ソードアート・オンライン《三人の勇者》(凍結) 作:ホイコーロー
・レベルアップした際にステータスを振り分けるパラメーターは《筋力》《敏捷》《感覚》の三つということにします。
《感覚》は上げるほど眼が良くなったりします。他はそのまんまです。
ついにボス攻略の日がやってきた。
集まったプレイヤーは51名、5〜7人×9パーティ。
総指揮はディアベルが務め、ボスを狙うチームとその取り巻きを抑えるチームに分かれた。
カイトたちは腕利きが多そうだということで、取り巻きを抑えるチームの指揮を任されることになっている。
ここでカイトたちの戦力を軽く記しておく。
プレイヤー名:カイト
レベル:14
スキル:《槍》《隠蔽》《武器防御》《投剣》
ステータス:《敏捷》先行、次点で《筋力》
戦闘スタイル:簡単に言うと”器用”の一言に尽きる。敵の攻撃に当たらないことを第一とし、隙間隙間に中ぐらいの攻撃で相手のHPを削っていく。難点としてはどうしても戦闘時間が延びてしまうこと。逆に足止めや、多対一の状況が非常に得意。
プレイヤー名:ハチマン
レベル:14
スキル:《索敵》《隠蔽》《料理》《短剣》
ステータス:《敏捷》《感覚》特化
戦闘スタイル:先に述べたように非常にセンスのいい戦い方をする。”早く終わらせること”を目標とし、リスクに見合うと判断すれば危険な橋も平気で渡る。ようやくソードスキルを手に入れ、難点だった火力不足が少し解決。最低限のリスクで最大限のリターンを得る。(それなんてチート?)
プレイヤー名:キリト
レベル:13
スキル:《片手剣》《索敵》《武器防御》《戦闘時回復》
ステータス:《筋力》先行、次点で《敏捷》
戦闘スタイル:一撃のダメージ量で言うならトップ。相手の攻撃を受けてもそれ以上のダメージを与えればいいという所謂「肉を切らせて骨を断つ」戦法。それほど器用な戦い方はできず、多対一は苦手だが、相手が強いほどその真骨頂は発揮される。
プレイヤー名:コペル
レベル:11
スキル:《片手剣》《隠蔽》《盾》
ステータス:《筋力》《敏捷》先行
戦闘スタイル:とにかくよく動く。ヒットアンドアウェイを狙うが、状況判断がお粗末なので、攻撃には当たりがち。パーティ内ではヘイトを集める役として貢献。
プレイヤー名:アスナ
レベル:13
スキル:《細剣》《索敵》《投剣》《武器防御》
ステータス:《敏捷》先行、次点で《感覚》
戦闘スタイル:強い。一撃の威力も高く、しかも疾い。しかしどこかで戦闘を恐れている面があり、早めに終わらせようと焦りがち。それでも強い。
アスナの戦闘スタイルが適当に見えるのはきっと気のせい。
カイトたちはボス部屋の前までやってきていた。
ここに来るまでは可能な限りエネミーとエンカウントしないように動き、さらに先頭をパーティごとに交代しながら慎重に進んでいたので全員がほぼ万全の状態でたどりつくことが出来た。
今、中央でディアベルが仲間たちの士気を高めている。
(ご苦労なことで。)
もちろんハチマンは参加していないが。
気持ちを整えたところで、ディアベルの合図と共にボス部屋の中へと侵入する。
四分の一ほど進むと何かの鳴き声がこだました。
そして一体の巨大なエネミーと、それを取り巻くように数体の中型のエネミーが出現する。
《イルファング・ザ・コボルド・ロード》《ルイン・コボルド・センチネル》
名前からしてでかいほうがボスで間違いない。
「全員、突撃ーー!!」
そして彼らの初の決戦が幕を開けた。
「キリト、スイッチ!」
「はああぁッ!」
キリトが《レイジスパイク》を叩き込むとエネミーはポリゴンとなって消滅した。
「よし、他のところが片付き次第、俺たちもボス組に合流するぞ。」
「でも別に僕たちいらないんじゃないですか、もう。」
見るとボスの体力も残りわずかだった。
「じゃあ帰っていいか?」
「「ダメに決まってる[だろ/でしょ]!!」」
「じょ、冗談だって…。」
ハチマンのふざけた発言にキリトとアスナが同時に突っ込む。
もちろん半分以上本気だったのだが。
「でもホントに俺たちの出番は無さそうだなぁ。お、情報によればそろそろじゃないか?」
ボスに挑むと決まった後に更新された攻略本によれば、《イルファング・ザ・コボルド・ロード》はHPが減ると武器を曲刀カテゴリーの《タルアール》に持ち替えるらしい。
すると予想通りにボスは今までと違う動きをする。
その瞬間、
「全員下がれ!俺が出る!!」
ディアベルが叫び、本当に他の全員は下がってしまった。
「「「「「は?」」」」」
本来ならあり得ない指示。
この場面、様子を見つつ全員で畳みかけるのが普通だろう。
ボスに一人で向かっていくディアベル。
ボスがそれにこたえるように新しい武器を取り出した。
「(!?)」
それを見てキリトが異変に気づく。
「ディアベル、ダメだ!お前も下がれ!!」
ボスがとりだした武器は明らかに情報のものとは異なっていた。
しかしその声もむなしく、すでにソードスキルを発動させていたディアベルはボスへと突っ込み、ボスの太刀筋のもとに跳ね返されてしまう。
そして
ボスの攻撃がディアベルに直撃した。
刻が止まったようだった。
(何が起こった?)
キリトがディアベルのもとへ走る。
(何だこれは?)
ボス組は茫然と立ちすくんでいる。
(このままじゃダメだ、このままじゃ…。)
キリトはディアベルにポーションを差し出すがディアベルはなぜかそれを拒否し、
ポリゴンになって消えていった。
(みんな、死ぬ……?)
次の瞬間、カイトは一人でボスへと走っていた。
「うおおおオオォォ!!!」
がむしゃらに槍をふるい、ダメージを与えていく。
全くカイトらしくない攻撃、明らかに冷静さを欠いている。
それで倒せるほどボスは甘くはない。
トドメにソードスキルを放とうとするもあっさり跳ね返されてしまう。
それによって生じる硬直。
ボスはその隙を見逃さない。
そこに刀を振り下ろす。
(やっべ…)
カイトは自分がディアベルと同じ運命をたどるのだと直感した。
「師匠ッ!!!」
しかしその
コペルだった。