ゴジラvsモゲラ   作:サイレント・レイ

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 すみません! ゴジラを出すと予告しましたが余計な事をし過ぎて登場が次回か最悪次々回になります。

 ああ! 石は止めて!!
 撃たないで!!



第3話 集結、伊浜原発

――― ???? ―――

 

 

 桜が千冬が鬼岩島から伊浜原発への移動中、とある場所の会議室に人々が集まっていた。

 

「…皆さん、お呼び出しして申し訳ありません」

 

 開始早々に司会進行役が全員に頭を下げた。

 

「…一体何があったんだ?」

 

「先程、西太平洋の鬼岩島でゲソラの遺体が発見されたとの報告が情報部から届きました」

 

「ゲソラァ~…?」

 

「何でデカいだけの烏賊の怪獣で呼び出されればならないんだ!」

 

「問題なのは、そのゲソラの火傷に放射能が付着していたのです。

そしてその放射能の種類は格兵器に頻繁に使われる物であったのです。

しかもあの白騎士事件で誤使用された核弾頭の一つも発見されています」

 

「……うん!?」

 

「どうしました、博士?」

 

 ゲソラと核弾頭の話から博士と呼ばれた一人が反応し、他の者達もその人物に注目した。

 

「…それでゲソラに付着していた放射能は核兵器に使われる物で間違いないのだな?」

 

「はい! 更にゲソラの状態に加えて、鬼岩島に残された足跡も博士の思うモノと大方一致していました。

高い確率であの怪獣だと思われます」

 

 どうやら彼等はゲソラ(と全く注目されていない福音)を倒した者を自衛隊に先んじて分かった様だった。

 

「……遂に目覚めたのか…恐るべき怪獣の王が…」

 

「貴方の言う通り、やはりあの怪獣が完全復活したみたいですね」

 

「はい、私は元々白騎士事件の核弾頭が全て破壊されて中身が奪われた事から奴の存在を疑っていました」

 

 実は日本以下の環太平洋国家は白騎士事件の核弾頭は回収不可だった為、中身の放射能が奪われていたのを先程知ったが、彼等はその事を既に知っていると言う恐るべき情報網を有していた。

 

「それにエビラやマンダに咥えて、今回のゲソラから奴の存在に確証を得られました」

 

「…で博士、単刀直入に御尋ねします。

奴は日本を襲うと思いますか?」

 

「来ます。 奴は間違いなく、自分の縄張りへ戻る筈です」

 

「では、東京が襲われると?

だとしたら邦人に避難指示を出さないと…」

 

「いえ、その前に核エネルギーの補充をしに行くでしょう」

 

 東京襲撃の危惧を博士は迷わず否定いた。

 

「と言いますと、奴は原発を…」

 

「はい、恐らく関東圏最大規模の伊浜原発を襲う筈です。

幸か不幸か、米中露の三国の原潜は近くにいないみたいですし」

 

 博士の言葉に全員が夫々に騒ぎ出していた。

 

「…それで奴はどれくらいで伊浜原発に現れる?」

 

「何事も無ければ零時前後には…」

 

「……今から行けば、まだ間に合うな」

 

 到着時刻を聞いた博士は、腕時計で時間を確認して立ち上がった。

 

「博士どちらへ!?」

 

「日本に戻ります。

在日米軍への連絡と高速軍用機を一機御借りします」

 

「…奴を見に行くのですね?」

 

「はい」

 

 博士の要望を聞いた最高責任者と思える人物は少し思案していた。

 

「…分かりました。

米国には私から言っておきましょう」

 

「ありがとうございます」

 

 最高責任者に博士は頭を下げた。

 

「貴方方にはつくづく感謝します。

今回だけでなく故郷を追われた亡き祖父達を優遇してくれたのですから」

 

「いえいえ、我々モナーク(MONARCH)は貴方の祖父・山根恭平博士にふさわしいモノを提供しただけです」

 

「しかし、当時の日本は惜しい事をしましたね。

あの様な御仁を事実上の国外追放処分をしたのですから…」

 

「祖国日本の事を余り悪く言わないで下さい。

当時冷戦下であった日本は国防の為に祖父を人柱にするしかなかったのです」

 

 山根恭平に対する扱いの事が日本の悪口に聞こえたのか、博士は修正を求めた。

 

「此所までにして機体の用意が出来たようです。

御急ぎ下さい」

 

「分かりました……私は此にて失礼します」

 

 博士はモナークの面々を見渡した後、頭を下げて急ぎ退室した。

 

「……旅の御無事をお祈りします、山根猪四郎博士…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――― 伊浜原発 ―――

 

 

「…部隊長達が御待ちです!

二佐の指揮下に入る事を光栄に思っています!」

 

 静岡と神奈川の県境の山々に囲まれた盆地に位置する伊浜岡原子力発電所に、鬼岩島から桜と千冬を乗せたヘリがヘリポートに着地したら、降り立った彼女達を敬礼しながら出迎えた士官に桜が答礼した。

 

「…原発や周辺住民の避難はどうなっている?」

 

「警察の協力もあって全員避難しています。

原発は必要最小限の職員を残して避難しています」

 

「最小限って、まさか停止要請が出ていないのか!?」

 

 真っ先に避難状態を確認した桜だが、危機が迫っているのに原発がまだ動いている事に千冬と揃って驚いた。

 

「勿論、要請は出しましたが、IS学園が反対した性で却下されたのです」

 

 桜が千冬に振り向いて睨んだが、当の千冬は広げた両手を肩の高さまで上げて苦笑した。

 

「……案内をしてくれ」

 

 千冬に言っても仕方が無いと思った桜は溜め息を吐いて移動を始めた。

 

「…っ! 織斑先生!」

 

「…山田先生」

 

 その途中に摩耶と一年生達の集合場所の前に来たのだが、千冬は桜との打ち合わせに夢中で気づかずに通り過ぎようとしたが、摩耶が呼び止めたので二人揃って気づいた。

 

「チョット待っていてくれ」

 

「…は!!」

 

 桜も案内役の士官に待機を命じて千冬に続いた。

 

「「…っ!! 桜さん!」」

 

 一年生達も千冬に気付いて振り向き、更にその千冬の背後の桜にも気付いた一夏と箒は彼女の存在に驚いていた。

 只、当の桜は一夏と箒に無表情で目線を一瞬向けるだけだった。

 

「…織斑先生、そちらの方は?」

 

「ああ、コイツは…」

 

「此所の部隊の指揮を取る大神桜だ。

全員集まっているみたいなので言うが、諸君等には規定に基づいて千冬達共々私の指揮下に入って貰う」

 

 千冬を差し置いての桜の自己紹介次いでの宣言に一夏と箒以外の学生達が一斉にブーイングした。

 

「御待ち下さい。 何故貴女の様な方に私イギリス代表のセシリア・オルコットが指揮下に入らないといけないのですか?

せめて織斑先生の指揮下にしてくれませんか?」

 

 元々IS中心の男卑女尊の社会とは言え、横暴な女性が多い上に此のセシリアみたいな若いIS持ちは唯我独尊傾向が強く、自分達IS持ち以外の人種の言う事に屁理屈を捏ねて中々言う事を聞かない傾向があった。

 現に千冬が溜め息を吐いて、摩耶と背後の士官が頭を押さえている中、セシリアに殆どの生徒が賛同していた。

 なにせ、現役軍人であるラウラでさえ桜を不信がって千冬に目線を向けていた。

 だが当の桜は不敵に微笑して…

 

「…だったら納得させるまでだ。

前に出ろ」

 

「…っ! 桜!!」

「「…っ! 桜さん!!」」

 

…よりにもよって、そのセシリアを指定した。

 そして桜の行為に千冬と一夏に箒が驚いている中、セシリアは言われた通りに胸を張って前に出た。

 

「…でどうすれば良いのですか?」

 

「簡単明瞭、手段を問わず十秒以内に私に一太刀浴びせるだけだ」

 

 桜のとんでもない言葉にセシリア達はキョトンとした後、一斉に笑い出した。

 

「…本当にそんな事でよろしいのですか?」

 

「早くしろ、十秒も惜しい」

 

 

 セシリアは相変わらず笑っていたが、既に桜は戦闘態勢に入っていた。

 そんな桜に一夏と箒が表情を引き吊り、千冬が溜め息を吐いたら審判役として出て来た。

 そしてセシリアが自身のIS・ブルーティアーズを展開し…

 

「…始め!!」

 

…千冬が携帯の時計を確認しながら手を叩いて開始を合図した。

 そしてセシリアは直ぐビームライフル・スターライトMK-Ⅲを展開して桜へ構え…

 

「ふふ……!?」

 

…笑みを浮かべながら引き金を引いたが、何も反応しなかった。

 

「…そこまで!!

勝者、桜!!」

 

 セシリアは驚き戸惑いながら引き金を何度も引いたが、やはり反応せずその間に千冬が時間が来たのを知らせた。

 

「…千冬、若いってのは良いね」

 

 セシリアはスターライトMk-Ⅲに起きた事が分からず戸惑っていたが、何故か、汗だくの桜は無視して千冬に振り向いた。

 

「…若い時はなんでも出来ると思える。

だが、その為に敵と己の実力を計ろうとしない」

 

「ああ、そうだな」

 

「……!?」

 

 千冬が桜に返した直後、スターライトMk-Ⅲの砲身が落ちた。

 

「約束通り、私の指示に従って貰うぞ!」

 

 勝利宣言をした桜は背後に振り向きながら右手の刀を鞘に納めて司令部に向った。

 

「……何時の間に抜いていたのですか?」

 

 セシリアだけでなく生徒達は生身当然の身で勝った桜の実力に驚いて呆然としていた。

 

「…無理をするな」

 

 只、桜はセシリア達に何かを気付かれない様にしていたが、桜に続いた千冬が寄り掛かって彼女を気遣っていた。

 

「…セシリア、大丈夫か?」

 

 それと同時にセシリアに箒達が駆け寄っていた。

 

「篠乃之さん、あの人は一体何をしたのですか?」

 

「居合いだ。 桜さんは高速の抜刀術でお前の銃を叩き切ったんだ。

それもシールドが発動する前にだ」

 

「切ったってアイツとセシリアとは結構距離があったよ!」

 

 箒が桜の所行を伝えたが、鈴音(彼女だけではないが)が信じられずに反論した。

 

「あの人の抜刀術は生身でも音速以上のものだ。

全盛期のベストコンディション時には200m先の標的を剣圧だけで切った事があるんだ」

 

「詰まりアイツはバリア無効の『零式白夜』の200m級のを音速以上で振り回したって事か」

 

 一夏(と千冬)のを使ったラウラの例えに箒と一夏は揃って頷いた。

 

「セシリア、桜さんが本気だったら首が胴から切り離されていたぞ」

 

 一夏の指摘にセシリアが顔面蒼白で首を押さえ、誰もが桜にゾッとしていた。

 

「一夏、あの人は一体何者なの?」

 

「桜さんは箒の後見人で、千冬姉と束さんの親友でもある古典剣術・北辰一刀流の免許皆伝者だよ」

 

「北辰一刀流って確か坂本龍馬や沖田総二が習っていたって言うアレだよね?」

 

 シャルロットに一夏は頷いた。

 

「だから桜さんはIS世界大会で千冬姉の唯一スパーリングパートナーを勤めれた唯一の人物でもあるんだよ」

 

「て事は剣術は教官と同等の実力者か」

 

 ラウラが桜を千冬と比較したが…

 

「いや、下手したら千冬さんより強い」

 

…それを箒が否定した。

 

「根拠の無い噂だがIS装着時には亜光速の斬撃を出した事があるらしい」

 

「……亜光速って金色の闘士じゃないですか…」

 

 箒の言葉にセシリアが冗談を言ったが全員驚き過ぎて黙っていた。

 

「…箒、あの人もIS持ちなの?」

 

「ああ、世界唯一の零世代機・夢幻の持ち主だったよ。

今は夢幻はもう持っていないけどな」

 

「夢幻!? じゃあ、あの人が!?」

 

 “夢幻”の名からシャルロットが何かに気づいた。

 

「そう、あの人こそが大神桜こと瞬神桜……世界で初めてISを纏った女性だよ」

 

 世界初のIS装着者と言う桜の伝説級の前歴に誰もが驚いていた。

 

「言っとくけど、桜さんに姉さんやISの話はするなよ。

あの人は姉さんやISを嫌っているから」

 

「嫌ってる? 何だ?」

 

 ラウラの疑問に一夏と箒は目線を背けて答えようとしなかった。

 




 感想・御意見お待ちしています。

 分かってはいると思いますが、山根猪四郎は“GODZILLAゴジラ”の渡辺謙が演じた芹沢猪四郎博士を元にしています。

 それと桜の抜刀術は場面は“鋼の錬金術師”から、数値は“聖闘士星矢”を元にしています。

 次回余計な者が、運が良かったらゴジラと一緒に出ます。
 余計な者のヒントは“海”と“ラウラ”です。

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