はい。お待たせしました。この上なくクオリティの低い戦闘シーンです。(オイ
それでもいいというのであれば、是非ご覧ください。
「はあー、よく寝たよく寝た」
大嘘をつきながら、ハンター生活初のクエスト(予定)を前に、緊張して一睡もすることができなかったヴェルデはふと時計を見る。
「ん?もう5時か。眠気覚ましにトレーニングに行くか。」
そして彼は、8時過ぎに戻るという書き置きをして、家を出た。
ヴェルデはその日、迎撃施設ではなく、ゴルドラ街道を少し離れた山道に来ていた。
「よし。ここなら人もあまり来ないから、思い切りできるな。」
そして、この日の彼は、いつもの倍近くのトレーニングをこなしたという…
「ただいま。」
帰宅。現在8時半。
「あ、お帰りなさい。もうご飯できてるよ!」
「お、それは助かる。じゃあ早速いただくか。」
「ごちそうさん。」
「ところで、今日の予定は決まってるの?」
「ああ、今日はクエストに行ってくる。」
「そうなんだ。無事に帰ってきてね?」
「おう、任せておけ!」
そう言って、彼は家を出た。
~ギルド支部~
「おはようございます。」
「あ!おはようヴェルデ君!」
「リーシャさん、どうも。早速ですが、昨日言ったクエストはまだ残ってますか?」
「うん。まだ残っているわよ。」
「そうですか。ならそれを受注します。」
「わかったわ。ランポス8匹の討伐ね。じゃあ、気を付けて行ってらっしゃい!」
「はい。行ってきます!」
「それじゃ、アイテムはこんなものでいいかな?」
今回のアイテムは、動きを制限せず、かつランポスを倒せる、最低限の軽装備で、回復薬が5個、閃光玉が2個、砥石が8個といったものだ。
しかし、双剣使いは、動きの速さが重要なので、このくらいの量が妥当ともいえる。
ただ、彼は荷車の存在を忘れていたわけだが…
「今回が初のクエストだ。気を引き締めて行こう。」
だが、この時点で彼は、新米ハンターによくあるミスをしていた。
大型モンスターの出現情報を聞き忘れるというミスを…
カナタ村の通りをまっすぐ東に進むと、目の前には、高い山々がそびえたっていた。
その中でも、一際目立つ大きな山が、狩り場【高山】だ。
「いやー、目の前に立つと、やっぱりデカいなー!」
ヴェルデは、目の前にそびえたつ山の迫力に圧倒されつつも、これから、自分の力だけで狩りをするということに、少なからずワクワクしていた。
「それじゃ、支給品と地図をもらって、と。さて、行くとするか!」
ちなみに支給品は、地図、応急薬3個、携帯食料3個、携帯砥石2個と、軽め(いつも)のものだった。
このフィールド【高山】は、麓(エリア1,2,3)、中腹(エリア4,5)、頂上付近(エリア6,7,8)、頂上下空洞(エリア9)、向こう側中腹(エリア10,11)の構成になっている。
背の高い木々が生い茂り、季節によっては、紅葉がきれいな観光地にもなる。
この山は、標高が4000m級の高い山なので、高低差が激しい。
さらに、頂上付近では、寒冷期の時は、かなり冷え込むので、ハンターたちの体力をどんどん奪っていく。
冷え込むため、寒冷期の場合は、ホットドリンクは必須である。
しかし、ヴェルデは毎日のトレーニ(ry
「おっと、早速いたぜ。」
エリア1に入ってすぐ、1匹のランポスの姿が見えた。
「1匹だけか、これはいい。」
そう言って、背中からボーンシックルを引き抜く。
「相手はまだこっちに気づいてない。今のうちに距離を詰めよう。」
そして、ヴェルデは忍び足でランポスに近づいていく。その距離、20m。
「周囲は…っと、大丈夫だな。」
そして、ランポスとの距離が10mを切ったとき、
「ギャアッ!ギャアッ!」
「気付かれたっ!」
そして、これまで忍び足だったヴェルデは、走って一気に距離を詰める。
「喰らえっ!」
ランポスの眼前まで一気に距離を詰め、突然の接近に困惑しているランポスに向かって、ボーンシックルで斬りつける。
「ギャア!?」
「よし!」
倒せはしなかったものの、その一撃に上々の手ごたえを感じ、追撃を加えようとする。
「はあっ!」
しかし、その一撃は、ランポスがバックステップをしたため、空を斬る。
「くそっ。」
空を斬った一撃の反動で体勢を立て直す、その一瞬の間に、ランポスは跳び掛かってきた。
「うお!?危ねえっ!」
間一髪右に跳んで回避したが、立て直す間にまたランポスが追撃を加える。
「くっ、防戦一方じゃねえか!やられてばっかでたまるか!」
そして、ヴェルデはランポスに蹴りを加える。
「ギャアッ!?」
不意を突かれたランポスは仰け反る。その隙を見逃さずヴェルデは、
「死ねぇっ!」
渾身の一撃をランポスに叩き込む。その一撃でランポスは吹き飛び、二度と起き上がらなかった。
「…ふう。つい熱くなっちまった。気を付けないと…」
こういったことも、学生時代、教官に注意されてきたのだが、どうも熱くなる癖は直らないらしい。
「まあいい。次だ次!」
剥ぎ取りを終えたヴェルデは、山頂へ向かって進んでいく。
山頂への細い山道が続くエリア5。両脇に切り立った崖があるため、なかなか足を踏み入れないこの場所だが、そんなところにランポスはいた。その数2匹。
「2匹か…さっきより数が多いし、その上この足場…迂回してもいいが…」
実際さっきより状況が悪い。山頂にはランポスの群れがいるだろう、普通なら迂回するが…
「いや、こんなところで逃げちゃ駄目だ。サラッと倒せるように、実力をつけないと。」
ちなみに、足場の横幅は10m以下。そして切り立った崖。それでも彼は戦うことを選択した。その理由は、ただ実力をつけたいがために無謀に挑むのではなく、ちゃんと策もあったからだ。
2匹のランポスが、互いの姿を視界に入れた瞬間、丸い球状のものが中央に投げ込まれた。
それは、激しい光を周囲に放ち、2匹のランポスの視界を奪った。
「「ギャアッ!?」」
閃光玉だ。突然視界を奪われたランポス達は、足場の事もしっかり考えているのか、その場で動かず、視界の回復を図っていた。
「一気にカタをつける!」
そしてヴェルデは、手前のランポスを、連続で斬りつけ、絶命させる。
「もう1匹は!?」
見ると、もう1匹はまだ、閃光玉の効果が効いるのか、頭を上下に振り、視界の回復につとめていた。
「時間がない!こうなったら‥」
そう言ってヴェルデは、ランポスを挑発するように1回だけ斬りつける。
「ギャアッ!」
閃光玉の効果から回復したランポスは、怒りに染まった目で、崖際に移動したヴェルデを睨みつける。
「来いよランポス。そんなんじゃ、俺は死なねえな。」
人間の言葉がわかるわけもないが、ランポスはその挑発に乗るかの様に、彼に跳び掛かる。
「甘いッ!」
ヴェルデはその攻撃を易々とかわし、ランポスの背後に回り込む。
「そんなんじゃ駄目だな。見え見えだぜッ!」
そう言ってヴェルデは、跳び掛かった反動で硬直しているランポスに向かって、2本の剣を重ね、思い切り振りおろす。
「喰らえっ!」
そしてランポスは吹き飛び、底の見えぬ崖下に向かって落下していった。
「ふう、素材が1匹分無駄になっちまったな。」
剥ぎ取りを終えたヴェルデは、そう呟く。
「まあ、背に腹は代えられないか。」
そう言ってヴェルデは、あと少しで辿り着く頂上に向かって歩を進めていく。
「ふいー、やっと頂上だ。」
頂上のエリア6は、少し開けていて、大型モンスターも来ることができるくらいだ。
「いるな、ランポス。」
広いエリアということもあり、徘徊しているランポスも多い、その数6。
「ん…?あれは…!」
だが、その中でも、ランポスよりも一回りか二回りくらい大きい体を持ち、ランポスよりもさらに鋭い爪と牙を持ち、赤く立派なトサカを持った、ランポスたちを束ねる個体がいた。
「ドスランポスだ…!」