ソードアート・オラトリオ   作:スバルック

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魔法の予想を色々考えた感想をいただいてとても嬉しかったです!
ですが、僕はそこそこアイディアはシンプルというか単純です!
色々ひねったものを書いてくださった人には申し訳ないです…

魔法ですが、出番はもう少し先ですね。
感想に書かれているものになるか、それとも全く違うかは後のお楽しみに^^


そして、心意や武装完全支配術についてですが今の所ノーコメントでいきます。
申し訳ございません!


お気に入り数がいつの間か300超えていて衝撃です!
ダンまちSSも増えていて、これからのダンまち人気に期待です!


第15話

「こんにちは!」

 

 

「ん?君は…」

 

 

ダンジョンに向かおうと足を運んでていたら突然話しかけられたキリト。

そこにいたのは小さな獣人の女の子であった。

だが…

 

 

(どっかでみたような…)

 

 

「サポーターをお探しではありませんか?」

 

 

「へっ?」

 

 

ダンジョンでさえあまり人との接点がないキリトがこうやって街の中でいきなり話しかけられるのも珍しい。

ましてや、そこでサポーターなんてものは今までなんの縁がなかった。

 

 

「そんな難しく考えることはありません!貧乏なサポーターが自分を売りに来ているんです!」

 

 

「はぁー…」

 

 

とりあえず、元気があるのはわかった。

話を聞いてみるだけ聞いてみよう。

 

 

「それで、サポーターってなに?」

 

 

「あれ?もしかして冒険者様はサポーターをご存知ではありませんか?」

 

 

「いやぁー…ははは。」

 

 

実はエイナに聞いたような気はしている。

だが、連日の濃厚な毎日がそのような知識を記憶の片隅に追いやっているのだ。

キリトは説明を求めると、若干「こいつ大丈夫か?」みたいな顔をしていたので多分かなり当たり前なものなのだろう。

ここでしっかり覚えておかなきゃ。

 

 

「サポーターというのは、簡単にいうと冒険者様の荷物持ちです。冒険者様が倒した際にドロップする魔石や素材を私が今背負っているようなバックパックに入れて換金所まで運ぶことが仕事です。」

 

 

「へー、それは助かるね!」

 

 

実際ここのところモンスターを倒せても魔石を回収しきれないことが多々あった。

しかも、今日から7階層に挑もうというのだ。

彼女がいれば安心して戦闘に集中できると思う。

 

 

「それじゃあ、お願いしようかな?報酬はどのように払えばいい?」

 

 

「いえいえ、そんな!今日は冒険者様にサポーターがどんなものか知ってもらうのが目的ですから、気になさらないでください。」

 

 

(…ん?)

 

 

サポーターっていうのはこういうものなのか?

サポーターだって一応冒険者分類だろう。

もっと報酬をせまってくると思ってたんだけど。

それとも、

 

 

「つまり、今日これからの働きで雇うかを判断してくれってことか?」

 

 

「そういうことです。」

 

 

この子もなかなかしたたかである。

俺の周りの女の子はしっかりしてるんだな。

 

 

「わかった。でも、早い段階で雇いたいって俺が思ったら今日の分の報酬を払わせてくれ。一緒にダンジョンに潜って危険を冒しているんだ。ただ働きなんてさせたくない。」

 

 

「…綺麗事を」

 

 

「ん?」

 

 

「わかりました。その方がリリにも嬉しいですし。そういえば、自己紹介がまだでしたね。私の名前はリリルカ・アーデでございます。リリとでもお呼びください。」

 

 

「俺はキリト・クラネルだ。キリトでいいよ。」

 

 

「それではキリト様、早速ダンジョンに向かいましょう!」

 

 

「キリトでいいって。それじゃあ、さっそくいこうか!」

 

 

★☆★☆★☆

 

 

ここ7階層では敵の種類もまた変わってくる。

キラーアントとよばれるモンスター。

こいつはアリの姿をそのまま大きくしたような外見。

だが、その巨大化は見た目だけのものではない。

甲殻の強度もまた強大なものになっており、ここに到達したばかりの冒険者は苦戦を強いられることが多い。

 

 

(はずなんですが…)

 

 

目の前の光景が信じられない。

聞けば彼は冒険者になってから、半月程度しか経っていないという。

それが、

 

 

「はっ!」

 

 

4,5体のキラーアントを相手に剣でうまく弾いて立ち回り、奴の弱点である側面甲殻の隙間に剣を突き入れ屠っている。

しかも、彼のスキルなのだろうか?剣先が光出すと通常では動けないような力やスピードで斬っていくのだ。

なんて、側で考え事をしていたら周辺には1体残らず魔石と化していた。

 

 

「ふぅ〜。」

 

 

キリトは剣をしまうと落ちている魔石を拾い始める。

 

 

「あっ!キリト様!それはリリの仕事です!キリト様はゆっくりしていてください!」

 

 

「おっと!つい癖で。でも、今はモンスターはいないし手が空いてるから一緒に集めようぜ。」

 

 

「そんなわけにはいきません!冒険者様とサポーターの区別はしっかりしませんと!」

 

 

「さっきから思ってたんだけど、なんでそんな冒険者とサポーターの立場にこだわっているんだ?サポーターだって冒険者じゃないか?」

 

 

キリトがそんな質問をすると、リリは鳩が豆鉄砲をくらったような顔をして固まった。

なにかまずいことを言ったのだろうか?

 

 

「…なんで、そんなこと平然と言えるんですか。」

 

 

そして、リリはギリギリ聞き取れない程度の小言が多い。

なにかと謎が多い彼女。一番の謎はなぜ自分のファミリアの団員とパーティーを組まないかだ。

通常自身の所属するファミリアでダンジョンを探索するのが当たり前だと思う。

たまに、フリーで出かけることもあるだろうが契約まで狙ってる素振りがある。

そんな彼女がそういう理由でやってるとは思えない。

そして、なにより始めの貧乏なサポーターといった。

彼女の能力的にダンジョンの3階層程度なら十分通じそうな知識と力はありそうだった。

それなら、自分の稼ぎくらいはそれでまかなえるはず。

それよりお金が欲しいということはなにかお金が必要なことがあるのかもしれない。

 

 

『ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!』

 

 

魔石の回収をしているとダンジョンの壁が揺れ始めた。

どうやら、モンスターが生まれているらしい。

 

 

「キリト様!」

 

 

「わかっている!はああ!」

 

 

生まれてくるモンスターがダンジョンの壁にいる間に倒してしまおう。

そんなことができるのか試したくなったのが運の尽き。

 

 

「これ…どうするんだよ?」

 

 

「胴体を切って魔石を取り出すしかないんじゃないですか?」

 

 

「うへぇ〜…」

 

 

「この剣をお使いください。そちらの剣はリリが預かります!」

 

 

「ん?ああ、ありがとう。」

 

 

キリトが黒紫の剣を渡すと、リリはとても不思議そうな顔する。

気になったキリトはリリにどうしたのかと聞く。

 

 

「いえ、あまりにも軽くて驚きました。あれだけのモンスターを倒していた剣ですからてっきり重いものかと。それに、これ切れ味が…。」

 

 

「ああ、どうやらその剣に神聖文字が刻み込まれているだろう?それは多分俺のファミリアの神様が刻んだもので特殊な術をかけているみたい。それのせいでその剣本来の力は抑えられているんだ。だけど、俺が…いや、推測だけど俺のファミリアの神様の恩恵を受けているものが触れればっと」

 

 

キリトが剣に指先で少し触れると、刻まれた文字が光出す。

すると、突然剣の重さが変わった。

その重さにリリの身体はよろける。

 

 

「おっと!」

 

 

それをキリト自分の胸で受け止める。

剣を抱えたリリはそこにすっぽり埋まる。

 

 

「大丈夫?」

 

 

「も、申し訳ありません!」

 

 

キリトから大きく飛びのいて謝ってくる。

キリトとしては飛び退き距離が大きかったことが地味にショックだった。

確かに汗をかいているので臭うかもしれないが…。

 

 

「じゃ、じゃあ俺はこいつの魔石を取ってくるね。」

 

 

キリトが離れると、リリはもう一度剣を見るとやはり剣は死んだかのように重さや切れ味も落ちている。

このまま鑑定に出しても大した価値にはならないだろう。

彼が使うととてつもない力を発揮するというのに。

 

 

(こうなったらヘファイストス・ファミリアの紋章が書かれているあの鞘と一緒に持っていけば…)

 

 

「ぼーっとして、どうしたんだ?」

 

 

「いえ、なんでもないです!さ、どんどん先に進みましょう!」

 

 

そのためにはそれを手にする機会を作り出さないといけない。

少し準備が必要になるだろう。

歩きながらリリは盗む算段を立てていくのだった。

 

 

★☆★☆★☆

 

 

あれから、しばらく探索を続けた。

シルバーバックとの戦闘もそうだが、ここいら戦闘での経験値が大きく働き伸びたステータスのおかげでスムーズに攻略ができている。

一番の不安材料だった武器だが、ヘスティアからもらった剣も多くの戦闘をこなしているが刃こぼれひとつしない。

それどころか、切れ味は増しているようにも感じる。

これなら到達階層が増えていくのも早いかもしれない。

一番の問題はレベルだ。

13階層からは適正レベルが2にカテゴライズされている。

そこに至らない限り、Lv.1のままじゃいずれ限界がくるだろう。

 

 

「なぁ、リリはどこのファミリア所属なんだ?」

 

 

「リリは《ソーマ・ファミリア》の所属ですよ。」

 

 

帰り道、キリトはリリにこんな質問をした。

聞くと結構あっさり教えてくれた。あまり問題ではないのだろうか。

もし、そうなると一層自分のファミリアの人といかないのか疑問になる。

リリに運んでもらってギルドの魔石換金所までいってお金にしてもらった。

 

 

「3…3万2千ヴァリスぅぅぅ?!!!!!!」

 

 

「おお、結構いったな!」

 

 

リリが大きく驚いている中、キリトがあまりにもあっさりいったのでお金を見て固まっている首を上に持ってくる。

それを見てキリトはニッコリと笑うだけだ。

 

 

「反応薄くないですか?!3万2千ですよ!普通の5人パーティーなんかより多いなんて普通じゃないです!?」

 

 

「ん?まだまだ!そのうちリリのその大きなバックパックを一杯にしてやるくらい魔石を貯めてやるからな!」

 

 

笑顔でそんなとんでもないことをいうキリトに開いた口がふさがらない。

しかし、それを実行できてしまいそうな力を彼は持っている。

 

 

「はい、これリリの分な。」

 

 

「ふぇ?」

 

 

差し出された金額は今回の額の半分入っている袋だ。

 

 

「そんな?!独り占めしようとか考えないんですか?!」

 

 

「ん?なんで?これからも二人で潜るんだ。パートナーとして当然だろ。明日はもっと期待してていいぞ!」

 

 

これが大真面目に言ってるからリリもどう反応していいか困る。

この方は本当に冒険者なのだろうか?

自分の知っている冒険者とは態度が根本が違うきがする。

強い。確かに強いのだ。そして、彼はしっかり強さを求めている。

けれど、その強さは名声や大金を欲しているそれではない。

一体彼はこの迷宮都市オラリオに、何を求めているのだろうか?


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