ソードアート・オラトリオ   作:スバルック

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やっとキリトの過去に少し触れられたよ…

今月の川原礫先生の新刊はアイソレーターだけど、先にSAOやAWをしっかり完結させてから出して欲しかった。
いや面白いからついつい買っちゃうんだけどね、ハハッ!

あとダンまちも新刊4月までないとか…
アニメ化に合わせるのはいいけど、その前に1巻ぐらい出して欲しかったよ〜

でも、今回趣味で書いてるだけでも物語を書くって結構時間掛かるし頭使うのがわかったのであまり強く言えない!
作家さん頑張ってください!


第6話

あれから二日が経った。

俺はこのあいだのような異常なスピードではないにしろ、順調にダンジョンの攻略をしていた。

現在、第4階層になる。

そこで『ダンジョン・リザード』というヤモリ型のモンスター二体と遭遇した。

だが、キリトはこの状況下で慌てたりはしなかった。

 

 

『ギヤアアアアアアアアア』

 

 

まずは冷静に一体目の爪での攻撃を剣で弾く、そして二体目からの攻撃をひらりと躱して一体目に剣技を食らわせる。

V字に斬り刻む二連撃剣技、《バーチカル・アーク》

二連撃とも食らったモンスターは倒れる。

そこで、剣技の硬直をつくように再び二体目が攻撃を仕掛けようとしてくる。

それを左手の指を揃えると、左手が黄色く光りそれを前に突き出す。

新たに手に入れた、《発展アビリティ》内にある《体術》から《閃打》を繰り出す。

すっかり隙をついたと思ったリザードはその攻撃をモロにくらい怯む。

その隙に、キリトは新たに剣技を発動させモンスターを倒した。

 

強くなっているよな…

 

キリトはそう感じた。

まだ第4階層だが二体のモンスター相手にこれだけ余裕を持って戦えたのだ。

それに、ステータス値の上昇幅はキリトの自信にもなっていた。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

あの日の夜。

 

 

「さあ、せっかくだからステータスの更新もしてしまおう!またいつキリト君が無茶するかわかんないしね〜!」

 

ヘスティアからの含みのある言葉に苦笑いしながらも、「よろしくお願いします。」と返事をしてキリトは今着ている服を脱いでベットにうつ伏せに寝る。

ヘスティアはそのうつ伏せになっているキリトの腰あたりを跨いですわる。

そして、いつものように神血(イコル)を使ってステータスを神聖語(ヒエログリフ)で上書きしていく。

だが、鼻歌混じりに更新を行っていたヘスティアの手が急に止まる。

 

(おいおい…本当なのかい?この数値は?)

 

 

キリト・クラネル

Lv.1

力:H140→G258

耐久:I 35→H198

器用:H186→G234

敏捷:H192→G242

魔力:0

片手剣:H110→F331

体術:I 0→H158

 

《魔法》【】

 

《スキル》

剣芸(ソードアート)

 

・武器に応じた剣技を発動できる

 

・各々の技の熟練度によって威力が増す

 

・使用武器のアビリティが追加され、熟練度によって使用可能な技が増える

 

加速(アクセラレーション)

 

・経験値の獲得値の上昇

 

・強さを求める想いが続く限り効果持続

 

・想いの丈により効果向上

 

・格上である相手との戦闘での効果向上

 

 

 

トータル800以上の上昇。

ヘスティアはあまり子どもの成長について詳しくはないが、それでもこの成長のスピードがおかしいことはわかる。

これでは成長ではなく飛躍に近い。

ヘスティアは自分の手が止まっていることに気づいて慌てて作業を続ける。

 

「出来たよ。いま紙に写すから。」

 

 

ヘスティアはいつものようにスキル欄の加速(アクセラレーション)の部分書かずにキリトに渡す。

 

 

「ありがとうございます。」

 

そして今度は、共通語(コイネー)に訳された紙を受け取ったキリトが固まる番だった。

 

「これってホントですか?」

 

「いやね、僕も今度ばかりは本気で自分を疑ったんだが紛れもなく真実だ。」

 

 

「新しい《発展アビリティ》が出てる…。《体術》か。」

 

このアビリティはおそらく昨夜の戦闘での影響だろうな。

剣芸(ソードアート)】というスキルから生まれたんだろう。

ヘスティアはそう予想した。

そこで思い切ってキリトに聞いてみることにした。

 

「前から気になっていたんだが、君は【剣芸(ソードアート)】というスキルを始めから身についてたんだけど、何か心辺りはあるのかい?」

 

 

尋ねられたキリトは少し考えてからハッキリと答えた。

 

 

「はい。おそらく俺が小さい頃の出来事が影響してるんだと思います。」

 

 

「そうか。その出来事については聞いていいのかな?」

 

 

前から彼はあまり過去を話したがらなかった。

なのでヘスティアは気を遣って聞いてもいいのか尋ねたのだが、

 

 

「そんな気にしないでください。神様とはもう家族ですからね。訊かれればちゃんと答えます。まぁ、今回のことはそんなに重い話ってわけではないですよ。」

 

 

キリトは笑ってはいるが、その実あまり気分良くはないように感じた。

神にとって子の感情はある程度読める。

おそらく【剣芸(ソードアート)】のスキルよりも、【加速(アクセラレーション)】のスキルに関しての話が彼のこの急成長の核心があるのだろう。

だが、その話を聞くにはもう少し後になりそうだ。

ヘスティアはそう感じながら、彼の話に耳を向けた。

 

 

「俺の故郷は小さい村だったんですけど、それなりに人はいたんです。特に子供は結構いて、よく近所の子と一緒に遊んでました。ただ、たびたびモンスターが村にやってきて畑や人を襲うことがありました。俺たちは始めチャンバラの感覚で木の棒を使って遊んでいたんですが、次第に歳が増えるにつれて大人に頼るだけでなく、自分達の身は自分で守らなければという考えが生まれました。そこで作ったのが、《ソードスキル》なんです。と、言っても俺が英雄譚なんかのお話に出てくる英雄はこんな風に戦ってるんだろうなという想像から作った技で、当時のそれはひどく拙いもにだったと思います。」

 

 

キリトは少し恥ずかしながらも、過去を懐かしんでるようにヘスティアは思えた。

そして納得した。

やはりスキルとはその人が持つ独自の能力が発現したものなのだろう。

ヘスティアは下界に下りてまだ日が浅いが子供達は日々変化していくことで強くなる。

そのように解釈し、同時に【加速(アクセラレーション)】というスキルが彼の冒険者としての才能が溢れているという確固たる証拠なのであり、覚悟なのだろうと考えた。

 

 

(これは僕も何かしてあげないといけないな)

 

 

急激に成長する彼の助けになりたい。

そうすることで、彼の安全にも繋がると信じてある決断をした。

 

「キリト君、今夜僕はある神の宴に参加してくるよ。もしかしたら、そのまましばらく友人のところで話をするから帰りは遅くなるかもしれないが、くれぐれも無茶をしないように!いいね?」

 

「わかりました。今後注意していきます。神様も宴楽しんできてください。」

 

★☆★☆★☆

 

 

あれから2日経ったけど、神様今頃なにしてるんだろう?

 

キリトはバックパックが魔石で一杯になったので換金するために地上に向かう。

そこである物を見た。

カゴに布をかぶせた物を冒険者が運んでいた。

 

一体なんだ?

 

気になってしばらく観察していると、あるカゴの布が取れた。

そに中には、

 

「モンスター?!」

 

ダンジョンに現れるモンスターをカゴに入れて運んでいたのだ。

本来ダンジョン内のモンスターを地上に持ち出してはいけない。

それこそ街には冒険者意外の住人も住んでいるのだ。

もし、モンスターがカゴから出て街を襲ったらパニックになるに違いない。

 

 

なぜ彼らはモンスターを持ち出そうとしているんだ?

 

その答えは地上に出るとすぐにわかった。

ダンジョンの直上には『バベル』という構造物があり、そこには冒険者のために換金場やシャワールーム、食堂なんかがある。

そんなバベルの一階では、モンスターを入れているであろうカゴで溢れていた。

その中にギルドの人間がなにやらカゴの搬送先を指示しているようだった。

辺りを見回すとそこにはポスターが貼られており、見てみると『モンスターフィリア祭』という催しがあるらしく、内容は一流のテイマーがモンスターをテイムするところを鑑賞する祭りらしい。

確かに、あれだけの凶暴なモンスターを飼いならす様は圧巻かもしれない。

そこにはテイマーの名前が紹介されており、さっと目を通しているとある者の名前に目が止まった。

 

『シリカ・アヤノ』

 

シリカとは以前故郷で一緒に遊んでいた子の中の一人だ。

出会ったばかりはモンスターに怯えてばかりいたが、俺たちと一緒に剣での特訓を始めてからは次第に慣れていっていた。

以前から動物にはよく懐かれていたし、テイマーってのもうなずける。

 

「そっか、シリカも頑張っているんだな…」

 

そう思うと次第に胸の中の魂が燃えるような気持ちになった。

 

「俺もシリカに負けないよう頑張らないとな!」

 

キリトは一人決意を新たに、アイテムを換金するためその場から離れた。

 

 

 


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