インフィニット・ストラトス 忘れ去られた恐怖とその銀龍   作:妖刀

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どうも、艦これの夏イベでヒーヒー言ってる妖刀です。
後段作戦、何なんだあのカオスは……。(旗風カワイイヤッター)

では本編どうぞ!


脱皮

ここは中央太平洋。そこの水深1000mのところでゴジラは力を蓄え、そして眠りについていた。だがある日、ゴジラの元にとある感覚が走り、そして目を覚ます。

 

「グォォォ?」

 

それは、殺意と憎悪の混じった感覚だった。だがゴジラからしたら、とても懐かしい感覚だった。自分の親が殺されたときのあの感覚、あの時の記憶がよみがえり、少しイラつきに変わったゴジラは小さく唸り声を上げた。

だが不意に、どこから来たのか気になってしまった。自分の同族はもういない。すでに独りぼっちのゴジラは同族がいるのかと僅かに期待したが、この気配に若干人間に似た気配が混じってるのに気づき、少し嫌悪感をを感じる。

 

 

――また人間が我々の同族に何か手を出したのか――

 

 

機械の体にされた親を思い出す。人間の勝手で化け物にされ、そして人間の勝手で殺された。それどころか人間は、自分たちの勝手で親の遺骨を引き上げた挙句、自分を殺すための道具として使ったのだ。

それでひどい目にあわされた。

痛かった。辛かった。

親の感覚がする機械のゴジラにゴジラはひたすら傷つけられた。呼びかけても親はうんともすんとも言わない。結果的に冷たい、痛い攻撃でゴジラは悲しみに暮れながら海に消えていった。

それから1年の時間をかけて傷の大体を癒し、今度こそ取り返すために日本に上陸した。人間の攻撃は脆弱で、自分を止めれるほどの威力もない。それで骨がある場所を目指して移動をしていたら、モスラがゴジラを止めるために立ちふさがったのだ。

 

 

――止めてください!そうやって憎しみを増やすのですか?――

 

 

――親を、家族が俺を殺す道具にした人間を護ることに何の意味がある!そこをどけ!――

 

 

モスラの言うことを突っぱね、そのまま己の力でねじ伏せる。そしてとどめを刺そうとした時だ。そう、親の骨がやってきたのだ。

そしてゴジラは骨を取り返そうと、そして前のリベンジを果たそうと戦った。だがしかし、モスラの幼虫が邪魔をしてきて集中できない。イラついたゴジラは幼虫を焼き払おうとしたとき、成虫が2匹をかばって死んだ。

そして幼虫が怒りの形相でゴジラを睨みつけてきたとき、ゴジラはその姿がなんとなく昔の自分に見えてしまった。

だが引くわけにもいかない。最初から出てこなければやられなかった。ただそれだけだ。正直胸の傷も痛み出すため、さっさと終わらせたかったのだが……。

結果、無理だった。腹に穴を穿たれ、胸の傷にも攻撃してきて、そしてモスラの糸によって行動不能にさせられる。

 

 

――助けて――

 

 

あの時、そうつぶやいたのか覚えてないが、小さく口が動いた。

その時だろうか。何十年前に感じてた、あの懐かしい感覚があったのは。その後彼女に抱きしめられ、そのまま日本を離れていき、そして2体は海に飛び込んだ。

海底へ没してく中、あの時“ごめんなさい”と言われた。何で彼女が謝るのか。悪いのは人間ではないか。ただゴジラは理解できなかった。だが、“ただいま”の言葉を聞いたとき、ゴジラは小さく“おかえりなさい”とつぶやいた。そして痛みや疲れで、ゴジラは永い眠りについたのだ。

 

 

 

ゆっくりと瞼を開くゴジラ。そしてその眼つきは鋭い物へと変わっていく。

 

「グルルゥ……」

 

またあの悲しみを繰り返すのか。ゴジラは怒りを隠せなかった。そしてゆっくりと立ち上がり、背びれがチカチカと光らせ、地面に向けて熱線を吐く。

 

「グルォォォオオオオ!!!!!」

 

力は十分に貯まった。十分に動けると判断したのか、尻尾を大きく振りながら大きく吼えるゴジラ。

そして海底を強く蹴り、そのまま尻尾を強く振り、それを推進力にして移動する。

ついにゴジラは動き出した。目指すは日本。この気になるモノの答えを知りに、50ノットの速度で動き出した。

 

 

 

 

 

 

ここは東京渋谷。その渋谷湖湖底では、大型化したメガヌロンにとある変化が起きようとしていた。

 

「ギッ……ギィ……」

 

時折背中を震わせ、顎を小さく動かしながら苦しそうな声を上げている。

先ほどまでメガニューラからのエネルギー提供を受けており、周りにはメガニューラの死骸が漂っている。そのため()()()()()をするための体力にも問題ない。

メガヌロンは背中に意識を集中させ、背を震わせるように体を蠢かす。

 

 

ビチンッ

 

 

水中に何かが裂ける音が響き渡る。これでメガヌロンの体がビクンと反応した後、動かなくなった。いや、背中を中心に若干動いている。

そしてメガヌロンの背中に何か、背びれのようなものが見えてきた。

そうだ。最後の脱皮が始まったのだ。

 

「ギッ、キィィ……」

 

脱皮というのは命がけだ。これが失敗すればこれまでの努力は無に帰るどころか、己の命を落とす羽目になる。そのためメガヌロンは成虫になるため、慎重に古い体から新しい体を引っ張り出していく。その亀裂は背中から頭の方にまで走り、ゆっくりと体が出始めた。

その時だ。赤い複眼が幼虫の体から覗かせたのだ。ビキビキと言う音と共に新しい体を少しずつ引っ張り出し、そしてメガヌロンの時とは違う、鋭い顎をのぞかせた成虫は空を見上げた。

 

「キュアァァァァァァ!!」

 

この時、超翔竜(メガギラス)の産声が水中にこだました。

 

 

 

 

渋谷のビルの屋上にて陸上自衛隊がテントを立てて臨時の司令部を作り、そこから渋谷湖の調査を行っていた。

ある日の夜、その司令部にて、私服姿の男、工藤元は隊員に言われた言葉にキョトンとしていた。

 

「はー?壊れたー?」

 

「はい……」

 

「まー、わかった。2号機あるからそっち使って。じゃあ1号機は修理するから」

 

「おねがいします」

 

隊員から渡されたエイの様な赤い機体をもらった、元はテントの中に戻って早速修理を始める。

 

「どーいうことだー?早々壊れない様に作ったんだぞ?」

 

そして赤いエイのような機体ことSGSのカバーを外し、内部の基盤とかを外に引っ張り出す。基盤は何かによってあちこち亀裂が入っており、配線もズタズタになってしまっていた。おかげで、慎重に引っ張り出さないとすぐに崩れてしまいそうだ。

 

「おいおい、どうなってんだこれ…。まるで何かにかき乱されたみてえじゃねえか……」

 

さすがにこれをすぐに元の状態に戻すのはほぼ不可のため、大人しく予備の基盤等々を出して、SGSの中にとり付けていく。他に悪い部分を調べていくとモーターなどもおかしいため、結果的に外装以外、ほとんど総取り換えになりそうだ。

 

「いったい水の中で何があったんだ?外装に傷がないからメガヌロンに襲われたとかじゃないはずだけど……」

 

何が原因なのかわからないため、腕を組んで首をかしげる元。

そんな時だ。

 

「おい。この機器、調子悪いぞ?」

 

「はぁ?待て待て、最近入ったばかりの奴がもう調子悪いわけないだろ」

 

「なら見てくれ」

 

何か周りの危機の調子もおかしい。これらの症状が出始めたのは今日の昼過ぎからで、修理できる分はしていってるが、それでもいまいち調子が直らないのが多数だ。

おかげで仕事もままならず、無駄に時間を浪費してしまうためどうにかしたいと思ってるが……。

その時だ。計器の1つが、何か異常な反応を出し始めたのだ。

 

「おい!あそこを探照灯で照らしてくれ!」

 

隊員の声により、設置されてた3つの探照灯が、ビルの目の前に広がる渋谷湖を照らし出す。そこには無風のため波紋がほとんどなかったのに近くに見える建物、渋谷109の近くで大きく波紋が出てるのだ。

 

「工藤さんは早く下がってください。後は私たちが」

 

「あっはい」

 

流石に指示に従って大人しく逃げようとする元。だがその時、大きく水から何かが出る音がしたため、立ち止まって後ろを振り向くと、そこには巨大な蜻蛉、いや、超翔竜がいた。

 

「チュィィァァアアアアア!!!!!」

 

「こいつが、メガギラス……」

 

体の色は紫で、翼長70mはあろう巨大な翼が4枚生えている。前腕には巨大な鋏が1対生えており、残りの脚は3対生えている。そして長い腹、もとい尻尾の先には鋭く長い針が3本生えており、まさに巨大なメガニューラのように思えたが、顔は全く違った。

まるで爬虫類のような顔つきにも見えるが、少し平たい、若干人間っぽさもある。そして口には鋭い牙が多数生えそろっており、赤い複眼が2つ、暗闇でも浮かび上がるように輝いていた。

メガギラスは周りを確認するかのように緩やかに旋回しながら飛び、そして渋谷109の屋上に脚を下す。

 

「チリリィ……」

 

メガギラスは翼をゆっくりと上下にはばたかせ始めるが飛ぶ気配がない。だが羽ばたく速度がどんどん早くなり、ついには残像が見えるほどになり始めた。するとどうだ。キィィィィンという音が耳を切り裂こうと言わんばかりに鳴り響き、元や自衛隊の隊員たちに襲い掛かったのだ。

 

「高周波だっ!」

 

鼓膜を一瞬で破りそうな音が耳を襲い、彼らはとっさに耳をふさいだ。だがその衝撃はとても大きく、頭が大きく揺さぶられたのではないかと思うほどだった。おまけにこの高周波によって、周り建物のガラスも一斉に割れて降り注ぎ、電子機器類が一発で壊れ、この基地周辺が一斉に暗くなる。

 

「チュィィァァアアアアア!!!!!」

 

そのとき、メガギラスが吼えた。そして暗闇の中、ついにその巨体を空中に上げ、翼を高速で羽ばたかせ始める。そしてメガギラスは元たちがいる方向へと瞬間移動と思わせるあのような飛行をし、その衝撃波で周りの建物が崩れ始めたのだ。

それは元たちの場所も例外でなく、彼らは建物が崩れていく中、必死に走って逃げる。だがその姿も、瓦礫によって舞い上がる土埃によって見えなくなっていき、ただ夜闇に建物が崩れる音だけが響き続けた。

 

 

 

後日、工藤元の他、自衛隊員5名が重傷ながらも救助された。彼らの口からは「メガギラスが……」とうわごとのように言っていたという。




このメガギラスは生頼範義さんのポスター版がイメージです。


そしてゴジラについてですが、これは完全な自己解釈のため「何言ってるんだ?」とか「お前の考えは絶対違う!」とか言わないでいてくれると助かります。
なお自己解釈は他いくつか案がありましたが、結果的にこれになりました。

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