イージス村は平和だった。
付近の狩場にも大型モンスターはほとんど現れず、現れたとしてもクリュウ達の敵ではなくすぐに討伐された。
おかげでイージス村は平和で、旅人達の中継地点としての役割を果たしながらのどかな日々を送っていた。
クリュウ達も平和な村に仕事がなく、ドンドルマまでよく狩りに行くようになっていた。
平和こそが一番だが、そうなるとハンターは存在価値を失う。何とも皮肉な事だ。
だが、クリュウは村の平和を誰よりも願っていた。だから、そんな平和な日々がずっと続けばいい。そう思っていた。
いつまでも、イージス村は平和である。誰もがそう思っていた。
――今日この日までは……
その日、イージス村から竜車に揺られて二日という場所にあるリフェル森丘に――奴が現れた。
のどかな風景の中、アプトノス達は小さな群れを成して崖に面した広場で背丈の低い草を食べていた。
いつもと同じ、そんな日。
だが、そんな彼らを狙う者が――空にいた。
「ギャアアアアアオオオオオォォォォッ!」
空を震撼させる怒号にアプトノスが顔を上げた瞬間、空から巨大なモンスターが低空飛行で風を纏いながら襲い掛かり、一瞬にして一匹のアプトノスを吹き飛ばした。岩壁に叩き付けられたアプトノスはピクリとも動かない。その灰色の体には巨大な裂傷があり、皮が裂けて真っ赤な血が溢れ出す。
残ったアプトノスは慌てて逃げ出す。仲間を見捨てるのは冷酷だが、生き残る為の生存本能がそうさせているのだ。それに、例え立ち向かったとしても無駄だと彼らはわかっている。
動かなくなったアプトノスにズシン……ズシン……と地面を震動させながら歩く巨大な赤いモンスター。
天空を飛び回る巨大な翼、敵を薙ぎ倒す巨大な尻尾、狙った獲物を二度と逃がさない巨大な足爪、鍛え抜かれた自然の鎧と言うべき筋肉に堅牢な真っ赤な鱗や甲殻を纏っている巨体。
まるで燃えているかのような紅蓮の体を持つその飛竜は、長い首の先の凶悪な顔を振り、鋭い歯の並んだ口を開く。
「ギャアアアアアオオオオオォォォォッ!」
山中に響き渡るような咆哮。木々が震え、小鳥達が一斉に逃げ出す。
紅蓮の飛竜は倒れたエサにその鋭い歯で噛み付くと肉を切り裂き、食いちぎる。巨大な口に生々しく赤い肉が飲み込まれ、不気味な白い歯はエサの血で真っ赤に染まる。
目を覆いたくなるような光景、それは自然の摂理。弱者は強者に食われる。その姿そのものであった。
紅蓮の飛竜は散々エサを食い散らかした後、その巨大な翼を羽ばたかせて暴風を纏いながら空に舞い上がった。
「ギャオオオオオォォォォォッ!」
圧倒的な迫力を持つ紅蓮の飛竜は空を悠々と飛び去っていく。その姿はまるで空の王者とも言うべき威風を纏っていた。
リフェル森丘に空の王者――リオレウスが現れた……
「クリュウくんッ! フィーリアッ! サクラッ!」
テロス密林というドンドルマのハンターが密林と呼ぶ狩場からドスランポス二匹を狩って帰って来た三人がドンドルマに戻って酒場に入ると、それを見たライザが慌てて走って来た。
「ライザさん? どうしたんですか?」
きょとんとするクリュウ。他の二人も同じような反応だ。一体どうしたというのか。
クリュウの前に立ったライザはいつになく真剣な表情でクリュウを見る。その表情に何かを悟ったのか、フィーリアとサクラも表情を引き締めた。クリュウはいまだに困惑している。
「クリュウくん、落ち着いて聞いてほしいの」
「はぁ、何ですか?」
一拍空けてから、ライザは静かに言い放つ。
「――あなたの村の近くの森丘に、リオレウスが現れたらしいの」
「……え?」
あまりにも突拍子もない言葉に、クリュウは一瞬思考がフリーズした。
フィーリアとサクラは驚愕の表情を浮かべるが、すぐに事の重大性に気づいて苦しそうな表情に変わる。
そして、遅れてクリュウがやっとその危機的状況を理解した。
「そ、そんな……ッ!」
愕然とするクリュウ。それはそうだ。リオレウスというのは上級飛竜に類別される、クリュウが今まで戦って来た全大型モンスターとは比べ物にならない強力なモンスターである。空を飛び回って敵を奇襲したり、その巨体を使って敵を粉砕する、まさに王者とも言うべき飛竜の中の飛竜。それがリオレウスだ。
とてもじゃないが、クリュウが相手にできるようなモンスターではない。
「おそらく、リフェル森丘ですね」
冷静に判断するフィーリアの言葉に、クリュウはまたも驚愕する。
「リフェル森丘って……村からそんなに遠くないよねッ!?」
「……リオレウスの基本行動範囲には、ギリギリ入るくらいの場所」
サクラの言葉にクリュウは冷静さを失う。
自分の故郷が、大切な村が、エレナ達村のみんなが――危ないッ!
「助けに行かなきゃッ!」
「待ってくださいッ! 今回の相手はリオレウスですよッ!? 今までとは比べ物にならない難敵ですッ!」
フィーリアが止めようとするが、クリュウは「わかってるよッ! でも、でも……ッ!」と悔しそうに拳を握る。その辛そうな姿に、三人は掛けるべき言葉を失った。
唇をキュッと噛み、ギュッと握られた拳は小刻みに震えている。
「僕が強くなりたいと思ったのは、村を守りたいからなんだ。なのに、いざ村が危険になったら、僕は何もできない。そんなの嫌だ。みんなに情けない姿は見せられない! 僕は村を守るッ! リオレウスを倒すッ!」
「無茶言わないでくださいッ! 今のクリュウ様が勝てるような相手ではありませんよッ!?」
「わかってるッ! だけど僕がやらなきゃッ!」
「ここは私やサクラ様に任してくださいッ! 私やサクラ様はリオレウスと戦った経験がありますッ! 私達で討伐すれば――」
「それじゃ僕は何の為に今までがんばってきたのッ!?」
「そ、それは――」
必死にクリュウを説得しようとフィーリアが次の言葉を言おうとした時、彼女の肩をサクラがそっと叩いた。振り返ると、彼女の隻眼がじっと自分を見詰めていた。
「サクラ様?」
「……クリュウなら大丈夫。きっと倒せる」
「さ、サクラ……」
「サクラ様ッ!? 一体何を……ッ!?」
驚くフィーリアに、サクラは小さく微笑んだ。その笑みにフィーリアは言葉を失う。見詰める隻眼には一切の曇りがない――彼女は本気だ。
「……クリュウはもうリオレウスと戦えるまで成長しているはず。足手まといなんかじゃない。クリュウは信頼できる仲間。だから、大丈夫」
うそ偽りのない真っ直ぐな言葉――彼女は信じているのだ。クリュウはリオレウスと戦って勝つ。必ず勝って、村を救うと信じているのだ。
嬉しくて涙が出そうなクリュウ。そんな彼に、サクラは確認するように問う。
「……リオレウスが相手なら、今までとは比べ物にならない戦いになる。私は全力で戦う。今までのように、クリュウのフォローに回れない事もあるかもしれない。それを覚悟してでも、戦う?」
サクラの問い、それはクリュウの決心を確認するものであった――だが、そんなのは愚問だ。クリュウはすでに決心を固めている。
「もちろん、僕は足手まといなんかじゃない。仲間なんでしょ?」
「……そうね、じゃあ決まり」
「よしッ! じゃあ早速リオレウスを狩りに――」
「ま、待ってくださいッ! 私はまだ許可してませんよッ!?」
そう慌てて声を上げるフィーリア。彼女はクリュウを危険な目に遭わせたくない一心なのだ。だが、ハンターという職業自体が危険な仕事。危険は百も承知。クリュウだって危険なのはわかってるし覚悟の上だ。それでも、フィーリアはクリュウに――大好きな人に怪我をしてほしくないのだ。
まだ納得できないフィーリア。だが、そんな彼女を見詰める冷たい視線。見ると、サクラが隻眼でじっと見詰めていた。
「な、何ですか?」
「……なら、あなたは来なくていい」
「なぁッ!?」
「……クリュウを信じられないなら、邪魔なだけ。私はクリュウを信じてる。だから、一緒に行く。それ以外の何ものでもない」
正面からの真っ直ぐな言葉。その言葉の重みにフィーリアは彼女の決心を知った気がした。
彼女はクリュウを信じている。だから、一緒に行こうとしている。
だが、自分だって彼を信じている。彼ならリオレウスだって倒せる。でも、それでも怪我をするかもしれない。もしかしたら大怪我を負うかもしれない。そう思うと、クリュウを信じる気持ちが鈍る。
彼には優しく笑っててほしい。だから、傷ついてほしくないのだ。
二つの相反する思いに苦しむフィーリア。そんな彼女に、クリュウはそっと声を掛ける。
「僕はサクラと一緒に行くけど、フィーリアは無理しなくてもいいよ? リオレイアとリオレウスじゃ別種のようなもの。動きが変わってやりづらいなら、無茶しなくていいよ。何だったら求人でも出すからさ」
そう言ってクリュウは優しく微笑んだ。
あぁ、この笑顔だ……
あんなにクリュウに悪い事を言ったのに、彼はこんな自分を気に掛けてくれている。本当に優しい人なのだ。彼は。
そんな彼が一大決心と共に空の王者、リオレウスに挑もうとしている。それも、サクラと一緒に。さらに彼は自分が降りるなら別のハンターを求人するとまで言っている。
――彼の信頼を他のハンター、ましてや絶対に負けたくないサクラにだけは渡したくなかった。だから……
「わかりました。クリュウ様がそこまで仰るなら、私も同行しましょう」
「ふぃ、フィーリア……ッ!」
ぱぁっと笑顔が華やぐクリュウ。そんな彼の笑みにフィーリアはドキリとしながらも言うべき事はちゃんと言う。
「リオレイアとリオレウスでは戦い方が違います。今回ばかりは私も苦戦を強いられるでしょう。ですので、私からの掩護はあまり期待しないでください。申し訳ありません」
「いいよ。みんな自分で考えて動くのはいつもの事。何も変わらないよ」
「いえ、ですから今回私は掩護は難しいんです」
「……私も、フォローは難しい」
そう言う二人だったが、そんな二人にクリュウは気にした様子もなく、むしろ嬉しそうに優しく微笑んだ。
「――それでも、信じてるからね。二人の事」
「クリュウ様……」
「……クリュウ」
その言葉に、二人は小さく微笑んだ。
どうやら、自分達は思っていた以上に彼に信頼されているらしい。自分の背中を、命を自分達二人に預けている。
仲間を信頼している。そんな彼に二人は苦笑いするしかなかった。
「まったく、クリュウ様ったら……」
「……まぁ、嬉しいけど」
「そうですね。これは全力で掩護しないといけませんね」
「……私も、かつてないくらいがんばる」
「そう来なくっちゃッ! じゃあ三人で村を守りに行くよッ!」
「了解ですッ!」
「……わかった」
三人は信頼し合える互いの手を握り合う。
決意は固まった。
村を、故郷を、友を守る為に、今までかつてない大規模な戦いに挑む。
守りたいものを守る為に、新たな戦いに向かう。
リオレウスを倒す。その決意を胸に、クリュウ達は出陣す――
「あ、あのみんな、ちょっと報告があるんだけど……」
かっこ良く出撃しようとしていたところに、おずおずといった感じのライザの声が響く。振り返ると、ライザは苦笑いしていた。
「ライザさん? どうしたんですか?」
クリュウは不思議そうに問うと、彼女は苦笑いしながら衝撃の事実を口にした。
「あの、そのリオレウス討伐依頼なんだけど……あなた達が騒いでいる間に別の人が受注しちゃったみたい」
ライザの爆弾発言にクリュウはもちろんフィーリアとサクラまで驚く。そりゃそうだ。これからその依頼を受けて出撃しようと決意してたのに、いきなりそれを根本から折られたのだから。
「だ、誰が受注されたんですかッ!?」
フィーリアが慌てて問う。そんな彼女の問いにライザは無言で受付を見た。彼女の視線を追って見ると、そこには一人の少女が立っていた。
手続きを終えたのか、少女はくるりと振り返った。
――その瞬間、クリュウは彼女の美しさに目を奪われた。
純白に近い銀色の柔らかそうな長い髪を結ったポニーテール、作られたのではないかと思ってしまうほど美しく整った顔、太陽を知らずに育ったのではないかと感じるような真っ白な肌、吸い込まれそうな美しい碧眼。
まるで本の中のお姫様がそのまま現れたかのような、プライドに満ちた凛々しい表情。その美貌は誰もが振り向く美しさだ。
年はクリュウより少し年上くらいだろう。落ち着いた物腰と凛々しい顔が美しい長身の美少女。
高級人形のような端整な美しさは、とてもじゃないがハンターには見えない。
だが、その身を包むのは世にも珍しい蒼色の鱗や甲殻に覆われたリオレウス亜種――蒼リオレウスから剥ぎ取れる素材を使ったリオソウルシリーズ。頭だけは装備していないが、その白い耳には赤色のピアス、レッドピアスが付けられている。
そして、彼女の背中に背負われたのは巨大な剣――大剣だ。それもまた蒼リオレウスの素材を使った煌剣リオレウス。
全身蒼リオレウスの武具で身を包んだ少女。フィーリアやサクラと並ぶような歴戦のハンターであるとわかる出で立ちだ。
少女は手に持った依頼書を見詰めながら歩く。その時、ふと上げられた視線がクリュウと合った。
時が止まったような感覚の後、どうすればいいか困惑する彼に、そっと少女の方から声が掛けられる。
「何か用か?」
澄んだ美しい声音で放たれたどこか威圧的な声と凛々しい表情、そしてそのどこか大人びた雰囲気に、クリュウは一瞬戸惑うが、すぐに「あ、いえ、別に……」と小さいながらも言葉を返す。
「そうか、邪魔して悪かった」
別に彼女は何も悪くないのに、律儀にも話題の邪魔をした事を謝るとクリュウの横を通り抜けようとする。
「あ、あのッ!」
言ってから自分で驚きながらも、クリュウは少女の歩みを止める。彼の声に少女も足を止めてそっと振り返る。不思議そうに首を傾げながら「まだ何か?」と小さく問う。クリュウは一瞬|躊躇(ちゅうちょ)したが、心の中で決心すると少女に問いかける。
「あ、あの。これからリオレウスを討伐にしに行かれるんですか?」
「あぁ。そのつもりだが」
「よ、良ければその依頼、僕に譲ってもらえませんか?」
クリュウの突然のお願いに少女は少し瞳を大きくして驚く。そしてじっくりとクリュウの姿を上から下まで一通り見てみる。クリュウが着ているのはバサルシリーズ。中級クラスのハンターであると示していた。だが、リオレウスは上級飛竜だ。
普通に考えれば、クリュウはまだリオレウスは早い。少女もまた彼の装備などを見てそう思っていたが、自分に向けられるその真剣な瞳に何かを感じ、半身だけ振り向かせていた体を完全に彼に向き直す。
「……何か、訳がありそうだな」
「はい……」
「良ければその訳を聞かせてもらえるだろうか? それで考えたい。無理にとは言わない」
少女の言葉に、クリュウはサクラとフィーリアが仲間である事を告げてから簡単に説明した。彼女が受けた依頼のリオレウスが自分達の村の付近に現れたという事。そして、村を守る為にも、自分達でそのリオレウスを倒したい、と。包み隠さず、全部話した。
クリュウの言葉を無言で聞いていた少女の表情は何ら反応を見せていない。ただじっくりと、彼の言葉の真意を探るように聞いていた。
「……という訳なんです。ですから、そのリオレウスは僕達で討伐したいんですッ! だから、お願いしますッ! どうかその依頼を僕に譲ってくださいッ!」
クリュウはそう言うと恥ずかしがる事もなく頭を下げた。それだけ必死という事が伝わって来るような光景だ。フィーリアとサクラも続いて頭を下げる。
仲間全員で頭を下げて頼み込むクリュウ達を見回し、少女は腕を組んで思考する。そんな彼女の仕草にクリュウは不安げに顔を上げる。
「あの、ダメですか?」
「……ダメだ」
返って来た言葉はクリュウの期待を裏切るものであった。だが、ある程度は予想していた。一度受けた依頼をそう簡単に渡すほど、このハンター世界は甘くはないのだ。
「……そうですか、わかりました。じゃあ、よろしくお願いします」
クリュウは素直に引き下がり、彼女に村の命運を任せると肩を落としながら踵を返す。フィーリアとサクラも残念そうにそんなクリュウの肩をポンと叩いた。
そんな信頼し合った仲間のクリュウ達を、少女はじっと見詰める。
「失礼しました」
フィーリアが最後に丁寧に頭を下げて席に戻ろうとクリュウの手を引いた。その時、
「――依頼は渡せない。でも、君達の気持ちはわかった」
そんな言葉を背後から掛けられ、クリュウは振り返る。そこにいたのは、頼もしい小さな笑みを浮かべた少女。銀色の髪が、明かりに照らされてキラキラと輝く。
「一緒に行くか?」
掛けられた言葉は、クリュウ達の予想を大きく上回るものだった。
もはや諦めていただけあって、クリュウの驚きは大きい。驚いて言葉をなくすクリュウ達に、少女はスッと手に持っていた依頼書を差し出す。
「本当は一人で行くつもりだったが、君達の本気に負けたよ。どうだ? これならお互いに損はないだろう?」
依頼書に名前を書けば、チームを組む事になる。そして、ギルドの規定ではチームを組めるのは四人まで。ちょうどここにはクリュウ、フィーリア、サクラ、そして少女の四人がいる。問題なく、チームが組める。
「い、いいんですか? 僕らが同行しても」
クリュウは不安だった。
彼女は一人でリオレウスを倒しに行こうとしたような人物。フィーリアとサクラはまだしも、自分は足手まといになるのではないか。それが不安だった。だが、
「構わないさ。村を守りたいのだろう? なら、共に行こう――空の王者の下へ」
そう言って少女はクリュウに依頼書を手渡すと、次に差し出したのはリオソウルアームの外された純白の手。その意味を理解するのに多少の時間を要したが、クリュウはその意図をくみ取って自らも手を差し出した。
――互いの手が、しっかりと結ばれた。
「僕の名前はクリュウ・ルナリーフです。まだまだ弱いハンターですけど、よろしくお願いします」
「こちらこそ。私の名はシルフィード・エア。周りからは『蒼銀の烈風』なんて呼ばれている。よろしく頼む」
少女――シルフィードはそう名乗ると、一時とはいえ仲間となるクリュウ達を見回し小さく微笑んだ。
フィーリアとサクラも異存はなく、嬉しそうに微笑んでいる。そして、今まで事の成り行きを見守っていたライザも、嬉しそうに微笑んだ。
――これが、クリュウとシルフィードの最初の出会いだった……