『愛』はすべてに打ち克つ!   作:とかとか

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人が誰かを愛する時、少なからずその人に依存してしまう。
なら、その愛する人を、なにも出来ずに失ったら、どうなってしまうだろうか。








※前回のシリアスモドキの失敗点を生かした結果、突然話が重くなる現象(出来ているかどうか分からない)が発生する場合があります。

そういったモノを好まれない方はブラウザバックを。


第17話『愛とは……?』

 ……私達は、とんでもないモノを目撃する事になった。

 場所は海鳴市中丘町の上空。

 本来ならここは確か図書館とかある……ってなのはが言ってた。だと言うのに、一人の女性が浮いている周囲一帯は一部(・ ・)を除いて、まるで綺麗に整地でもされたんじゃないかと言うほどの、クレーターになっていた。

 ……そして、その一部(・ ・)には、私が良く知っている人が、立ってて……更には後ろにこれまた良く知っている人に良く似た人がいた。

 …………でも、そんな訳が無い。リニスは……もう、いない筈、なのに……。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

第17話『愛とは……?』

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 ……ふぅ……。いやはや、もしかしたら、これが俺の限界点、なのかねぇ……。

 足はがっくがくだし、視界もぼやけてるっぽい。

 ……だけど、まだ倒れる訳にはいかないんだよなぁ、これが。

 

「お前は……何故そこまでして滅びを拒む」

 

「……--………」

 

 ありゃま、駄目だこれ。全然声が出ない。

 金魚よろしく口を開け閉めしてるだけじゃないかこれじゃあ。

 --しかも、

 

「……なるほど。答える事すら拒むか。……ならば、更に強い力でもってお前を絶命させる他ない」

 

 --駄目な方向に誤解されちゃってるし。

 こんなの普通じゃ考えられない。……つか、こんな時に常識なんて言葉が通用すんのかな……。いや、しないだろうな。確実に話し合いで解決出来るとは思えない。

 それこそ本当にあ"ぁ"り"え"な"い"ぃ……。

 

「せめてもの情けだ。痛みを知らずに逝くがよい……。『彼方より来たれ、やどりぎの枝。銀月の槍となりて、撃ち貫け……』」

 

 おいおい。本気で殺しに来てるんじゃねぇか。

 銀髪さんの周りにはファンネルじゃないの?それ、と聞きたくなるくらいの黒だよ…真っ黒ぉ!な球が真ん中に1つと、その周りを囲むこれまた真っ黒な球が6つの合計7つが俺の方に照準を合わせてた。

 ……リニスちゃんは……よし、逃げてる。

 少なくとも後ろをチラッと見た限りじゃいない。

 

「『石化の槍、--ミストルティン!』」

 

 ミストルティンって……槍なのか。少なくとも俺が知ってるのはチェーンソーだったりキック(じゃなかったり)するんだけどな……。

 この攻撃、避けたい。……でも、避ける為の力が出ない。

 ……ごめんなさい、フェイトさん。せめて、最後に貴女の最高の微笑みを見たかった。

 

 

 

 

 

「…………あ、あおなぁぁぁぁぁッッッ!」

 

 

 

 

 

 ………………………えっ?この声、フェイトさん?

 声にホイホイ釣られて上を見る。

 ……嗚呼、フェイトさんだ。

 大体600mくらい上空にいるけど、あの美しさ可愛さ……確実にフェイトさんだ。

 

「さらばだ。愛の少年」

 

 ……フェイトさんが、来てる。……なら、死ねる訳が無いじゃない!

 放たれたミストルティンに注目!一本目は真ん中から。それを首を左に曲げる事により回避。

 お次はその左半身を狙っての3つ同時射出。思い切り左足で地面を蹴り、身体を少し地面と平行にし、回避。少しかすって服の一部が石化したので千切っておく。

 後の残りはフライパンで弾く。……その際周りが石化したが、仕方ない。

 ……あらら、流石のこのフライパンも、石化には勝てないか……。とりあえず石化現象がフライパンを伝って登ってくるから、フライパンを地面に叩き付ける。そしたらフライパンに付いてた石が剥げた。

 …………ちょっとこのフライパンお祓いして来た方がいいんじゃないかしら。

 

「……なっ!?馬鹿な!……お前、さっきまであんなにフラフラだったのに……何故……」

 

 フラフラァ?なにそれぇ俺、超☆元☆気。

 ………全く。これだけでどれだけ自分が現金な奴で、自分がどれだけフェイトさんの事が好きなのかが分かる。

 

「何言ってるんですか?俺、こんなにピンピンしてますよ?」

 

「……それに……なんだ。その魔力量。先程まで無かったのに」

 

 もう、ね。俺の魔力の出現の条件が分からない。ただ分かるのはフェイトさんが関係してるって事だけ。

 

「別に、それは貴女方が気にする事じゃない。……さて、続けましょうか。第2ラウンドですよ」

 

 地面に落としたフライパンを拾い、銀髪さんに向けて一言。

 

 

 

「貴方の絶望と俺の"愛"。どちらが強いか、白黒付けようじゃありませんか」

 

 

 

 こう見えて、俺かなり怒ってます。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「愛………ぐぅっ………」

 

 ……いったい、何だって言うんだ。この胸の痛みは……。私が覚醒した時には既に痛みがあったがなんとか魔力で無理矢理抑え込む事は出来た。…………先程のこの少年の言葉を聞くまでは。

 少年の言葉を聞いた瞬間、まるで胸を撃ち抜かれたかのような痛みが襲ってきた。それこそ、心臓が破裂したんじゃないかとすら錯覚する痛みだった。

 

「さて、始めましょうよ。銀髪さん。俺の愛、示してやりますから」

 

 胸の痛みを押し殺していると、ふと少年の言葉が聞こえた。その言葉に私は思わず笑いが込み上げてきてしまう事になる。

 

「……愛?……ふふふ………」

 

「……?……何がおかしいんです?」

 

「そんなモノが何になると言うんだ?」

 

「……なんですと?」

 

 ……愛……愛、か。確かに我が主である八神はやては守護騎士であるヴォルケンリッターに家族同然の愛情を与えていた。だが、その所為で私が目覚める原因となる。

 

「そもそも、愛とはなんだ」

 

「……えっ」

 

「それほどまでにお前が大切に想うフェイト・テスタロッサに抱く感情だと言うのは知っている」

 

「………なんでそれを知って……」

 

「リンカーコアを吸収する際にその持ち主の強い思念が稀に流れ込んで来る時があるのでな…………。それで、お前が抱くその愛とはなんだ。お前のはただの下心、つまりただの劣情なんじゃないのか?」

 

「…………そんなの、10歳かそこらの人間にする話じゃ無いと思うんですが」

 

「それは、そうだな」

 

 ふむ。

 この程度だと、この少年と私の言葉は平行線のままか。

 

「……ならば、お前はフェイト・テスタロッサが危機に陥った場合、どうするんだ?」

 

「勿論全力で守ります」

 

「そうか。--なら」

 

 私は闇の書を開き、空中に浮いてこちらを不安げに伺っているフェイト・テスタロッサに向ける。

 

「…………えっ?何をするつm「--この場合は?」

 

Absorption(吸収)

 

 闇の書が黒く、鈍く光る。

 まさしく奈落とでも主張したいがごとく。

 

「--ッ!?フェイトさん!逃げぼっ!?」

 

「無駄だよ。無駄無駄」

 

 幾らこの少年が叫んでも、無意味だ。……だが、念には念を入れておくに越した事は無い。保険として、少年の腹に拳を捩じ込む。……おっと、強くし過ぎたかな?吐血してしまってるじゃないか。

 さて、(くだん)のフェイト・テスタロッサは真っ直ぐこちらに向かって来ている。

 しかも、その顔に憤怒の形相を張り付け、鎌を振り上げて。

 --今からその身に起きる事すら知らずに。

 

「あおなから……離れろォォォォ!」

 

 降り下ろした鎌が闇の書に当たる。そこから闇の書による吸収……もとい、闇の書への転送が始まる。

 幾ら相手がそれ相応の実力を持っていたとしても、鋼の精神を持っていなければ脱出が不可能な、牢獄。

 それが闇の書による吸収。

 

「なっ……離せ!やめて!」

 

 未来永劫闇の書の中で幸せな夢を見れるんだ。ならミルクティーでも飲んでリラックスするレベルでゆっくりしていけばいいのに。

 

「……あ、う……フェイト……さん……」

 

「……これは驚いた。吐血しながらも最愛の人物の名前を呼ぶか。……これは少し、興味が沸いた」

 

「……あぉ……()………」

 

 さて、ここからが見物だ。愛する人を失った人物が、どうなるのか、が。

 滅ぼす前に、少し調べておこう。次にこんな事があった時に、対処がしやすくなるだろうから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ………あぁ………ふぇ、ふ、フェイトさん?…………フェイトさぁぁぁぁぁぁぁぁんッ!!」




~その頃の---~

(こうして歴史は繰り返す。何度も何度も何度も……。こうしてまた、闇の書の闇と業は深く、厚くなってゆく。無限に、永遠に積み重なる。故にその闇は、決して砕かれる事は無く、大きくなり続けるだろう)


◆◇◆◇◆◇◆◇


…………やり過ぎました。


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