新たなシリーズ《ガールズ・オラトリア》も始まりました!
そちらの方も是非見ていってください!( ´ ▽ ` )ノ
そして、いよいよ《黒の剣士》編始まりです!
アニメでは例の神回の辺りですね。
戦闘の動きが良すぎて三回はみました!
多分また見るとおもいます♪( ´▽`)
第19話
ここはバベルの塔の最上階に位置する部屋。
ここに住居を構えるのは美の神フレイヤ。
そして、側には青いコートを着ている者が一人いる。
「ここ数日で彼は見違えるように強くなったわ。」
「ステータス的にはな。だが、このままじゃランクアップには時間がかかるな。」
「そうね…。彼にはもっと早く強くなってもらわないと。」
「それに関しては俺も同意する。あいつにはもっと強くなってもらないといけない。」
「任せてもいいのかしら?」
「ああ。」
その者はその場から静かにその場を離れる。
フレイヤには彼の魂の輝きを見ることを楽しみにしている。
だが、あの子の目的は一体なんなのか?
常にコートについているフードをかぶっていて表情が読めないのだ。
「まぁ、でも…」
そんなことはどうでもいい。
彼に対して恨みなどを感じなかった。
ただ、彼を強くしたいという目的は同じなのだ。
だが、
「あの子もいつか私の虜にしてあげたいわね。」
今はまだその時ではない。
時が来るのを待つのだ。
★☆★☆★☆
「それにしても…」
「なんですか?」
今日はリリをヘスティアに会わせようと思い、現在キリト達のホームに連れて行っている最中だ。
しかし、改めて見て思ったのだ。
「まさか変身できる魔法があるとはね〜。いや〜いろんな魔法があるもんだなと。」
「はい。これでリリをリリとは誰も思わないでしょう。」
いや、それはどうだろうかとキリトは思う。
なぜなら、今のリリの変身した姿は
知り合いから見れば一目瞭然なのだが…。
「しかし、キリト様?本当にリリはキリト様と一緒にいてよろしいのでしょうか?」
「ん?なんで?」
「だって…リリは一度キリト様を裏切りました。そんな私を、その…なにか罰を与えて下さらないと示しがつかないと」
「なら俺からリリに罰をやろう!」
「は、はい。」
「俺のことを様づけで呼ばないこと。キリト様なんて背中の方が痒くなってしかたないんだよな〜。」
キリトがそんなことを陽気な口調で言うもんだから、開いた口がふさがらない。
そんなことを罰と言うのだこの人は。
やっぱり少しおかしな人だ。
「そんなことはできません!」
「なら、この話はなしだ。リリは示しがつかないまま俺と一緒に冒険することになる。」
「うぅ…ずるいですよ!キリト様!」
「はい、それ早めに直してね。ほら、着いたよ!」
隣でまだぶつくさ何か言っているが、ようやくホームであるボロい教会に着いた。
そこにはすでにヘスティアが教壇の上に座って待っていた。
「初めまして、神ヘスティア。リリルカ・アーデと申します。」
「やぁ、君が噂のサポーター君だね?話は'僕の'キリト君から聞いているよ。」
「は、はぁ…」
なにやらキリトの名前を呼ぶ時だけ妙に強調されていたが、意味がわからず混乱するリリ。
それを悟ってか、今度は露骨にキリトの腕に抱きつき話を続ける。
「いいかい、サポーター君。僕は君のことが嫌いだ!一度僕の大切な家族であるキリト君を騙したのに関わらず、一緒にいようとするんだからね!」
「そ、それは…」
「か、神様!そんな言い方は…」
「キリト君は少し黙ってて!」
キリトがヘスティアを止めようと口を挟もうとするが、ヘスティアはそれを止める。
そして、わかっていると言わんばかりにキリトにアイコンタクトを送るのをみて、任せるしかないとキリトは感じた。
「人がいい彼のことだ。何にも言わずにただ黙って許されて罪悪感を感じてるだろう?そんなのは僕からしたら甘えだね。そんなに許されたいなら僕が罰をやろう。」
任せようと思っていたがこれはまずい流れかと止める覚悟をしたキリト。
だが、罰の内容は予想外のものだった。
「キリト君に恋愛感情を持たないことだ!いいね!それが罰だ!」
「「なっ!!!」」
全くの予想外の言葉に二人で固まる。
ぶち込んできた当の本人は清々しいくらいなドヤ顔である。
少しの間固まっていたリリは徐々に思考を取り戻し、そしてニヤリと笑ってヘスティアとは反対に移動して、キリトの腕に抱きつく。
「なっ!何をしているんだ君は!今の僕の言葉を聞いていなかったのかい?!」
「残念ですがヘスティア様、リリは既に罰をいただいています。」
「な、なんだと!?それは一体なんだ?」
「それは、様を付けずにお呼びすることです。ですよね?'キリトさん?'」
「ん?お、おう。」
「むー!キリト君!」
「あ、あはは…。俺、ちょっとギルドに用があったの忘れてました。行ってきますね!」
言うがはやいか、キリトはヘスティアとリリから離れ、一目散に走りだす。
「あ、キリト君!逃げるな!あとでおぼえてろよー!!!」
★☆★☆★☆
ギルドにやってきたキリトは早速エイナを探す。
すると、エイナを見つける前にギルド内には見知った三人の姿を見つけた。
「三人はどうしてここに?」
キリトが見かけた三人は、あの日オークの群れを引き受けてくれた三人。
アイズ、シノン、ユウキの三人だ。
「ダンジョンの下層で少し気になることがあったのよ。それをギルドに報告に来ただけ。ま、今のあんたには関係ないわ。」
「ひどい言い草だな、シノン。こうして、ゆっくり話せる機会なんか久しぶりだろうに。」
「久しぶりだね、キリト!元気にしてた?」
「ああ。ユウキも元気そうでなによりだよ。」
三人のなんとも言えない身内雰囲気にアイズはどうにも居心地が悪い。
それを悟ってかどうかシノンがこんなことを提案してきた。
「あんた、この先暇の日とかあるのかしら?」
「ん?そうだな〜…。ダンジョンに行くか行かないかはこの間までその日に決めていたけど、今はサポーターがいてその子と決めてるからなんとも言えないな。」
「ふーん…。また女の子なのかしら?」
「なんで知ってるんだ?」
「はぁ〜…」
相変わらずの天然ジゴロに頭を抱えるシノン。
こいつは昔からこういうところ変わらないのだ。
しかし、困った。
こうなるとシノンが考えていたことが実行できない。
なんとかしてこいつの時間を確保しないと。
「なら朝とか夜は?ダンジョンに行く早朝とかなら空いてるんじゃないかしら?」
「あ、空いてるには空いてるけど…。俺、起きるの辛いんだけd「あんたの意見は聞いていないわ。」
「俺の時間の話してたんだろう?」
「朝なら空いてるのよね?なら、アイズの相手してあげてくれない?」
「相手ってなにをすればいいんだよ?」
「もちろん戦いよ。私たちのファミリアは今遠征前でダンジョンでの激しい戦闘をさけないといけないのに、アイズったら目を話すとすぐにダンジョンに行ってしまうんだから。」
シノンにジト目で睨まれてアイズはそっとシノンから目をそらす。
「だから、今のあんたなら体慣らしに最適ってわけよ。」
そしてキリトはその提案に過剰に反応する。
「俺としてはレベル5であるアイズとの戦闘を経験できるのはうれしい。けど、さすがに今の俺とじゃ準備運動にもならないんじゃないか?」
「そんなことないよ!キリトなら十分アイズの準備運動になるって!それにアイズは今レベル6だよ!」
ユウキの何気ない言葉にキリトはまたもや驚かされた。
レベル6なんて現在到達してる冒険者なんか、指で数えれるくらいの数しかいない。
そのレベルに彼女は到達したのだ。
「へー…」
「「今、戦ってみたいとか思ったでしょ?」」
幼馴染二人が声をそろえて突っ込まれて、内心「うっ…」っと唸ってしまったが、冷静に装う。
そして、今度はキリトから彼女に申し込む。
「気が変わったよ。もし、アイズさえ良ければ俺と戦ってくれないか?」
キリトからの申し込みにアイズは答える。
「…いいよ。ただし、遠征までの間毎朝私との戦闘に付きあってもらう。それでいい?」
「もちろん!」
キリトとアイズの戦闘訓練が決まると、一人腑に落ちないといった感じの子が一人。
「いいな〜!僕もキリトと戦いたい!」
「ユウキはだめよ。あんたどうせ朝起きれないじゃない。」
「そ、そんなことないもん!起きれるもん!」
★☆★☆★
「ユウキ起きなさい。約束の時間よ。」
「うーん…あと、5分。」
「はぁ〜…」
案の定といったところか。
ユウキはやっぱり寝坊だ。
彼女これはダンジョンの遠征でもやるから困りものだ。
結局シノンが背負ってあることになったりするのだ。
「先に行ってるわよ。」
今日はわざわざまつ必要がないので先にいってることにした。
既に彼らは約束の場所で戦闘訓練が始まっているらしく、シノンは遠くからそれを眺め見る。
すると、案外彼はアイズの動きについていけている。
昔から反応がユウキと同様に優れていたのを思い出し、妥当かなともシノンは思ったが、どうにも動きがぎこちない。
まるで反応できているのに身体が動いていないように思えた。
その理由はすぐにわかるものだ。
「シノン!置いてかないでよ!」
「ユウキが寝過ごすから悪いのよ。それよりも、もう始まっているわ。」
「ほんとだ!ん?」
どうやら、彼女も気づいたみたいだ。
さすが同じ剣士だ。なにが悪いのかすぐに見極めらるらしい。
さらには、彼女もキリト同様かそれ以上に反応がいいだけはある。
もしかしたら同じ欠点を克服してきたのかもしれない。
「どうする?」
シノンはがユウキに問うと、
「ちょっとアドバイスにでも行こうか!」
★☆★☆★
明朝。
アイズとの戦闘訓練の集合場所に着くと、既に彼女は待っていた。
彼女はなにも言わずにただ、剣を抜いて剣を収めていた鞘を向けてくる。
彼女がもし剣で戦うなら、おそらくキリトはすぐに死んでしまうだろう。
それだけの力の差は確実にあるのだ。
彼女が鞘で戦う選択をするのは当然のことである。
ただ、頭でわかっていてもそれに対して不満が出てしまうのは剣士としての性なのだろうか?
キリトは《黒紫の剣》を構えると、すぐさま彼女が向かってくる。
その速さは今まで戦ってきたどのモンスターなんかよりも速い。
ふりかざされる鞘をキリトが必死にパリィしていく。
すると、一瞬目の前から消えたように見えるスピードで背後に回って鞘をキリトに向けて突く。
それを目で追うが、身体が反応しない。
「がっ!」
見事に脇腹に突き刺さり、キリトは後方に吹っ飛ばされる。
地面を転がってうまく体勢を立て直す。
そして、今度はキリトからアイズに向かっていく。
「はあぁぁぁ!」
なるべく隙を作らないように大振りはしないように攻める。
しかし、全て余裕でパリィされ攻めきれない。
ーもっとだ!もっと速く!
剣の振るうスピード上げる。
自身の力のステータスの限界まで。
剣戟の応酬が始まる。
スピードの差を少しでも埋めるべく体術を利用するが、アイズも体術を使って防いでくる。
残された駆け引きで出し抜けないか試し見るがそれも決まることはなかった。
「そろそろ、決めにいくよ。」
この言葉を合図にアイズの怒涛の攻めが始まった。
突きの連発に必死に防ごうとキリトは躍起になるが、全て防ぎきれずに何発かもろに入る。
くらう度に反応が鈍くなり、また当たる。
もはや、負の連鎖だ。
一瞬よろめいて後ろに下がると、いつのまにか懐に詰め寄っていたアイズに鳩尾を射抜かれてしまった。
その瞬間、キリトの意識は途切れてしまった。