ソードアート・オンライン―黒の剣士ともう一人の少年― 作:出席する白ウサギ
変な所もあると思いますが多目に見てください。
お説教を受けたあと、まだ食べ終わってない姉ちゃんと里香を待つ間、他愛もない会話をすることにした。
「そういえば姉ちゃんって和人や里香のことをアバターネームで名乗る癖治らない感じ?」
「う、うん……気がついたらこの名前で呼んじゃうの」
早いうちに僕のは矯正させたからいいけど、二人はそんなことなかったからかな?
ていうか、僕もクラインやエギルって今でも言うし。
ていうかこの二人はしっくりこない。
今では年上年下関係なく呼び捨てで呼びあえる仲にもなってるし。
ま、一応ね、試しでクラインに対して壷井さんって一度呼んだらむず痒いって言われたし、エギルに関してはアンドリュー・ギルバード・ミルズって長い名前聞いて目が点になってた僕を見てエギルは、変わらずエギルって呼んでくれって言ってた。
「なぁ、ちょっといいか?」
和人に耳打ちで話しかけられる。
また姉ちゃんになんか言われるぞー。
「里香、なんか元気なくない?なんかあった?」
「うーん、少し顔も赤いみたいだし、実は風邪引いてましたー的な?」
「このあとは買い物だから室内だろ?寒くはないだろうけど一応気は回せよ」
「言われなくてもわかってるよ」
昼食後は近くのショッピングモールにいく。
ALOでの事件解決に尽くしたり、そのあと小さい依頼をとある人から受けて、その報酬を貰っているからそれなりにお金はある。
「なぁ、いつになく元気ないけど風邪でもひいた?」
移動しながらそれとなく、里香に訪ねる。
帰ってくる返事は小さな頷きと返事のみ。
「和人、姉ちゃん、少し僕、歩き疲れたから里香と休憩してていい?ていうかここから自由行動の方が良さそうだし」
「……そうだな、それぞれ買うものもペースも違うしそうするか」
和人にアイコンタクトをとると通じた。
元々里香の体調について話してたから通じたのかもしれないけど。
「じゃあ、連絡はスマホによろしく」
姉ちゃんと和人がべったりくっついて離れていく。
って、僕はこっちでやらないといけないことしないと。
「あ、ごめん……私、迷惑かけた」
「ん?単純に僕が歩き疲れただけだって、あそこに座ろうか」
里香を休憩スペースに案内して座らせる。
「ちょっと待ってて」
近くの自販機でホットのコーンスープを買う。
僕はホット系飲まないんだけどコーンスープ人気あるし、これでいいよね。
自分の分は……そうだな……普通にコーラでいいや。
「お待たせ、ほら、コーンスープ……ってこれで良かったかな?」
「ありがとう……」
缶を受け取っても、少し下をうつむいたままで元気がない。
代わりに僕だけでも元気でいないといけないかな。
「さてと、コーラでも飲んで体力回復しないとね!」
プシュッ!という音と共に中から炭酸が溢れでる。
「うわっと、やらかしたし」
自分のズボンの膝部分に溢れでたコーラがかかってしまう。
「はぁ、なんでこういうときに限っておっちょこちょいなのかなぁ」
そう言って里香がハンカチを取り出して濡れた部分を拭いてくれる。
「あ、ごめん」
「いいっていいって、ほら」
ハンカチを渡されて思わず受けとる。
「手、濡れてるから拭きなさいよ」
言われて気がつく。
って、溢れでたんだから手につくに決まってるだろ僕。
「あー、もう!人が結構シリアスな雰囲気出してたのに、なんか霧散しちゃったじゃん……でも、ありがと。なんか、吹っ切れた気がする。
遅いかもしれないけど、やっと……」
その時、初めて現実での笑顔を……心からの笑顔を見れたと僕は思う。
「っしゃあ!リズベット様復活よ!彰斗、買い物行くわよー!」
「やっと、いつもの調子?遅いよ、全く……」
この笑顔を僕は守れたと思うととても嬉しく思う。
そして、僕はこの笑顔を守るために頑張ってきたんだとも思う。
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「それで、里香はなんで落ち込んでたんだ?」
「え?いや……その……私がここにいていいのかって思っちゃって。
あの二人を見てるとさ、同じ場所に立ってたから、ああやって隣に並んでても何もないけど、私は……彰斗の隣に立ってなかったから……ここにいていいのかなって……」
後半は本当にそう考えてたのか涙ぐんでいた。
そう考えていたということを知って、里香の状態を見て、自然と僕は里香を抱き寄せる。
「大丈夫、里香は立派に僕の隣にいるよ」
感情の起伏が激しく、友達思いがあって、とても優しい人……それが僕の自慢の彼女だ。
そういえば彰斗/アリスがエギルの呼び方で『さん』が消えてますが、75層に到達するまでに悪友と呼べるような間柄になる。
そう私が考えたので、呼び捨てになっております。