ソードアート・オラトリオ   作:スバルック

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いよいよダンまちがスタートしましたね!
アニメ効果もあってか、お気に入り数が一気に増えました!
ダンまちに興味を持ってくれた人が増えたことにとても喜びを感じています!

それに負けじとこっちも頑張っていきます!
これからも《ソードアート・オラリオ》をよろしくね!( ´ ▽ ` )ノ


第11話

『ガウ!』

 

 

『ここでテイム成功!シリカさん見事でした!さすがはテイマーの中でもトップクラスの実力者です!』

 

 

「応援ありがとうございました!」

 

 

シリカがモンスターのテイムに成功したことで周りの観客が大いに沸く。

シリカは駆け出しの頃からこの祭りに参加していたが既にその頃から人気はあった。

その可愛らしい容姿からモンスターを手懐ける様はどんなに怖いモンスターでも自然と恐怖を感じなくなるというのが客から好評だったらしい。

 

 

「ふぅ〜…」

 

 

(キリトさん…わたしの出番見てくれたかな?)

 

 

ふと、そんな考えが浮かんで顔が自然と赤くなり首を振る。

 

 

「私ったら、すぐキリトさんのこと!でもでも、今日この会場には来ているみたいだし可能性がないとは言えないわけで…。うう…もっとかわいい衣装にすればよかったかな?それとももっとセクシーな…」

 

 

「なにあんた一人でブツブツ言ってるのよ?」

 

 

 

「はうううううううううう!」

 

 

控え室には自分一人しかいないと思っていたシリカは突然話しかけられて飛び跳ねる。

ゆっくり振り返るとそこにいたのは先ほどひやかし(応援)に来たリズベットだった。

 

 

「もう!リズさん!驚かさないでください!」

 

 

シリカは顔を真っ赤にして抗議する。

どうせまたからかってくるのだろうと身構えていると、

 

 

「そんなことは今はどうでもいいわ!それよりも、祭りで使うモンスターが檻から抜け出したらしいわ!」

 

 

「え?」

 

 

突然の報せに頭が追いつかないシリカ。

リズベットは追いつくのを待つつもりはなくさらに話を進める。

 

 

「大半はあんたのファミリアとロキ・ファミリアの剣姫が倒したらしいわ。けど、一体だけ取り逃がしたらしい。」

 

 

ほとんどが倒されたと聞いて少しは冷静さを取り戻したシリカは今の話ぶりだとさほど被害は少ないと判断し、これからリズベットが提案してくるであろうことを先に口にした。

 

 

「なら、一刻もその逃げたモンスターを追って倒しましょう!リズさんも手伝ってくれますか?」

 

 

「いや、それが事はどうも単純じゃないみたいなのよ。」

 

 

「どういうことですか?」

 

 

「なんでもそのモンスターは背が小さくてツインテールで胸が大きい神様と黒髪の冒険者を追いかけてるって話なのよ。」

 

 

「それがどうかしたんですか?」

 

 

そんな被害者の明確な情報があるならなおさら早く助けなければならないのに。

そして、若干その神様が自分の特徴と似ていて、なおかつ一部分が大きく異なることに妬みを感じてしまっている。

 

 

「キリトの主神であるヘスティア様もまさにその特徴なのよ。加えて、黒髪の冒険者なんてこのオラリオにはそうそういない。」

 

 

「じゃあ、もしかして…」

 

 

「そう、キリトが狙われてる可能性が高い。」

 

 

それを聞いたシリカは今度こそ思考がストップした。

 

 

★☆★☆★☆★☆★

 

 

少しずつだが追いつかれている。

理由はわかっている。

ヘスティアを抱えて逃走しているからだ。

逃げ始めてから少し経つとヘスティアは徐々にペースが落ち始めたのでキリトが彼女を抱えて逃げることにした。

結果、同じ敏捷であった両者に差がほんの少し生まれた。

 

 

このままじゃ逃げきれない!

どうすれば…

 

 

「キリト君?」

 

 

自分の腕の中で心配そうに見上げてくるヘスティアの目をじっと見つめるキリト。

そこで決心がつき、ヘスティアに話しかける。

 

 

「神様、このままだと追いつかれるのは時間の問題です。どうしても戦闘は避けられないでしょう。だから、神様は先に逃げてください。」

 

 

「君はどうするんだい?!」

 

 

「俺は戦います。」

 

 

「そんな無茶だ!一緒に逃げよう!どこまでも!」

 

 

「狙いは神様です。俺が足止めしている間に奴が追いつけないところまで逃げ切れば俺も逃げることができます。だから…」

 

 

キリトの決意がひしひしと伝わるヘスティアはどうにかしてこの戦況を変えられないか考える。

 

 

「そうだ!あれを使えば!」

 

 

「何を使うんです!」

 

 

「君のために作ってもらった取っておきを…ってあれ?あれ?あれあれ?!ない!!!」

 

 

どうやら、モンスターから逃げる際にキリトの手を握ることに意識を取られて落としたらしい。

しかし、あれさえあれば勝てる見込みがある。

 

 

「キリト君、わかった。君の案に乗ろう。ただし、僕は必ずここに戻ってくる。その時君に渡したいものがある。それはきっと君の助けになるものだ。」

 

 

「わかりました。それまで必ず生き残ってみせます。」

 

 

二人はもう一度目を合わせる。そして、タイミングを見計らってヘスティアはキリトの腕から離れ走り始める。

そして、キリトは後方を振り返り背中の剣を抜いてシルバーバックと対峙する。

シルバーバックはやはりヘスティアに狙いを付けているためキリトの横を抜けようとするが、

 

 

「行かすかよ!」

 

 

水平方向に斬撃を繰り出す剣技。

《ホリゾンタル》を繰り出し、シルバーバックに攻撃を当てる。

やはり、ステイタスと剣の切れ味が足りないのかソードスキルでも大きなダメージは入らなかった。

しかし、奴のヘイトが自分に向かってきたので成功だ。

あとは時間を稼ぐだけ、生き残るだけだ。

こうして、倒す為ではなく生き残る為の戦いが始まった。

 

 

☆★☆★☆★☆★

 

 

 

「ホントにこっちの方なんですか?」

 

 

「ええ、そのはずよ!」

 

 

リズベットとシリカはモンスターが暴れたという最初の現場に向かっていた。

そこから、情報を集めようと考えていたのだがその現場にはロリ巨乳神ことヘスティアがいた。

 

 

「ヘスティア様!」

 

 

リズベットがヘスティアを呼ぶと向こうもすぐに気づいてくれた。

 

 

「何があったんですか?」

 

 

ヘスティアはこれまでの経緯を手短に話す。

幸い彼女達は素早く状況を理解してくれた。

 

 

「そこで頼みだが、落としてしまった剣を一緒に探してもらえないか?」

 

 

「もちろんです!」

 

 

「せっかく私が作った剣を使わずに死なれたらたまったもんじゃないわ!」

 

 

「二人とも恩にきるよ!」

 

 

ヘスティア二人の好意に心から感謝した。

そして三人は辺りを探し始めた。

が、なかなか見つからない。

確かにモンスターが暴れたせいで木材や商品なんかが散乱している。

だが、探し物は片手剣だ。

落としてからさほど時間が経っていない中で、あれほどの大きさのものが見つからないのは不自然だ。

もしかしたら、混乱に乗じて誰か持って行ったのかもしれない。

そんな不安をリズベットが感じていた。

 

 

「探し物はこれか?」

 

 

そんな時不意に声をかけられ下を向いていた顔をあげるとそこには青いコートにフードを深く被っっている者がいた。

 

 

「それよ!どこで見つけたの?」

 

 

「お前達が来る少し前にここで見つけたよ。」

 

 

「そうなんだ、ありがとう!」

 

 

こんな非常事態に剣を拾って届けてくれる人がいるのだと感心した。

しかし差し出された剣をリズベットは受け取ろうとすると、取られないようにその者は手前に引いたのだ。

 

 

「ちょっと?!あんたどういうつもり?」

 

 

リズベットが怪しげな人と話しているのに気づいたシリカは二人に近づいて話しかける。

 

 

「何があったんですか?」

 

 

「こいつが剣を見つけてくれたんだけど、どうやら渡す気がないみたいよ。」

 

 

「そ、そんなぁ…困ります!なんでもしますからどうかその剣を返してくれませんか?」

 

 

「ちょっと、シリカ!なんてこと言ってるのよ!こんな奴に何かすることなんてないわ!渡す気がないなら力づくで奪い返すだけよ!」

 

 

リズベットが片手棍を構えると、その青いコートの者は両手を前に広げ大げさに降る。

 

 

「やだなぁ、渡さないなんて一言も言ってないじゃないか。ただ、一つ条件があるんだ。」

 

 

「条件?」

 

 

「そう、これを渡す代わりに君達は彼の手助けをしてはならない。どうだい?簡単だろ?」

 

 

そんな条件、むこうにどんなメリットがあるのかさっぱりわからない。

それになぜ奴はキリトのことを知っているのか?

様々な憶測が頭に中でぐるぐると回っているが、今はこの要求に従っておいた方がよさそうだ。

 

 

「わかったわ。」

 

 

「わかっているとは思うけど、もし手助けした場合は…」

 

 

その瞬間目の前にいた奴が姿を消した。

そして、

 

 

「容赦はしない。今ので大体の力量の差はわかってくれたとは思うけどね。」

 

 

突如背後から聞こえてきた声に恐怖を感じた。

現在彼女たちのレベルは3だ。

一般的に一流冒険者と呼ばれるのもこの辺りだ。

その二人が全く目で追えなかったのだ。

一体いくつレベルを上げればこんなにも速く動けるのか。

リズベット達は奴の言葉に黙って頷くしかなかった。

 

 

「それじゃ、彼によろしくって伝えておいてよ。またね。」

 

 

言葉を終えた瞬間既に気配がなくなっていた。

 

 

 

「おーい!二人とも剣は見つかったかい?」

 

 

「え…ああ」

 

 

剣は彼女達の背後にちゃんと置かれていた。

これで、キリトに加勢することはできなくなった。

 

 

「あれ、二人ともどうしたんだい?すごい汗だよ?」

 

 

ヘスティアに指摘され、二人は初めて自分が汗をかいていることに気づいた。

たった一瞬の出来事だが、それだけ奴の殺気が凄かったのだ。

 

 

「え?いや、なんでもないですよ!」

 

 

「そ、そうです!それより早くキリトさんを助けに行きましょう!」

 

 

「ん?そうかい?なら、急ごう!」

 

 

あいつは一体何者なのか?

もしかしたらどこかであっているのではないか?

そんなことをリズベットは考えながらもヘスティアとシリカとともにキリトが戦っている市街地に向かった。

 

 


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