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感想では細かく聞けないところなど、気軽にリプどうぞ^ ^
辺りは暗くなり、どうやら時間帯は夜になったようだ。
それにしても、ダンジョンの中だというのに外が明るくなったり暗くなったりするのはとても不思議感じがした。
その理由としては、ここ18階層には時間によって光を放つ結晶体があるらしくそれにより昼夜の区分があるらしい。
夜になったキャンプでは夕食の宴で賑わっていた。
「それにしても、この間ランクアップしたキリトがもう18階層まで踏破してくるなんてね。相変わらず破天荒なやつね。」
「まぁ、突破できたなんて言えるもんじゃなかったけどな。ってか、シノン俺に毎回当たりきつくないか?」
シノンの悪態にキリトは馬鹿正直に答えるが、毎度の悪態にこちらも負けじと攻撃してみるが、
「あら、そうかしら?私は大体こんな感じよ?」
「確かに。シノンはいつもピリピリしてるわよね。もっと肩の力抜いたら?」
シノンの後ろに寄ってきたのはロキファミリアの一人。
第一級冒険者ヒリュテ姉妹の姉、ティオネ・ヒリュテ。
「あー!《黒の剣士》だー!」
そして、キリトの背後に寄ってきたのは妹のティオナ・ヒリュテ。
しかし、黒の剣士って一体なんだ?
「く、黒の剣士って?」
「あぁ、気にしないでー。この子が勝手に英雄譚の一つにある《黒の剣士》を連想してそう読んでるだけだから。」
ティオナの発言について、ティオネがフォローを入れる。
それにしても、英雄譚から取ってくるなんてなんだか気恥ずかしいものがあるな。
「けど、私もあなたの強さには少し興味があるわねー。どう?これは何かの縁だし、教えてもらえないかしら?」
「私も知りたーい!教えて!黒の剣士!」
「えーっと………」
ただでさえ露出の多いアマゾネスが近くに寄られるとどうにも落ち着かない。
加えて、ロキファミリアの第1級冒険者だ。
それなりに圧も感じる。
どうにかして話題を逸らさないとこのままじゃジリ貧だ。
「そ、そういえば今回の遠征でどこまで行けたんだ?」
「59階層だよ!久しぶりキリト!」
その問いに答えたのはこれまたいきなり現れたユウキだった。
しかし、59階層とは…
今のキリトにはなかなかに想像できない領域だ。
「どんなところだった?」
「資料では寒い場所って記載だったんだけど…」
何やらいい淀んでるな。
言いたくないことでもあったのだろうか?
そのうちギルドへの報告でわかることだし、キリトは深くは聞かなかった。
☆★☆★☆☆★☆★☆★
食事を終えてキリトは少しあたりを散歩することにした。
しかし、あれからユウキとティオナに18階層へどうやってきたのかとかゴライアスの話をしたらどうやってしのいだのとか質問ぜめにあって大変だった。
ヴェルフはリズと…あと同じファミリアの人だろうか?褐色で左目に眼帯をしており、そして胸が大きい人に何やら大分いじられていた。
リリはというと、なんとあのフィンと話をしていた。
同じ小人
先ほどの思い出しながら、歩いているといつのまにか17階層の入付近にいた。
このあたりは記憶にない。
何せあのゴライアスの攻撃で意識を失ってしまったからだ。
この先にあの怪物がいると思うと自然と体に力が入っていくのを感じる。
だが、何も戦うわけではない。
そう考えると力が入っている自分がなんともアホらしいとキリトは深く息を吸って落ち着こうとする。
すると入口から、
『ガアアアアアアアアアアアアアア!!!!!』
声はさすがに入口からなので遠いが、ゴライアスの鳴き声が鳴り響いてきた。
一体なぜ?
まさか、冒険者が来てるのか?
俺たちみたいな状況ならマズイのではないか?
そんなことを思ったキリトは様子を見に行こうかとそんなことを考えていると、
「うわあああああああ!!!」
どん!と入口から吹っ飛ばされて来たのはなんと、
「か、神様?」
「いててて……あれ?キリト君?!キリト君なのかい?!キリトくーん!」
そこにいたのはヘスティアだった。
突然現れ、突然飛びつかれたキリトは意表を突かれすぎてその場に押し倒される。
地面に押し倒された少しの痛みと、自身の胸のあたりに感じる柔らかさ、そして目の前にあるヘスティアの顔にキリトの頭の処理が追いつかない。
一体、
「どうして神様がここに?」
「それはね…」
頭がショートしてる間にヘスティアの後ろには何人もの人がいた。
そこにはあのモンスターをキリト達に押し付けたパーティーの人たちもいた。
これは一波乱ありそうだ。
★☆☆☆★☆★
再びフィンに話をつけて、キリト達が借りているテントに先ほど現れたメンバーとヴェルフ、リリを呼んだ。
ヴェルフやリリはモンスターを押し付けたパーティー、今回ここに来た《タケミカヅチ・ファミリア》のカシマ・桜花、ヤマト・命、ヒタチ・千草の三名に対して睨んでいた。
気持ちはわからないわけではない。
実際、あの時モンスターに襲われたせいで危うく命を落としかけたのだから。
「おい、てめぇよく俺たちの前に顔出せたな。」
「あの時お前達にモンスターを押し付けたのは悪いと思ってる。それと同時にあの時俺の出した判断は間違いではないとも思ってる。」
「なんだと?!お前のせいで俺たちは死にかけたんだ!それなのに間違ってなかっただと?ふざけるな!」
「リリも今の発言は聞き捨てなりません!こちらは死にかけたのです!謝罪だけで済むような話ではありません!」
大柄な体格の青年、桜花の発言にヴェルフもリリもついに憤りを抑えられなくなったようだ。
二人の怒声に桜花の後ろにいる長い黒髪を1つに結った少女、命や前髪が目にかかっている気弱そうな少女千草は顔を下に向け辛そうな表情だ。
キリトはこの雰囲気がどうにも苦手だ。
どうにか収めないと危険な感じがする。
「なぁ?二人とも落ち着けって。」
「キリトさんは落ち着きすぎですよ!どうしてそんなに落ち着いてるんですか?」
落ち着いている…か…
どうだろう?
もし、これで二人がもしダンジョンで死んでいたら…
そんなもしもを考えるだけで腹のなかが煮えたぎるほど怒りが湧いてくる。
それこそこの二人と同じように、いやもしかしたら何も言わずに斬りかかっていたかもしれない。
だが、彼らは生きている。
今はそれが何より嬉しいのだ。
だから、彼らタケミカヅチファミリアの人への怒りが薄いのかもしれない。
「そりゃあ、人間だから。誰だって自分の命は大切だし、他人より自分の仲間の方が大切に決まっている。」
「それは……」
キリトの言葉にリリも反論しづらくなっている。
実際リリもおそらくキリトが危険にさらされた時真っ先に彼を優先して行動するだろうと考えたからだ。
「けど……」
「それにだ、もし俺が彼の立場なら同じことをしたかもしれない。その時リリやヴェルフは俺を責めるか?」
キリトはそんなことしない。
二人はそう思ってる。
しかし、実際キリトが桜花と同じ行動をして果たして責められるだろうか?
一瞬の思考をし、ヴェルフは答えを出す。
「ふん。納得はしてやる。けど、許したわけじゃねぇ。それは忘れんな。」
「許してもらおうなんて思ってない。」
未だ微妙な緊張感はある。
二人も怒りを感じているだろう。
だが、今宵はここが落とし所だろう。
今後彼らとのわだかまりは解消されるかはわからない。
けれど、過程がどうあれキリト達生きているのだ。
いずれ時がこのことを緩和してくれるかもしれない。
今はそう信じよう。