当たりませんでした……。
……どうしよう。
……あおな君、今圧倒的にピンチだ……。ここは、やっぱり助太刀に行くべきなのかな……。……あぁでも、あんなに焦ってるあおな君の顔も……いい……って私は何を考えて!?
でも、本当にあおな君が危ない。このまま放っておいといて、あおな君にもしもの事があったらと思うと……背筋に寒いモノが……。
さっき、あおな君が海を打ち上げてリインフォースさん……だったかな?の拳についてた雷を霧散させた所までは見てたんだけど……打ち上げた海がいつのまにか凍ってて、多分あおな君があの海柱に閉じ込められてるように見えた。……ここは、やっぱり助けに言った方が……。
そうやって、あおな君の所に行こうとすると
「待って、なのは
この言葉と同時にバリアジャケットを掴まれ、キャンセルされた。
……私があおな君の所に行こうとするのを、止めたのは誰?その人によってはユルサナイ。絶対に。
振り向くと、そこにら身体を上体だけ起こしたフェイトちゃんがいた。何故か私のバリアジャケットを掴んでない方の手にはフライパンを握ってたけど。
………………あれ?そういえば、フェイトちゃんって、私の事、
「なにか、おかしいよ」
だけど、そんな事を考えようとした時に、フェイトちゃんが指を指す。私はフェイトちゃんの指を指す動きに釣られてそちらに目を向けた。
そしたら、そこには--
--かつて、リインフォースさんの腕に付いていた触手が、
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
第25話『阿修羅すら凌駕する存在』
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
……いや、本当にどうすんだこの状況。周りは氷の壁な訳で……。
……一応、『ブリューナク』は止めた訳だがこうなるとは思ってなかったよ。完全に相手の力量を見誤った。相手の手札の枚数を勝手に決めてた俺の落ち度だ……。
そう考えりゃ、確かあのリインフォースさんの元々の本体はあの『闇の書』なんだっけ?……で、確かあの本のページ数は666ページなんだっけ?……おいおい、108式より絶望的じゃないか。
まぁ、1ページに1魔法だったら俺達の絶望はこれからだ!次回の(ryENDだったのかも知れんが、恐らく5ページで1魔法もあるかも知れない。だからまだ大丈夫だろう。多分。
……1ページが3魔法とか、そんな展開もありそうだから困るんだけど。
「邪魔、するぞ?」
「……邪魔もなにも、ここはある意味では貴女が造ったフィールドみたいなモノじゃないですか」
いや、本当にどうしよう。考えも纏まって無いから邪魔するならカエレ!出ていけぇ!とも言えずに普通の返ししか出来なかった。
……つか、リインフォースさんはあれか?俺にジョニーよろしくタスクact4みたいなトラウマを与えようとしてんのか?まさにこのリインフォースさんこそD4Cだと思ったよ。
くそ……策が無い。まさに万策尽きたって奴。
「……ふむ。その様子だと、本当にこれで終わりみたいだな……。ならば、最後の一撃と行こうか」
やめろ、そんな切なく言うんじゃねぇ。
……どうすれば、こんな状況で、いったいどうすればいいんだ……。
--……ぉ……
逃げようにもどこにも逃げ道は無い。
俺の手札はそもそも無い。
--……ぁ……く…
「やはり、最後は愛する者の魔法の方がいいだろう。これが、私がお前に送る感謝、だ」
そんな感謝、返品したいんだが。それでその分の代金返してくれ。
「『撃ち抜け、轟雷!』」
リインフォースさんの掌に魔法陣ができ、そこに雷がたまっていく。……今度は真っ黒じゃなく、ちゃんと黄色い……。
もしこれがフェイトさんにやられるってんなら喜んで受けるんだけどリインフォースさんじゃあなぁ……。
--あおな君!
うわっ!?だ、誰だ!?
周りを見渡してもリインフォースさんと氷の壁しかない。……もしかして:幻聴?
--聞こえる?あおな君!
……おれ?この声って……フェイトさん?……いや、でもフェイトさんは俺の事を呼び捨てにしているような……。
それになんか口調がフェイトさんとも違うような……。これ、もしかして嫌われたのか?
--出来れば今から言うことをリインフォースにも伝えてくれると嬉しいんだけど……
……これって、もしかして念話とかそんなの、かな?
……念じるだけでフェイトさんと話が出来るとか最高じゃないか。いや、その前にこれ、どうやって返事するんだろう。
--……って、あれ?もしかして聞こえて無いのかな?……もしもーし!もしもーし!
……いやその聞こえてるには聞こえてるんですけど返事の仕方が分からないだけなんです。……これでガチ嫌われしたらどうしよう……。
--……まぁいいや。とにかく!一か八かだけど、聞こえてたら今から私が言う事をリインフォースさんに伝えて!
……本当にこの声はフェイトさんなのかな?
……でも、なにか急用みたいだし、伝えてから確認しても遅くは無いだろう。
--外に『ナハトヴァール』が出てきてる。これだけで、いいから。それじゃ!
……えっ?
……いや、そもそも『ナハトヴァール』ってなんだろう。何語だ?俺、日本語くらいしか上手く操れないんだが。
……それは置いとくとして、折角のフェイトさん(?)からのご忠告兼お願い、伝えない訳にはいかない。
まぁ、リインフォースさんは今にも射出しようとしてる訳だが。
「あの……リインフォースさん」
「……なんだ?」
目に見えてイラッてしてるよあの顔。『今から手品やるよー見ててー』『ちょっと待って五時間くらい』みたいな感じの時の顔とおんなじだ……。だけどここで退いて媚びて省みてたら大変な事になるかも知れないし、なによりフェイトさん(?)からの信頼に反する事になる。だからあえて無視する。…………決して、フェイトさんに嫌われる事とリインフォースさんにしばかれる事を比べたら勿論前者が怖いとか嫌だとかそんな理由なんかじゃ……。
「……えっと、『ナハトヴァール』って危険なモノですか?」
「あぁそうだ。……む?……妙だな。私はお前に『ナハトヴァール』を教えた覚えが無いのだが」
「……それはそれとして、その『ナハトヴァール』ってのはどのくらい危険なんです?」
フェイトさん(?)の言葉を疑う訳じゃない。でも、『ナハトヴァール』なんて新しい単語をホイホイ信じるほど俺は……。でも……。
俺は信じたい。フェイトさんを……。例えそれが嘘だったとしても……。
「世界の1つ2つが軽く滅ぶレベルだが?」
「今すぐ殲滅しましょう外にいるらしいので」
そんな危ないモンがあるなら早く潰さなくちゃ(使命感)。少しでもフェイトさんが危険になる事は減らさないと。
「…………待て。お前今先程なんと言った?外にいる?『ナハトヴァール』がか?」
リインフォースさんはどうやら俺の言葉を信じてくれたみたいだ。……それか、それだけその『ナハトヴァール』ってのは危ない奴なんだろうなぁ。……だとしてもその魔法陣は降ろさないのね。
「はい、言いましたよ」
「……そんな馬鹿な……。……あれ?お前に聞くが、『私』が出てきた時にこの左腕に付いていた触手チックなモノはどこに行ったか、覚えているか?」
左腕……触手……。
「……あぁ、それなら海にダイレクト不法投棄で池ならぬ海ポチャしてましたよ」
「馬鹿者っ!それが『ナハトヴァール』だっ!」
リインフォースさんが魔法陣消して腹パンしてきた。……何故に?
「何故見逃した!」
「分かる訳が無いでしょうが!そんなもの!」
俺は悪くねぇ!俺は悪くねぇ!
……つか、どうして分かると?俺だってフェイトさん(?)からの念話で初めて知ったのに!
こんなに理不尽な事でキレられたら俺だってキレる。
だから--
『邪魔、しても?』
--こうして、いつの間にか現れた人物に対しても
「「邪魔を……」」
『え?』
「「するな!/しないでください!」」
『ぶごっ!?』
リインフォースさんと一緒に蹴りを入れたりする。
~その頃のフェイトさん(アリシア)~
(あ…『ナハトヴァール』が人の形になって氷の壁に入っちゃった……。……あれ!?蹴り出されてる!?)
◆◇◆◇◆◇◆◇
少し解説とお詫びを……
『ナハトヴァール』が人の形を取った訳
--あおなの魔力の取りすぎ
『ブリューナク』について
--……まさかG.O.Dで、はやてさんが使う魔法だとは思いませんでした。……出来れば、ここではリインフォースさんが使った場合、と言うことでお願いします。
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