魔する奴は問答無用で魂すら焼きます」

 

 例えそれが時天空であろうと、ね。

 

「えぇ……」

 

「それに――」

 

 私は『ルシフェリオン』を左に構え、『パイロシューター』――タカマチナノハの魔法で言えば『アクセルシューター』に似ている――を用意、射出。

 

「――レヴィはあの程度、軽く避けれますし」

 

「………えっ」

 

 右手で左を指し示すと、それにつられてあおながそちらの方向へと目を向けました。そこでは、私の『パイロシューター』を必死に切り落としているレヴィの姿が……。

 

「レヴィは私がバインドで縛った時(あの瞬間)には既に移動をしていました。恐らく、レヴィの移動が速すぎた為、空気がその場に固定されたかでもしたのでしょうね。……つまり、私は残像を掴まされたと言う事ですよ」

 

「……リアル質量を持った残像なんて初めて見ましたよ」

 

「奇遇ですね。私もです」

 

「……あれ?ならなんで反応が…………?」

 

「バインドの感触で判断したまでです」

 

 最初、バインドで縛った時にいつもの感触が感じられませんでした。その事から私はレヴィが移動した、と結論付けただけです。……まぁ、これはバインドが使える人ならば誰だって分かる事なので(あおなを除けば)説明をしなくても分かるでしょう。

 

「……あれ?それって勝てないんじゃ……」

 

「いえ、変わりに防御力をかなり削いだらしく一撃でも当たれば沈みますよ」

 

「それなんてオワタ式ですか?」

 

「……まぁ、強化したのはあなたなんですけどね」

 

「えっ」

 

 実際、この事に関しては原因はあおなにあったとしても関係はあまり無いんですけどね。ゲームで例えるなら強化に使える経験値を貰えたとして、それを筋力なり耐久なりと、その人の好きな所に振れると言った感じでしょうかね。レヴィの場合、単純に強くなりたい、との気持ちが強く純粋に現れたんでしょうね。

 ……あおなのお陰でレヴィどころか私も、王も、そして恐らく『システムU-D』も、強化されたんでしょうし感謝と愛情を注ぎこそすれ、恨むなんて筋違いもはだはだしいです。

 だから、あおなをここで殺させる訳にはいきません。

 

「むぅ……。しゅてるん、また『パイロシューター』の精度と速度と数、上がった?速くなったボクを捉えるなんておかしくない?」

 

「えぇ、まぁ。それぐらい成長している、と言うことですよ」

 

 ですが、大切な人を護るためにはまだまだ力が足りませんがね。

 もっと、強くならなくては……。

 

「ぐぬぬ……。なら、もっと速くなってやる!どっかの偉い人は言ったんだよ!『赤ければ通常の3倍速くなる』って!……と、言うわけで……」

 

 レヴィがまるで陸上の選手のようにクラウチングスタートに構えました。その瞬間、レヴィから緑色の粒子のようなモノがチラリ、とだけ見えましたが……そんなまさか……。

 ……ならば、ここで攻撃をした方が良いのでは?、そんな結論に辿り着き、私は『ルシフェリオン』を構え――

 

 

 

 

 

 

 

 

「遅いよ?」

 

 

 

 

 ――目の前から消えたレヴィにより、あおなと共に高町家の塀に叩き付けられました。




~その頃のなのはさん~

(なんだろう……。あおなくんが危険な気がする!)


◆◇◆◇◆◇◆◇


敵のパワーアップフラグって絶望的ですよね(ニッコリ)。

一応、私なりのレヴィちゃんやってみましたが……まだまだキャラが固まってませんねぇ……。固めねば(天然ドSになりそうなのは秘密)。


さて、感想、質問、批評、誤字脱字報告待ってます。
次回もよろしくお願いいたします。

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