ソードアート・オラトリオ   作:スバルック

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まさか神様の紐がここまで人気になるとは思いませんでした!
確かにあの紐は言われれば気になりますよね!w
私、気になります!!!


うそつき
第13話


ここはとあるカフェ。

ここで注目を集める4人の冒険者がいた。

 

 

「このメンツで集まるのも久しぶりね。」

 

 

「そうですね。4人で集まるのは久しぶりかもしれません。」

 

 

ピンク色の髪にそばかすがチャーミングな女の子。

頬杖つきながら話しているのはヘファイストス・ファミリアの《マスタースミス》リズベット。

そして、リズの言葉に同意しているのはガネーシャ・ファミリアの《ドラゴンテイマー》シリカ。

見た目は茶髪にツインテールをしている。

 

 

「そうね。最近は遠征なんかで忙しいからね。リズとはよく武器のメンテで会うけれど、シリカは久しぶりになるわね。」

 

 

「ほんとだよ!みんな元気そうでなによりだよ!」

 

 

これに答える2人。

ここでは知らない人はいないであろう大手ギルドロキ・ファミリア所属している。

青い髪とつり目の少女、《スナイパー》の異名を持つシノン・アサダ。

そして、長い黒髪に額に赤いヘアバンドをつけた少女。見た目からは想像できないであろう剣の達人。ついた二つ名は《絶剣》ユウキ・コンノ。

 

 

「それで、面白い話ってなにかしら。」

 

 

目を細めて、微かに笑うシノン。

それにつられて、リズもいやな笑顔を見せる。

 

 

「知りたい?」

 

 

「もったいぶらないでよ!はやく教えて!」

 

 

ユウキはもう待てないといった感じでリズを急かす。

それを見て、リズは「どうしよっかな〜」なんて言い出す。

それを見かねたシリカがさっさと答える。

 

 

「このオラリオにキリトさんが来てるんです!」

 

 

「それ本当?」

 

 

「ほんとにいるなら、久しぶりに手合わせしたいな♪」

 

 

「ほんとよ。それと、ユウキ。あいつのレベルは1だから、あんたと戦うと死ぬわよ。」

 

 

シリカにさっさとバラされておもしろくないというような顔をしながらリズが答える。

 

 

「ならなおさらね。いまのあいつなら火矢を鼻に当て放題よ。」

 

 

「そうゆうことよ。」

 

 

『キュル!』

 

 

そんなことを満面の笑みでシノンがとリズが答えるのでみんなもつられて笑う。

 

 

「今日はピナを連れてきたんだ。」

 

 

「はい!ピナも強くなってきたんですよ!」

 

 

シリカがピナを見つけたのはちょうど1年前。

ダンジョン内でもセーフティーゾーンと呼ばれる階層がある。

だが、そのセーフティゾーンにも比較的少ないがモンスターはいるのだ。

ピナはその階層の綺麗な湖で出会ったのだ。

ダンジョンのモンスターはダンジョンの壁から生まれるのが普通だが、環境がいいと稀にダンジョン外のモンスターと同様に生殖をするみたいである。

そこで、数ある卵から一個だけ孵った子ドラゴンであるピナと顔を合わせたことがきっかけで、ピナはシリカを親と勘違いしそのまま一緒にいるのだ。

 

 

「この間やっとレベル2にあがったんだよ!」

 

 

その後連れ帰ってからシリカの主神であるガネーシャに頼んだ結果、ピナもガネーシャの恩恵であるステイタスをもらっている。

ステイタスをもつモンスターというのはこのオラリオには他にいない。

そして、そんなモンスターをテイムしてつれまわす冒険者も他にいないので、称号ととして《ドラゴンテイマー》となったのだ。

 

 

「へぇー。ピナも強くなっているのね。それに比べてキリトはどうかしら?」

 

 

シノンがキリトについて知ってそうなリズとシリカに尋ねる。

 

 

「あいつもかなりの早さで強くなってるわよ。この間なんてシルバーバックをソロで倒したしね。」

 

 

それをリズが答える。

しかし、その答えには拍子抜けといったような感じだ。

 

 

「それぐらいなら、ある程度ダンジョンで鍛えれば倒せるじゃない。」

 

 

「それが、キリトさんなんと冒険者になって半月だそうですよ!」

 

 

それを聞いたシノンと飲み物をストローで飲んでいたユウキは目を開けて驚く。

シノンは胡散臭そうな目で二人に抗議をするが、二人はニコニコするだけである。

 

 

「それが本当ならすごいね!僕だってシルバーバック倒せるようになるのに2ヶ月かかったのに。」

 

 

「それでも十分すごいですけどね…」

 

 

ユウキの答えに、自分があのモンスターを倒したのにかかった期間を考えて勝手に落ち込むシリカ。

ユウキがあわてて身振り手振りでフォローをする。

 

 

「ところで、あの話聞いた?」

 

 

流れを変えるためにリズベットが話を変える。

ユウキもこれに乗って流れを変えようとする。

 

 

「なんの話?」

 

 

「最近、あるサポーターをパーティーに加わるとダンジョンで稼いだものを盗まれる被害が出てるらしいわよ。」

 

 

「それ聞いたことあるよ!でも、被害が出てるのはレベル1から2のパーティーが多いみたいだね。」

 

 

「こういう厄介ごとに巻き込まれそうよね、あいつは。」

 

 

「「「ははは…」」」

 

 

シノン言葉に否定できない彼の巻き込まれ体質を知ってる3人は苦笑いしかでないのだった。

 

 

☆★☆★☆★☆★

 

 

「シルバーバックを倒したぁ?!」

 

 

あれから2日経って、ギルドを訪ねたキリト。

一昨日の経過を報告するとエイナにものすごい形相で睨みつけられている。

 

 

「ほ、ほら!この魔石とドロップ品の奴の毛皮が証拠です。」

 

 

キリトがそれを提示すると、エイナはそれを手にとって凝視する。

じっくり観察をすると、諦めたようにため息をつく。

シルバーバックの討伐の報告は聞いていた。

その時に討伐をした冒険者の特徴も聞いてはいたのだが、まさか本当にキリトがこのモンスターを倒したとは思わなかった。

いや、ありえないのだ。普通は。

それほどのステイタスをすでに持っているのはもはや何かレアなスキルが発動しているせいであるにちがいない。

 

 

「それで今日から7階層に向かおうと思うんですけど、その許可を頂きたくて…。」

 

 

「その前に、キリトくんのステイタスを見せてもらえないかしら?」

 

 

「え?」

 

 

「わかってる。同じファミリアの人間以外にステイタスを見せるのはマナー違反であることは。でも、ほんとに君が7階層にいくだけのステイタスを持っているのか知りたいの。こんなに早く成長した冒険者は前例がない。無理にとは言わないけど…。」

 

 

「わかりました。エイナさんなら誰かに言いふらすこともないと思いますし。」

 

 

「そのことは約束する。もし、情報が漏れた場合は私が責任を取ります。」

 

 

その言葉を聞いたキリトは自身の装備を外して、上着を脱いで背中の神聖文字で書かれているステイタスを見せる。

 

 

「それにしても、エイナさん神聖文字読めるんですね。」

 

 

「少しだけね。」

 

 

 

キリト・クラネル

Lv.1

力:D501

耐久:E482

器用:F389

敏捷:E432

魔力:0

片手剣:D532

体術:E487

 

《魔法》【】

 

《スキル》

剣芸(ソードアート)

 

・武器に応じた剣技を発動できる

 

・各々の技の熟練度によって威力が増す

 

・使用武器のアビリティが追加され、熟練度によって使用可能な技が増える

 

 

 

(なにこのステイタス値?!)

 

 

半月でのステイタス値ではない。

それにこの剣芸(ソードアート)というスキルは、ロキ・ファミリアや、ヘファイストス・ファミリアの一流冒険の数名しか発動していないスキルではないか。

この数値に驚いていて目に入っていなかったが、

 

 

(あれ?ここの部分だけ読めない。ヘスティア様の癖字かしら?)

 

 

神様にも癖というものがあり、文字にその神独特の書き方があるときがある。

しかし、それはヘスティアの偽装でもしキリトがステイタスを見られたときのことを考慮してあらかじめ細工していたのだ。

 

 

「ねぇ、明日空いてるかしら?」

 

 

「俺の方はいつでも予定は調整できますけど、エイナさんは空いてるんですか?」

 

 

「私は明日非番なの。それより、明日装備を買いにいきましょう。7階層にいくのなら、防具を新しく買い換えた方がいいと思うし。」

 

 

それはキリト自身も感じていた。

武器に関してはヘスティアがくれたこの黒紫の剣(名前を知らない)があるが、防具に関しては未だにギルドからのバリバリ初期装備なのだ。

 

 

「お金なら、その魔石とドロップ品を売ればそれなりになるだろうし大丈夫そうね。」

 

 

「それじゃあ明日10時にバベルでいい?」

 

 

「わかりました。では、また明日。」

 

 

「明日の防具を整えるまでは7階層いっちゃだめよ!」

 

 

「うっ…ははは、はい。」

 

 

☆★☆★☆★

 

 

次の日ー

バベルの前でエイナを待つキリト。

 

 

そういえば神様、新しくバイトを増やしたって言ってたけど…

一体今度はどこで働いているだろうか?

 

 

待っている間朝早く働きに出るヘスティアのことを考えていると、遠くから手を振って近づいてくるエイナを見つけた。

 

 

「おまたせー!待ったかしら?」

 

 

「そんなことないですよ。」

 

 

今日の彼女は普段のギルドの支給の制服ではなく、スカートなどを履いている。

女性は化粧や服装なんかで雰囲気が変わると言うが、今日のエイナはいつものキリッとしたものはなくとても可愛く見えた。

 

 

「その服とても似合ってますよ。」

 

 

「えっ?!あ、ありがとう!」

 

 

エイナは顔をそらしながら返事をする。

自然な感じで言ったつもりだがもしかしたらすこし上ずっていたかもしれない。

キリトは失敗したかな?と、思いながらも続けて話しかける。

 

 

「そ、それで今日はどこに買いに行くんですか?」

 

 

「このバベルの中よ?」

 

 

「バベルの中ですか?でも、ここって換金所とシャワールームぐらいしか…あとは食堂?」

 

 

「その他にも上の方は神様のホームになっているのよ。そして、それより下の階はファミリアなんかに貸し出しなんかしてるの。そして、そのうちのいくつかのフロアはあのヘファイストス・ファミリアが武器や防具の販売で使用しているの。」

 

 

「へー!それじゃあ、今日はそこで防具を買うんですね?」

 

 

「そういうこと!おっと、話している間に着いたわね。ここから全てヘファイストス・ファミリアのお店よ!」

 

 

エイナの説明を聞きながら移動しているといつの間にかお店にたどり着いていた。

そこで、どこか見覚えがある姿見えた。

 

 

「いらっしゃいませー!」

 

 

「…神様?なにしてるんです?」

 

 

「な?!なんでキリト君がここに?!」

 

 

「それはこっちのセリフですよ。」

 

 

まさかヘスティアがここで働いているとは思っていなかった。

そして、なんだかこっちに気づいてからあまり機嫌が良くないように思う。

 

 

「僕がこんなに必死で働いているのに、君は仲良く女の子とデートとは…。許せない!」

 

 

「デートとかそういうんじゃないですよ!今日はこれから向かうダンジョンの階層に向けて装備を買おうと…」

 

 

「おい!新人!さっさと向こうにこれを運べ!」

 

 

「は、はなせ!僕はキリト君のデートを邪魔をするという重大な仕事がぁああああ!」

 

 

「「ははは…」」

 

 

キリトが弁解をしていると、他の店員さんに首根っこを掴まれて連れて行かれた。

その光景を二人はは苦笑いしながら眺める。

 

 

「なんかすいませんエイナさん。」

 

 

「おもしろい方よね、ヘスティア様って。」

 

 

少々トラブルがあったが、新人冒険のために売っているフロアに移動する。

そこには名の知れわたっていない。いわゆる無名の鍛冶師が作ったものが置かれている。

だが、無名ではあるがさすがヘファイストス・ファミリアの眷属が作った品だ。

どれも良品である。

 

 

「これだけあると目移りしちゃいますね。」

 

 

「そうね〜。一旦別れて探してみましょうか?」

 

 

「そうですね。」

 

 

こうして、別れて探すことに。

キリトがしばらく店の中で探してみると、あるものに目を奪われた。

そのあるものとは、黒いロングコートだった。

 

 

き、着てみてもいいかな?

 

 

そこで近くに通った店員に尋ねて試着をの許可を取り、キリトはその黒のロングコートを着る。

鏡をみて自分の姿をみてなんとも言えなくて顔を緩ませていると、後ろにエイナが突然現れた。

 

 

「キリト君って黒色好きだよね?」

 

 

「えっ?あ、いやその別に意識してるわけではないんですけどなぜか全部黒になってますね…」

 

 

「いっつもキリト君のインナー黒だったもん。まぁ…お洒落とは言い難いけど、キリト君に黒はあってるとは思うわよ。」

 

 

「髪の毛的にもね」なんて付け加えながらエイナは笑いながらそう伝える。

キリトもこのロングコートを気に入ったのでこれを買おうと思っていたのだが、

 

 

「それを買うのはいいけど、防具を買いに来たこと忘れてない?確かにそのコートは丈夫にできてはいるけど、モンスターの攻撃を防ぐには無理があるわよ?」

 

 

「うっ…そ、そうですね。」

 

 

キリトは今日買いに来た目的を思い出し、このコートを仮に買うとして使えるお金を計算し目に見える範囲で防具を探すと、ある防具にめが止まった。

 

 

「このチェストプレートなんてどうです?」

 

 

キリトはカゴに入っている胸防具を取りだして、エイナに見せる。

それをみてエイナは呆れたような顔をする。

 

 

「はぁ〜…。キリト君ってホント防具に関しては軽いものばかり選ぶのね?」

 

 

「本能的に早く動くために重いものを避けてるのかもしれませんね?」

 

 

「うーん…確かにこの防具はしっかりしてる。値段の割にいい素材使ってるし。うん、これでいいんじゃないかしら?」

 

 

キリトがほっとしたのも束の間エイナがここぞとばかりに押してくる。

 

 

「そのかわり、そのコートにも肩の所に鉄のプレートをつけさせてもらうわよ?」

 

 

「は、はい!」

 

 

キリトはエイナの勢いにただ頷くしかなかった。

そして、無事?買い物が終わり現在帰路についている。

 

 

「それにしても、その胸防具の名前すごかったわね。兎鎧でぴょんきちなんて名前なんてね。」

 

 

「笑い事じゃないですよ。あんなにいい防具なのに売れないわけだよ…。」

 

 

エイナは笑いながら言うと、キリトはややテンション低めに答える。

その防具を作った者の名はヴェルフ・クロッゾ。

これからも利用すると思うし、覚えておこうとキリトは心の中で思う。

 

 

「今日は買い物に付き合ってもらってありがとうございました。これから食事なんてどうですか?おごりますよ?」

 

 

「あら?それじゃあ、おいしいものでも食べに行きましょうか。私が知ってるお店に行きましょう!」

 

 

「え?あんまり高いのはちょっと…」

 

 

「ふふふ、期待してるわよ?キ・リ・ト君!」

 

 

「ははは…」

 

 

今日でもしかしたら全財産なくなるかもしれない。

覚悟だけはしておこう。

 

 


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