ソードアート・オンライン―黒の剣士ともう一人の少年―   作:出席する白ウサギ

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この話はストーリーとは関係がなく
IFの話です。
時系列はALOが終わってGGOが始まる直前という設定です。
一応本編はこの話と繋がるように進行しますがもしかしたらストーリーが何処かで分岐して繋がらないかもしれないです。


あと、作者のファッションセンスはほぼゼロです。
わかりにくかったり、なんか違うと思う方は脳内補完をよろしくお願いします。
それか、ファッションは作者が試し書きしただけなので無視でも結構です


番外 身近にいるサンタからの贈り物 前編

SAO事件が終わって一ヶ月が経過した。

だが、SAO事件は完璧に終息したわけではなく、須郷の手により極一部の人は現実に生還できず、ネット世界に囚われたままとなった。

だが、この拉致事件も無事に終息した。

SAO時代、名を馳せた『黒の剣士』ともう一人の少年の手によって。

それから約一年、厳密には一年たってはいないが。

 

「じゃあ和人、明日な」

「あぁ、明日は上手くいくようにしないとな」

 

僕――結城 彰斗――は自室で黒の剣士こと桐ヶ谷 和人に電話をかけていた。

内容は明日、12月24日……和人と協力してダブルデートを企画している。

和人の相手は僕の姉、明日奈と。

僕はSAO時代からのパートナーとだ。

なんとしても明日はデートを成功させる。

 

 

 

 

朝10時……より少し前の9時30分。

集合場所に姉と共に到着した。

 

「やっぱ和人いねぇし、姉ちゃんは遅めに来た方がよかったんじゃない?あいつがカッコつけれないし」

「いーの、キリト君が慌てる姿を見たいし」

 

相変わらずのラブラブ夫婦だと僕は悟る。

前にこのことをクラインに相談したら、似たようなもんって言われたし、エギルにも相談したけど、やっぱ家族だなって言われた。

どういう意味だっつうの……

 

「それにしても寒いわね、アキ、寒くない?」

「僕は大丈夫だよ、姉ちゃんこそ大丈夫?ロングコート着てるからって下はスカートでしょ?」

「大丈夫、タイツもあるからお姉ちゃんは寒くないよ」

 

僕は藍色のスマートパンツに白いダウンジャケットを着ている。

見えないよう、下に着こんでるから暖かい。

姉も僕と同じお揃いの色である白のロングコート、中に白メインに赤いラインの入ったセーターに赤いプリッツスカートにタイツっていう格好だ。

正直、色だけを見たら血盟騎士団時代の格好を思い出す。

 

「あれ、キリト君じゃない?おーい!」

 

いち早くこちらに来る人物に気づき手を振る。

そのおかげで向こうもこちらに気づき、手を振り返す。

 

「明日奈も彰斗もはやいな~、これでも十分前だぞ」

「僕達は三十分前だ」

「なっ!?そんなに前からかよ!明日奈もいるんだから連絡くれよ」

 

後半は僕にだけ耳打ちしてきた。

ふむ、確かに連絡してもよかったんだが、この光景を姉ちゃんは見たかったらしいよ?とは言えるわけもない。

 

「そこ、なに内緒話してるの?それにキリト君、私、二十分も待ってたんだよ」

「うっ……」

「うそうそ、別に怒ってないよ」

 

その言葉に安堵する和人。

 

「ごっめーん!遅くなっちゃった」

 

走っていたのか息を切らしつつ声をかけてくるのは僕達の良く知る人物だ。

 

「大丈夫だ、俺も今さっき来たとこだからな」

「キーリートー君!……はぁ、その言葉は私に向かって言ってほしかったな……。

でも急いでたけどまだ集合時間まで五分もあるよ」

「うんうんって、彰斗どうした?固まってるけど」

 

はっ!?和人の声で僕は我にかえる。

 

「あっ、えっと……おはよう里香、その……見惚れてた」

 

SAO時代、リズベットとして僕の隣に立ってくれた一つ年上の彼女、篠崎 里香に僕は見惚れた。

マフラーを巻いて黒と白のストライプシャツがグレーのロングコートの間から見える。

そして下は黒のミニスカートにタイツだ。

それと比べると和人って全身黒のジャケットにズボン……黒の剣士再来って感じ?

 

「みっ!?あ、ばば、ばっかじゃないの!近くに美人さんな姉がいるんだからそう思うなんておかしいんじゃないの!」

「あぁ!?僕は正直な意見を言っただけだ!嘘とかそんなんじゃないから!」

 

これが僕と里香の平常運転。

二人だけだとこうなるからダブルデートを組んだのだ。

 

「はいはい、リズもその辺にして、誉めてくれてるんだしいいじゃない!可愛いってよ」

「はうぅ……」

 

「彰斗、誉めてるのか怒ってるのかわかんないのはやめとけよ」

「あ、あぁ……すまない」

 

落ち着け、落ち着け僕。

いきなりこんなんだと最後まで持たないじゃないか。

 

「キリト君も少しはアキのように言ってくれればいいのに……」

「うん?なんか言ったか?」

「ばか……」

 

ちなみに僕は、こういったことがあるからフォローしてくれってことでお互いに納得している。

でも、これはフォローできないよね。

 

 

 

 

まずは四人で遊ぶことにしている。

最初の行き先は家から離れた場所にある、ちょっと広めの公園だ。

何故公園かって?

ここはお散歩コースとかで歩けるし、なにより自然豊かだ。

そして、僕達がSAO生還者<サバイバー>だからってのがあるかもしれない。

未だに現実<こっち>の景色を見ると感慨深いものがある。

二年っていう短い時間、この世界から離れて命をかけて戻ってきた。

それだけのことだけど、僕達はやっと帰ってこれたって思う。

なんていうか、言葉にしにくい。

 

「あーあ、もう少し雪積もってたらよかったのにな」

「キリト君って遊ぶことしか考えてないでしょ」

「んー、そうかもね」

「僕も雪は積もってほしいなって思うよ」

「あれ?アキも?」

「積もったら、里香と雪合戦したい」

「ふーん、この私……小学生時代、雪の女王と呼ばれた篠崎 里香様と戦いたい、と?」

 

雪の女王ってなんだよ。

僕以外にも和人や姉ちゃんも思ったらしく三人揃って笑う。

 

「ちょ、三人揃って笑わなくてもいいでしょ!」

「雪の女王様がいじめてくるわ、助けて黒の剣士様ー」

 

姉ちゃんの声真似(我ながら似てると思う)をする。

 

「ちょ、アキ!私はそんなこと言わないわよ」

「彰斗!てめぇ、覚えとけよ」

 

二人して顔を真っ赤にする。

意外と扱いやすいかも。

 

「黒の剣士様ー、はやくしてくれないと私、雪の女王に倒されちゃう」

「彰斗!今日、今ここで決着をつけてやる!」

 

ちょっと黒歴史を弄りすぎたかな。

 

「悪かったって、後で何か奢るから許してよ。

さ、里香も黙ってないでいこ?」

 

自ら地雷を踏み抜いた里香から自然と話の中心からそらしてから、立ち止まっている里香に手を差し出す。

 

「う、うん……その…………ありがと」

「ん……」

 

短く返事を返して和人達を追いかける。

時間的に次はお昼ご飯だね。

 

 

 

 

「たしか……この辺りに旨い店があるってエギルに聞いたんだけどな……ってあれかな?」

 

昼はエギル伝和人情報を便りにする。

外れも多いけど当たった時は本当に旨いし、なにより、何かしらの発見が必ずあるから楽しい。

 

「ここ、イタリアンのお店だよ?本当にあってんの?」

 

僕が訪ねると和人は唸る。

 

「ここであってるはずなんだよな……旨いカレー屋ってここのはずなんだよ」

「とりあえず入ってみよう」

 

僕と和人は進んで店に入る。

結果からいうとカレーは隠しメニューだった。

店主が元々カレー屋をしてたんだけど嫁がイタリアンをしたいっていうから店を変えたんだとか。

でも、諦めきれないから隠しメニューとして残してるそうだ。

 

「凄い!このカレー美味しい」

「本当?イタリアンのカレーでしょ?」

「リズも騙されたと思って食べてみてよ」

「そ、そう?明日奈がそこまで言うなら……」

 

恐る恐るといった感じで里香はカレーを口に含む。

 

「ここ?本当にイタリアン?カレー屋をやってた方が儲かるんじゃない!?」

 

どうやらお口にあったようでなによりだ。

 

「やったな和人」

「あぁ、今回は当たりのようで助かったよ……うっ!?」

「どうしかした?和人君」

 

ニヤニヤしながら僕は訪ねるを

やっぱ、悪友がいたらやるしかないよね。

 

「へへぇ、はへぇーにははひひへはは!(訳 てめぇ、カレーにカラシ入れたな!)」

「元々入ってたんじゃない?……ぐっ!?」

 

なんだ、急に口の中が熱く……

 

「ひ、ヒエェェェェ!!」

 

僕の叫びを聞いて唇を真っ赤にした和人が隠れるようにガッツポーズをとる。

それ、見えてるからな。

 

「二人とも!静かにご飯食べられないの?」

 

怒らせると怖い女神様のお説教により僕らは無我夢中無言で物凄く辛いカレーを口に掻き込む。

 

「「ごちひょうさま!!」」

 

ほぼ同時に僕と和人は食べ終わる。

よし、これで姉ちゃんの言いつけは守った。

僕は水を飲みほして戦闘体勢に入る。

 

「よくもやってくれたな、和人!」

「それはこっちの台詞だ、彰斗!」

「ふーたーりーとーもー……」

 

あ、やば……

僕と和人は錆の入った機械よろしく、ギギギと鳴りそうなレベルで声の主へと首を向ける。

 

「食事中は静かにしなさいって言ってるでしょ!!」

 

みんな、お食事はマナー良くしようね!




まだまだ、中編と後編に続きます

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