一年戦争異録   作:半次郎

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 前回の後書き(次回予告)があんな感じだったので、今回が軽い感じの話だと思われた方、ごめんなさい。

 今回は、はっきり言って重い話だと思います。




第12話 追うモノ、逃げる者

 都市が燃えている。

 街の至るところで、黎明の薄明を圧するように燃え盛る炎に照らし出された廃墟。

 倒壊した建物を縫うように徘徊する巨人。

 

 地球の外周に位置するラグランジュポイントに建設されたスペースコロニー群の中で、地球から最も離れたサイド3を拠点とするジオン公国。

 地球にあってスペースコロニーをも統治する地球連邦政府に対して独立戦争を仕掛け、巨大汎用人型兵器〈モビルスーツ〉をもって、多くのスペースコロニーと連邦宇宙艦隊を、無数に浮揚するスペースデブリの一部と化し、さらに戦火を地球に拡大させている。

 

 ユーラシア大陸、中央アジアに()()()、人口数千人程度の名も知られぬ小都市。

 地球連邦軍の小拠点からほど近いこの都市に、拠点を放棄した連邦軍部隊の一部が逃げ込んだことが、この都市の不幸の始まりであった。

 掃討戦の一環として行われた都市攻略戦は、モビルスーツ〈ザク〉の運用によってジオンの圧倒的勝利に終わった。

 その結果、その都市は、逃げ込んできた連邦軍部隊とともに、地図から姿を消した。

 その都市があった場所に残されたものは、瓦礫と死体の山。そして、故郷と愛する家族を失った無数の難民。

 

 

           *

 

 

 体の内側を激しく叩く鼓動と荒い息遣いが、耳を打ち続ける。

 眼前のモニターは、燃え盛る火焔と、そこかしこに流れる夥しい血を映して紅蓮に染まっている。

 宇宙空間と違い、天然の酸素に満ちた地上にいる筈なのに、異様な息苦しさがある。今すぐにでもコクピットを飛び出したい衝動に駆られるほどに。

 

 市街地をぐるりと周回しながら索敵を続けた。

 〈敵〉は何処に潜んでいるのだろう。或いは、既に〈敵〉はここから逃げ出し、既に戦うべき相手は居なくなっているのかも知れない。だが、部隊指揮官からは何の命令も指示もない。

 ならば、兵士としてこのまま戦闘行動を継続しなければならない。それ以外に身の処し方を習っていないのだ。

 

 モニターを通じて見えるのは、見渡す限りの炎と、()()されたばかりの瓦礫。そこかしこに横たわり、ピクリとも動かない、つい先程まで確かに()()()()()()()

 

 ここは、地獄なのか?

 

 今目の前で起こっていることは、現実なのか?

 

 宇宙市民の独立とは、地球で平和を甘受する人々を煉獄に叩き込んでまで成し遂げなければならないものなのか?

 

 倒壊した建物に挟まれた、ザク一機が通れる程度の幅員の道路。

 踏み出したザクの足が、崩落したコンクリートとともに、その影に隠れるように倒れていた、おそらく既に息絶えているであろう人を踏む。

 

 モビルスーツ越しのくせに、まるで自分の脚で踏んだかのような不快感と罪悪感。

 食道を逆流する強い酸味。

 強く目を瞑り、震える奥歯を噛み締めて嘔吐を堪えた。

 

 せり上がる嘔吐感を遣り過ごした後、微かに開けた目が交差点を捉える。

 交差点に進入したと同時に、右から迫ってくる大型の質量。

 連邦地上軍の主力、61式戦車が一台、こちらに向かって来る。

 反射的に、照準も定めずマシンガンのトリガーを引いた。

 スリット内を忙しなく動いたモノアイが、地上の一点、炎と化した61式戦車の後方に焦点を合わせて留まる。

 

 そこにあったのは、流れ弾に当たったのか、転倒して煙を吹き上げる大型バス。

 俄に戦場となった街から逃げようとしていたのだろう、バスの内外には、無数の市民。

 割れた窓から上半身を乗り出したまま、俯せになって動かない男。

 その横の窓から、女物のブレスレットをつけた細い腕が、助けを求めるように天に伸びている。

 バスの横で仰向けに倒れた中年男は、腰から下が赤黒い血溜まりである。

 

 その傍ら、ザクに背を向けるように横向きに倒れた女性がいる。そして、その体を必死に揺り動かす、十代前半と思われる少女。

 母と娘であろうか。

 

 ザクの操縦桿を握る手が震えた。その震えは、手から腕へ、そして全身へと伝播していく。

 

 ゆっくりとザクを見上げた少女と目が合う。

 涙に濡れた、虚ろな瞳。

 

 耐えきれず、少女を映したモニターから目を切った。コクピット内に叫び声が響く。

 

 その虚ろな瞳が訴えてきたものは、おそらくは自分の心を投影したもの。

 

 

 ナゼ、コンナコトヲスルノ?

 

 何デ、オ母サンハ動カナイノ?

 

 オ母サンガ何ヲシタノ?

 

 私タチハ、何カ悪イコトヲシタノ?

 

 

           *

 

 

 男は、跳ね上がるように上体を起こした。

 ぬるりとした不快な汗が、鍛えられた太い首筋を濡らしている。

 鼓動が異常に早く、大きく感じる。

 

 あれ以降、毎日見る夢。

 目覚めはいつも同じだ。

 汗にまみれ、不規則な鼓動に苛まれる。

 

 そして、一度目覚めたら、決して寝付くことは出来ない。

 

 男は、心細く燃える焚き火に薪をくべた。

 焚き火の側で、毛布にくるまって寝息を立てる「子供たち」に目をやる。

 

 これから明け方まで、子供たちが目覚めるまで、その寝顔を見守りながら考えることも、いつも同じだ。

 

 俺は、これからどうすれば良いのだろう。

 子供たちをこれからどうすれば良いのだろう。

 戦火の中で、肉親を喪った、哀れな幼子たちを……。

 

 

           *

 

 

「任務だ。それも二つ」

 カイ・ハイメンダールが言葉少なに伝達する。

 手渡された命令書を、ヤクモは二つながら受け取り、交互に目を通した。

 

 一つは、中東進攻への足掛かりであるイスタンブール攻略作戦への参加命令。

 オデッサから黒海を迂回し、西方からイスタンブールに攻め込む攻略部隊本隊に呼応して後方撹乱を行うものだ。

 特筆すべきこともない、いつもどおりの任務である。

 ヤクモの眉を顰めさせたのは、もう一つの命令。

「これは憲兵の仕事だろう? 何で俺たちのところに廻ってくるんだ?」

 任務は「特殊」かもしれないが、特殊部隊のやるべきことではない。

 

 セヴァストポリ基地の、つい先日まで連邦軍のオフィスビルであった建物の最上階である。

 南向きの窓から穏やかな春の陽射しが射し込み、暖房が要らないほどに部屋を暖めている。

 軍務で駐屯しているのでなければ、弁当を持ってピクニックに出掛けたいほどの陽気である。

 にも関わらず、上層部から突きつけられた命令は、それを通達する側にもされる側にも、心に疑念の雲を湧き立たせるに十分なものであった。

「たしかに、憲兵隊がすべきことだ……本来ならな」

 デスクに肘を立て、組んだ両手の上に顎を乗せながら、カイが言う。普段明朗な貴公子にしては、珍しくその顔に表情がない。

「だからそうすればいい。何の問題があるんだ?」

 ヤクモがさらに問い質した。妙に引っ掛かるところがある。二つ返事で引き受けるのが憚られるのだ。

「問題は、逃亡者が充分な訓練を受けたパイロットであること。そして、ザクを持って逃げていることだ。……逃亡に気付いて追跡した憲兵が追い散らされてオデッサに逃げ帰ったらしい」

「まさか、殺ったのか?」

 ヤクモの声が幾分尖る。

 一般兵にとって煙たい存在とはいえ、軍内部の規律を維持する上で、憲兵の存在は不可欠である。そして、何よりも身内なのだ。

 戦争に終わりが見えない以上、どんな理由があるにしろ、身内に害を為すことは赦されないことである。

 

 険のある目付きになるヤクモの前で、カイはゆっくりと頭を振った。

「いや、流石にそこまではしなかったらしい。尤も、無傷の者もいなかったらしいがね」

 うんざりしたように言い捨てた後で、一冊のファイルを取り出した。

 表紙を捲りながら、ヤクモに見えるようにつき出す。

「なるほど。敵前逃亡、モビルスーツの窃取、抗命に傷害……重罪人だな」

 つい皮肉な口調になる。

 理由は判ったが、かといって積極的にやる気にもならない。眉間に皺を寄せながら手渡されたファイルを眺めた。

「上層部の一番の懸念は、この逃亡者がザクを手土産に連邦に亡命、若しくは連邦軍に拿捕されること。モビルスーツは今のところ、我が軍にだけあって連邦にはない。いずれ連邦がモビルスーツを開発する時が来るかもしれないが、わざわざ無傷のザクを提供して敵の手助けをする必要もない……」

 ザクが、というより、モビルスーツを制御するための機構とOSそのものが重要機密と言ってよい。

 連邦軍のモビルスーツ開発がどの程度進んでいるかは知らないが、科学技術自体には、それほどの差があるはずはない。ザクに用いられている技術が漏洩すれば、連邦軍のモビルスーツ開発は飛躍的に進むだろうことは、容易に想像できる。

 時間の問題にも思われるが、今しばらくはモビルスーツというアドバンテージを最大限に活かす必要があるのだった。

「任務は、逃亡者の捕捉若しくは処分、並びにザクの奪還又は破壊。気は進まんが、やらなければならない」

「……で、誰が行くんだ?」

「君だよ。レジーナとウィリアムを連れていってくれ」

 問い掛けに対し、カイが即答した。

「イスタンブールはどうする?」

「……むしろイスタンブールの方が問題がない。後方撹乱だけだからな、やり様はいくらでもある。……それより『逃亡者』の方が、よほど厄介だ。現地での臨機応変な判断を求められることも多くなるだろう」

「なるほどね。」

 首肯したヤクモが、さらに問う。

「何処に行ったのか、大まかでいい、目処はついているのか?」

「バイコヌール宇宙基地の南東方にある小都市攻略に参加した後、逃亡。翌日、その都市から約30キロ東方で憲兵隊が追い散らされた」

 返り討ちにあった憲兵の一人が、逃亡者がそのまま東方へと進んでいったのを目撃したのが最終確認らしい……。

「それが三日前のことだ」

 説明を終えたカイが口をつぐんだ。

「つまり、(やっこ)さん、既に連邦の勢力圏内にいるわけだな。……たしかに厄介だ」

 ヤクモが肩を竦める。

「憲兵隊からの報告書はここに写しがある。昨日配置になった輸送機を使って構わない。準備が整い次第、出発してくれ」

 ヤクモが部屋から去ったあと、カイは再び逃亡者の資料を編綴したファイルに目線を落とした。

 開かれたままの頁には、「対象者」の顔写真と経歴がある。

 写真に映る、茶色の髪の精悍な顔を眺めながら、心の中で毒づく。

 

(何が目的か知らんが、厄介なことをしてくれる。……地球方面軍第3機動師団所属ククルス・ドアン兵長、か)

 

 

           *

 

 

 ヤクモらが乗り込んだ大型双発式ヘリコプターは、つい先日、ガルマ・ザビ大佐が使ったものと同型の輸送機である。

 コクピットの下に、ザク三機を搭載可能な大型の貨物庫(カーゴルーム)

 ずんぐりした、翼の生えたオタマジャクシを連想させるシルエット。

 「太っちょ叔父さん(ファット・アンクル)」とはよく名付けたものだ。

 操縦席の下にある、その()の中に格納されているのは、ヤクモ、レジーナ、ウィリアムの三名其々の乗機であるザクⅡ。それと、つい先日、このファット・アンクルとともに配置となったばかりの歩兵用小型ホバークラフト、〈ワッパ〉。

 形状は、一言で言ってしまえば車輪の代わりにファンが取り付けられた大型バイク。座席の頭上にせり出したフレームには自動小銃が固定されている。

 

 捜索の対象地域が両軍の境界線を逸脱し、連邦軍の勢力下であることから、無造作にファット・アンクルを飛ばし続ける訳にもいかず、ワッパを用いて地上を哨戒し、安全を確認してからファット・アンクルを前進させるという、一見してもどかしい手段を採らなければならなかった。

 それでも、ワッパを使用する利点もある。その最大のものは、()()の発見が上空からよりも容易であることだ。

 

 逃亡者ククルス・ドアンがザクを用いて逃げている以上、地上にはその巨大な足跡が残されている。そして、所々に残されている焚き火の跡。

 憲兵隊から事前にもたらされた情報に基づき、バイコヌール南東の、既に廃墟と化した都市から東方へ、足跡と野営の痕跡をヤクモ達は比較的容易に辿ることが出来ていた。

 その中で、幾つかの奇妙な点も見えてきている。

 

 「追跡行」に入って四日目の夜である。

 広大な草原(ステップ)が次第に起伏を帯び、山地に近くなりつつある地域、その中にある比較的背の高い木々が幹を列ねる林の近くにファット・アンクルを隠し、野営をしている。

「妙だと思わないか?」

 焚き火に枯れ枝を放り込みながら、ヤクモが口を開いた。

 缶詰の中にフォークを差し入れながら、ウィリアム・ウォルフォード軍曹が、未だ幼さの残る顔をそちらに向ける。

「妙……ですか?」

「野営跡の間隔のこと?」

 ウィリアムより明快な口調で聞き返したのは、レジーナ・ハイメンダール中尉。焚き火の照り返しを受けた髪が、美しい赤色に染まっている。

 ヤクモは頷いた。

「そうだ。これまでに確認した痕跡は、少なくとも七つ以上。その何れも十数キロから、長くても三十キロ前後の位置にある。奴さん、何の目的があるか知らないが、自分が追われていることは当然自覚しているはずだ。だとすれば、逃げる側とすれば少しでも早く、遠くに行きたいと考えるのが自然な心理だろう?」

「一日に進む距離が短すぎる……?」

 ウィリアムが首を傾げる。先ほどヤクモが呈した疑問は理解したが、新たな疑問が鎌首をもたげる。

「たしかに、言われてみればそうね。それに、野営跡で見つけた足跡も気にならない?」

 レジーナが口にしたのは、昨日発見した野営跡で発見した足跡のこと。泥濘に部分的に残っていただけであり、大きさまでは判明しなかったが、明らかに二種類以上の足跡が発見されていたのだ。

「誰か同行者がいるんでしょうか?」

「さあな。少なくとも軍関係者が逃走に手を貸していると言うことは無さそうだが……」

 ヤクモはこの追跡行の道中にも、ククルス・ドアンに関する資料に目を通している。特に、憲兵が提出した報告書の写し。

 ククルス・ドアンと同じ部隊に所属していた全員から聴取した内容から判るのは、ククルス・ドアンの逃亡はあくまでも「単独犯」であるということ。軍の内部に、彼の手助けをしたり、今も同行している者の存在は確認されなかった。

「だとしたら……どういうことなんですかね?」

 この夜何度目のことか、ウィリアムが首を傾げる。

「皆目見当もつかないわね。接触できればわかるだろうけど……」

「そうだな。結局捕まえてみなければわからないだろうな。明日あたり、追い付けそうな気がするが」

 ヤクモの言葉に、レジーナとウィリアムが頷いた。逃亡者との距離は確実に迫っている。近日中に接触できるだろうことは追跡部隊の共通認識である。

 対象に追い付いている緊張感と、その目的を知りたいという、些か不謹慎かも知れない好奇心。

 開戦以来、幾つかの戦場を生き抜いた、若いながらも歴戦となりつつあるパイロット達の思惑を呑み込み、静かに夜が更けていった。

 

 

           *

 

 

 朝からの好天である。

 目の前にある太陽は、刻々とその座を高くしながら、眩しい黄金の光を大地に投げかけている。

 夜明けとほぼ同一の時間から再開された追跡行は、目的を達しつつあった。

 ワッパに搭乗してファット・アンクルに先行したヤクモの耳が、林の中で前方から聴こえてくる機械の駆動音を捉えたのである。

 

 灌木の陰を縫うようにして、慎重に前進すると、一歩一歩、ゆっくりとジオンの勢力圏から遠ざかって行く緑色の巨人の後ろ姿が視界に入る。

 

 一度ワッパを接地させたヤクモが、インカムのマイクを口元に手繰り寄せた。

「〈対象〉を発見した。ファット・アンクル(そちら)から東南に約10キロ地点を進行中。一旦合流する」

 地図を確認しながら、ファット・アンクルに位置を伝えたヤクモが、ワッパを反転させた。

(大人しく投降してくれればいいがな……)

 おそらく、そうはならないだろうと理解しつつ、無益な闘争を望まない思いであった。

 

 

           *

 

 

 ()()()()()()、ククルス・ドアンは、操縦するザクの脚を止めた。

 自分が発見されたことは既に理解している。

 先ほど頭上を追い越していった航空機ーーずんぐりとしたシルエットの、おそらく大型輸送機は、まず間違いなくジオン軍の物……つまりは追っ手であろう。

 

 自分が追われるのは、無理からぬこと。

 だが……素直に捕まる訳にも、処罰される訳にもいかない理由(わけ)が、彼にもある。

 人が隠れるのに丁度良い岩を見つけたドアンは、その傍らにザクを屈ませた。

 コクピットの前で、大切に、抱くようにマニピュレーターに乗せていた()()を降ろす。

 コクピット・ハッチを開け、不安そうにこちらを見上げる瞳に笑いかけた。

「俺は大丈夫だ、心配はいらない……すぐ迎えに来る、良い子に隠れているんだぞ」

 コクピット・ハッチを閉じ、立ち上がる。

 モニターに目をやると、センサーに複数の反応がある。

 前方約2キロ、鬱蒼とした森林の中に三機。センサーの反応を解析したコンピュータは、それが何れもザクⅡであることを告げていた。

 

 ならば。

 

 ドアンは、対ザクの戦闘を恐れはしなかった。

 モビルスーツの操縦には自信がある。

 敵が並のパイロットであれば、何とかなる。

 何とかして見せる。その決意があった。あの日……軍を脱走したあの時から、自分には守るべき物がある。こんなところで死ぬわけにはいかないのだ……。

 

 ドアンのザクⅡが、腰背部にラックしてあるマシンガンを抜き、胸の前に構えた。

 ゆっくりと、〈敵〉が潜む森林地帯に向けて、歩を進めていく。

 

 

           *

 

 

 一方、ヤクモたちもまた、自分達の存在が〈対象〉に気付かれていることは承知の上であった。

 こちらもザクⅡ、〈敵〉もザクⅡである以上、こちらのセンサーが〈敵〉の存在を捉えたからには、こちらも〈敵〉にとらえられているのは自明の理である。

 その上で、あえてヤクモは、後方上空で控えるファット・アンクルに、ミノフスキー粒子を散布させていない。

 数の優位はこちらにあるが、〈戦場〉に居るのは全てザクⅡである。〈敵〉にすれば「自分以外は全て敵」だが、こちらにすればそうはいかない。

 敵に存在を知られた以上、下手にセンサーを潰した場合、逆に同士討ちの危険がある。

 

 ヤクモは敢えて〈敵〉に存在を知らせた上で、各機の配置に気を配った。

 ククルス・ドアンの接近する方向を底辺に、身を潜める森林の中に頂点を置いた形の三角形に機体を配置する。

 その上で、おそらく敵は火線の集中する位置に真っ直ぐ入っては来ないと読んだ。最前列に配置した機体の外側を迂回して来るだろう。各個撃破が、集団を相手取るセオリーである。

 そこまで考え、敢えて自分が最前線に、二列目にレジーナを、最後尾にウィリアムを配置した。

 因みに、ウィリアム機は今回、長距離砲撃用の新しい武装を携行している。

 

 木立に隠れた彼らに、未だ〈敵〉の姿は視認できない。そして、〈敵〉からも視認はされていない筈。

 

 深呼吸したヤクモは、未だ視認できない、しかし、センサーによって確実に近付いてくるのが判る〈敵〉に勧告した。

 おそらくは無益であろうと思いつつ、一縷の望みを籠めて。

「ククルス・ドアン兵長。我々の目的は理解している筈だ。……同胞(スペースノイド)同士、無益な戦いはしたくない、投降してくれ」

 

 その答えは……沈黙。

 そして、確固たる意志に基づいて着実に迫る、足音。

 

 ヤクモは、深い溜息の後、部下の名を呼んだ。

 

「仕方がない……ウィル」

 

 それは、戦闘開始を告げる合図。

 

 ウィリアムは、センサーとリンクした手持ちの〈砲〉の照準を、〈敵機〉の右足元に合わせ、引き金(トリガー)を引いた。

 

 

           *

 

 

 短くも激しい戦闘の後、ククルス・ドアンのザクⅡは地面に片膝をついた状態で擱座させられた。

 目の前には、三機のザクⅡ。何れの機体にも鴉のエンブレムが描かれ、指揮官機と思しき機体は、左のショルダーアーマーが黒く塗装されている。

 

 地に膝をつき、立つことも能わなくなったザクⅡ。

 しかし、目の前の三機のザクⅡは、一向に止めを刺しに来なかった。

 しばらく何かを--おそらく、抵抗の術を失ったドアンの投降を待つように佇んでいたが、ドアンもコクピットから出ようとはしなかった。

 ドアンは、「潔く」などと言う概念はとうに棄てていた。泥を啜ってでも、どれ程の屈辱を受けようとも、生き延びるつもりでいた。

 動かなくなったザクⅡのコクピットに()()するドアンに業を煮やしたか、左肩の黒いザクⅡが近付いてきた。

 力ずくでコクピットハッチを破壊し、ドアンを引きずり出そうとして、その動きが止まる。

 

 そして、ドアンは気付いた。

 自機の周りに駆け寄って来る、子供たちの姿に--。

 

 その光景に唖然とするヤクモ。否、呆気に取られたのは彼だけではなかった。

『何? この子たち…』

『…た、隊長……?』

 マイク越しに聞こえてくるレジーナとウィリアムの声で、彼女たちもまた、ヤクモと同様の困惑に捕われていることは瞭然であった。

 

 突如として走り来て、ドアンのザクを囲むように、間に割って入った子供たち。

 未だ10歳にも満たないであろう幼子が3人と、その後方からやや遅れてやってきた、10代前半と思われる少女。その態度から、自分たちを敵視していること、そして、ククルス・ドアンを庇おうとしていることは明らかである。

 数秒の思考停止を打ち破ったのは、自らコクピットハッチを明けて姿を見せたククルス・ドアンの声。

 

「やめろ! 危ないことをするんじゃない!! 離れているんだ…、離れて……」

 その声が、次第に優しく、哀愁を帯びたものに変わっていく。

 そして、コクピットから現れた男の体から、力が抜けていく。

 

 徹底した抵抗の気配を見せていたククルス・ドアンをザクのコクピットから引き摺り出したのは、明らかに目の前の子供たち。

 ドアンと子供たちの関係はわからないが、それだけは理解できた。

 

 ヤクモは、〈対象〉の確保に成功したことを理解した。

 

 

           *

 

 

「こんな女子供の部隊に負けるとは…俺もヤキが回ったというものか」

 

 コクピットから降りたヤクモたち三人を見回したドアンが、がっくりと肩を落とした。

 憮然としたレジーナが口を開こうとした矢先、子供たちが口々に騒ぎ立てた。

 

「何だよ、お前ら!!」

「よくもドアンを苛めたな!」

「あたしたちがやっつけてやる!」

 気炎を上げながら、ヤクモたちに向かって挑みかかろうとする。子供たちのうち、タンクトップを着た男の子は、近くにあった小石をヤクモに向かって投げつける始末だ。

 

 腹に当たるその石を避けようともせず、ヤクモがうんざりした表情でドアンに告げた。

「わかっているだろうが、俺たちはアンタの追捕を命ぜられてきた。アンタから事情聴取する権限も与えられているが……これでは話どころではないな」

 年長の少女が、タンクトップを着た男の子を後ろから羽交い絞めにする。

 その様子を見ていたドアンが、重々しく口を開いた。

 

「ああ……わかっている。この状態では逃げることもできん。……ロラン、済まないがクムたちを見ていてくれ」

 呼びかけられた年長の少女が、何か言いたげに口を開いたが、何も言わず、口を閉じて頷く。

 子供たちを促してその場を離れようとする、ロランと呼ばれた少女に目を向けたヤクモが、振り向かずに言う。

「ジニー、ウィル、少しの間子供たちを見てやってくれ」

「うん……、わかった」

 レジーナとウィリアムが子供たちを連れてその場を離れる。

 それを見届けたヤクモは、近くの木陰にドアンを招いた。手ごろな石の上にが腰を下ろしながら、ドアンにも座るように促す。

 先ほどまでと打って変わり、抵抗の素振りを示さないドアンに、ヤクモが鋭い目を向けた。

 

「さて、幾つか聞きたいことがあるが……まずはじめに、あの子達は何だ? アンタの子ではないだろう?」

 

 ドアンは即答しない。探るように、ヤクモの琥珀色の瞳を覗き込む。

 

 何かを抱え込んだ、深い、そして暗い目だ。

 

 ヤクモは、その目を見返しながら、目で告げた。

 この期に及んで下手なことは考えるな、聞かれたことに答えろ、と。

 

 ドアンは、溜息を吐いた。

 目の前にいる男、若いくせに、無造作に座った姿に意外と隙がない。それに、部下を子供たちに付かせたのも、いざというときの人質のつもりだろう。

 

 ドアンは、腹を括った。

 

「あの子達は……戦災孤児だ。アンタも俺を追ってきたのなら、あの街を見てきたんだろう?」

 

 ヤクモは無言で頷いた。ドアンの言う街……目の前にいる男が、最後に参加した作戦によって壊滅した、掃討戦の舞台だ。

 ドアンの足取りを追う際、上空から通過しただけとはいえ、その街は目にしている。

 

「俺は、あの子達の親を殺してしまった。……言い訳にもならないが、狙って殺したわけじゃない。流れ弾だった……それでも、事実に変わりはない」

 搾り出すような声。体の震えを抑えるように、太い両腕を抱え込む。

 

 ドアンの様子が落ち着くのを待って、次の質問に移った。

 

「なるほど、それで子供たちを連れて軍を脱走したのか?」

「まあ、そういうことだ」

「何故、ザクを持ち出した?」

「いずれ追っ手がかかることがわかっていたからさ。憲兵を追い払うところまでは思惑どおりだったよ。……アンタたちみたいな手練れの追っ手は予想外だったがね」

 ドアンの顔に、自嘲が翳りを作った。

 

「罪の意識という訳か?」

「……ああ、そういうことにしてもらって構わんよ」

 どこか投げ遣りな返答。

 

「何故だ?」

「……すまない、質問の意味がわからないが?」

「何故アンタが子供たちを守る必要がある? ただの罪悪感だけとは思えんが……」

 

 琥珀色の瞳を見つめるドアンの表情が僅かに変わった。

 嘲りと憐憫が混在する、複雑な顔。

 

「アンタ、士官だろう? その若さで、ということは、士官学校出か。なるほど……」

 妙に得心したような表情でドアンが呟く。

「なるほどな。……汚さを知らんな、アンタ。汚い戦場を見ていないんだな……。自分のいる組織が正しいと……正義だと信じているんだな」

「なに?」

 ドアンの、嘲りを隠そうとしない口調。

 

 ヤクモの眉間に皺が寄る。

 

 ドアンは、ゆっくりと話し始めた。

 

 

           *

 

 

 俺も、そう信じていたよ。

 

 地球に降りるまでは、な。

 

 この戦争は、虐げられてきた宇宙移民(スペースノイド)の真の自由と独立を勝ち取るための戦いだと……。

 

 だが、火と瓦礫、死体と血と狂気に塗れたあの街で……あの街を見てわからなくなった。

 

 地球市民(アースノイド)を殺戮してまで、俺たちは戦わなければいけないのか?

 

 宇宙と地球、住む場所が違うだけで、武器を持たない市民に何の違いがある?

 

 あの子供たちを見つけたとき……俺だって考えたさ。

 

 「軍で保護してもらえばいい」ってな。

 

 俺は下っ端だ。

 

 直属の部隊長に報告して、意見具申したよ。

 

 だが、そんな意見(はなし)は、一部隊長にとっては厄介ごと以外の何ものでもなかったんだな。

 

 部隊長はその上へ、その上の指揮官は、さらにその上官へ。

 

 そして、たらい回しにされた挙句、俺のところに帰ってきたのは、簡単な一言だった。

 

 どこまで上の人間が言ったのかは知らんがね……。

 

 何て言われたと思う?

 

 ……至極簡単な、誤解のしようもない命令さ。

 

 『殺せ』

 

 それだけさ……。

 

 俺には、それはできなかった。

 

 それだけは、しちゃあいけないと思ったんだ。

 

 そう考えた俺は、もう自分のいるところを信じることができなくなった。

 

 これ以上、ジオンの為に戦うことはできない。

 

 俺は、もう、無邪気に「ジークジオン」ということはできなくなった……。

 

 だから、脱走した。

 

 それだけのことさ……。

 

 

           *

 

 

 流れるようにとは到底いかない、苦いものを飲み込むような、そして汚いものを吐き出すようなドアンの独白が終わった後も、ヤクモは、しばらく声を発することができなかった。

 

 ヤクモは、目の前の脱走兵がいうように、軍の掲げる正義に盲従していたわけではないと、自分では考えていた。

 

 無思慮な政治活動に翻弄され、両親を喪った。

 その後、決して陽の当たらない場所に、鎖で繋がれていた。

 そこでの非人道的とも言える〈人体実験〉が、軍と政治の中枢にいる人間、キシリア・ザビの主導で行われていた。

 その経験は、今も忘れることのできない、身体に染み込んだ忌まわしい記憶。 

 自分を〈実験動物(モルモット)〉としてしか見ない、研究者たちの冷たい目。

 自分が士官学校へ入ったのも、自分を利用しようとするキシリアの欲求と政治的野心から出された、打算的な方策の産物。

 そして、今自分の置かれている立場も、キシリアに利用されているだけのこと。

 

 軍の華々しさの陰にある、ヒトの野心や欲望の汚い部分。

 ヒトが、自分のために容易に他人を犠牲にできるということ。

 そのことは、わかっていた。

 

 ただ、自分を認めてくれる友と仲間のために、戦っているだけのこと。

 

 そして、仲間たちのために、「生き延びよう」としているだけのこと。

 

 それが、崇高な理想などない自分勝手な想いの産物に過ぎないことはわかっていた。

 

 だが……。

 

 どこかで、ドアンの言う「戦場の汚さ」から目を背けていたのも、紛れもない事実。

 ドアンの言葉が、ヤクモ自身が強がっていた心の痛いところを、正確に射抜いたのも事実である。

 

 どのくらいの時が過ぎたか。

 太陽は中天にあった筈が、いつしかヤクモたちがいる木陰は、東にその範囲を拡げはじめている。

 

 ヤクモは、自分の心が遙かな昔に戻っていくのを自覚していた。

 すべての温もりを冷たく拒否する、青白い灯火に照らされた研究室の壁が、その心の中にせり上がってくる。

 士官学校に入る前、全てを虚ろに受け入れつつ、その全てを拒んでいた少年の日の心情が、まざまざと甦ってくる。

 

 ドアンの一言で、自分の心の内側、目を背けていた部分に気付いてしまった。

 

 権力の……闘争の醜さを知りながら、それに加担している矛盾。

 その矛盾から逃げるために、心の中に、とうの昔に捨てた筈の壁が再構築されつつある。

 

 流れた時間の長さは、ヤクモの葛藤の長さそのもの。

 

 その沈黙に辛抱強く付き合っていたドアンが、口を開いた。

 

「俺は、銃殺刑か?」

 

 隠し切れない不安は、自分の身ではなく、残される子供たちに対してのもの。

 

 それでも答えないヤクモの目を見たドアンは、目の前の若い士官に、初めて戦慄した。

 

 その双眸には、何の感情も無かった。

 否、感情どころか、果たして心すら無いのではないかと思わせるほどに、空疎。

 

 その琥珀色の瞳に輝きは無く、ただの石が嵌め込まれているようだ。

 眼球の微かな動きが無ければ、一見死人のような目。

 

 ドアンは、それまでの人生で、そんな目をした人間を見たことが無かった。

 背中に、冷たい汗が滲む。

 

 一方のヤクモは、ドアンの方に向き直りながら、ドアンの顔も、何も見ていなかった。

 言葉の意味も、声すらも認識していなかった。ただ、ドアンの口から出た「音」に反応しただけである。

 

 周りの全ての明度が失われていくような、重苦しい空気を掻き混ぜたのは、幼い女の子の涙声。

 

「ドアン、死んじゃうの?」

 

 いつの間に近づいていたのか、離れた場所にいた筈の子供たちが、近くにいる。

 そして、その子供たちを追いかけて、レジーナとウィリアムが走り寄ってくる。

 少女の声に振り向いたヤクモ。

 少女の声に、というより、その声に反応して振り返った視界に入ったレジーナの姿に、ハッとなる。

 

 瞬間、ヤクモの意識が急浮上した。

 現実に引き戻され、ドアンの方に向き直る。

 

 ()()らしいその目を見て、ドアンは寧ろ安堵したかもしれない。

 

 ヤクモが口を開いた。

「……事故とはいえ民間人を手に掛けてその責任を負うことなく、あまつさえザクを盗み、同胞に怪我をさせてまで逃走した。……アンタの事情はわかったが、アンタのしたことは、軍法に照らして許されることではない」

 

 ヤクモが口にしたことは、ドアンの行為を表面的に見たものだが、表面的に見て間違っている訳でもなかった。

 

 ドアンの表情が苦渋に満ちたものに変わる。

 やはり死刑か。だが、せめて子供たちだけは……。

 無益かも知れない交渉に出ようと考える。

 

「ヤクモ……」

 子供たちを追いかけてその場に来たレジーナの口から、つい声が零れる。

 子供たちから、大体の話を聞いてきたのだ。幼い瞳が見た、ククルス・ドアンという男の姿を。

 ドアンが子供たちを守ろうとした心情、それによって表面的な行為の免罪を望むのは、或いは甘すぎるのであろうか。

 

 幼子たちが、ドアンを取り囲み、その身に縋り付いて泣きじゃくる。

 

 短い溜息を吐いたヤクモが立ち上がる。

 ドアンを見下ろす目は、どこまでも厳しい。

「俺には、アンタのしたことの全てを許すことはできない……」

「……頼む、せめて子供たちだけは」

 言いかけたドアンの言葉に、ヤクモの声が重なった。

 

「だが、その子たちの……親を亡くした子供たちの気持ちはわかる……」

 ヤクモは、ドアンに背を向けた。

「アンタのザクは回収していく。子供たちに戦争ではない……『汚くない』生き方を教えてやれ。それが……」

 全てを言い切らず、ザクに向けて歩き出した。

 

 自分に取り縋り、泣きじゃくる子供たちを抱くドアンの腕に力が籠る。

 その両目から熱いものが流れ落ち、口から声が漏れた。

 

 ザクに向かうヤクモの後をレジーナとウィリアムが追う。

 

 今の「保護者」を失わずに済んだ子供たち。

 子供たちを守ることを認められたククルス・ドアン。

 ヤクモの決断に、胸を撫で下ろしたレジーナ。

 そして、決断を下したヤクモ本人。

 

 その決断に、その場で最も安堵したのが誰なのかは判らない。

 

 

           *

 

 

 その場にファット・アンクルを呼んだヤクモたちは、物理的な意味でカーゴルームに入りきらないドアンのザクをぶら下げていくことを決め、そのザクをワイヤーで固定した。

 その後、ドアンにも子供たちにも一言も声を掛けず、ファット・アンクルに乗り込んでその場を飛び立つ。

 

 それを見送ったドアンたち。

 タンクトップを着た男の子が、ファット・アンクルの飛び立った後の地面に残された大きめの「ずだ袋」に気付き、駆け寄った。

 警戒することも無く、袋の口を開く。

 

 それを窘めつつ近付いたドアンの目も、袋の中に注がれる。

 その袋の中に入っていたのは、数日分はあろうかという非常用の携行食料と、大きめの毛布。

 

 ドアンは、その大きな体を震わせながら、空を見上げた。

 

「ドアン、また泣いてるの?」

 子供たちが口々に言う。

 

 ククルス・ドアンは、何も答えなかった。

 ただ、体の震えが静まるまで、黙ってファット・アンクルの飛び去った方を見つめていた。

 




 長くなってしまいましたが、ここまで読んで下さった方、お付き合い頂きましてありがとうございます。

 ククルス・ドアンの出てくる話は、劇場版ではカットされていましたし、TV版では「良い話」だった印象ですが、敢えて重苦しい話に変えてみました。

 もともとは軽い気持ちでドアンを出そうと思って書き始めて、気付いたらこんな暗い感じになってしまいました。

 賛否両論(主に「否」かも知れませんが)あろうかと思いますが……。

 「所詮二次創作」と言ってしまえばそのとおりなのですが、この作品を書き進める中で、主人公に一皮ムケさせる(精神的な意味で)ためにこの話が必要になると考えて書きました。

※ 本当は、戦闘シーンを書いて「ドアン・パンチ(正拳突き)」や「ドアン・ハンマー(岩投げ)」を出したかったんですが、話の本筋から逸れると思い、カットしました(泣)

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