モンスターハンター ~恋姫狩人物語~   作:黒鉄大和

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第58話 勝利の宴 交差する想い

「それでは皆の衆! 勝利を祝して乾杯といこうではないか!」

「「おおおぉぉぉッ!」」

「……おー」

「では乾杯じゃぁッ!」

「「かんぱーいッ!」」

「……乾杯」

 高らかに掲げられたツバメのビールジョッキに他三人のジョッキがカチャンとぶつかって心地良い音を響かせる。その際に中身が飛び散ってしまったのは仕方がない事だ。

 ここはアルフレアの酒場。ドドブランゴを討伐し終えたクリュウ達は拠点(ベースキャンプ)で一泊した後無事にアルフレアまで戻って来た。そしてそのままこうして祝勝会となったのだ。

 ツバメはビール、サクラはワイン、クリュウとレミィは揃って同じジュースを飲んでいる。同じ酒に弱い者同士、以前からレミィは酒に弱いと知っていたクリュウは改めてちょっと親近感が沸いた。

 ツバメはグビグビとビールを飲む。その行為は男らしいのだが、かわいさ爆発のその容姿のせいで全く男っぽく見えない。むしろその無理した男っぽさがまたかわいらしさをさらに爆発させてしまっている。

 サクラはワインを軽く飲んでいる。その大人っぽい姿もまた美しい。

 クリュウと一緒にジュースを飲むレミィは、ジョッキを両手で抱えている事もありその容姿が加わってかわいさ爆発だ。

 基本的に男所帯のハンター生活の中で、このテーブルには誰もが振り返るような美少女が三人(正確には美少女二人と美少女っぽい男の子一人)もいるのでかなり目立ってしまう。自然と皆の視線が集まる。ちなみに少し前に三人はナンパされたが、サクラが一刀両断して牽制したおかげで絡もうなどと考えるアホはいないらしい。

「ぷはぁッ! やっぱり勝利の後のビールは堪らんのぉッ!」

 ジジイ言葉がこの時ほど似合うセリフもないなぁ、と思ったのはきっとクリュウだけではないだろう。

「そうだね。僕はジュースだけどおいしいよ」

「うむ。しかしクリュウもレミィと同じで酒が苦手とは、人生を損しておるのではないか?」

「むぅ、そんな事ありませんよーだ」

「ははは、すまぬすまぬ」

 アルコールが入ってほんのりと紅潮した頬で笑顔を浮かべるツバメ。そのかわいさはもはや兵器の領域に達している。その笑顔に魅了されて数人の野郎どもが気絶したのも仕方ない事かもしれない。

「サクラ、これおいしいよ。食べてみて」

「……ありがとう」

 クリュウは自分の料理をサクラにおすそ分けする。サクラは小さな笑みを浮かべるとそれを口にした。

「……おいしい」

「でしょ? アルフレアは海産物がおいしいって聞いてたけど本当だね」

「当然ですよ。このアルフレアは海の街なんですから。あ、クリュウさんこれを食べてみてください。すっごくおいしいですよ」

 そう言ってレミィは自分の料理をクリュウに食べさせようと彼に近寄る。その瞬間、サクラの隻眼が鋭くなった。

「はい、あーんです」

「え? あ、いやそこまでしなくても……」

「ダメです。口を開けてください」

「そ、それは……、ツバメ助けてぇッ!」

 迫るレミィのあーん包囲網にクリュウは援軍を要請する。が、

「うむ。これも青春じゃのぉ。がんばれ」

 そう言ってツバメは料理をもきゅもきゅと食べ始める。どうやら助けるつもりは全くないらしい。親友だと思っていたツバメに見捨てられたクリュウはショックを受けるが、その隙にレミィの包囲網がさらに迫る。

「はい、あーんです」

「いや、ちょっとレミィ……」

「……ダメ」

 逃げようにも逃げられない状況の中で助けてくれたのは意外にもサクラだった。クリュウは援軍得たりと喜ぶが――これが新たな戦いの始まりとなってしまった。

「……クリュウは渡さない」

「クリュウさんはサクラさんのものじゃないです!」

「……クリュウは、大事な仲間」

「私にとっても大切な仲間です!」

「……一時的なチームに過ぎない。私とクリュウは未来永劫コンビを組み続ける」

 睨み合うサクラとレミィの二人の恋姫。決して交わる事のない両者の想いが激しく激突する。そんな二人の揉め事の原因であるクリュウは二人の対立する原因が自分であるなど知らず必死になってケンカを仲裁しようとする。

「ちょ、ちょっと二人ともケンカはやめてよぉッ!」

 そんな三人を安全地帯から見守るツバメはやれやれとばかりにため息をすると小さく苦笑いする。

「さぁて、ワシは一体誰を応援すべきかのぉ」

 ツバメが誰の応援をしようか考えた時だった。

「レミィッ! ツバメッ! 久しぶり!」

 その声に振り向くと、嬉しそうに満面の笑みを浮かべたレミィそっくりなポニーテールの少女――ラミィ・クレアが手を振っていた。

「お姉ちゃん!」

「おぉ、ラミィか。久しいのぉ」

 レミィとツバメも嬉しそうに手を振る。ラミィは笑顔で二人に駆け寄り……クリュウを見て急に不機嫌そうな顔になった。

「えっと……」

「何であんたがいるのよ」

 感動の再会、開口一番にこれである。どう返答しようか困惑しているとレミィが慌ててフォローに入るようにして説明してくれた。アルフレアに出稼ぎに来たクリュウ達と偶然会った事、そしてそのままドドブランゴを一緒に討伐した事などだ。

 一応全部聞いたラミィは「なるほどねぇ」と小さくうなずいた。どうやら納得してくれたらしい。

「二人とも強くてびっくりだよ。日頃の修行のおかげだね」

「当たり前でしょ。あんたみたいなアホに負けるような修行だったらとっくにハンターなんかやめてるわよ」

 相変わらずの強気な発言。クリュウはその理不尽な言葉の数々に少し懐かしさを覚えた。一時的だったがラミィとレミィと一緒に組んでいた時は毎日のようにこうして罵倒されたものだ。エレナには肉体的に、ラミィには精神的に。もしあそこにレミィという救いの女神がいなかったら、今日のクリュウは存在していなかったかもしれない。

「ははは、相変わらずラミィは言う事がキツイねぇ」

「ふん、あんたは相変わらず頭のネジがぶっ飛んでるんじゃないの?」

 久しぶりの再会をした二人の会話は相変わらずなものだ。レミィが「もう、お姉ちゃんは……」と呆れ、ツバメは「なるほどのぉ」と一人納得し、サクラは無言のままラミィを睨み付けていた。

「ちょっとクリュウ、私のかわいい妹のレミィとかわいい仲間のツバメに変な事してないでしょうね?」

「する訳ないでしょッ!?」

「どうだか」

「ちょっと待てラミィッ! お主の発言はどこかおかしいぞッ!? それに何ら疑問も持たずに返したクリュウもおかしいぞッ!」

 ツバメが一人で騒ぐが、お互いに何ら疑問も抱いていない二人の会話は止まる事はない。それどころか二人だけでなくレミィもサクラも違和感など感じていない。恐るべきツバメの性別の壁を越えたかわいさだ。

 一通り経緯を聞いたラミィは「無茶するんじゃないわよ」とレミィに注意するとレミィの横に腰掛けた。すると、自分を見詰めるクリュウの視線に気づく。

「何よ。邪魔だって言いたいの?」

「え? ううん、違うよ。ただラミィなんでまたそんな防具にしたの?」

 ラミィの付けている防具はイーオスシリーズ。文字通りイーオスの素材を基本に作られた鮮やかな赤い防具だ。ランポス系の防具では最も性能の高い防具だが、飛竜や大型モンスターの防具に比べればその性能は格段に下回る。以前彼女はギザミシリーズを装備していたはず。という事はわざわざ性能の低い防具に変えたという事だ。

 クリュウが不思議そうに見ていると、ラミィは突如うつむくと小刻みに肩を震わせた。何事かと思っていると、微かに聞こえてくるのは――必死に押し殺している笑い声。

「え? な、何で笑ってるの?」

「……ッ! ひぃ……ッ! も、もうダメ……ッ! 我慢できない――あはははははッ!」

 ついに笑いが堪えられなくなり、ラミィは大声で笑いながら腹を抱え、テーブルをバンバンと拳で叩き始めた。その遠慮のない笑い方に、さすがのクリュウもムッとする。

「そ、そんなに笑う事ないでしょッ!? そもそも何で笑ってるんだよッ!」

 だが、そんなクリュウの言葉はさらにラミィを爆笑させる事しかできなかった。すっかり周りの目線も自分に集中してしまい、クリュウが怒りと恥ずかしさで顔を真っ赤にしていると、クイクイっと袖を引かれた。振り向くと、じっと見詰めるサクラと瞳が合う。

「サクラ?」

「……あれは、イーオスSシリーズ。上位クラスのイーオスの防具よ」

「え、Sシリーズッ!?」

 クリュウは驚いた。それもそのはず。Sシリーズというのは上位クラスのモンスターから剥ぎ取れる素材を使った防具だからだ。

 上位クラスというのは通常のモンスターよりも強い個体を示す値である。多くのハンターを返り討ちにしてきたり、生存競争を生き残ってきた歴戦のモンスターは通常の個体よりも強く、それを上位クラスと類別する。

 そんな強い上位クラスのモンスターから剥ぎ取れる素材を使ったS系、またはU系防具は通常のものよりも強固であり、上位のランポス系防具ならば通常の上級飛竜の防具にも引けをとらない性能を有している。

「そ、それ本当にSシリーズの防具なの? 上位クラスって余程の腕がないと引き受けられないんじゃないの?」

「失礼ね。これはれっきとしたイーオスSシリーズだし、私の腕があればこれくらい造作もないのよ」

 胸を反らして自慢げに言うラミィ。その頭に被っているイーオスSヘルムにはSシリーズの証の小さな数枚の羽が誇らしげに風に揺れていた。改めて彼女と自分の実力差を思い知らされてクリュウが落ち込みそうになる。と、

「本当は私達なんかまだ全然上位クラスなんて受けられないんですけど、前に組んだすっごく強いハンターさんと一緒に何度か上位クラスの素材採集ツアーをしたんです。その際に掻き集めた上位クラスのイーオスの素材を使ってこの防具を作ったんですよ」

 レミィはあまりにもあっけなくタネを披露してしまった。そんな勝手な妹の行動にラミィは頬を膨らませて不機嫌そうに唇を尖らせる。

「ちょっとレミィ。勝手に言わないでよ。せっかくの私の武勇伝が台無しじゃない」

「武勇伝って、上位クラスのイーオスに追われて泣き出した事とか?」

「え? ラミィが泣いたの?」

 驚くクリュウに対し、レミィは「そうなんですよ。もう子供みたいにわんわん泣いて」と話を進めてしまう。その時の彼女の楽しそうな笑顔に、ツバメは小さく微笑んだ。

「ちょっとレミィいい加減にしなさいよッ! あんたも何勝手に人の恥ずかしい話を聞いてるのよッ! 忘れなさいッ! 記憶を抹消しなさいッ!」

 一方のラミィは顔を真っ赤にして怒鳴り散らす。だが、恥ずかしさのあまりの真っ赤な顔と潤んだ瞳のせいでまったくもって説得力がない。

「いや、抹消って言われてもそう簡単に人の記憶は消えないよ?」

「私の正式採用機械槍(ランス)でぶっ飛ばせば大丈夫よッ!」

「武器はそういう使い方をするものじゃないでしょッ!?」

 クリュウが身の危険を感じて慌てて後退するが、ラミィは容赦なく背中のガトリングランスの強化型である正式採用機械槍の柄を握る。と、

「……クリュウには手出しさせない」

 そう言ってスッとクリュウの前に立ち塞がったのはサクラ。その鋭い隻眼はキッとクリュウに害をなす存在であるラミィを睨み付けている。

 今までサクラの存在など気づいていなかったラミィは突如クリュウをかばうようにして立ち塞がった隻眼の少女を睨み返す。

「何よあんた。邪魔しないでよ」

「……(フルフル)」

「どきなさいよッ!」

 断固としてクリュウの前から立ち去らないサクラにラミィは憤慨する。そんな二人にクリュウとレミィが慌てて仲裁に入った。

「ちょ、ちょっと落ち着いてよお姉ちゃんッ!」

「サクラも落ち着いてよッ!」

 二人に止められ、サクラとラミィは渋々といった具合にお互いの武器から手を離した。それを見てクリュウとレミィはサクラとラミィに互いの紹介をした。

「えっと、私のお姉ちゃんのラミィ・クレアです。よ、よろしくお願いしますね」

「ふん」

「この子はサクラ・ハルカゼ。僕の昔なじみで今は一緒にチームを組んでるんだ」

「……」

 互いを紹介したはいいが、お互いにどちらも視線を合わせようとしない。すっかり関係が崩れてしまったようだ。

「ツバメ、何とかしてよぉ」

 クリュウはツバメに協力を求めるが、ツバメは眉をひそめて「ワシに何をしろと言うのじゃ」と協力方法を逆に問う。そう言われてしまうとクリュウも黙ってしまう。そもそもそんな方法があったら自分でやっている。

 レミィが必死になってお互いを仲直りさせようと奮闘するが、どうやら無理そうだ。クリュウは一度ため息を吐くと再び二人に近づく。と、

「おうみんな。こんな所にいたのか――って、何やってんだ?」

 その声に皆の視線が一点に集中する。クリュウも不思議そうに振り返ると、そこには見知らぬ男が立っていた。髪質の硬そうなツンツンとした短めな茶髪に同色の瞳。年は二〇代前半くらいだろうか。野性的な顔つきをしているが、笑ったらとても優しげなその男もハンターらしい。体皮が赤いフルフル亜種から剥ぎ取れる素材を使ったガンナー用のフルフル亜種の防具を身につけている。背中に背負われているのはロングバレルを装備したバストンメイジ。どうやらヘビィボウガン使いのようだ。

「おぉ、ジーク。久しいのぉ」

 今まですっかり傍観者モードに徹していたツバメはそんな男に柔和な笑みを浮かべて声を掛ける。ジークと呼ばれた男もツバメを見て「お、ツバメか。久しぶりだな。元気にしてたか?」と笑みを浮かべて答えた。

「今回は確かゲリョスの亜種じゃったか?」

「おうよ。今回は結構苦戦したぞ? ラミィがいくら自分には毒が効かないとはいえ突進ばかりして、奴の閃光を喰らいまくって気絶。俺の回復薬を全部やった上に俺も回復弾がなくなるまで撃ったぞ」

「ははは、ラミィは突撃ばかりするからのぉ。ゲリョス相手ではあまり得策ではないのじゃがな」

「し、仕方ないじゃないッ! ランスは突撃以外じゃ動きが遅いんだからッ!」

「俺は一撃も喰らわなかったぞ」

「あんたは岩壁の上から狙撃してただけでしょッ!?」

「失敬な。ヘビィボウガンはランスとかと同じで動きが鈍いんだから安全圏から攻撃するのが常識だろうが」

「だ、だからって全部私に押し付けなくても!」

「おいおい、忘れたのか? 攻撃用の火炎弾や貫通弾の他に広域化で回復薬もほとんど飲んじまったんだぞ?」

「し、知らないわよ!」

 恥ずかしいのか、ラミィは不機嫌そうに唇を尖らせて男に背を向ける。ツバメと男はそれを見て笑い、レミィも小さく苦笑していた。一方、すっかり置いて行かれているクリュウとサクラ。それに気づいたレミィが慌てて男を二人に紹介する。

「あ、この人はジークフリートさんです。正確無比の安定した射撃が得意な、私達の頼れるチームリーダーです。あ、ちなみに彼の防具はフルフルUシリーズですよ?」

 つまりは上位クラスの防具という事だ。それはつまり彼が上位クラスの依頼を受けられるだけの実力を持つという事を意味していた。

 見知らぬクリュウとサクラを不思議そうに見ていたジークにはツバメが二人を紹介してくれた。

「ラミィとレミィの知り合いなのか。俺はジークフリート・ディアベルト。長いからジークでいいぜ」

「あ、クリュウ・ルナリーフです。こっちは一緒に組んでいるサクラ・ハルカゼです」

「……(ペコリ)」

「よろしくな。しっかしガンナーなしでドドブランゴは辛かったろ?」

「そ、そうですね。初めてだったので疲れました」

「そうかそうか。っていうかツバメ。お前何でまたドドブランゴなんかの討伐依頼を受けたんだ?」

「すまんすまん、どうしてもドドブランゴの素材がほしくてな」

「難しい相手は俺がいる時にしろよ。この面子でよく勝てたな」

 ジークは苦笑いするツバメの額にデコピンする。その様子はまるで仲のいい兄と妹――じゃなくて弟のようだ。

「そういえばフィーリアはどうしたのよ? あんた彼女とまた一緒に組んでるんでしょ?」

 ラミィが思い出したように訊いて来る。レミィも気になるのかじっとこちらを見ているし、知らない名前の子の話にツバメとジークも興味津々だ。

 そんな皆の視線にクリュウは一度サクラを一瞥して、苦笑いしながら答えた。

「えっと、フィーリアは今頃リオレイア亜種と楽しく戦ってると思う」

『り、リオレイア亜種ッ!?』

 予想通り皆驚く。上位クラスのハンターであるジークでさえ驚きを隠せない。実際問題リオレイアとフルフルでは上位とかの壁があってもやはりリオレイアの方が強いのだ。しかも慣れたガンナーであればフルフルはブレスさえ気にしていれば無傷で勝利できるらしいが、リオレイアはそうもいかない。

「お、俺なんか前に一度リオレイアは相手にしたけどよ、もう二度とごめんだぜ」

「私達なんかまだ全然先よね」

「そ、それを亜種だなんて……」

「一体何者じゃ?」

 驚愕と困惑に支配されるツバメ達に、クリュウはやっぱり苦笑いする。リオレイアなんてここにいる面子ではジークやサクラはともかく、それ以外のクリュウ達にとってはまさに神竜のような存在。歯向かえば死ぬっていう方程式すら成り立ってしまっている。

「……フィーリアは、新緑の閃光という通り名で知られてる」

 サクラのボソッとした小さな声に、見事に聞き取ったジークはさらに驚愕する。

「え? お前らの仲間のフィーリアって、あのリオレイアハンターの新緑の閃光なのか!?」

「あ、はい。結構有名なんですか?」

 驚くクリュウに、ツバメが「お主はアホかぁッ!?」と鋭いツッコミを入れる。いまだかつて自分から突っ込んだ事はあってもされた事があまりないクリュウは困惑する。

「え? あ、え?」

「新緑の閃光といえば多くの下位や上位クラスのリオレイアを討伐し、亜種をも数頭討伐しているガンナー界のルーキーじゃねぇか!」

「その通り名を知らぬ者は普通はおらんぞ」

 ジークとツバメの言葉に、クリュウは改めてフィーリアの実力を知った。あの虫も殺さないような天使のような笑顔のフィーリアが、ひとたび狩りに出れば数多くのリオレイアを狩っているなんて、その実力を見ていなければ絶対に信じないだろう。

 フィーリアの通り名もちゃんと知っているラミィとレミィであっても、同い年なのにレベルが圧倒的に違うフィーリアに苦笑いするしかなかった。

 驚くクリュウだったが、ふと隣に立つ実力者――サクラを見る。

「あ、あのジークさん。隻眼の人形姫ってのはご存知ですか?」

 クリュウの問いに、ジークはもはや呆れるしかなくため息した。

「クリュウとか言ったかお前? どこの田舎者だよ。これくらいの街のハンターなら誰でも知ってる有名人じゃないか。受けた依頼は例え腕を折ってでも完遂し、護衛依頼は絶対に断らない、依頼者達にとっちゃまさに女神のような存在の凄腕ハンターだぞ――そういえば最近彼女の噂を聞かなくなったな。どこいんだ?」

「――えっと、今僕の隣にいますけど」

『はいッ!?』

「……ッ!?」

「ははは」

 クリュウの言葉に驚くジーク、ラミィ、レミィの三人が驚いて彼女を見る。その視線にサクラはビクッと震えて驚くとクリュウの背中に隠れてしまう。そんなサクラを見て事情を知っているツバメはおかしそうに笑い、クリュウは苦笑いした。

「いやサクラ。別に隠れなくてもいいでしょ?」

 クリュウはそっと彼女を前に出そうと身を翻そうとするが、しっかりと背中をサクラに掴まれていてそれは敵わなかった。

 一方のジーク達は驚きを隠せない。何しろ隻眼の人形姫と言えば結構名の知れた有名人だ。そんな人物が今目の前にいる。となると、する事はただ一つ。

「サインくださいッ!」

 ジークはバッとどこからか色紙と筆を取り出した。そのすさまじい勢いにサクラはビクッと震えてクリュウの背中に隠れてしまう。

「ちょっとジークさんッ! 女の子を怖がらせるなんてダメですよッ!」

「冗談だよ。そんなに怒るなって」

 怒るレミィに、ジークは悪びれた様子もなく楽しそうに笑う。ラミィとツバメもそんなジークを見て小さく苦笑いしていた。どうやらこういうやり取りがいつもの光景らしい。

 ジークはレミィにそう言った後クリュウの背後からじっとこっちを見詰めているサクラに苦笑いする。

「いやさ、そこまで怯えなくてもいいんじゃないか?」

「だってさ」

 クリュウは今度こそサクラを前に押し出す。サクラはそれに対してクリュウを少し怒ったような瞳で一瞥した後、ジークにペコリと頭を垂れた。そんな彼女をジークは改めて見詰め直す。

「しっかし、まさかあの隻眼の人形姫がこんなガキだったとはな。ラミィ達と対して変わらないし、本物なのか?」

 ジークが疑うのも無理はない。世間に名の知れたハンターならばもっと熟練のオーラを出しているものである。しかしサクラはまだまだ子供といえば子供。初めて会うのならば疑っても仕方がない。

「ほ、本当ですよ! サクラは本物の隻眼の人形姫です!」

 クリュウはサクラの名誉を守ろうと必死になって断言する。と、

「いやいや、冗談だよ。その武装を見れば彼女がその噂に負けない実力の保持者だってわかる。つまりは本物って事さ」

 そう言ってジークは豪快に笑った。どうやらサクラの凛シリーズや飛竜刀【紅葉】が信用性を持たせたらしい。さすがはサクラの武装といったところか。

 サクラが信用されて安堵の息を漏らすクリュウ。そんな彼を見てジークはふと、

「にしても、新緑の閃光に隻眼の人形姫を仲間にしてるなんてすごいなお前。って事はお前も強いのか?」

「あ、いえ、僕は全然強くなんかありませんよ」

「ジーク。こいつの言ってる事は本当よ。一緒の二人はすっごく強いけど、こいつまだまだかけだしだから」

 苦笑いで回避しようとしたクリュウに、容赦なくラミィの言葉が突き刺さった――サクラがハッと気づいた時にはもう遅かった。

「あぁ、情けないなぁ僕って……」

 すっかり意気消沈して落ち込みまくるクリュウ。サクラが慌てて励ましの言葉を掛けるが、クリュウはなかなか元には戻らない。

「……どうやら、禁句を言ってしまったようじゃのぉ」

「わ、私のせいじゃないわよッ!?」

「お、俺が悪いのかッ!?」

「二人ともですよッ!」

 ラミィ達がそんなやり取りをしていると、ツバメは一人で給仕娘に新しい料理を注文する。彼の手元にあった焼き鳥は全部なくなっていた。

「ちょっとツバメッ! あんた何一人で勝手に食べてるのよッ!」

「別にいいじゃろう? ワシが注文したんじゃから」

「そうじゃなくて! あんた何一人で高みの見物してるのよッ!」

「いや、今回の狩りではずっとクリュウに突っ込んでおったからのぉ。さすがに疲れたのじゃ」

 そう言ってツバメはグイッとビールを飲む。口元についた白い泡がまたかわいらしい。

 そんな頼りにならないチームメイトにラミィは地団駄を踏む。

「ま、まぁとりあえずこれも何かの縁だ。今日はみんなで飲んで食って騒ぐか!」

 場の空気を変えようとジークはみんなを席に座らせると料理や酒を注文する。とりあえずテーブルを挟んでサクラ、クリュウ、ツバメとラミィ、レミィ、ジークの順で座る事になり、すぐに酒を飲んだり料理を食べたりと食事を開始する。

 何とかサクラの励ましで復活したクリュウも頼んでおいた自分の料理をもぐもぐと食べ始める。しばらくはそんな具合で飲んで食っての楽しいひと時が続いた。すると、

「……クリュウ、これ」

 そう言ってサクラは自分の皿を差し出してきた。

「あ、ありがとう。じゃあこれあげる。サクラってスネークサーモン好きだったでしょ?」

「……ありがとう」

 付き合いが長い為お互いの好みがすっかりわかっている二人。自然と二人の世界に入ってしまう。それを恨みがましげに見詰めるレミィ。

「く、クリュウさん! 私のもどうぞッ!」

 レミィは遅れを取り戻そうと自らの料理をクリュウに差し出す。と、

「あ、いや、その……」

 クリュウは苦笑いしてなかなか受け取ってくれない。その反応にレミィはショックを受けると、泣きそうな瞳でさらに皿を差し出す。

「どうぞッ!」

「いや、その……」

 クリュウが渋っていると、サクラがスッとレミィに皿を押し戻す。

「な、何するんですかッ! これはクリュウさんにあげようと――」

「……クリュウは、クック豆が嫌い」

「え?」

 驚くレミィは本当ですかと問うような瞳でクリュウを見る。すると、クリュウは小さく苦笑いしながら返答した。

「あ、うん。クック豆はちょっと苦手なんだ」

「……子供の頃から、変わらない」

「そうなんだよねぇ」

 二人の会話に、レミィは絶望感に打ちひしがれた。自分とサクラとでは過ごして来た時間が違い過ぎる。自分が知らないクリュウの事を、彼女は多く知っている。

 過ごして来た時間の決定的な違いから、圧倒的にレミィが不利であった。

 ウーッと悔しそうに唸るレミィの肩を、ラミィがポンと叩いた。振り向くと、ビールを飲みながら呆れたような顔をするラミィと目が合う。

「あんた、少し落ち着きなさいよ」

「うぅ……」

 実の姉にそう言われ、レミィはしゅんとしながらも少しずつ冷静さを取り戻していく。そんな妹を一瞥し、ラミィはジョッキを傾けながらクリュウとサクラを見る。

 クリュウとサクラは付き合い自体は最近再会したばかりらしいが、それ以前に子供の頃の付き合いもあるらしい。仲がいいのは当然だろう。だが、納得できない。納得できなくて、イライラして、ビールを飲む速度が上がる。

「ちょっとクリュウ、あんたちょっとその子と仲良すぎない?」

 ラミィの少し怒りが込もった声にクリュウは不思議そうに首を傾げる。

「そ、そっかな? 普通だと思うけど」

「普通じゃないわよ。もっと離れなさい」

 ラミィは手を突き出して手首を返してシッシッの具合で離れなさいと命令する。そんな彼女の言葉にクリュウは改めてサクラとの距離を見て確かにちょっと近いかなぁと思い、そそくさと腰を浮かして横に少し移動する。が、

「……」

「ちょっとッ! 何であんたまで移動してるのよッ!」

 クリュウが横に十センチばかり移動すると、サクラも同じくらい彼に近づく。これでは先程と全く変わらない。変わった事といえばサクラとツバメの距離が開いたぐらいだろう。

 サクラはクリュウの袖をちょこんと握りながらじっと黒く澄んだ隻眼でラミィと向き合う。何を言われるか警戒するラミィにサクラは一言、

「……邪魔させない」

「邪魔って何よッ! あんたが悪いんでしょッ!」

「……」

「キーッ! 何なのよ澄ました顔してッ!」

「お、落ち着けラミィ。お前ちょっと飲みすぎだぞ」

 ジークはラミィが飲み干した三つのビールジョッキを見て注意する。常の彼女なら一杯で十分なのに、なぜか今日はかなり飲みまくっている。こんな事初めてだ。

「うるさいわねぇ。私の勝手でしょ」

 ラミィはすっかりアルコールが回って紅くなった顔でジークを睨む。完全に酔っ払っている。ジークはため息すると諦めたらしくビールを飲んだ。

 アルコールのおかげですっかり気持ちがオープンになったラミィはキッと気に入らない女と楽しげに話しているクリュウを睨む。

「ちょっとバカッ! 私の話は終わってないわよ!」

「そうらそうらッ!」

 少し呂律(ろれつ)が回ってない声で言ったのはレミィ。彼女もかなり酒を飲んでいるらしく顔は真っ赤だし目なんかとろんとしてしまっている。だが、それでも瞳はキッと鋭くしてクリュウを見詰める。

 いきなり二人の女の子に厳しい目で見られたクリュウは慌てる。

「え? ぼ、僕何か悪い事した?」

「してるじゃない! 現在進行形で!」

「えぇッ!?」

「クリュウしゃんは悪い人れす! 女にょ子とでれでれしゅるなんれ!」

 怒鳴るラミィとウーッと唸るレミィ。すっかり酒が回った二人は容赦なくクリュウを攻撃する。クリュウが戸惑っていると、サクラがスッとクリュウをかばうように前に出る。自然と、三人の五つの瞳が重なる。

「……クリュウをいじめないで」

「元はといえばあんたのせいでしょ!」

「そうりゃそうりゃ!」

「……酒くさい息でしゃべらないで」

「何ですってッ!?」

「おしゃけくしゃくなんかないれすぅッ!」

 睨み合う三人の少女達にクリュウはどうしようとおろおろする。とっさにクリュウは傍観態勢に入っているジークとツバメに助けを求めるが、二人とも助ける気ゼロである。ツバメは「お主の問題じゃ。ワシは関係ない」と冷たい言葉を言い、ジークは苦笑いするだけであった。

 頼りにならない二人にクリュウは「バカぁッ!」と怒鳴ると慌てて三人の仲裁に入る。だが、ケンカの原因がいくら止めても無駄である。しかもサクラに声を掛ければラミィとレミィが怒り、逆に二人に声を掛けるとサクラが落ち込んでしまう始末。どうしようもない。

 クリュウが打開策を必死に考えていると、突如レミィが動いた。

「クリュウしゃん!」

 レミィはクリュウに駆け寄るとその勢いを殺さないままクリュウに抱き付いた。突然の事だったがクリュウはそのタックルを何とか受け止めた。だが、これが新たな火種となる。

「ちょっとあんたッ! 私の妹に何してるのよッ!?」

「……クリュウ、どうして」

 ラミィが激怒し、サクラはなぜか絶望的な顔をする。そして突如飛び込んできたレミィは腕の中でとても幸せそうな笑みを浮かべている。ちなみにツバメとジークは苦笑い。

 いきなり女の子に抱きつかれたクリュウはもちろんパニックだ。

「ちょ、ちょっとレミィッ!?」

「クリュウしゃぁん」

 すっかり酔っ払っているレミィは簡単に引き剥がせそうだ。それほどまでに力が入っていない。だが、それは同時に離したらフラフラ状態という事だ。倒れるかもしれないので離すに離せない訳だ。

 クリュウがそうこう迷っているうちにレミィは体をさらに密着させてくる。元から意外と積極的なレミィ。それがアルコールの恩恵を受けて手加減がない今、ある意味彼女は最強である。

 だが、レミィがクリュウと密着すればするほどラミィは激昂し、サクラは落ち込んでしまう。そしてクリュウは大慌てだ。

「れ、レミィッ! と、とにかく離れてぇッ!」

「嫌ですうううぅぅぅッ!」

 クリュウは駄々を捏ねるレミィを簡単に引き剥がすと席に座らせる。それでもレミィはまだ抱き付こうとしてくるが、クリュウが「大人しくしてよ」とちょっと怒ると、途端にしゅんとなってしまう。

 落ち込むレミィに少し言い過ぎたとクリュウが謝ろうとすると、「ちょっと妹を泣かせないでよッ!」とラミィが怒鳴りながらやって来る。

「い、いや泣いてはいないと思うけど」

「レミィに近づかないでよバカッ」

 ラミィはクリュウとレミィの間に入ると落ち込むレミィをそっと抱き締めた。姉の腕の中、少しずつだがレミィも落ち着いているようだ。さすが双子の姉妹といったところか。

 クリュウは邪魔しないようにそっと離れる。と、ちょこんと袖を掴まれる感触がして振り返ると、サクラがじっとこちらを見詰めていた。その隻眼はいつになく悲しげに見えるのは気のせいだろうか。

「サクラ? どうしたの?」

 クリュウの問いを無視し、サクラは無言のままそっと彼の腕を抱き締めた。驚いて慌てて離れようするクリュウだったが、サクラはしっかりと彼の腕を抱き締めていて離れられない。

「ちょ、ちょっとサクラ」

「……クリュウ、私を見て」

「え? あ、うん」

「……私だけを見て。他の女を見ちゃダメ。いい?」

 じっと澄んだ黒い瞳で見詰められ、クリュウは黙ってしまう。心なしかその瞳は濡れていて明かりに照らされてキラキラと淡く煌いている。

「……クリュウ、お願い」

 ギュッと体全体を使って腕に抱きついてくるサクラ。その頬はわずかに紅潮し、瞳はキラキラ。息の掛かるような至近距離からの訴えに、クリュウはうなずき掛けるが、冷静に考えて彼女の言っている意味がわからない。

「えっと、それは一体どういう意味なの?」

「……それは」

 口ごもるサクラ。その頬はさっきよりも紅く染まり、視線を落としてしまう。

 そんなサクラの態度に何かまずい事を言っただろうかとクリュウが戸惑っていると、突如爪先に激痛が走った。あまりの痛さにうずくまる。ここがイージス村なら迷わずエレナに怒鳴るのだが、ここはアルフレア。一体誰が自分を攻撃してきたのか辺りを見回すと――犯人は目の前にいた。

「さ、サクラ……ッ!? 何でだよぉ……ッ!」

 痛さのあまり泣きそうなクリュウを見下ろすサクラの表情は誰が見ても怒っているとわかるもの。頬は真っ赤に染まり、小さな白い拳や肩は小刻みに震えている。

「……知らない。クリュウのバカッ!」

 そう怒鳴ると、サクラはスタスタと席に座り直す。しかもわざわざ間にツバメを挟んでだ。何が何でもクリュウの隣には座りたくないらしい。

 クリュウは爪先の激痛に耐えながら突如怒り出したサクラに困惑するしかない。すると、そんな彼に手を差し伸べる人物がいた。顔を上げると、小さく笑みを浮かべる絶世の美少女――ツバメが立っていた。

「大丈夫か? 災難だったのぉ」

 クリュウは彼の手を借りて立ち上がる。まだ足は痛んだが、とりあえず立つ分には問題なかった。サクラに視線を向けると彼女はこっちに完全に背を向けていた。誰が見ても不機嫌な様子だ。

「ぼ、僕サクラを怒らせちゃったんだよね?」

「そうじゃな。しかしお主には自覚がなかろう?」

「う、うん」

「サクラもその辺は嫌というほど理解しておるじゃろうから、しばらく放っておけば問題なかろう。今はそっとしておくのじゃ」

「わ、わかったよ」

 クリュウはサクラを一瞥した後、そっと席に戻る。もちろんサクラとはツバメを間に挟んでだ。ちょっと傷つく。

 少々落ち込むクリュウをツバメがそっと励ます。そんな光景をジークは苦笑いしながら見詰めていた。

「クリュウ。君はきっとモンスターに殺されるより先に女に殺されるだろうな」

「え? ぼ、僕ってそんなに人に恨まれるような事してますか?」

「無自覚ほど恐ろしいものはない。気づいていないなら仕方がないな。だが、これだけは言っておくぞ。少し自分の発言に気をつける事。それだけだよ」

 ジークはそう言うとビールを飲む。そんな彼の横ではいつの間にか酔い潰れてしまったラミィとレミィが熟睡していた。

 クリュウが彼の言葉に不思議そうに首を傾げていると、そっとツバメに肩を叩かれた。振り向くと、こちらもいつの間にかサクラが眠そうに船を漕いでいた。

「ちょっと騒ぎ過ぎたな。今日はここまでにしておこう」

「そうじゃな。クリュウも手伝ってくれ」

「う、うん」

 その後クリュウ達は眠りこける三人を何とか起こしてそれぞれの帰路に着く。ツバメ達は自宅に、クリュウとサクラはギルドの木賃宿に泊まる事になった。本当は二人ともツバメの家に泊まる予定だったのだが、ラミィが「ツバメに変な事する気でしょッ!? ダメに決まってるじゃない!」と至極まともな意見を言ったのでクリュウも「そうだね」と素直に従って宿に泊まる事になった。その会話の途中ツバメが「お主ら自分の発言がおかしいと思わぬのかッ!? クリュウとワシに一体何が起きるというのじゃッ!?」と一人で叫んでいたが、無視した。

 結局クリュウとサクラはそれぞれ部屋を借りて泊まった。サクラは料金の節約(たぶんそれは後付だと思う)の為にもクリュウと一緒の部屋でいいと言ったが、クリュウがこれを拒否したという流れもあったりした。

 こうして、波乱に満ちたアルフレアの一日が終わる事になった。

 クリュウは布団に潜ると、ふと今頃も桜リオレイアと戦っているかもしれないフィーリアを心配したが、彼女ならきっと大丈夫だと安心し、静かに眠りについた。


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