ソードアート・オラトリオ   作:スバルック

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先日久しぶりの投稿に感想いただいてありがとうございます。
とっても嬉しかったです^^


第28話

 

「う…うーん……」

 

 

キリトは気がつくと見知らぬ天井が目に入った。

 

 

「キリトさん?!」

 

 

「ん…?リリか?無事か?」

 

 

「ええ、リリは大丈夫です!それよりキリトさんは平気ですか?」

 

 

キリトは身体を動こかそうと上体を上げようとしたが、

 

 

「ぐっ!」

 

肋の辺りが軋むような感覚。

ゴライアスとの戦闘で少なからずダメージを負ったようだ。

しかし、よくあの状況で生き残ったものだ。

 

 

「少し休めば多分大丈夫だろう。それよりここはどこなんだ?」

 

 

「ここはロキファミリアのテントよ。」

 

 

キリトがリリに尋ねると、テントの入り口から別の声が聞こえた。

そこに立っていたのは、

 

 

「リズ?リズなのか?」

 

 

「久しぶりねキリト!こうしてオラリオで直接会うのは初めてかしら?」

 

 

そこにいたのはかつての同郷の友人リベットだった。

ユウキやシノンから話は聞いていたが、こうして顔を合わせて会うのは初だった。

 

 

「どうしてリズがロキファミリアのテントに?」

 

 

「ヘファイストスファミリアも今回ロキファミリアの遠征に鍛冶師として同行してるからよ。」

 

 

そういえば、そんな情報をアイズたちが言っていたような気がする。

キリトはどっか遠くにしまい込んだ記憶を思い起こしながら考える。

 

 

「そうだ!ヴェルフは?!」

 

 

「おう!呼んだか?」

 

 

キリトがヴェルフの所在を聞くと、再びテントの出入り口から声がした。

そこには元気になっていたヴェルフがいた。

 

 

「よかった!元気そうで!」

 

 

「おかげさんでな!」

 

 

ヴェルフが笑顔で返す。

その姿を見て安心した顔をするキリト。

リリもようやく3人とも無事に生き残れたことに実感が湧いたのか、力を抜いてぺたりと地面に座り込む。

 

 

「しっかし、ヴェルフがまさかキリトのパーティーに参加してるなんて驚いたわ。どうりで最近私との付き合い悪かったわけねー。」

 

 

「あんたに付き合ってたら自分の時間ないしな。」

 

 

「言ってくれるわね!あんたがパーティー組めないで碌に鍛冶師スキルあげられないから仕方な〜く付き合ってやってたのにー。」

 

 

「頼んでねぇよ!余計にお世話だ!」

 

 

リズとヴェルフとのやりとりから察するにこの二人はどうやらそれなりに付き合いが長いみたいだ。

ヴェルフもちゃんとファミリアの中で長いいやつがいてキリトもなんだか嬉しくなった。

 

 

「二人とも仲がいいんだな!」

 

 

「「よくない!」」

 

 

「それで、これからどうします?キリトさん?」

 

 

今後のことをリリはどうするかとキリトに尋ねる。

キリト自身、怪我がまだ癒えずにいるし、野宿や宿を取れるお金もない。

このままお世話になりたいところだが、別のファミア同士そう簡単な話ではない。

ここは一度ロキファミリアの団長と話をしなくてはならない。

 

 

「まずは、ロキファミリアの団長と話をしてくるよ。傷の手当てなんかのお礼も言わないといけなしね。」

 

 

「それなら、私が案内するわよ。付いてきて。」

 

 

リリとヴェルフにテントに残ってもらうように言って、キリトはリズに案内してもらってロキファミリアの団長のテントに案内してもらうことになった。

道中、ロキファミリアやヘファイストスファミリアの冒険者から見られていたが、キリトはなるべく目を合わせないようにした。

全く関わりのないファミリアの冒険者がこの場にいるのだ。

よく思っていない連中もいるだろう。

なるべく刺激しないようにしないといけない。

 

 

「付いたわよ。」

 

 

そんな事を考えているうちにどうやら付いてしまったらしい。

失礼します、と一声かけてテントに入り込むとそこにはロキファミリア屈指の実力を誇る3人がいた。

まず、リヴェリア・リヨス・アールヴ。

種族はエルフ。

二つ名は「九魔姫(ナイン・ヘル)」と呼ばれ、自他共に認めるオラリオ最強の魔法使いである。

続いてガレス・ランドロック。

種族はドワーフ。

二つ名は「重傑(エルガルム)」と呼ばれ、圧倒的なパワーとその頑丈さでパーティーを支えるなんとも頼り甲斐のある武人そうだ。

そして、ロキファミリア団長のフィン・ディムナ。

種族は小人(パルゥム)。

二つ名は「勇者(ブレイバー)」。

その小さな身体でファミリアを先導し、指揮するその姿はまさに勇者だと言われている。

オラリオにさほど詳しくないキリトでもこれくらいは知っている。

それくらいこの3人は強いのだ。

今戦ったら全く歯が立たないだろうなー、なんて気の抜けた考えをキリトがしていると、

 

 

「やぁ。怪我はしているが、どうやら大丈夫そうだね。」

 

 

「は、はい。治療していただいてありがとうございます。」

 

 

「なに、僕たちは全く別のファミリアだが同じ冒険者だ。こうして余裕がある時は手を貸すのも当然さ。それに、君は僕のファミリアのユウキ、シノン。それに、今回お世話になっているヘファイストスファミリアのリズベットさんの旧友なんだ。無下にはできないさ。」

 

 

ほんと、この3人がいるファミリアでよかったと思った。

キリト自身、リリからの話や酒場での出来事などで全ての冒険者がいいやつとは限らない事を知っているからなおさらだ。

 

 

「おい、フィン?こやつが例のミノタウロスをレベル1で倒したという冒険者か?」

 

 

「そうだよ。彼の戦いは実に見事だった。」

 

 

「ああ。見ていて気持ちが昂らせるものだったな。」

 

 

ガレスがフィンに尋ねると、フィンが答える。

続いて、リヴェリアも答える。

この3人に言われるとなんだか気恥ずかしい。

 

 

「ああ、その話ユウキとシノンから聞いたわよ。相変わらず無茶してるわねー。」

 

 

「別に無茶したくてしてるわけじゃないんだけどな。」

 

 

「まぁ、私の作った剣をうまく使ってるようで何よりよ。」

 

 

「ん?リズが作った剣?なんのことだ?」

 

 

キリトが尋ねると、リズはものすごく驚いた顔でこちらを見てくる。

本気でわからないので再度尋ねると、リズは例の《黒い剣》について話をした。

 

 

「と、すると…あの《黒い剣》ってリズが作ったのか!?」

 

 

「さっきからそう言ってるでしょ!それにその剣にはちゃんと《夜空の剣》って名前があるんだから!」

 

 

夜空の剣

なんだかしっくりくる名前だ。

今まで《黒い剣》としか呼んでなかった分名前ができたことで余計愛着が湧きそうだ。

 

 

「ふふっ。どうやら積もる話もあるようだし、どうだろう?傷が癒えるまでここで休んでいかないか?僕たちも君と話がしてみたいしね。」

 

 

話が逸れていたが、ここで本来の目的であるここでお世話になるという話をなんと向こうから振ってきた。

これは願ってもないチャンスだ。

 

 

「それはこちらからお願いしようかと思っていまして。なるべく邪魔にならないようにしますので、どうかお願いします。」

 

 

「同じ冒険者だ。そう硬くなることはない。少しの間だがよろしく。」

 

 

フィンがどうやら本気でそう言っているらしい。

手を差し伸べてきた彼の手をキリトは手を握って応える。

 

 

「そういうことなら。よろしくな。」

 

 

 




ようやく剣の名前がキリトに伝わりましたね笑

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