……やっぱり、僕は彼が分からない。
闇の書の管制人格……もといリインフォースと戦い、暴走体とも戦い、生き残った。……だと言うのに、これだけ見れば弱いと思える。
元々身体能力は低く、運良くたまたまその時だけレアスキルが発動していたのか、それともかなり格上でないと発動しないレアスキルなのかはまだ分からない。そう言えば……彼にレアスキルの事を説明するのを忘れていたが……まぁ、後でいいだろう。
……そんな時、ふと気付いた。
「母さ……リンディ提督、彼、デバイス持たずにバリアジャケット無しで生身で戦ってますが……これは……?」
「え?……あ"っ……」
……やっぱり彼は僕の予想を容易くいい意味でも悪い意味でも超えてくれる存在だと確信した。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
第36話『DSAAって?』
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
俺達の問題はこれからだ!
……なんて事を考えても特に意味は無い。本当になにも出来ないから困る。
ふと下に目をやると、下ではクイントさんが伸脚してた。
余裕じゃねぇか、まぁそりゃそうだろうて。
つか、こんないたいけな十歳児をフルボッコにしてリンディさんは楽しいのかねぇ?楽しいからこんな事をしてんだろうけどね。
さてさて、こんな事をしても状況は変わらないし、もう行くか。
天井に刺さってるフライパンを抜いt……抜い……あれ?抜けない。
《お主が強く叩き付けるように刺したからじゃろうが……。儂の
おうっふ。じゃあなにか?素手でクイントさんと殴り会えって?ふざけんな、いやマジで。
つかお前、変形出来た筈だろ?
《すまんのう。次元を超えるのにちと力を使いすぎた》
てめぇ!……いやまぁ、助けてくれたのには感謝してるけども……。
その後も何度か左右ぅん、前後ぉんとグリグリしてみたが、微動だにする程度。
……仕方ない。あとで抜いてもらおう。
とにかくその場から飛び降り、足を捻挫しかけながらも着地。
「あれ?フライパンはどうしたの?」
「上に置いてきました」
そう言って人差し指を上に向ける。それと同時にクイントさんも上を見上げる。
「……もしかして、元々素手だった?」
それだったら苦労はしてないよ多分。
……一応、まだ攻撃手段は残ってたりするんだが……流石にヨグ拳はフェイトさんを巻き込む可能性があるから却下するとして……。他に……他に……おかしいなぁ、思い付かない。
……あれ?俺ってばもしかして非力?
「あの!すいません!」
そんな時、リンディさんの声がした。
「どうしたんです?リンディ提督」
「いえ、あの……実は彼、デバイス持ってなくて……このままだと大怪我をする可能性がありまして……」
デバイスってなんだよ。電子回路を構成する基本素子?……字から考えるとしたら……出刃椅子?包丁なら知ってはいるが、椅子もあるのは知らなかった。もしかしてミッドチルダには他にも出刃シリーズがあるのだろうか。凄いなぁミッドチルダは(呆れ)。
「そこで、これを使ってもらえればいいかと思いまして」
手渡されたのは首からかけるタイプのドッグタグだった。……おいおい、俺は兵士になる気は無いぞ?
「これは、『
D4Cとかなら知ってるがそれは知らない。
「つまり、DSAA公式ルールでやるって事ですか?」
「はい。お願いします」
それだけ言ってリンディさんは出ていった。おいルール説明しろよ。
……とりあえず、ちょいと弄ってみよう……。ふむふむ。英語はさっぱり分からんが、とりあえずライフってのは分かった。
……ライフ12000って多くない?8000で慣れてる身からすれば、なんとなく違和感がある。
「懐かしいなぁ……。あ、えっと盾街くんは知らないだろうけど、私昔出てたんだよ?」
そんなどうでもいい情報はいらないのでルールを下さい。
「とりあえずルール説明するけど、基本は1
「でもそれって危なくないですか?」
怪我とか、怪我とか…………怪我とか?
「それも心配ないよ。それがある間は攻撃によるダメージは全部魔力ダメージになるって話だし。……まぁ、『クラッシュエミュレート』ってのがあるけど、これは経験してみれば分かるか」
なにその不穏な単語。聞いた瞬間背筋がゾクッてしたんだが。
「じゃ、再開しよう!」
えっ待って。……つまりこれから4分間あの人と戦えって事だろ?……ってあれ?なんかクラッと来たんだけど……。
あおな:12000→10000
クラッシュエミュレート:脳震盪
なんか2000くらいゴリッと減ったと思ったら脳震盪も付与って…………なんだこれ。
……あぁなるほど、これが『クラッシュエミュレート』……直訳で破壊模倣って所か?どっちかってぇと再現に近い気がするけど。
……つか、さっきのダメージいらないんだけどなぁ……。
何て言うか、脳震盪感あるよなってのが無かった筈なんだけど……。あれか?普通の人ならって事か?なんだろう、理不尽さを感じる。
とりあえずルールは理解した。
「余所見してていいの?」
理解した瞬間これだよ。とりあえず顔面を狙った右拳は顔を右に傾ける形で回避。からの返す刀で左手でカウンター腹パン。
「ぅ……。いいもん持ってるね」
クイント:12000→11600
うそん。400って……基準が分からんからなんとも言えんが。
「じゃあ、お返しに……」
えっ待って。なんかクイントさんの左拳に付いてるグローブの歯車が回転を始めたんだけど!?なにこれ、黄金長方形?無限の回転?
待ってそれ多分冗談にならないダメージになりそうな気がするんですけど!?
とにかく後ろに避難だ避難!
「『リボルバーシュート』!」
ちょっ!?衝撃波が飛んできただとぅ!
こうなりゃ、しゃがんで回避するしかねぇ!足を折り曲げ蛙の格好に。衝撃波は俺の髪の毛を連れて上を通過。プチっプチって地味に痛い。
あおな:10000→9999→9998→9997
再現細かいなおい。
……とりあえず、髪の毛1本が1ダメージと考えるとしたら俺の拳は髪の毛400本一気抜きしたようなモンって逆算出来る訳か。そら確かに痛いわな。
うぉ、ふと後ろを振り向いたら壁が粉砕してたよ。……当たってたら怪我しちゃったテヘペロじゃ済まないよな絶対に。
なんにせよ、いつまでも蛙の格好じゃあれなんで衝撃波が止まると同時に床を蹴る。その推進力を生かしたままクイントさんの両足にタックルする。
クイントさんはそんな事を想定してなかったらしく、バランスを崩し倒れた。
前のめりに。
その所為か、俺は潰された蛙のような声を出してしまう始末。
なお、クイントさんが倒れた際に、俺の身長が低かった為、俺の
クイント:11600→11500
あおな:9997→9987
それでもダメージは地味って言うね。
「いったた……。度胸あるね、盾街くんって」
う~ん。狙ってやった訳じゃないんだけどね。
さて、ここからどうするなんだけど……動けないのよね。
だっていくら女性って言っても立派な大人な訳だ。それが十歳児の上に乗ってるんだぜ?……身動き取れねぇ。
いやぁ無様だなぁ俺、格好悪い……。
《あぁ、主よ。そこから動くでないぞ?》
動きたくても動けねぇっつってんだろ。
「ぶふっ!?」
突然クイントさんが吹き出したような声を出したが何事!?
クイント:11500→1100
クラッシュエミュレート:頭蓋骨陥没
……なんか、頭蓋骨陥没って表示されてるんだけど……生きてるよね?この人。……気絶してる?いったい何が……。
なんとかクイントさんの下から這い出る。すると、クイントさんの頭には、フライパンが……。あぁなるほどさっきの衝撃波で壁に衝撃が行って、そのお陰で天井から抜けた、と。
奇跡は起こすモノではなく起きるモノとはよく言うが、この場合はどうなんだろう。
~その頃のリンディさん~
(フライパンが落ちてきた時、彼はクイントさんの動きを止めていた……。まさか、彼はあらかじめクイントさんの行動を読んでいた、と言うこと?)
◆◇◆◇◆◇◆◇
ありのまま起こった事。
BOAとGODを合体改変したモノを書こうとする→そう言えば管理局のフラグを回収して無かった→クイントさんとのバトル→早く終わらせよう→予想以上に長引く→どうしてこうなった……。
次回にはちゃんと終わらせてBOAとGODをくっつけたようななにかを始めます。
さて、感想、質問、批評、誤字脱字報告待ってます。
次回もよろしくお願いいたします。
DSAAルールって分かりにくい。