ソードアート・オンライン―黒の剣士ともう一人の少年― 作:出席する白ウサギ
『生』暖かい目でお願いします、本当はもっといい感じに仕上げたかったんです……
「なんで……なんでポリゴンにならないんだ!」
キリトのソードスキルで《The ax which shines》のHPバーは0になった。
しかし、いつになってもポリゴンにはならず、瓦礫のように壊れていくゴーレムが残っている。
「落ち着け!崩れ終わったらポリゴンになって消えるはずだ」
「そうだ、そうだ」
これから起こるべき事を想像して各々叫び始める。
「キー坊!キー坊!大変ダ、大変なんダ!」
特徴的な鼻音が被る甲高い声で小柄なプレイヤーがボス部屋に飛び込んできた。
「……アルゴ?どうして、ここに?」
「オレっちのことはどうだってイイ!大事な情報ダ。
ボスは……ザ・アックス・ウイッチ・シャインズじゃナイ!もう一体いル……」
情報屋、通称《鼠のアルゴ》の言葉と共にゴーレムはただの瓦礫へと変貌したが、ボス部屋にいるプレイヤーを囲む様に炎が灯る。
「ッ!全員、ポーション類を飲んで今すぐ回復しろ」
「キリ……ト君?」
「まだだ……アルゴの言う通り終わってない……あれを見ろ」
キリトの声に促されて全員、キリトの視線を辿る。
その先では左右から伝わるように炎が灯り、交差する。
そして交差する時に大きく炎が舞い上がると、その奥に巨大な影が出現する。
「《King of the ogre wearing flame》……炎を纏う鬼の王って……なんだよ、あれ……」
「キング・オブ・ザ・オーガ・ウェアリング・フレイム、それが本当の第二層のボスで、ザ・アックス・ウイッチ・シャインズはあいつの武器ダ」
アルゴの言葉に呼応するようにオーガは動き、手に持つ棒状の杖をゴーレムに向ける。
すると、杖に引き寄せられるようにゴーレムを成していた物は動き、やがて斧の形になる。
「離れろォ!!攻撃がくるぞ!」
斧を持ったオーガが攻撃のための予備動作に入る。
それを見てキリトが叫んだが、それは遅く、狙いをつけられたプレイヤーは斬り伏せられた。
「う、うわあぁァァッガ!」
「く、くるなァ!」
悲鳴と断末魔が共鳴するように鳴り響く。
「ちっくしょう、ここに来てこれかよ……」
「……エギル?」
「さっきまでの状況が覆されるとか冗談じゃねぇ、助けねぇと」
「だったら俺……も……」
だが、言葉は綺麗に続かず、自らの震えで立つことも出来なかった。
「無理はしなくていい……キリトにも言われてたろ」
「でも!」
「でもじゃねぇ!ハッキリ言う、そんな成りじゃ足手まといだ」
それだけ言うとエギルは前線の仲間を守るため駆け出す。
「足手……まと……い……」
声が消え入りそうなほどショックを受ける。
確かにソードスキルは使えないわ、特別強いわけでもない。
「畜生……なんで……なんで……」
分かっていた、自分自身が弱いことを。
強がってみせてたが心の底ではわかっていたことだ。
「キリト君!」
「わかってる!」
今でも一番前ではキリトと姉ちゃんが味方のフォローと攻撃役をこなしている。
僕もあそこに並びたかった……なのに……
「アーちゃんから聞いてるヨ、アリス……だったヨネ」
突然背後から話しかけられる、鼠のアルゴのものだ。
「一層で君の事が心配だっテ、アーちゃんから相談受けてたんだヨ」
「…………」
「まぁ、今の気持ち……わからなくもないヨ。
オレっちは元βテスターだ、だからこうやってキー坊のように前線に立って皆のためにできることをしタイ」
βテスターならβテスターなりに責任を取りたいって思う気持ちなんだろう。
「でも、オレっちは戦闘は苦手だかラ……ここには、キー坊と同じ所には立てなイ。
でも、そこで諦めずに、今の自分がやれることを探して、それをやればいいんじゃないカナとオレっちは思うネ」
「今の自分がやれること……」
「無理して合わせなくていい……ここはデスゲームダ、無理をすれば死ぬ……誰だってオーバーワークは求めちゃいないんダ」
その言葉で自分の中にある何かが埋まった。
いや、心のピースがピッタリハマった気がした。
「ありがとう、アルゴさん」
「ん?リッちゃん目つき変わっタ?」
「自分のやるべき事がわかったって、……リッちゃん?」
「そ、アリスだからリッちゃん」
その後耳打ちで男だということもバレてるヨって言われた。
「いや、言ってないだけで隠しては……ないけど」
僕の言葉を聞いてアルゴさんは苦笑する。
「そんなリッちゃんにオレっちからアドバイス。
あの斧はクリティカルが入ると麻痺が入るんダ。
でも、攻撃は大振り……それも縦に振り下ろすか横に振るうかダヨ」
「滅茶苦茶に振るってるように見えるけど」
「それが違うんだナー、斬撃は必ず狙われた人の縦か横に振るわれてル。
リッちゃんならかわせる」
言葉だけを聞けば簡単そうでも現実……目の前の光景はそう簡単ではない。
「ンー……」
「な、なに?」
急に首を傾げて唸る……なんか小動物的な可愛さがある。
「黄色いカチューシャに制服いいんじゃなイ?」
「それ、け○おん!だから駄目、絶対」
「否定されるって思ってなかったから驚いたナー」
「だいたいこの会話が戦闘中にでてきた方が驚きだよ……」
「で、リラックスできタ?」
「え?」
これには驚いた。
無意識下でのプレッシャー等による緊張、これをアルゴさんはほぐしてくれたという。
「こういうことやってるとわかってくるんだゼ、オレっち凄いっショ。
それといまさらアルゴさんじゃなくてアルゴでいいヨ、さっきから背中がむず痒くテ」
呆然としている僕にハニカミかけてくれる。
アドバイスもくれた上に緊張もほぐしてくれた。
だから、感謝の気持ちを伝える。
「ありがとう、アルゴ……行ってくるよ……みんなを助けに」
「応!」
僕が助けるのは姉ちゃんだけじゃない、ここにいるプレイヤーだけじゃない。
ここ、SAOにいる全プレイヤーを助けるためにみんなは戦っている。
それに気づいた僕は、やっと……やっと同じステージに立てた気がする。
--キリト視点--
「アスナ!スイッチ!」
「了解!」
βテストにはいなかった敵だから苦戦はした。
でも、攻撃は斧を振ってくる単純な攻撃だ。
それも大振りだから攻撃を掻い潜ってこっちが攻撃していけば勝てる。
「うおォォォ!!」
パーティメンバーのアスナによる攻撃が終わり、スイッチをして再び俺の攻撃。
ソードスキルを放ってHPバーを減らす。
「おいキリト、バーはあと一つだけだ!」
後方からエギルの声が聞こえた。
いける、もう一息。
そう思って俺はさらに追撃をかける。
だが、敵も黙ってるわけじゃなかった。
壁際までバックジャンプで下がり斧を炎にかざす。
「炎が……エンチャントみたいなものなのか?」
「エギル!たぶん、攻撃パターンの変更だ」
--気を付けろ--
そう叫ぶ前に敵は動く。
炎を纏わせた斧を地面に叩きつけることで火柱が発生し、視界から消える。
「キリト君、危ない!」
アスナの声を聞いて振り返ると炎の中から巨大な影が突進してきていた。
慌てて剣を横にして前面に構える。
防御用ソードスキル『2ブロック』、これで少しでもダメージを減らす。
だが、簡単に俺は吹き飛ばされてしまった。
「キリトォ!!」
「キリト君!!」
エギルとアスナの声が聞こえた頃には地面に叩きつけられていた。
……そうだ、HPは……レッドゾーンに入ったところか。
「キリト君、キリト君!」
「大、丈夫だ……まだレッドゾーンになっただけだ」
「これ、回復ポーション」
駆け寄ってきてくれたアスナからポーションを受け取って……ッ!!
「アスナ!!後ろ!」
炎のように赤く輝く斧が振り下ろされる。
だが、気がついたところで今の俺じゃ受けきれるHPもないし、行動したところで防御力もない。
「はあァァァ!!」
俺とアスナの前に金色に輝く剣を持って思いがけない人物が現れた。
それは先ほど『死』という存在を感じたことで恐怖を感じ、動けなくなったあいつだった。
しかも、ソードスキルは使えない。
剣の筋はそこそこ、敵の攻撃にあわせて動くこともできたからVR適性が高いか現実での身体能力が高い--姉も似たようなことから後者だと思われるが--あいつがいた。
金色の髪に女のような顔、どこか不思議の国のアリスを思わせるようなキャラメイクをしたやつが。
「アリス!」
「ごめん、待たせたね」
斧と剣が接触し、物凄い衝撃波を感じた。
そして…………アリスの金色に輝く剣が赤く輝く斧を押し切って敵の体勢を崩させる。
体勢を崩すことで隙を作ったアリスは俺とアスナの方に顔を向ける。
「キリト、姉ちゃん!」
そこには恐怖を感じていた顔はなく、勇気を感じさせる勇ましい顔があった。
どうです?いい話っぽくなったんですけど私の経験とかがないせいで上手く書けていませんorz
他にも表現とかガガガ
これでも前の話を投稿して二日後から今日まで悩みに悩みました(笑)
てなわけで、アルゴ初登場
正直書いててこんなにカッコイイこと言う奴だったっけ?って書き終えて凄く思ってます。
あと、若干アルゴが暴走もしてますw
ちなみに私は律が好きです……え?私の趣味だから出したんじゃないかって?やだなぁもうアハハ
さてさて、今回アリス君が正体不明の力を使いました。
これはなんなんでしょうねー(棒
いつでも感想お待ちしてます
(ここから予約投稿をしてからの追記)
問題発生……この作品と似たような名前の作品があるじゃないですかやだ〜(リアルに知らなかった)
仮題に近い形で決めたわけで、この際だからタイトル変えてもいいかなって思ったんですよ……
でも、一向に思いつかないという……orz
どうしたらいいんだろうか……