私は手に入れなくちゃならない。
私達の故郷、エルトリアを救う為にも、『永遠結晶エグザミア』を。
例え、どんな手段を用いたとしても。
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第38話『オマエノシワザダタノカ』
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さってと、気持ちのいい朝だ!…………隣にしゅてるんがいる事を除けば。
きっと、こんな日はいい事が起こるんだろうなぁ!…………こちらを見てくるしゅてるんから目を逸らしながら。
……もう、限界だよ……。しゅてるんがうちに来てから五日経ったけどもう無理だよ……。
だからなのか、なにを血迷ったのか俺はいつのまにかこの事を高町に相談したんだけど高町は『え!?わ、わたひにしょっくりな人ぉ!?……
まぁ、それだけならフェイトさんを見るだけでなんとかなるんだが、それだけで済まないのが人生と言うもの。学校に来たら来たで年がら年中桜の咲いている島の如く『クリスマスパーティーしようず』ムードが漂う始末。……ここ、小学校だよね?との突っ込みも許されない。
校長の『クリスマスには皆でパーティーするのデース』との掛け声により、クリスマスパーティーが終わるまで準備となり、普通の授業は中止となった。これで大丈夫なのか聖祥大付属小学校。
うちのクラスでは徳三四姉妹を中心に色んな準備が行われる。ちなみにうちのクラスは喫茶店を行うらしい。俺は厨房の担当になった。
……とまぁ、そんな事が立て続けに起こっている訳だから、俺に訪れる休息の時間っつったら本当にフェイトさんに会って喋るくらいしか無くなったって訳だ。
会うだけで俺の疲れた心を癒してくれるとは……やはりフェイトさんは女神を超えた絶対神だとでも言うのだろうか。
さて、もうそろそろ布団の上でボーッとしている俺をしゅてるんが穴が開きそうになるほど見つめてきそうなので、立ち上がる。しゅてるんを部屋から追い出し、着替え、下に降りる。
その際、開いた扉がしゅてるんの頭に直撃したようだけど、そんな所にいたしゅてるんが悪いと思ったのでスルーしておく。
「あおな~。私、今日はいい天気だから父さんと密売人をコロコロしに行ってくるから~」
たまに母さんはこんな物騒な発言をするが、いつもの事みたいなモノなので普通に対処は出来る。
「何週間です?」
「二週間くらい」
ただ、たまに半年とかあったりする為、俺が本格的に一人じゃ駄目になった場合、高町(がいる)家に居候するかも知れなくなるので、ちゃんと日数だけは聞いておく。
……二週間か……。二週間ならギリギリあの家に行かなくても大丈夫だろう(既に同居状態のしゅてるんから目を逸らしながら)。
本屋の方は……バイトの
これで懸念は消えた!よし!学校に行こう!
「あら盾街、遅かったじゃない!来るのは貴方が最後よ!」
学校に来ると、徳三四姉妹長女が俺を迎えてくれた。
遅いって……信じられるか?これでもまだ6時なんだぜ?こんな時間だが、全員集合……。おいおい、今時8時でもこんなに集合はしないと思うんだが。
「遅かったって……。いや、これでも急いで来たんですけど……」
そう言いながら入る教室はほとんど原型を留めていなかった。机は全て撤去済み。窓は締め切り、たまに最低限の換気をするくらい。教室内は可愛らしい丸っこい字で書かれた厨房ゾーン。……書いたのは……きっと四女だろう。
「みんな!注目!」
俺がそんな所に目を付けていた時、徳三家の長女が号令をかけ、皆の視線を集めた。
「さて、全員揃った所で指示を出すわ!」
全員揃った、の部分で皆の恨みがましそうな視線が俺を見詰めた。やめろぉ!そんな目で俺を見るなぁ!
……ここでこう見てくるって事は、皆もっと早い時間帯に来てたって事だよな……。
「A班は材料の調達と組み立て!B班は色塗り!C班は食べ物の試作料理の完成を急ぐ!D班はそれぞれ猫の手が足りない所への手助け!それじゃあ、始めるわよ!」
ちなみに、徳三家の四姉妹がA=長女、B=次女、C=三女、D=四女と、分担して班長を務めている。
長女の指示により、それぞれ皆が自分のやるべき所へバラける。
俺は調理という役割型C班に所属し、料理の事なら何でもござれの三女の右腕となって動く事を強いられた。
……俺、料理は下手なんだけどなぁ……。それこそ、ふわふわなオムライスとかしか作れないし。
この前もビーフシチューを作ろうと思ったらいつのまにか肉じゃがになってたし、そうかと思えば肉じゃがを作ろうとしてたら今度はビーフシチューになってたし。どういうことなの……。
まぁ、それはさておくとして、三女と俺を含めた10人(うちのクラスは40人)でクリスマスパーティーに作る料理についての会議が開かれた。
今の所候補に上がってるのが
①:『翠屋』に練習しにいく事になるが、シュークリーム
②:クリスマスらしくケーキ
③:
……の3つ。ヨージキってなんだよと調べたらロシアの料理らしい。作ってみたら旨かった。
さて何を作ろうとの話だが
「これ、シュークリーム以外なら作れるからもっと追加しましょう!」
三女が更に唐揚げ、フライドポテトなどを追加してきた。
「あぁそうよ!そういえば盾街君って高町さんの隣に住んでるのよね?なら、シュークリームの作り方を教えておいて貰えないかしら……。無理だったら無理、でいいけど」
更にそこへ俺への追い討ち。やめてくれよ(絶望)。
いや、別にシュークリームの事はいいんだよ。でも高町家に幾度に士郎さんや恭也さんに睨まれるのは嫌なんだよ。
しかし、そんな俺の絶望した顔なんて気にせず、皆は賛成。即作成(三女に作り方を教えて貰いながら)。
ちなみに家庭科室で、だ。
教室でやると美味しそうな匂いで集中できなくなる、と長女が(お腹を鳴らしながら)言ったからである。
さて家庭科室だが、聖祥大付属小学校の家庭科室は大きい(広い?)らしく、普通の学校であるような場所取りや予約合戦のような争奪戦は行われていない。
その為、とても有意義な料理をする事が出来る。――勿論、それが俺達だけだったら、の話だが。
案の定他のクラスの人達もいた。その中には上級生もいた。
そこからはお互いの手の内を晒さないように手元を隠しながらの料理が始まった。
さて、時刻は回り5時頃。俺は今、あの高町(がいる)家の前にいる。
理由はただ一つ、三女に『シュークリームの事、お願いね♪』と言われたからである。
くそう……折角
……自然と汗が背中を流れ落ちるのを感じる。
まぁ、馴れた動作で呼び鈴を押すんですけどね。
この時間帯……恐らく高町は帰って来ていない。ならばもうなにも怖くない。それならば安心して桃子さんに会うことが出来る。
一気に軽くなった心で呼び鈴に指を置いた。
「あぁ!見つけたよ!」
そんな時、後ろからどこか
「盾街 あおなを発見!」
――フェイトさんが、髪の毛を水色に染めて(?)そこにいた。
「……フェイト、さん?……なんで、……こんな所に……」
俺は俺の記憶を信じられなかった。
何故ならフェイトさんはまだ自分の教室にいたからだ。帰る前にしっかりと確認&先に帰りますと伝えたからこれは確かな筈なのに……。フェイトさんはにっこり笑って『分かった。また明日ね、あおな♪』って、言ってたのに……。
……なら、目の前のフェイトさん似の人は……?
すると、目の前の彼女もにっこりと――フェイトさんによく似た笑顔で――言った。
「フェイト~?誰それ?ボク、レヴィ。……にっぶいなぁ。ボクが力のマテリアル、
そう言うと、彼女……いや、レヴィはこれまたフェイトさんの持っているような武器を構え、俺に斬りかかって来たのだった。
~その頃のしゅてるん~
(むむっ!この反応は……レヴィ!?……まさか)
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レヴィちゃんの登場だよ!
……はい、分かってます。
いや、どうしても言わしたかったんですよ、あの台詞。
実際、この作品のレヴィちゃんはフェイトさんにまだ出会ってませんし……。
あと、書いてて分かりましたが私って日常が書けなくなっている気がします。……精進せねば。
さて、感想、質問、批評、誤字脱字報告書待ってます。
次回もよろしくお願いいたします。