インフィニット・ストラトス 忘れ去られた恐怖とその銀龍   作:妖刀

69 / 81
お久しぶりです。学校の実力テストだのいろいろあって執筆がまともに出来なかった妖刀です。
とりあえず昨日、「特撮のDNA展」に行って来て、様々な東宝怪獣の写真を撮ってきました。何がいたかは全部は言えませんが、ゴジラ(1999)もいましたし、一部ゴジラの皮膚を実際に触れるコーナーもありましたので、ゴジラ好きならとても楽しめるものでした。



そしてこれからも投稿が遅れる可能性が大ですが、銀龍の応援をよろしくお願いします。

では、本編どうぞ


臨海学校

「海だぁ!」

 

トンネルを抜けた先で、一人の生徒が声を上げる。

臨海学校初日、天候は恵まれて快晴。バスから見える日の光を反射する海を見て生徒たちは、先ほどからテンションが高まってきている。

 

「おー、やっぱり海は良いなぁ」

 

「う、うむ。そうだな」

 

バスの中の一番後ろで一夏の隣にいるのは箒だ。だが箒は、一夏が隣にいるせいか緊張しており、声を上ずってしまってる。そんな箒を見て一夏は首をかしげるが、まあ、あまり気にしないことにした。というか、先ほどからセシリアの視線がとても痛いのだ。そしてラウラもこちらを見ているが、どちらかというと興味のような視線のため、まだ安心できる。

その中、航はバスの一番後ろの右側の窓側の席に座っており、小さく寝息を立てていた。

あの事件の後、刀奈に病院に連れていかれ、緊急手術を行われようとしたが()()だったため、2日ほどの検査入院をし、そしてIS学園へと戻ったのだ。まあ、学園ではいろいろ聞かれるわ大変だったが、担任の方にはすでに連絡が入ってたのか、千冬の一声でその騒動はすぐ収まった。

その後、航は軋む体に少し無茶を言わせてバスに乗り、そして現在、眠りについてるのだ。

そして彼の隣には本音がおり、航が最初寄りかかるかのように寝てしまってたが、別に不快に思っておらず、むしろそのまま膝枕に持って行って寝かせていた。

そして千冬がもうすぐ旅館に着くことを知らせると、航の頬をプニプニと突くように起こす。

 

「わーたん、起きてー」

 

「ん…あぁ……」

 

「ねーねー、もうすぐ着くよー」

 

「ぁ、あぁ、わかった。起きるから……って本音、なんで膝枕?」

 

「ん~なんとなく~?」

 

航は顔の横に本音の見た目に反した乳房が乗っかってることに気付き、顔を少し赤くする。そして起き上がる頃、バスは目的の旅館である花月荘へとたどり着くのであった。

 

 

 

 

 

そして生徒たちはそれぞれの部屋に向かい、そして水着に着替えて海で遊んでいた。一夏も例外でなく、すでに水着に着替えて海に向かうが、砂浜が熱されたおかげで、彼は急いで走っていた。

 

「あちちっ!海へ急がないと!」

 

一夏は砂浜を走り、一目散に海へと向かう。そして波打ち際にたどり着き、足に波がかかり、一夏はいい笑顔で何か1人頷いてる。

 

「やっぱり砂浜はこう暑くないとな」

 

とりあえず足を冷やし、一夏はそのまま泳ぐ前に準備体操を始める。背筋を伸ばしたりいろいろしていたが……。

 

「い・ち・かー!」

 

「うおっ!?」

 

背中の方から強い衝撃が走る。それで倒れそうになる一夏だが、意地でもどうにか堪え、そしてなにが当たったのか、顔を動かすとそこには、特徴的なツインテールの女の子の姿が見えた。

 

「いてててて…鈴か」

 

一夏が目をやると、そこにはカラーがオレンジと白のストライプになった、スポーティなタンキタイプの水着を着てる鈴がいた。

鈴は目をキラキラ輝かせて一夏を見ており、一夏はどう反応すればいいのか少し困ってしまう。

 

「り、鈴、どうした?」

 

「どう!私の水着姿、可愛いでしょ!」

 

「とりあえず背中から降りてくれ。じゃないと見えねえから」

 

「嫌よ。このまま一夏は私の監視塔になって」

 

「ちょ、監視塔ってなんだよ!」

 

一夏がそういうが、鈴はお構いなしにそのまま一夏の背中をよじ登り、一夏に肩車をしてもらう。

 

「おー、高ーい」

 

「結局見えねえじゃねえか…」

 

「べ、別にいいのよ」

 

そういって鈴はそっぽを向く。それが見えた一夏は小さくため息を吐き、とりあえずどうしようかと思いながら、腰までの深さまで来た時だ。

 

「お前ら、何してるのだ?」

 

声のした方を向くと、そこには髪を1対のサイドアップテールにした黒の水着を着てるラウラがいた。

 

「おお、ラウラか。可愛い水着してるな」

 

「か、カワイイ、だと…?」

 

「おう」

 

それを聞いたラウラは顔を真っ赤にするが、鈴の方は不満げな顔をしており、そして一夏のこめかみに鈴が拳をグリグリと押し付けた。

 

「いでででで。鈴、何すんだよ!」

 

「別に」

 

不機嫌そうにそっぽを向く鈴。まあ、これを見たラウラは平常心を取り戻し、先ほどの質問を繰り返した。

 

「で、何をしてるんだ?」

 

「肩車よ。いいでしょ、周りがよく見えるわ」

 

鈴はドヤ顔で答える。実際周りにいる生徒たちは少し羨ましそうな目で見ており、鈴はその優越感に浸っている。

 

「肩車?ほう、つまり鈴は性器を一夏のうなじにこすりつけてるということか」

 

その指摘に鈴の顔はどんどん赤くなっていき、そしてじたばたと暴れ出した。

 

「はにゃあああ!!!」

 

「ちょ、暴れんな、うおっ!?」

 

鈴が暴れた結果、一夏はバランスを崩してしまい、2人そろって海に倒れる。そして海面から、ずぶ濡れの2人が出て来て、ラウラの方を見ていた。

 

「「ラウラ~?」」

 

「す、すまなかった……」

 

それを見たラウラは、おとなしく謝るのであった。

 

 

 

 

 

その後、一夏たち3人は他の女子たちがビーチバレーしてるということで、そっちの方に参加して楽しん出たりしていた。

だがずっとやってるとさすがに疲れ、流石に熱さに慣れた砂浜に腰を下ろす。

 

「あー、流石にあれだけボールを打ってると手が痛くなるな…」

 

「一夏―。私とあのブイまで競泳しましょー!」

 

「さて、泳ぐとするか」

 

鈴に呼ばれたため、「どっこいしょ」と掛け声をして一夏が立ち上がった時、彼は後ろに1人の女子がいるのに気づかなかった。そしてその女子生徒から声を掛けられる。

 

「い、一夏。ちょっといいか…?」

 

「おお、箒、やっときた、か……」

 

その姿を見たとき、一夏は言葉を失った。なぜなら声の主、篠ノ之箒は白のビキニを着ており、その豊満な乳が大きく主張をしている。だがそれより、きれいな箒の姿に見惚れていたのだから。

 

「ど、どうだ…。私に似合う、か?」

 

「お、おう。とても綺麗だぜ」

 

「き、綺麗だと!?」

 

それを聞いた箒は顔を真っ赤にする。だがこの時、一夏の視線が箒の胸の方に行っており、それに気づいた箒は胸を抱きかかえて隠すようなしぐさをし、頬を赤くして一夏の方をチラチラとみていた。

 

「あ、あまり見るな…。照れるだろうが……」

 

箒はもじもじとしており、普段見せない仕草のせいか、それとも肌を大きく露出させてるせいかわからないが、一夏の頬は赤くなっており、箒と目が合った時、お互い同時に目をそらした。

その時、鈴が一夏の腹に思いっきり平手打ちをした。パァンととてもいい音が響き、一夏のお腹には見事なもみじ模様ができる。

 

「うぐっ!?何すんだよ!」

 

「鈴!貴様、一夏を―――」

 

「そんなにでかいのがいいわけ?!」

 

鈴が怖かった。反論しようとした一夏が、一瞬で口を閉ざすぐらいに怖かった。

それを見た箒も口を閉ざすが、鈴の目は完全に箒に狙いを付けていた。それに気づいた箒は、急いで逃げ出そうとしたが……。

 

「逃がすわけないでしょー!」

 

「ちょ、待て…ひゃあ!」

 

鈴は一瞬で箒の後ろの回り込み、その豊満な胸を乱暴に揉み、箒は顔を真っ赤にして鈴を引きはがそうとした。だが鈴の力は見た目より強く、そう簡単にはがれてくれない。その間にもずっと揉まれ続け、箒の口から小さく嬌声が漏れる。

 

「これでしょ!これで一夏を誘惑してんでしょ!よこしなさい!私にー!」

 

「り、鈴…!まって、くれ…ひゃあ!そんなに揉んだら……!」

 

箒が体をクネクネさせており、それを鈴が揉んでる。それを見ていて一夏は顔を真っ赤にし、大人しく海へと逃げた。

そのとき、遠くでパラソルを立て、一夏にサンオイルを塗ってもらおうと思ってたセシリアが箒と鈴の姿に気づき、急いで彼女たちの元へと寄った。

 

「り、鈴さん!そんなにしたら箒さんが」

 

「お前もデカ乳か!」

 

「きゃあ!鈴さん!お止めください!」

 

止めに入ろうとしたセシリアの胸が視界に入り、鈴は次の目標をセシリアと定め、ビクンビクンとしてる箒を放ってセシリアの胸を乱暴に揉みだした。

周りの生徒もそれを見て顔を真っ赤にしており、結果的に水着姿の千冬にげんこつをくらって、強制停止させられるのであった。

そんなこんながありながら、冷静に戻った鈴は一夏がいないことに気付いた。周りの面子も遅くながらもそれに気づき、声を上げて一夏の名を呼んだ。

 

「一夏―!どこに行ったのよー!」

 

「一夏―!どこだー!」

 

「一夏さーん!」

 

そう呼ぶが一夏は一切姿を見せず、生徒たちはとても不安げな表情を浮かべていた。それは副担任の真耶も例外でなく、ただ千冬はため息を吐いて頭を抱えていた。

だがその時だ。

 

「獲ったどー!」

 

海面からサザエを高く掲げる一夏が出てきたのだ。それを見てキョトンとする一同だが、それに気づかぬ一夏は顔を出したまま、スイスイと泳いで浜辺に戻ってくる。そして海から出てきた一夏の手にはサザエやハマグリがいくつも抱きかかえており、そんな一夏はとても満足げな顔をしていた。

 

「ただいまー。見てくれ、こんなにたくさん取れたんだ、いでっ!?」

 

「馬鹿者。周りを心配させるな」

 

一夏は周りを見渡すと、いろいろ心配そうな目で見てくる生徒、そして今にも怒り出しそうな箒たちなどがいたため「ごめん」と謝り、とりあえず近くにあったバケツに獲ったものを入れる。

 

「一夏は潜水得意なのか」

 

バケツの中を覗いたラウラがそう言う。

 

「まーな。ただ俺のはまだまだな方だ。連続で10分とか潜れないしな」

 

「何?そんな奴がいるのか」

 

「航だよ。あいつ、肺活量がすごいから10分は軽く潜るぞ。中学生のときさ、それで伊勢エビ捕まえてきたのはさすがにビビった」

 

笑いながらそう言うが、それを聞いたラウラ以外の周りは軽くドン引きしている。

まあそんなこともありながら、一夏は再び女子たちと遊びに戻る。

だがそんな時だ。

 

「ん、今のって……」

 

一夏は遠くの大きな石の上にいる兎耳を付けた女性の姿を一瞬見たが、すぐ消えてしまったため気のせいだと思い、また遊ぶのだった。

 

 

 

 

 

一夏たちが外で楽しんでる間、航は自室で仰向けに倒れて天井を見ていた。別に水着を忘れたわけではない。だが航は、ただ外で遊ぶ気になれず、冷房の効いた部屋の中1人になっていた。

その時、扉のノックする音が聞こえ、航は起き上がって扉を開ける。するとそこには制服姿の簪が立っていた。彼女は周りをきょろきょろとみており、まるであまり見られたくないかのような仕草をとっていた。

 

「簪……?」

 

「ちょっと、いいかな……?」

 

「あぁ、入ってもいいぞ」

 

簪を招き入れ、航と簪はお互い向き合うように座る。そして航は彼女に部屋に備え付けのお茶を入れて渡した。

 

「まあ、粗茶だけど」

 

「あ、ありがとう」

 

そして何しに来たのか話すかと思えば、簪は口を開かない。少しオロオロした感じの仕草でちょいちょい航を見てたりする。

どうすればいいのか悩んだ航だが、不意にこの前のことを思い出し、そのことで頭を下げた・

 

「簪、この前は怒鳴ってすまなかった」

 

「んん、私もあの時いろいろ聞いてきてごめんなさい……」

 

この後お互い謝りあってたが、不意にどちらかが笑いだし、結果的にお互い水に流すことになった。まあこれが要因かわからないが、簪の中の緊張がほぐれたのか、やっと彼女がちゃんと口を開いた。

 

「あのね、お姉ちゃんから航が襲われて怪我したたって聞いて…」

 

「あー、お見舞いか?まあ、ありがと」

 

「う、うん……。それで、傷は…?」

 

「あぁ。見てみるか?」

 

そういって航は左手の甲を簪に見せる。そこにはナイフが刺さった痕が残っており、ひっくり返した手の平にも貫かれた痕がある。だが傷跡は既に、数年前に怪我したかのようなほぼ分かりにくいものになっており、パッと見では見分けつかない。

 

「本当に、怪我したの……?」

 

「したんだが、さっさと治った。まあ、おかげで死なずに済んだがな」

 

「まるでウルヴァリンみたいだね」

 

「ん?たしか…金属の爪を生やすアメリカのヒーローだっけ?」

 

「うん、そうだよ」

 

そして楽しそうにそのことを話し始める簪。彼女はヒーロー番組とか見てるため、アメリカのヒーローものも好きなのだろう。彼女が楽しそうに話しているため、航は相槌を打ったりしながら彼女の話を聞き続ける。まあ彼女の話を聞くのは面白く、航も楽しそうに会話をしていた。

そんな時、簪は航が少し不思議そうに自分を見てることに気付いた。そのことについて聞いてみたら、航は少し苦笑いを浮かべた。

 

「ん、あぁ…。簪が、こう話しかけてきたのが久々だからな。こう、嫌われてんじゃねえのかなって思っててさ」

 

「そ、それは……」

 

彼女はそのことを自覚してたのか、小さく目をそらしてしまう。

 

「なあ、簪。お前は俺のこと嫌いか?」

 

「……わかんない」

 

「そうか……」

 

「理由、聞かないんだね」

 

「なんとなく想像は付く。俺はヒーローとは違って女々しくて弱い男だからな。そんな男を好きになるなんてもう楯無ぐらいしかいないだろ」

 

航はそんな自虐に乾いた笑いを浮かべる。それを見た簪は、すこし不機嫌そうな顔を浮かべてジト目で航をにらむ。

 

「……ねえ、どうして弱いって思ったの?航、強いのに」

 

「俺は弱いよ。IS学園に入ってから楯無に頼ってばかりだ。それに、父さん母さんが殺された後、俺、楯無を……」

 

「たしか、お姉ちゃんの偽物がおじさんとおばさんを……」

 

「知ってたのか」

 

「うん…お姉ちゃんが教えてくれた……それで、お姉ちゃんが航に殺されそうになったのも……」

 

ドンドン声の大きさが小さくなっていく。それもそうだ。目の前にいるのが実姉を殺そうとした男が座ってるのだから。おまけに少しずつ挙動不審になり始め、体も震えている。

 

「そうか。…簪、もうこの部屋を出た方がいい。俺と一緒にいたら辛いだろ」

 

「それは……ごめんね。もう少し落ち着いたら、また……」

 

そして簪はトボトボと部屋を出ていくことにした。そして扉を開け、簪は最後に彼と目をわせた。

 

「航。お姉ちゃんのこと、信じてあげてね…」

 

そういってパタンと扉を閉じる。ただ彼はそれを見送った後、ぱたりと畳の床に倒れ、横になって小さくため息を吐く。

 

「刀奈のことを、か……」

 

そして同室の相手こと山田真耶が帰ってくるまで、彼は眠りにつくのであった。

 

 

 

 

 

航と別れた後、あれから簪は暗そうな表情のまま歩いており、自室を目指す。

 

「……昔は好きだったんだよ、航。でも…壊れたときから怖くなって逃げちゃったし。私には…それでもお姉ちゃんの様に付き添うなんて無理だよ……」

 

そう呟いた言葉は誰にも聞かれることなく、簪は小さくため息を吐いて自分の部屋に戻るのだった。

ただ航の心居続ける彼女を恨み、そんな航を愛する自分の姉を羨んだ。




航にとって彼女はいったい何なのか…。




そして銀龍、次回を今月中に出せたらいいなぁ・・・

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。