モンスターハンター ~恋姫狩人物語~   作:黒鉄大和

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最終話 モンスターハンター ~恋姫狩人物語G~

 雷狼竜ジンオウガを撃退してから一ヶ月後、渓流に再びジンオウガが現れたという偵察隊の報告を受けたクリュウ達は今度こそジンオウガを討伐する為に出撃。

 エレナとサチ、村長達村人総出の見送りを受けて村を旅立った――今度こそ、雷狼竜ジンオウガと決着をつける為に。

 

 渓流に辿り着いたクリュウ、フィーリア、サクラ、シルフィードの四人はまずは拠点(ベースキャンプ)に陣を敷く。

 渓流の拠点(ベースキャンプ)は切り立った崖の上にある。天幕(テント)はなく、自然にできた岩壁の窪みを利用したシンプルな場所だ。

 拠点(ベースキャンプ)に布陣したクリュウ達はいつもの通り支給品をそれぞれで分配し、必要な装備を整える。爆弾類や嵩張る道具(アイテム)類は荷車へ積載し、必要な装備だけを持って準備を完了する。それぞれがそれぞれの武器の最後の確認をする中、クリュウは拠点(ベースキャンプ)の端でアイルーとメラルーと何か打ち合わせをしている。

 笠に合羽を纏い、眼帯をして口元に葉のついた茎を加えた旅人風の出で立ちをしたメラルー。彼の名は『転がしニャン次郎』。本名ではなく通名だが、彼の役目はタル配達便だ。

 中央大陸同様、東方大陸でもアイルーが郵便や荷物の配達を行っている事がある。中には彼のようにメラルーも存在し、人々の貴重な流通や連絡を支えている。

 東方大陸ではハンターズギルド東方本部がこうしたアイルー達のタル配達便会社と契約を結び、狩場に居るハンターと外部の連絡や、物資の運搬を引き受けてくれている。今回の支給品も彼が事前に準備してくれたのだ。

 クリュウは彼に礼を言ってチップを渡そうとするが、ニャン次郎はそれを断って立ち去ってしまった。彼らの送料はギルド側が負担してくれている為、ハンターが払う必要はない。しかしチップという文化が根付いている中央大陸出身者のクリュウからすれば、それを受け取らない事は最初は戸惑ったものだ。

 東方大陸でもチップの文化がある国は存在するが、津洲帝国には存在しないらしい。津洲民族は礼儀と敬意を重んじる民族であり、他国にはない無償でのサービスが充実している。

 当然だが、津洲帝国以外にも東方大陸には国が存在する。国土の半分が山岳地帯であり、残り半分の平野に主に人々が居住している東方大陸最大の国家、津洲帝国。国内には狩場《渓流》の他に《原生林》が存在する。

 広大なコルトル高原を支配する騎馬民族の国、津洲帝国と並び立つ東方大陸の大国であるウルス騎士帝国。国内には狩場《遺跡平原》が存在する。

 一〇〇年程前までは東方大陸最大国家だったものの、ウルスとの戦争に敗れ首都を奪われて南の煌洲へと遷都し国を立て直した文明大国、蒼王国。国内には狩場《孤島》が存在する。

 ロックラックを有する砂漠の民、ディンギルが支配する広大なバルビニア砂漠地帯を支配するシュメル王国。国内には狩場《砂原》が存在する。

 赤道近くの熱帯雨林を統治する森の民が住む自然豊かなアーニャ共和国。国内には狩場《水没林》が存在する。

 ウルス騎士帝国と蒼王国が戦争を繰り広げていた時代、二大国に対抗する為に複数の少数民族国家で形成されたアミール首長国連合。国内には狩場《天空山》や《地底洞窟》が存在する。

 かつては蒼王国、現在はウルス騎士帝国の属国であり大陸北部に存在する大公と呼ばれる貴族が統治する氷の国、ヴィスティア大公国。国内には狩場《凍土》や《氷海》が存在する。

 他にも様々な国が存在するが、ハンターの狩場は国を跨いで存在する。これらの維持管理や情報連絡、物資運搬等に彼らのようなタル配達便が欠かせない存在となっているのだ。

 もう一匹のアイルーは、村のアイルー達の有志で集った渓流偵察隊の連絡員だ。現在のジンオウガの様子や森の状況など、クリュウは彼から詳しい情報を受け取っていた。

「そっか、ありがと」

「ニャッ!」

 アイルーは綺麗に敬礼して見せると、そのまま踵を返して四足歩行で走り去って行った。アイルーからの情報をメモした紙を見直して整理するクリュウの背後に近づいたシルフィードは、そっと彼の後ろからそのメモを覗き込む。メモには現在のジンオウガの状況、狩場の様子、ジンオウガが寝床としているエリア等の情報が簡略的に書かれていた。

「ふむ、ジンオウガの奴、前回と同じ場所を寝床にしているのか」

「うわッ!? ビックリしたぁ……」

 突然背後から声を掛けられ驚くクリュウ。そんな初々しい反応をする彼を見てシルフィードはイタズラっぽく笑う。

「いやぁ、やはり君はいい反応をしてくれるなぁ」

「もうッ! 俺をからかって何が楽しいのッ!?」

「君のその初々しい反応全てが愛おしいと私は思う……すまん、私が悪かったからそんな目で見ないでくれ」

 気まずそうに視線を逸らすシルフィードに対し深い溜息を零しながら、クリュウはメモを彼女に手渡す。それを受け取ったシルフィードは苦笑いしながらそれを読み込む。すると、その表情が少し曇った。

 そんな彼女の背後から先程の彼女同様にフィーリアとサクラがメモを覗き込み、同様の表情を浮かべる。

「これは、ちょっと面倒ですね」

「……問題ない。クリュウに仇なすものは全て私が斬り伏せるまでよ」

「だが、障害には違いない――まさか、渓流にジンオウガと一緒にアオアシラまで居るとはな」

 メモを読みながら、フィーリアとシルフィードの表情は曇ったままだ。一人サクラだけは当人の発言通り気にしていないのだろう。肝が座っているというか、もしくは何も考えていないのか。

 青熊獣アオアシラ。全身青と白の体毛で覆われた牙獣種に分類されるモンスターだ。ハチミツを好み、発達した爪や前脚で攻撃して来る好戦的なモンスターで、東方大陸の温暖な気候全域に生息する。渓流でも比較的出現率の高いモンスターではあるが、どうやら今回ジンオウガと同時に出現してしまったらしい。

 アオアシラ単体はそれ程苦労するような相手ではない。新人ハンターにとっては中央大陸で言う怪鳥イャンクックのような一番最初に苦戦するような相手だが、クリュウ達くらいの実力になると問題ない。が、さすがに同時に相手するとなれば話は別だ。

 ジンオウガは単独でも厄介な相手。実際前回は痛み分けという形で終わったような相手だ。それが今回はアオアシラの相手をしながら討伐しなければならない。難易度は更に上ったと言えるだろう。

 チームを率いるリーダーであるシルフィードはメモを見ながら考え込む。自分の判断でチームは動き、戦闘を行うのだ。慎重に考えるのは当然と言えるだろう。

 真剣に、対策を熟慮するシルフィード。指揮官として、己の決断の重さを知っているからこそ真剣なのだ。なのだが――

「……おいサクラ。何どさくさに紛れてクリュウに抱きついている」

 ――中身は恋する乙女だ。

 珍しくイライラするシルフィードが睨む視線の先では、サクラがクリュウの腕に抱きついて甘えている。抱きつかれているクリュウはと言えば、居心地が悪そうに明後日の方向を見ている。その頬は赤く染まっている。

 サクラが身に纏うナルガXシリーズは、機動力特化の最軽量とも言うべき防具――もはや防具と呼べるのかも怪しい程の代物だ。

 ナルガクルガの皮で胸元を隠してはいるが、それ以外は腕を除いて上半身は裸。下半身も同様にズボンとなっているが、内腿はザックリ開いており、その中にある下着の上に履いた黒いショーツが丸見えという、服と呼ぶにも露出度の高い装備だ。

 そんな装備の為、クリュウとしては毎回目のやり場に困っているのだ。サクラ曰く自らの戦闘スタイルに最も合った着心地やスキルから選んだとの事だが、クリュウの反応を楽しむ為という理由も大きいのでは、そんな予想がシルフィードとフィーリアの共通認識となっている。

 サクラは頬を赤らめ、甘えるようにクリュウに抱きつく。両腕を彼の首にかけ、寄りかかるように無防備な胸元を彼に押し当てる――その胸が残念な高低差しかない事は、彼女の自尊心の為にも黙っておこう。

 当然、そんな蛮行を許すフィーリアではない。すぐにクリュウの反対側に対抗するように抱きついて対抗心を燃やす。普段は大人しいが、サクラに挑発された時は大胆になるフィーリア。

 美少女二人に抱きつかれたクリュウは、いよいよ顔を赤らめたまま困ったように視線を彷徨わせる。ふと、視線を感じてそちらを向いた瞬間、彼の表情が凍りつく――視線の先では、シルフィードがとても冷たい目でこちらを見詰めていた。

「あ、いやぁ……シルフィ?」

「ずいぶん幸せそうだな、クリュウ君」

 人が真剣に考えている最中にイチャイチャ(正確にはサクラが抱きついて来たのだが)していたのが気に入らなかったのだろう。すっかり拗ねてしまい唇を尖らせてシルフィードはそっぽを向いてしまう。

 いよいよ助け舟を失ったクリュウは自力でサクラをまず引き剥がす。サクラが退けば対抗していたフィーリアも顔を真っ赤にして離れてしまう。それはそれでちょっと残念だったクリュウの心内を見抜いたシルフィードは更にご機嫌斜めになってしまい、クリュウは何とか機嫌を直してもらおうとがんばるのであった。

 

 十分後、ようやく機嫌を直してくれたシルフィードと共にクリュウ、フィーリア、サクラの四人は改めて対策を協議する。

「先にアオアシラを討伐するのが定石だな。その間、ジンオウガの場所を常に把握しなければならないが」

「それではまずクリュウ様達剣士組がアオアシラの討伐へ向かってください。私は単独でジンオウガを捜索し、ペイント弾を狙撃します。以降、そのままジンオウガを尾行しながら改めて生態を調査致します」

 同時討伐の際は、一般的には優先度の低い相手からまず討伐するのが定石だ。その間、もう一方にはペイントをしておく必要がある。アオアシラのような中型モンスターとガンナーのフィーリアの相性はあまり良くない。彼女はそれらも考慮した上でチームの分派を提案したのだ。

 シルフィードもその方向で行こうと決めており、とりあえずの作戦行動は決まった。しかし、これに異を唱える者が居た。

「……あなた一人では危険よ。怪我するかもしれない」

 そう言って反対意見を出したのは意外にもサクラだった。相変わらずの無表情で何を考えているかはわからない彼女だが、その発言に自らの実力を疑われたと思ったフィーリアはムキになる。

「だ、大丈夫ですよ。私、これでも立派な狙撃手です!」

 グッと拳を握り締めて《できます》をアピールするフィーリア。実際彼女の実力があればこの程度の任務は大した事はない。シルフィードもそれは認めている。しかし、サクラは首を横に振った。そして、

「……でも、心配よ。私の親友にもしもの事があったら、私、嫌だわ」

 そう言って、サクラは視線を落とした。どこか辛そうに、そして寂しそうに語る彼女の言葉に、フィーリアは顔を真っ赤にして喜ぶ。

 自分達は親友、それは互いが互いに認め合っている関係だ。しかし彼女の方からそういった発言をする事はめったに無い。だからこそ直接口で言ってもらうと、涙が出る程に嬉しいのだ。

「さ、サクラ様……ッ!」

「……だから、シルフィードと二人で行動した方がいい。途中でジャギィに襲われたらガンナーのあなたは危険。何より、ジンオウガと戦う事になったら、前衛役が居た方がいい。シルフィードは、優秀な剣士。あなたも立派な銃士。二人なら、できるわ」

 頭をもたげたサクラは、真っ直ぐな目で語り掛ける。自分が心の底から認めている二人なら、必ずできる。そう力強く訴える彼女の言葉に、フィーリアは熱くなった目頭を拳で擦り、快諾する。

「わかりました! ではシルフィード様と二人でジンオウガの足止めを行います! それでいいですねシルフィード様ッ!」

「……フィーリア、お喜びの所すまないが、君は完全にサクラの口車に載せられているぞ」

「え?」

 ぽかんとするフィーリアに対し、シルフィードは額に手を当てながら語る。

「彼女があのような発言を純粋にすると思うか? 冷静に考えろ。彼女はクリュウと二人きりになる環境を作る為に、わざとあんな事を言っているのだぞ」

「え? あ、え?」

 状況が理解できず、狼狽するフィーリアだったが改めてサクラの方を見やると、サクラは明らかに不機嫌そうにそっぽを向いていた。作戦が失敗して拗ねているのだが、その様子を見てようやく理解したフィーリアは別の意味で顔を真っ赤にし、

「さ、サクラ様あああああぁぁぁぁぁッ!」

 拠点(ベースキャンプ)中に、少女の怒りの声が響き渡ったのである。

 

「……あのさ、話が進まないんだけど」

 さすがにこのままではまずいと思ったクリュウが進行を始めると、スムーズに事が進み始めた。サクラもクリュウが真面目に話している時は真面目に聞いてくれるので、本当に何も起こらず真剣な作戦会議となった。その間、シルフィードが自らのリーダーシップに少しだけ自信を失った事は秘密だ。

「それじゃ、作戦方針はさっきの案でいこう。俺、サクラ、シルフィの三人はまずアオアシラを討伐。その間にフィーリアはジンオウガの索敵及び尾行。ただし、無理はしない事。見つかったらすぐに逃げる事。いいね?」

「はいッ」

「俺達は俺達でアオアシラを優先するけど、先にジンオウガと遭遇した場合はそのまま戦闘へ移行。その場合は俺がペイントボールで奴の位置を知らせるから、フィーリアはすぐに合流してこれを攻撃。この時点でアオアシラの奇襲があった場合は、俺がこやし玉をジンオウガに投げて奴を強制退去させた後、四人で一気にアオアシラを討伐。これを撃滅の後に総力をもってジンオウガを追撃。これを撃破する。異論はある?」

 クリュウの案に、フィーリアとサクラは問題ないとばかりに大きく頷いた。二人の了承を得たクリュウは最後にリーダーであるシルフィードの意見を窺おうと振り返る。すると、そんな彼の頭の上にポンとシルフィードの手が置かれた。

「え? 何?」

「いや、すっかり君がリーダーだなぁと思ってな。私が言いたい事を全て言ってしまって、本来のリーダーである私は役目がなく、こうして君の頭を撫でているだけだよ」

「あ、ごめん。俺また勝手に……」

「構う事ないさ。私としてはいずれは名実共に君がリーダーになってほしいと思っている。その為の練習だと思えば、問題ない」

 シルフィードの言葉に、クリュウは「このチームのリーダーはシルフィだ。俺はなる気はないよ」と答える。そんな彼の言葉にシルフィードは苦笑を浮かべた。

「君も頑固だな。まぁいい、とにかく今君が立てた作戦でいこう。補足するとすれば、奴は超帯電状態になる為に必ず雷光虫を従えて電力をチャージする為に動きを止める。そこを集中攻撃しつつ、必ず奴が超帯電状態になるのを阻止。あの状態の奴は凶悪きわまりないからな」

「……そうね。静電気で髪が傷んでしまうわ」

「サクラ様、お気持ちはわかりますが、問題はそこじゃないと思います……」

「前回、超帯電状態となった奴相手に何度も撤退を余儀なくされた。回復系のアイテム類の大半はその時に消耗し、負傷の多くは奴が超帯電状態になってからだ。その意味が、わかるな?」

 シルフィードの問いかけに、クリュウ達は静かにうなずく。

 ただでさえ通常の飛竜種と異なる地上特化型の竜、ジンオウガ。その動きは疾く、且つ強烈で隙がない。それが超帯電状態になると強化される上、近づく事すら難しくなる程の電圧を身に纏う。そんな状態の奴と真正面から戦うのは危険過ぎる。全てのモンスターに言える事だが、こちらの攻撃はひとつひとつが積み重ねであるのに対し、向こうの攻撃は全てが一撃必殺。当たらない事を前提にしなければ、戦う事等できない。その為にも、危険な要素は極力排除するのが狩りの基本だ。

「ジンオウガは強敵だ。こちらはリオレウス、ディアブロス、ベリオロスを倒し。更にはクシャルダオラを撃退した実績があるとはいえ、力の抜けない相手だ。だが、万全の作戦の上に各々が全力を出し切り、互いを信じ、剣を、刀を、銃を諦めず向け、立ち向かえば――決して勝てぬ相手ではない」

 そう言って、シルフィードは不敵に微笑んでみせる。いつもいつも頼もしく、皆を鼓舞する彼女の頼もしくも挑発的な笑み。その笑顔に、三人は一斉にうなずいてみせた。

 そう、相手がどんなに強敵であったとしても、決して勝てぬ相手ではないのだ。これまでだって、何度も何度も挫けそうになった事はある。でも諦めず、戦い続けた結果がこれまでのひとつひとつの勝利が証となって彼らを支えている。

 皆が互いを信じ、自らの全力で戦えば、決して勝てぬ相手ではない――無双の狩人と畏怖される雷狼竜ジンオウガであっても、その例外ではない。

 作戦会議は終わった。シルフィードは静かに立ち上がると、まだ座ったままのクリュウ達に向かって頼もしく、そして不敵に微笑む。

「さぁ、雷帝ジンオウガと最後の決着をつけにいこうじゃないか」

 シルフィードの言葉に、三人は互いに顔を見合わせると一斉に立ち上がる。その誰もが、これから厳しい戦いに赴くとは思えない程、清々しい程のえみを浮かべていた。

「はいッ! 全力でがんばりますッ!」

 両の拳を力強く握り締め、美しい金髪を綺羅びやかに輝かせ、頬は興奮で少し上気させ、エメラルドグリーンの瞳を煌めかせる。全力でがんばると気合を入れてみせるフィーリア。

「……今度こそ必ず勝つ。そして、クリュウに勝利を捧げてみせるわ」

 静かに、しかし力強く勝利を宣言する。美しいナルガクルガの毛で飾ったナルガXキャップを風に靡かせ、眼帯で隠されていない右の漆黒の瞳を輝かせるサクラ。

「気合は十分のようだな。頼もしいぞ」

 不敵に微笑みながら、氷牙竜ベリオロスの長い毛をポニーテールのように結ったベリオXヘルムを勇ましく靡かせ自信に碧眼を煌めかせるシルフィード。

 そして――

「じゃあ、行こうか。今度こそ、必ず勝つよ!」

 綺麗な若葉色の髪を、自らの名前と同じ異名を持つ狗竜ドスジャギィの素材で作られたジャギィXヘルムで隠し、同色の希望に満ち溢れた瞳を輝かせ、勇ましく気合の入った掛け声を放つクリュウ。

 クリュウの掛け声に、三人の恋姫達からも頼もしい声が返って来た。

 出発の準備を終えたクリュウ達は、雷狼竜ジンオウガが住まう渓流へと向かう。まずはエリア1を目指し、進み始める。隊列は先頭をシルフィードが皆を先導するように進み、その次を辺りを警戒しながら進むフィーリアが続く。更にその後ろに荷車を引いたクリュウ、そして殿を担うサクラと続く。

 エリア1は拠点(ベースキャンプ)から降った先にある小さな広場だ。ここには丸鳥ガーグァがいつも水を飲みに来ており、今日も姿を見る事ができた。人を襲う事はなく、驚かせないように進まなければならない。

 拠点(ベースキャンプ)から来ると段差がある為、荷車は少し苦労する。おまけに水が流れている為に足場も悪い。ここは四人がかりで荷車をゆっくりと下まで降ろさなければならない為、ちょっと不便な場所だ。

 荷車をゆっくりと降ろす人間達を、ガーグァ達が訝しげに見て来る。クリュウが愛想笑いを浮かべるのに対し、サクラは見るなとばかりに睨みつける。その眼光が怖かったのだろう。ガーグァ達は慌てて逃げ出してしまう――ビックリし過ぎたのだろう、一匹が卵を産み落とし、そのまま去ってしまった。

 荷車を下ろした後、シルフィードが無言でサクラの頭にチョップを入れると、サクラは不服そうに睨みつける。そんな二人のやり取りを見ていたフィーリアが苦笑いを浮かべながら産み落とされたガーグァの卵に近づくと、それを抱き上げた。

「それでは、私は予定通りここで別離します。この卵は拠点(ベースキャンプ)に置いておきますね」

 エリア1は山肌の岩場となっているエリア2と、かつてあった村の跡地となっている広々としたエリア4の二ヶ所に進む事ができる。クリュウ達剣士組はこのままエリア4へ、フィーリアは単独でエリア2へと向かう予定となっていた。

「気をつけてね」

 クリュウの言葉にフィーリアは「はいッ」と嬉しそうに答えると、一人クリュウ達から別離して拠点(ベースキャンプ)へと去って行った。残された三人は当初の予定通りそのまま前進を続け、エリア4へと到達する。

 高台の広い平地がエリア4とされている場所であり、至る所に廃墟が見える。ここは元々村があったそうだが、十年程前に突如として起きた大嵐によって村は滅んだそうだ。村人は散り散りになり、湯雲村にもその生き残りが住んでいる。

 エリアへと入ったシルフィードは辺りを警戒するが、モンスターの姿はなかった。ここはジャギィがよく現れる所だが、幸い今は居ないようだ。

 このエリア4もまた川岸のエリア7と森の中のエリア5、更にはフィーリアが向かったエリア2へも分岐する場所だ。

 シルフィードは改めてエリア全体の様子を探った後に振り返り、クリュウとサクラに向き合う。

「それじゃあ、このままエリア5とへ向かい、そのままエリア6へと向かうコースを取る」

「エリア5にはハチの巣があるよね」

「あぁ、アオアシラはハチミツを好むからな。奴が現れる可能性が高いとすればエリア5。あとはこの渓流の中心地であるエリア6だな」

「……同時に、ジンオウガの出現頻度が高い場所ね」

 エリア6は渓流の中心部であり、高台から流れる水が滝となって地面へと落ちた後、川となって下る場所。水深は浅く人のくるぶし程しかないが、当然足場が悪いのだが、中心部という事もあって様々なエリアと繋がっており、最もモンスターが出現しやすい場所でもある。

「サクラの言う通り、ここから先はジンオウガも跋扈する生息域だ。全員、気を引き締めて進むぞ」

 シルフィードの言葉にうなずき、彼女に続いて二人も歩き出す。エリア5へと繋がる道は北西側の道を進む事になる。荷車を引きながら進むクリュウはふと北の空を見上げた。北側は崖になっており、高い山々や下に広がる森を眺める事ができる。そんな山々の更に向こうに見える山脈が神龍山脈。雷狼竜ジンオウガが本来住まうべき場所だ。

 あそこに何か異変が起きているからこそ、ジンオウガがわざわざ離れた湯雲村近くの渓流に現れた。だとすれば、一体何が、あの場所で起きているのか。

「シンリュウ、山脈か……」

「おいクリュウどうした?」

「……クリュウ?」

 一人足を止めたクリュウを不審に思った二人が振り返る。クリュウは慌てて「ごめんごめん」と謝りながら二人の後を追った。

 二人と合流したクリュウは、そのままエリア5へと続く道を歩いて行く。そんな彼の後ろのずっと向こう、遥か彼方の神龍山脈は黒い雲に覆われている。漆黒の雲が蠢く中、眩い紫色の稲妻が一瞬迸った。

 

 エリア5にはアオアシラの姿はなかった。肩透かしを食らった三人はそのままエリア6へと向かった。そして――

 

 川下の方からエリア6へと入ったクリュウ達。岩陰から姿を見せた刹那、一発の銃声が轟いた。驚いて銃声が聞こえた方へと振り返ると、木の上にフィーリアの姿があった。彼女もこちらに気づいたようで驚愕の表情を浮かべていた。しかしすぐに慌てた様子で叫ぶ。

「ぜ、前方ジンオウガですッ!」

 彼女の声に驚いて振り返る。しかし、エリア6にはモンスターの姿は見られない。ジャギィ一匹すらこの川の近くには存在していなかった。

「何言ってるのさフィーリア、ジンオウガなんてどこにも――」

「……クリュウ構えて、来るわ」

 サクラの声に改めて前を見ると、それは突然起きた。

 突然川上の滝が爆発したかと思うと、青白い稲妻が辺りに迸った。突然の事に驚き目を一瞬閉じてしまったクリュウ。再び見開くと――奴は厳かにその姿を現した。

 滝の中にはエリア8と分類される洞窟がある。そこから現れただけなのだが、滝を砕いて威風堂々と現れる様は、やはり驚かされる。何より、奴の神々しいまでの輝き、胸を押し潰されるような圧迫感、恐怖のあまり足がすくむ程の威圧感、一歩一歩進むたびに震える大地の振動。全てが奴を神格化させる。

 滝の中から現れた蒼色の巨影。純白のたてがみに黄金の角、光り輝く雷撃を纏い、辺りに無数の雷光虫を従えたその姿はまさに『王』だ。

 ――雷狼竜ジンオウガ、それが奴の名だ。

 ジンオウガの右肩にはフィーリアが放ったペイント弾が命中していた。そして隠れる場所がないここでは、滝の中から出た瞬間すぐに発見されてしまう。すでに奴もこちらに気づいているのだろう。鋭い眼光は自分達を捉え、辺りを支配する威圧感は一瞬で殺気へと変わり、迸る雷撃がその密度、輝きを更に強める。

 こちらも戦闘準備に入る。まずシルフィードが走り出し、全員の前方に立って巨大な長斧ゴアゲイルフロストを構える。その背後には音もなく進むサクラが漆黒の刀、夜刀【月影】を構える。更に木の上にいたフィーリアも飛び降りて来て、すぐさま妃竜砲【姫撃】を構える。

「す、すみません。タイミングが悪くて……」

「仕方ないよ。運が悪かっただけさ」

 謝るフィーリアにそう言って、クリュウもまた歩みを進める。

 ジンオウガはゆっくりとした足取りでこちらに迫る。その瞳は、一秒たりとも目の前に現れた敵を見逃さない。

 小さな小さな敵だが、その実力が相当なものだという事は前回の戦いで知っている。決して、見くびれるような相手ではない。

 厳かに迫り来るジンオウガに対し、単身突出して前衛を担うシルフィード。大剣時代から変わらぬ立ち位置だが、スラッシュアックスはガードができない。しかし大剣以上の機動力と、負けず劣らずな破壊力を持つスラッシュアックスでも、彼女の最前衛の戦いに変わりはない。

 ジンオウガの僅かな動きを見逃さまいと身構えるシルフィード。そんな彼女の横からゆっくりとクリュウが追い抜いた。声を掛けようかと思ったが、彼の真剣な表情を見てシルフィードは苦笑を浮かべながら一歩後退した。

 最前衛に出たクリュウ。それはつまり、最もジンオウガと近い場所に出たという事だ。ジンオウガも彼の姿を見て、ゆっくりと歩んでいた歩みを止める。

 巨大な竜と、一人の少年の目線が、静かに重なった。

「また会ったね、ジンオウガ」

 クリュウの言葉に、ジンオウガは低く唸るだけだ。人間の言葉なと理解はできない。それでも、彼が何かを語りかけている事くらいはわかる。だからこそ、その場から動かない。目はしっかりと敵に向け、耳はどんな動きも聞き取れるよう敏感にし、そして奴の礼儀を待つ。彼なりの、それが礼儀なのだ。

 襲い掛かってくる事なく、静かにこちらの話を聞くジンオウガ。その勇姿に小さく微笑み、クリュウは静かに語り続ける。

「前回はお互いに痛み分けで終わった戦い。今度こそ、決着をつけに来たよ。君も、それを望んでるんじゃないかな?」

 クリュウの語りかけに、ジンオウガは無言だ。しかし、まるでその言葉を嬉しく思うように口端がゆっくりと釣り上がる。その頬には、前回の戦いでクリュウが刻みつけた傷跡がハッキリと残っていた。モンスターの尋常ならざる回復力でも、あの傷は早々に消えるものではない。

「君が何故本来の住処から、こんな所まで来たかはわからない。でも、どんな理由があったとしても、ここは俺達の土地だ。君だって、自分の縄張りを荒らされれば怒るだろ? それと同じさ。君にここに居座られると、俺達の住む村が危険になる。だから、君には何としてもここから出て行ってもらいたい」

 クリュウの語りに、ジンオウガは無言だ。黙って、彼を見詰め続ける。その鋭い瞳は一瞬たりとも彼を見逃す事はない。更には、遠巻きに少しずつ距離を詰めて来る他の敵も忘れはしない。

 警戒したまま動かないジンオウガに対し、クリュウは更に続ける。

「でも、君はここを立ち去る気はないみたいだね。だから、君にはここで倒れてもらうよ。今度こそ、俺達が必ず勝つ!」

 そう宣言し、クリュウは背負った巨大な鋭い刃盾と、煌めく剣が一対となった盾斧シュヴァルツスクードを構える。鋭い刃先は陽の光を反射してキラキラと煌めく。それはまるで、彼自身が輝いているかのような、そんな幻想を魅せる。

 敵が武器を構えたのを見て、ジンオウガもまた姿勢を低くして突撃の構えを見せる。敵を睨みながら、その動きの僅かも見逃さない。耳を研ぎ澄ませ、目を見開き、相手の出方を伺う。その時、その視線があるものを捉えた。その瞬間、彼の中に怒りが湧き上がる。

 戦闘が始まる。そう判断し、フィーリアは弾を込める。その時、背後で物音がした。驚いて振り返ると、そこには青い巨大な熊が聳え立っていた。

「あ、アオアシラッ!」

「グオゥッ!」

 突如現れた全身を濃い青色の毛と甲殻に覆われた巨大な熊。よだれを垂れ流し、鋭い爪とグローブのように発達した硬い甲殻に覆われた腕を振り上げてフィーリアに襲い掛かる――青熊獣アオアシラ、それが奴の名だった。

 爪を振り上げて遅いかかるアオアシラに対し、フィーリアは転がるようにしてこの一撃を回避すると、すぐさま銃撃する。

 突然思わぬ形で戦いの火蓋が切って落とされた。背後からの奇襲に対し、すぐさまサクラが反応して駆け出す。シルフィードはそんなサクラを見てジンオウガの動きに注視する。当初の予定通り、ジンオウガにこやし玉を当てる為だ。

 一方のクリュウは思わぬ形で戦闘が始まった事に動揺しつつも、ここはシルフィードに任せてフィーリアの援護に走ろうとする――その横を、蒼い閃光が翔け抜けた。

「グアアアァァァッ!」

 怒号を上げて、突如走りだしたジンオウガ。圧倒的な脚力を使ったその走りは人間のどの最速よりも速い。あっという間にフィーリアの背後に迫る。

 前方をアオアシラ、後方をジンオウガに挟撃されたフィーリアは為す術もなく、悲鳴を上げる。

 サクラが必死の形相で突貫するが、とても追いつかない。ましてやクリュウやシルフィードは更に遠い。四人の悲鳴が、辺りに木霊する。そして、そこにジンオウガの怒号も重なる。

 振り上げられた巨大な腕、その先の鋭い爪を勢い良く――アオアシラに振り下ろした。

「え?」

 目の前の光景に、フィーリアは呆然とする。

 ジンオウガは、彼女に襲いかかろうとしたアオアシラの胸にその鋭い爪を突き刺した。アオアシラは悲鳴と共に吐血し、もがき苦しむ。そこへ更にジンオウガはアオアシラの首元に噛み付き、投げ飛ばした。

 吹き飛ばされたアオアシラは岩壁に叩きつけられて短い悲鳴を上げながら激痛に苦しむ。そこへ更に追い打ちとばかりにジンオウガはあの三発の強烈な拳を叩きつけた。岩をも砕く一撃、それを三発も直撃したアオアシラは断末魔の叫びを上げた後、動かなくなった。

 目の前のあっという間に終わった戦闘に、クリュウ達は理解できず呆然とする。

 一般的にモンスター同士でも争う事はもちろんある。だがそこに人間が混じった場合はより非日常の存在である人間を優先的に排除しようとするのが常だ。だからこそハンターは同時狩猟の際はその挟撃を何よりも恐れるのだ。

 しかしジンオウガは一瞬にしてアオアシラを倒してしまった。クリュウ達の前で、人間よりも先に優先して倒したのだ。これは、異例中の異例、異常事態とも言える。

 目の前の信じられない光景に驚くフィーリアやサクラ、シルフィードに対し、クリュウだけは逸早くその意味を理解した。ゆっくりと振り返るジンオウガを見て、その口元がわずかに釣り上がる。

「誰にも、邪魔されたくないって訳か」

 自分と同じく、ジンオウガもまた今回で決着をつけたいという想いが強いのだろう。だからこそ、誰にも邪魔されたくないのだ。正々堂々と戦い、勝つ。それが彼なりの騎士道のようなものなのだろう。

 己の信念、聖戦を邪魔されたくない。その一心で目の前の邪魔な存在、アオアシラを排除したのだ。

 呆然とアオアシラの亡骸を見詰めていたフィーリアだったが、すぐに我に返ってジンオウガと距離を取って銃撃体勢になる。

 サクラもジンオウガの動きを警戒してより近い位置で武器を構え、シルフィードも距離を詰める。それらを満足気に見回した後、ジンオウガは最後に再びクリュウと目を合わせる。

 渓流の戦士としての誇り、湯雲の戦士としての誇り。二人の戦士の誇りが、ぶつかろうとしている。

「どうやら、君も俺達と今度こそ決着をつけたいみたいだね。だったら、今度こそ正々堂々戦って決着をつけよう。俺達が勝つか、お前が勝つか。勝負だジンオウガ」

 クリュウの言葉に全員が次の瞬間に始まるであろう戦闘に備えて武器と身を構え、覚悟を決める。

 辺りの空気の流れが変わった。それを敏感に感じ取ったジンオウガは嬉しそうに身を震わせながら、静かに、しかし勢い良く雷光虫達を従え、眩く煌めく。稲妻を迸らせ、毛は次第に逆だっていく。

 前回、彼らとの戦いを忘れた日はない。その続きを待ち焦がれ、ついにその時が来た。歓喜に体は震え、心は荒れ狂う。息を整えたくても自然に乱れ、高揚が止まらない。

 相手もまた、今回で決着をつける気である事はわかった。ならば、こちらも当然全力で挑む。挑み、戦い、そして勝つ――必ず勝つ!

 ジンオウガの目が鋭くなったのを合図に、クリュウはこれまで苦楽を共にして来た仲間達に向かって、己の想いを叫ぶ。きっと、元気で頼りになる返事が返って来ると信じ――確信して。

「いくよみんなッ! 絶対に勝つよッ!」

 クリュウの言葉に、恋姫達はそれぞれの言葉で勇ましく返す。

「はいッ! クリュウ様ッ!」

「……当然よ、勝利以外に興味はないわ」

「言われなくても、勝ってみせるさ!」

 フィーリア、サクラ、シルフィードの力強い言葉にクリュウは満足気にうなずき、クリュウは走り出す。

 中央大陸からこの東方大陸まで、ずっとずっと彼女達と一緒だった。

 共に暮らし、共に狩りをし、共に旅をし、信頼し合う関係になった。

 彼女達の想いは、もうとっくに気づいている。だからこそ、いつかはちゃんと答えなければならない。いつまでも逃げていられる程、人生は甘くはない。

 それでも、まだ今はこの関係でいたい。それは自分のエゴかもしれない。それでも、今それだけはハッキリと言える自分の中の本心だ。

 この東方大陸でもまた新しい出会いがあった。

 一期一会、この地にあるこの言葉を、クリュウはとても気に入っている。

 だからこそ、この出会いに感謝し、そしてこの出会いを無駄にしたくない。

 自分はまだ十代だ。これから先の人生は、まだその何倍も長い。その歴史の中でも、彼女達と、これまで出会って来たみんなと一緒に歩み続けたい。

 どんなに苦しい事があったって、どんなに高い壁にぶち当たったって。みんなと一緒なら怖くはないし、必ず乗り越えられると信じている。

 だから、これからも走り続ける。終わりなき、長い長い道をみんなと一緒に。

 ジンオウガに向かって走り出したクリュウ。それを合図にフィーリアは銃撃を開始し、サクラは側面から先制攻撃の突貫を仕掛け、シルフィードは真正面から襲い掛かる。

 四方からの同時攻撃に、雷狼竜ジンオウガは天高く雄叫びを放つ。それはまるで戦いの始まりを告げるかのように、天高く響き渡った。

 

 広大な自然に包まれた人とモンスターが共存する世界。

 人々の歴史は常にモンスターとの互いの命を懸けた戦いの歴史でもあったが、人々はモンスターに対抗する為に様々な知恵や道具を使って強く生きていた。

 そんな世界の辺境にある小さな村――イージス村。どんなモンスターでさえ進入する事のできない絶壁の上に建つ鉄壁の小さな村の中で人々は平和に暮らしていた。

 そんな村に修行を終えた一人の少年ハンター、クリュウ・ルナリーフが帰って来た。多くのモンスターと対峙し、仲間達と共に数々の戦いを生き抜き、多くの事を学び、クリュウは強くなっていく。

 そして、舞台はイージス村のある中央大陸から新天地、東方大陸へと移った。

 これから先、まだまだ続くクリュウ・ルナリーフという少年の物語。少年は大人となり、そしてその物語にまた一ページ刻む。それを繰り返し、彼の物語は続く。

 これはモンスターと共に人々が生きる世界。そんな世界で仲間達と共に幸せを願い、戦い続ける一人の狩人、クリュウ・ルナリーフの物語――その序章に過ぎないのだから。

 

~Fin~


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