……私達は、強くならないといけない。
世界を……そしてなにより、大切な人を守らなくちゃいけないから……。
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第15話『Heat & Heart』
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さて、結果論を言うならば俺は帰路についた。
いや、別にアースラに戻ろうとはしたんだよ。だけど行き方分からないし、それにシャマルさん(あのおばちゃんの名前)に魔力を調べて貰ったらまた無くなってるとかで……。
一応、賭けでフェイトさんに連絡はしたんだけど……一向に繋がりやしない。くそう。電波すら俺の恋路を邪魔するか。
で、その帰り道に見たことが無い猫が二匹、寒そうに身体を寄せあってるのを見付けたんだ。
パッと見薄汚い野良猫なのかな?って思ったけど、割りといい毛並みをした猫だった。……品種はなんなんだろう。
ちなみに、性別はメス。二匹とも。……にしても、なんで性別を確認しようとしたら手を引っ掻かれるのか。
まぁ、そんなの些細な事だと考え、家に着く。
…………うはぁ、気まずい。明後日には帰ってくるとかなんとか言ってたのに結局すぐ帰る事になっちまった。
「……た、ただいま」
「あら……あおな。おかえり」
蚊の鳴くような声で挨拶すると、奥から母さんが顔だけ出して返事を返してきた。
………あれ?父さんの気配を感じない。
「あれ?父さんは?」
「あぁ、父さんなら高町さん所の士郎さんと力比べしてるわよ」
あぁ、道理でさっきからジョジョみたいな擬音が見えて聞こえる訳だ。
「……ん?あおな、どうしたの?その猫's」
なんでもかんでも複数形にするのは良くないと僕は思うの。
「寒そうにしてたので、つい、拾っちゃいました」
「あら、あおなもなの?実は、私も--」
そう言って奥から出てきた母さんの腕に抱かれていたのは--
「え、えっと…………お、お邪魔してます」
--どう見ても本物の猫耳を生やした薄い茶色っぽい髪色の幼い少女だった。
「……どこから誘拐してきたんです?」
「ん~……。どちらかと言えば森に熊を獲りに行った時に次いでに拾ったって感じかしらね。ちなみに、名前はリニスって言うらしいわ」
……ふむ。今日は熊肉料理か。いや違う、そっちじゃない。
「私が拾った時にはかなり衰弱してたわ。……もしかしたら、虐待されてたのかも知れないって思ってる」
…………うん。なら仕方ない。
「……まぁ、事情は理解しました」
「さて、じゃあリニスちゃん。お皿運ぶの手伝ってくれる?今日はご馳走よ?」
「あ、は、はい!がんばります!」
凄い健気な娘だなぁ……。こんな健気で普通(耳と尻尾から目を逸らしながら)の娘を虐待するとか、この娘の親って頭いかれてんのかな?
…………あぁ、それと俺が拾って来た猫だけど、しっかりとお風呂に入れて洗ってやりました。隅から隅まで。
気持ちよさげに『んにゃ~んゴロゴロゴロ』なんて鳴くわけだから可愛くて仕方ない。……まぁ、熊肉の件の時には震えてたけど。
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「で?最後の1頁はどうすんねん」
「どうしましょうか……」
「そう、よね……」
とりあえず、あおながオムライスを食べ、帰った所から私達の家族会議は始まる。
議題は勿論闇の書について。
「……そのまま覚醒ーってんならまだ、苦労は無かったんやろうなぁ……」
「……うん。後1頁ってのが曲者なんだよなぁ……」
なんでも、シグナム達の話だと闇の書の1頁溜めるのに魔王0.2人分だとかなんとか。
……なら、あおなは魔王約100人分なんか……たまげたなぁ……。
まぁ、そもそもの魔王の魔力量が分からへんけれども。
「…………先程、家の外に魔力を持った生物がいたが、どこかに連れ去られてしまった」
「……まさか、強引に捕まえようとかそんな事は考えてへんよなぁ……」
「………………(コクコクコクコクコクコク)わ、分かってます。分かってますからその45度の首の角度やめてください」
本当に分かってんのかなぁ………。
話は元に戻るけども、なんでも闇の書が蒐集出来るリンカーコアは1人につき1度だけ。……贅沢過ぎる。私もそんなに贅沢はせんで。
…………ふむぅ。ここら辺に蒐集したらいい人はおらんし……私のを使って、なんてでも言えば皆黙ってへんやろうし……。ううむ……リンカーコア、リンカーコア。
…………って、あれ?
「…………そういえば、シグナム達って、自分のは蒐集したん?」
「「「「……………………あ……」」」」
……………。
「さ、さぁて!急いで私達のも闇の書に入れよう!なぁ、ヴィータ!」
「あ、え!?あ、あぁ!!そうだな!なぁ、シャマル!」
「え!?……え、えぇ、そうね!ザフィーラ!」
「………お、おう」
ふぅ……。全く……。
「はよう、せいや」
「「「「あ、はい」」」」
~4時間後~
……闇の書による蒐集って、えらい時間かかるんやなぁ……。
「お、終わり……ました」
「お?本当か?シグナム………って、闇の書の様子、おかしく……」
……あれ?闇の書って、あんなに正に負ですとでも言わんばかりのオーラ、出しとったっけ?
少なくとも、私の知ってる闇の書はあんなに殺気を放出していない。
「シグナム……それ……」
「?……どうか、なさいましたか?主」
まさか気付いてない?……あかん。なんやろう、この寒気は……このままじゃ、シグナムが危ない。これが、虫の報せって奴なんか?
「シグナム!早くその闇の書をこっち渡し!」
「えっ?」
私は、車椅子のハンドリムを握り、全力で回す。そしてシグナムに近付きシグナムの手から闇の書を引ったくる。
「これは……」
そのままの勢いで外に投げようとするも、闇の書から謎の触手が飛び出して私の右腕に絡み付いて来た。
そのヌメッとした感覚に真っ先に出てきたのは、不快感。その次に安心感。こんなん絶対におかしい。
…………でも、なんやろう。この、暖かさは……。
……………あれ?これは、お父さんとお母さんの、温もり?
……………ゆ、め?
……あぁ、皆……そんな叫ばんでも、聞こえとるって……。
……あれ?どんどん、視界が暗転してきた。
…………あぁ、私、寝不足、だったんかな……。
……なんやのん……この、ぶっつけ本番感……。
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いやぁ、熊肉は美味しい。俺としては猪肉の方が好きなんだけど。
リニスちゃんも猫二匹(片方のみ)も美味しそうに食べていた。
…………食べてはいたんだけど……母さん、どこ行ったんだろう。突然目の前から消えて、びっくりしたんだが。
つか、なんでついていた筈のテレビも消えてんのさ。
……いや、分かってはいるんだよ。つい最近こんな感じになったからさぁ。
でもさぁ、せめて晩御飯くらいはゆっくり食べさせてくれてもいいんじゃないかなぁ。
突然周りが紫色っぽくなって、俺が口に含もうとした熊肉が無くなり口を閉じたから歯がカチンってなっわ。しかもそんときに舌噛んだし。痛い痛い。
しかもリニスちゃんは突然立ち上がって、
「もしかして、これは……結界!?」
なんて言い出すし。リニスちゃん、猫耳生えてるし、もしかしたら
「……あおなさんは、なんでここに?」
「…………いや、ここは俺の家ですし」
「違う!そうじゃありません!」
……どう答えろと?
「ここは、魔力を持った者、又はこの結界を維持する者が選択した者、又は例外しか入れない結界なんですよ?」
うはぁ、その例外って凄い気になる。あれかな?
~その頃のリーゼロッテ~
結界in前
(熊肉うめぇ……)
結界in後
(クマーぁぁぁぁぁ!)
~その頃のリーゼアリア~
結界in前
(食べて……いいのかな……)
結界in後
(よし食べ……あぁぁぁぁぁ!)
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文才が無い私にシリアスはまだ無理でした。
後、リニスさんをロリ化した事に関しては少しも反sすいませんでした。
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次回もよろしくお願いいたします。