恋姫†無双~DQNッ☆キチ○イだらけの三国志演義~ 作:gtu
黄巾党の捕虜の拷問と言う名の処刑が終わり、長可と勝成は桃香達の元に戻った
その後、すぐに全軍に帰還命令が出され、公孫賛の居城に帰還した
そして、帰還後すぐに論功行賞が行われ、正式に桃香達が客将として認められ、更に、戦功第一の褒美として、長可の降伏した黄巾党員の処罰の決定権を与えられたことが発表された
その後、桃香達を残した全員が謁見の間から退室した
「ふぅ…取り敢えずは一段落だな…ありがとう森…それに桃香、お前達が包囲をしてくれたお陰で追撃をする手間が省けた」
「そんな…包囲したのは水野さんのお陰だよ…」
「いえいえ…私は策を申したまで…ご英断されたのは桃香殿ですよ」
(…水野と森…こいつら何者だ…?戦での森の一騎当千の槍働きに水野の用兵術…北郷が戦慣れしている言っていたが戦慣れし過ぎと言ってもいいくらいだ…敵に回ったら厄介だが…)
公孫賛は勝成と長可の戦働きを評価する一方で勝成と長可を警戒強める形になった
「まぁ、皆怪我無く無事に帰れて良かったよ…」
「ですな…」
「…まったくだよ…ところで、話は変わるが水野と森…お前ら何者だ?…戦場での働き、とてもその辺の在野の将とは思えんのだが」
公孫賛は意を決したような顔つきで勝成と長可に質問をした
「…そういえば、最初に会ったとき日向がどうとか武蔵がどうとか言ってましたよね?」
桃香は思い出したような口調で言った
「日向守、武蔵守という我々の住んでいた国の官位です…まぁ漢に例えるのなら、太守と言ったところですかね」
「なに!!本当か!…ただ者ではないとは思っていたが他国で太守の役職を勤めるほどとはな…しかし、その様な者がなぜ桃香の元にいるんだ?」
「それはですね…我々の国は徳川に天下が統一されまして、平和なのは良かったのですが暇で仕方がなくなりまして、他の者にその役職を譲り、流浪の旅に森殿と共に出かけたのです…ねぇ森殿」
「まぁな…」
その場しのぎの適当な話を作り、勝成は長可に同意を求めた
(…嘘だな…だが、森に関しては救ってくれたのだから敵ではないだろうし、水野も桃香が信頼しているようだから大丈夫か…?)
「そうか…わかった…ところでお前らはこれからどう行動するつもりだ?」
これ以上勝成に対して質問をしても満足のいく答えが帰って来ないと判断した公孫賛は、桃香に話を振った
「取り敢えず兵の調練が終わったら
各地で黄巾党と義勇軍を再編して戦おうって思っているんだけど…
森さん!捕虜の調練ってどのくらいでおわりそう?」
「あぁん…まぁ、半月もありゃ、ここにいる雑魚連中よりも強くしてやるよ」
「雑魚なんて言ったら駄目だよ森さん!ごめんね白蓮ちゃん…森さんは照れ屋さんだから」
照れ屋さん…?なるほど今まで理不尽に殺されてきた連中は照れ隠しだったのか(驚愕)
「気にするな桃香!私も森の憎まれ口には慣れてきたしな!…しかし、半月か…分かったそれまでの間に私に手伝えることがあるなら遠慮なく言ってくれ」
「白蓮ちゃん…ありがとう!!…みんな何か頼み事とかある?」
「でしたら公孫賛さん…募兵の許可と兵糧をお願いします」
現在劉備軍は全てにおいて足りていないが、一番足りてないのが兵力と兵糧であった
そのため、朱里はこれらを要求した
「もちろん分かっている!私の領内であれば、好きなだけ募兵してくれ!…兵糧についても1000の兵が一月は持つ位はくれてやる!」
「本当ですか!!?」
現在いる捕虜が全員劉備達の兵になったとしても二月は持つ
公孫賛にとってはかなりの出費となるはずである
それだけの出費を簡単に出すと言われる桃香の仁徳を朱里は改めて感じた
「そんなに貰ったら悪いよ…」
「ははは!遠慮するなといっただろ!どうしても悪いと思うなら出世払いで良いぞ!」
「うん!絶対に白蓮ちゃんに恩返しするからね!」
「はは、期待せずに待ってるよ!」
「もぅ!白蓮ちゃん!」
ハハハハハハ………
こうして桃香と公孫賛はこうして旧友を深めた
そして、幾日が経ち、長可は、山奥で黄巾党の捕虜達を調練していた
調練はかなりハードであるが、死人も出ず、捕虜達も必死に食らいつき、何とか脱走するものも出ず、辛いが充実した日々を過ごしていた
「…よし!今日はここまでだ!帰えんぞ!!」
ヨッシャー! ヤットオワッター!
長可が調練の終わりを告げると捕虜は喜びを露にして、素早く帰り仕度を済ませた
長可達がいる山は、公孫賛の拠点までかなりの距離がある
なので、山の麓にある村に協力を仰ぎ、何名かを町に住む住人の家に居候させていた
普通なら嫌がるだろうが村には、優しく、面倒見が良い人が多く、嫌がるどころか逆に捕虜達の受け入れたいという人で一杯であった
このような村であるため、捕虜達が町を好きになるのに時間はかからなかった
中には、泊まった家の娘と恋人になるものもいた
日々を暴力で過ごしていた黄巾党の時とは違い、護るための力を捕虜達は確実に付けていった
そうして、捕虜達は半月が経つ頃には協調し、どの様な命令に即応出来る兵に成長していった
「…おし!!おめぇらこれで調練は終いだ!!!公孫賛のやろーの拠点に戻んぞ!」
「「「「はい!ありがとうございました!」」」」
そして、調練が終わると山から下り世話になった村の前までくると長可は全軍を停止させた
兵達はこれを村に最後別れのに挨拶をさせてもらえると考えた
だが…
「お前らに試験を出してやる!」
そう言うと長可は槍を村に向け邪悪な笑みで口にした
「この村から兵糧強奪していくぞ!!」
―兵達に動揺が走った
「……は、はは…じ、冗談ですよね…」
「あぁぁん!?冗談だと思うか!!?」
「こ、公孫賛殿の領地に攻撃するのは下策ではないですか!!」
「あぁん!!?んなもんバレなきゃ良いだけの話だろーがよ!!てきとーに山賊の仕業にでもしとけばいいんだしな!!」
「我々は義勇軍です!理由もなく何の罪も無い村に攻撃を加える訳には行かないでしょう!!」
「理由だ!!?さっきいっただろうが兵糧奪うんだよ!
つーかおめぇらの生殺与奪は俺にあんだぞ!!!分かったらとっととぶち殺しにいくぞ!!」
「ぐっ……」
この言葉で兵達はようやく静かになり、皆体を震えさせながら頷いた
今日で、調練をしに来ている義勇軍の人達は拠点に戻るということなので村では総出で見送りの準備に勤しんでいた
夜になる前には見送りの準備も終わり、兵達が村に戻ってくるのを待つだけの状態であった
そして、夜になり、長可を先頭に村に戻ってきたのを村の村長はいの一番に駆け寄った
「森殿!今日でお帰りになられるとのこと!我等一同で細やかではありますが宴の準備をしました!」
「宴か…悪くねぇな!」
「ええ!!ご用意出来るものならば何でもおっしゃって下され!」
「何でも…か…ならひとつだけ頼もうかな」
そう言うと長可は村長の肩に左手を乗せた
「はい!なんで…ご…ざ……」
グシュ…………!
肉が抉れる音が周囲に響き渡った
音のなった場所には背中から槍が突き刺さっている村長がおり、槍を辿っていくと村長をさして、悪魔のような笑みを浮かべる長可の姿があった
「…な、な…ぜ………で…」
ザシュ…………!
村長の首が空中高く飛び、村人達の目の前に落ちた
「う、うわぁぁぁぁぁ!!!!!!」
それを見た村人達は叫びながら蜘蛛の子を散らすように逃げ出した
「よーし!!おめぇら!楽しい宴の始まりだぜぇ!!!!」
長可は逃げ惑う村人達を見て、愛槍である人間無骨を振り回して、嬉しそうに兵達に告げた
村娘である綾は逃げながらある人物を探していた
半年の間に恋人となった兵士である劉辟という人物をである
周りでは昨日まで家族のように一緒に暮らしていた兵達が村人達を殺し、犯していく
そんな中でも自分が愛した劉辟だけは助けてくれると信じていた
「はぁはぁはぁ……」
しかし、逃げるにも体力と精神は限界に達しており、それが隠れて、劉辟が来るのを待つという選択肢を選ばせた
小屋の中で息を潜めながら劉辟と初めて会った時のことを思い返していた
半年前…兵達が家に来ると決まったとき、綾だけは家族の中で反対をしていた
しかし、両親と妹の賛成で兵達を迎えることになったが他の家には5~6人泊まっているなか反対している綾がいるということで一人だけということで話し合いは一先ず終わった
その一人が劉辟であった
劉辟が来る当日、どうしても元黄巾党というのが信用できず、どこまで本性を隠せるか劉辟にわざとらしく嫌味を言ったり、両親と妹の視角で小突いたりといった嫌がらせをした
しかし、劉辟はどんな嫌がらせを受けても文句一つ言わず、調練で疲れている中、真面目に家事や雑用を手伝っていた
それが綾にとっては家族が取られていっている様に思えた
それで更に嫌がらせをしてやろうと毒草を手に入れるため山に登った
山に登った綾だが、崖に生えていた毒草を採ろうとした際に、足を踏み外し、崖から転落しそうになるのを腕だけで崖の岩にしがみつき、大声で助けを呼んだ
しかし、何の反応もなく、次第に
腕の力も弱まっていく
いよいよ、死を覚悟し、岩から手が離れた瞬間、何かが綾の手を掴んだ
上を見るとあれだけ嫌がらせをした劉辟が今までに見たことの無いほど必死の形相で綾の手を掴んでいた
そして、一気に綾を腕一本で引き上げた
その後、二人は暫し放心状態になったが今までの罪悪感にかられた綾の方からこれまでの嫌がらせのことの謝罪と家族が取られるかもと思ったこと等を正直に話した
すると、劉辟は自分の生い立ちについて話してくれた
親に捨てられ孤児として、愛情というものを知らずに育ったこと
黄巾党に入らなければ餓死していたこと
今見ている家族がとても眩しく見えて、自分の犯した罪に押し潰されそうになること
綾には家族という居場所があったが、劉辟には元々それすら無いという事を知り、自分が劉辟の居場所になってあげたいと思うようになっていった
そうして二人は恋人同士になっていった
…………ヤ……綾………
遠くで聞こえる声にいつしか寝てしまっていた綾は目を覚ました
「綾ー!!!どこだー!!」
紛れもない劉辟の声に綾は安堵し
、隠れていた小屋の扉を開ける
「ここよ!りゅうへ……」
扉を開けると目の前には、血だらけで、綾の両親と妹の首、それに他何名かの首を腰にぶら下げた劉辟の姿があった
「あー!いたー!そんなとこに隠れてたのかよー!誰かに殺られたのかと思ったじゃないか!」
普段と変わらない口調で綾に近づいてくる劉辟に綾は硬直してしまう
「…な、なんでよぉ……」
涙を流しながら、絞り出すように綾は劉辟に聞いた
「ん?なんでかって?いやさー…うちの大将がね!せっかく宴なんだから余興をやろうってことになってさ…今まで世話になった人達の首を一番多く持っていった奴をこの隊の副官にしてくれるってことになったんだ!分かったかな?」
綾は劉辟が何を言っているのか分からなかった
というより分かりたくなかった
「そんじゃ!早速で悪いけど死んでくれ!綾でたぶん最後だからさ!」
そう言うと劉辟は手に持っていた
剣を構える
「自分がやった罪に押し潰されそうだって……」
「うん!押し潰されそうだよ!でも殺っちゃた事は仕方ないじゃないか!反省はしても後悔はしないように人生は生きないとさ!」
「い…いや…助けてぇ…」
「だーめ!我が儘言うなよな!妹ちゃんだってほら!こんな姿になったんだからさ!ねぇ妹ちゃん!」
そう言うと劉辟は腰に掛けていた妹の首を綾に近づけ、声を高くして、妹に似せた口調で言った
「そうだよー!お姉ちゃんも一緒に首だけになろうよー!体が軽くなるよー!ほら」
そう言うと劉辟は両親と妹の首を手に持ちお手玉の様にあそびだした
「…あ…あぁ……ああああああああああ!!!!」
両親と妹の首を遊ばれた綾は壊れたように劉辟に突っ込んだ
ドン…!!
ドシュ……!
「いってー!いきなり突っ込んでくんなよ!びっくりすんじゃん!」
綾は劉辟に突っ込み押し倒したが剣を首に突き刺された
血を吹き出し絶命しているであろう綾に劉辟は近づき、首を刈り取ると両手で綾の目を見た
「綾…この半年間楽しかったよ!君の事は忘れないよ…」
そう言うと劉辟は綾の首を大事に抱えて立ち上がり長可の元へと帰っていった
「んじゃ!結果発表だ!こんなかで一番多く首を持ってきたのは……………」
村の全滅を確認した長可は、余興の結果を皆を集めてやりだした
「劉辟!!おめぇだ!!!」
「やったー!!!」
イイナー…オメデト-
副官に決まった劉辟に皆祝いの言葉を告げた
「つーかおめぇら最初ヒビってんのかと思ったぜ!!肩まで震えさせやがって!!」
「なにいってるんっすか大将!俺ら元々黄巾党ですぜ!体震えてたのは嬉しくてっすよ!なぁ皆!」
「あたりめーでしょ!元黄巾党を舐めんでくだせぇ!」
「ヒャハハハハ!!!悪りぃな!!おめぇらが予想以上に優秀だったからよ!!…じゃあ奪えるもん奪い取ったら火ぃ着けて帰んぞ!」
「「「「はい!!!大将!!!」」」」
こうして長可は自分の手駒となる兵を500手に入れた