ソードアート・オラトリオ   作:スバルック

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一週間に1話はあげたかったのに、ゲームに勤しんでしまって遅れてしまった。
春休み恐るべし!

こういうのって何か宿題がある時の方が捗るんだよね〜
不思議なことに。

2週間後にはロスト・ソングも出ますし、どんどんペースが落ちると思いきやダンマチのアニメが4月から来るので触発されて書きたくなる!(なるはず!)

これからもどうぞ応援してよろしくお願いします!
感想も待ってますm(_ _)m


第9話

今日はモンスターフィリアの日だ。

いつもより通りも賑わっているようだ。

俺は今日はどうしようか?

 

 

「にゃ?お前は!」

 

 

キリトが悩みながら道を歩いていると、いつの間にか『豊穣の女主人』の前まで来ていたらしい。

そこで猫の獣人であるウエイトレスに指を刺された。

 

 

「えっと…なにか?」

 

 

キリトが恐る恐る尋ねると、

 

 

「ちょうどよかったにゃ!シルがモンスターフィリア祭に出かけたんにゃけど、財布を忘れたのにゃ。そこでお前に財布を届けて欲しいにゃ!」

 

 

普段からお弁当を貰っている身としてこの願いは無下には出来ない。

それに、祭にも興味があり、今日はダンジョンにこもるのは休めという神からのお告げだと思い、獣人のウエイトレスからシルの財布を預かった。

 

 

「頼んだにゃ!」

 

 

「わかりました。しっかり届けます。」

 

 

キリトは向かう足の方向をダンジョンから、祭の会場に向けなおして小走りに移動を始めた。

 

 

折角だ、シリカのテイムも見てみようかな?

 

 

★☆★★☆

 

ここはとある通りの喫茶店。

そこに黒いフードを被った女性、もとい女神がいた。

 

 

「待たせたな。」

 

 

そこに来たのはアイズを連れたロキだった。

彼女はフレイヤをこに店に呼んでいたのだ。

 

 

「ふふ、そうでもないわ。今日は『剣姫』も一緒なのね。会えて光栄だわ。」

 

 

挨拶されたアイズは軽く会釈をして、ロキの後ろに立つ。

ロキはフレイヤの向かいの席に座ってからフレイヤがロキに尋ねる。

 

 

「それで何の用かしら?」

 

 

「お前、何企んでるんや?」

 

 

「なんのことかしら?」

 

 

「とぼけんなや!お前が何にも企みなしに神の宴なんかに出るわけないやろ?」

 

 

「…ふふ。伊達に長年付き合いをしているわけではないわね。そうよ、一人気になる子がいるわ。」

 

 

「どこのファミリアのもんや?」

 

 

「まだ弱いわ。でも、弱さの中に隠れる強さを私は感じている。あの純なる黒の奥には純白の輝きを放っている。それは打てば打つほど輝きを増していく。」

 

 

フレイヤがこれほどすんなり認めたことにも驚いてはいたが、これほど男に対して評価の言葉にしたことにロキは驚いていた。

それほど子とは一体どこのファミリアなのか。

 

 

「彼を見つけたのは本当に偶然だったわ。そういえば、あの日もこうしてカフェの窓から…」

 

 

話していたフレイヤの口が突然止まり、窓の方をジッと目つめていた。

ロキはその視線の先を追って見ると、そこには黒髪のヒューマンが走っていた。

もしや、あれがフレイヤの…

 

 

「急用を思い出したわ。これで失礼させてもらうわよ。」

 

 

そう口にして、フレイヤは店を後にした。

聞きたいことも聞けたし、どんな子かも遠目だが見ることができた。収穫はあっただろう。

それにこれからアイズとのデートがあると考えロキも店を出ようとアイズを促そうとすると、アイズもまた窓の外を眺めているのだ。

 

 

「ア、アイズたん?どうしたんや一体?」

 

 

「え…なんでもないです。」

 

 

「そうか?ならええんやけど…」

 

 

どうにも腑に落ちないがそれよりもこれからのデートが大事。

そう考えて、ロキはアイズの手を取り店を後にした。

 

★☆★☆★☆

 

小さな身体によって大きく見える白い包みを持つロリ巨乳娘、ヘスティア。

見た目では分かりづらいが、天界の神である。

神は普段は抑えているが、少なからず神気というものを発しているのでその存在が神であることを認識することが出来る。

彼女が持つ白い包みに入っている黒紫の剣を一刻も早く手渡したく、普段では通らないような路地裏を通っていく。

 

 

(ふふふ!これをあげれば、キリトくんとの仲も急接近しちゃって、もしかしたら…グフフ♪)

 

側から見たら気味の悪い笑みを浮かべながら、路地裏をすすんでいくとフードを深く被った人物とぶつかってしまった。

よく見ると、

 

 

「フレイヤじゃないか?!こんところで会うなんて奇遇だね!」

 

 

「ごきげんようヘスティア、大きな通りだとなかなか前に進めないのよ。」

 

 

美し過ぎるフレイヤの美貌はこうやってフードで顔を隠して、路地裏などを通らないとたちまち男の人だかりが出来てしまうのだ。

そのことを思い立ったヘスティアは少し想像してゲンナリする。

 

 

「美の神も大変なんだね…。あ、そうだ!僕のファミリアの子見なかったかな?真っ黒な髪に目をして、かわいい感じの顔立ちなんだけど?」

 

 

「………」

 

 

フレイヤは左手を右手ににひじに手をかけ、右手で頰をあてると少し考えているような雰囲気を出す。

少しの間があって、先ほどの問いに答える。

 

 

「…そういえば、見たかもしれないわ。」

 

 

「ホントかい?!どっちに行ったかわかるかな?」

 

 

「多分モンスターフィリア祭の会場の方だったかしら?今ならまだ間に合うんじゃないんかしら?」

 

 

「ありがとうフレイヤ!それでは失礼するよ!」

 

 

ヘスティアは大きく手を振って大きな通りに出るために走り出す。

それを後ろからヒラヒラと手を振りながら薄っすらと口角を釣り上げる。

 

 

★☆★☆★☆

 

大きな通りに出たヘスティアは馬車で送ってもらい、気前よくチップをあげて料金を払うと辺りを見回しながら歩く。

そこには見慣れた後ろ姿を見つけた。

ヘスティアはゆっくり背後に忍び寄り、背中に飛びつく。

 

 

「うお!な、なんだ?」

 

 

「ははは!どうだいびっくりしたかい?」

 

 

「その声はもしかして神様ですか?!」

 

 

驚いたキリトは後ろを振り向く。

そこには満面の笑みを見せているヘスティアがいた。

 

 

「どうだい驚いたかい?」

 

 

「それはもう、驚きましたよ。それで、神様は何をしていたんですか?」

 

 

「ん?気になるかい?」

 

 

「3日も家を空ければ心配にもなりますよ。」

 

 

(キ、キリト君が心配してくれてる!こ、これは今がチャンスじゃないのか?今、この剣を彼に…)

 

 

ここまで考えたヘスティアはキリトに全てを教えようとした。

だが、寸前のところで思いとどまった。

 

 

「ふふふ!内緒だよ〜♪また後でゆっくり話してあげる。それより、今はこのモンスターフィリアという催しを一緒に楽しもう!」

 

 

ヘスティアはキリトの手を繋いで歩き出す。

 

 

「か、神様!ちょっと?!」

 

 

そうだ。

今ここで剣を渡してしまっては、ダンジョンに行って試したいなんて彼は言いかねない。

ここまで来るのにそれなりに頑張ったのだし、これくらいのご褒美あってもいいよね?

ヘスティアはそう考え、これから始まるデートに心を踊らせるのだった。

 

 

「あの、神様?実は俺頼みごとを受けていて、人探しをしているんです。」

 

 

「そうか。それなら、店を回りながら探せばいいんじゃないかな?うん、それが一番だよ!」

 

 

 

この調子だと神様に付き合わないと機嫌を損ねてしまうだろう。

シルさんごめん。と、心に中で合唱をして、どうせなら楽しもうと心を切り替える。

 

 

「はい、アーん!」

 

 

いつに間に買ったのか、ヘスティアの手にはクレープがあった。

それをキリトに差し出す。

 

 

「うえ、あ、アーん?」

 

 

「おいしい?」

 

 

「はい、おいしいです。ちょっと待ってくださいね。」

 

 

キリトも売店に並んで、ヘスティアとは違う味のクレープ買ってくるとさっきと同じことをヘスティアにする。

 

 

「うーん!おいしい!色んな意味で!」

 

 

「へ?どういう意味です?」

 

 

 

この後もしばらく売店巡りは続いた。

 

 

★☆★☆★☆★

 

 

「よっ!シリカ久しぶり!」

 

 

「あれ?リズさん!どうしたんですか急に?」

 

 

ここはモンスターフィリアに参加する【ガネーシャ・ファミリア】の女性控え室。

リズベットはシリカとの親交があるため、ガネーシャ・ファミリアの女性メンバーとも顔見知りでこうして控え室に挨拶に来る程度は許可をもらえれば可能なのだ。

 

 

「あんたに耳寄りな情報があるのよ。」

 

リズベットは気持ち悪い笑みを見せる。

こういう時の彼女にいい思い出がないシリカはジト目で身構える。

 

 

「へー…。一体なんです?」

 

 

「今オラリオにキリトが来てるのよ!」

 

 

それを聞いたシリカは鳩が豆鉄砲を食ったように固まった。

口をパクパクさせながら、なんとか声を出す。

 

 

「ほ、ホントですか?!キリトさんがこのオラリオに?!今どこに?!リズさんはもうあったんですか?!」

 

 

「ちょっと、落ち着きなさいよ!」

 

 

興奮状態のシリカをなだめる。

そして、一回咳払いをして仕切り直す。

 

 

「私も実は直接はまだ会ってないのよ。ただ、この前あいつのファミリアの神様がうちのファミリアに来てね。武器を作って欲しいって頼みに来た時知ったのよ。」

 

 

「そうなんですか…」

 

 

「なに?やっぱり会いたい?愛しのキ・リ・トに?」

 

 

「べ、別に愛しの人とかじゃないですよ!」

 

 

顔を真っ赤にして否定するシリカ。

これを見るのがリズベットの密かな楽しみである。

 

 

「あらら、顔真っ赤にして〜!もしかしたら、今日のモンスターフィリア見に来るかもね〜♪」

 

 

「もう!からかわないで下さい!」

 

 

シリカは頰膨らませてそっぽ向く。

リズベットは両手を頰に当てて、顔を正面に向かせる。

 

 

「ごめんごめん!そんな拗ねないでよ!今日はその報告抜きで応援にも来たんだからさ!」

 

 

「うーん、うん。」

 

 

どうにも憎めないリズベットのこの性格。

いつもこうして流されてしまうのを何度もやめようと決意するのだが、うまくいかない。

 

 

「今度、シノンとユウキも誘って食事にでも行こうか!積もる話もあるだろうしね!それじゃあ、今日頑張ってね!」

 

 

そう言い残して、リズベットは控え室を後にした。

 

 

「キリトさん…戻ってきたんだ!」

 

 

手を胸に当てて、昔を思い出す。

いつかまたお話できることを夢見て、今日の催しの準備に取り掛かるのだった。


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