インフィニット・ストラトス 忘れ去られた恐怖とその銀龍   作:妖刀

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今回の怪獣学で紹介する怪獣は……本編見てね!


怪獣学 1

翌日、二人は7時半頃に起床し、楯無は航の眉間と後頭部にできていた傷口をチェックする。

 

「よし、しっかりと傷口は治ってるわ」

 

その後制服に着替え、二人は食堂へと向かう。ただ1年、2年、3年と食堂の場所が違うため、途中で別れる羽目になるが。

そして航は朝食の海鮮丼大盛りをもって座れる席を探していた。

 

「お、一夏のとこ誰もいないじゃん」

 

そして一人で食べている一夏を見つけ、そこへ向かう。そして軽く確認をとり、席に着いた航は、箸を持って一気に海鮮丼を口に入れていく。

 

「ん、うめえ」

 

「……なあ、航」

 

「ん?何だ?」

 

この時一夏が真剣な顔でこっちを見る。航は口に入れてたのをさっさと飲み込んだ後に一夏をしっかりと見る。

 

「昨日は本当にすまなかった」

 

一夏は頭を下げて謝る。だが航は訳が分からないという顔をしていた。昨日怪我したのは一夏のせいではなく、箒のせいだというのに。

 

「一夏、なんでお前が謝るんだ?」

 

「俺が箒を怒らせることをしてしまったせいでお前を巻き込んでしまって……」

 

そう言って一夏は頭を上げない。そんな姿を見た航は溜息を吐く。

 

「頭を上げろ」

 

「えっ」

 

「いいから」

 

そう言われたため恐る恐る頭を上げる一夏。そして見たのは少し困り顔を浮かべる航の姿である。

 

「お前はさ本当にそうやって誰でも彼でも人を庇うよな。その癖、少しは直したらどうだ?何時か痛い目見るぜ?」

 

「そ、それは「わーたん、隣いい~?」へぁ?」

 

この時間延びした声が聞こえたため、一夏は気の抜けた返事をする。そこにいたのは本音を含む1組女子達3人である。

 

「お、織斑君。篠栗君、ここの席、いいかな?」

 

「別にいいけど」

 

一夏がOKをだして女子達は席に着く。その間も航は海鮮丼をガツガツと食べており、周りを気にする様子もない。

 

「あのぉ……」

 

女子が話かけるも返事無し。もう一方が話しかけても返事無し。本音はそんな二人の肩を叩いてなぐさめていた。

そしてやっと食べ終わったのか、航はどんぶりをテーブルの上に置く。

 

「ふぅ、ごちそうさま」

 

航は飯を食べだすとそれに集中して話を全く聞かなくなることが多い。そのため、先程から本音以外の女子2人が航に話しかけるも、無視されてる状態だったため落ち込んでいた。

 

「ん?どうした?」

 

「ああ、航が無視してたからそれで落ち込んでんだよ」

 

一夏の説明でなるほどと頷く。

 

「ああ、なるほど。すまんな、話を聞かなくて」

 

その後なんだかんだあって仲良くなっていくが、航が何か思い出したかのような顔をして一夏の方を向く。

 

「一夏、そういや箒はどうなった?」

 

一夏は顔を伏せる。

 

「箒は、千冬姉にこれでもかというほど叱られて……って、航、傷は大丈夫なのか?」

 

「すでに治ってる」

 

そう言って前髪を上げて、眉間を見せる。眉間の傷はすでに無くなっており、少し傷跡が残ってる程度だ。

一夏はそれを見ると、安心したのか安堵の息を吐いていた。

 

「よかった。まあ、航のことだから大丈夫だろうって思ってたけどな」

 

「ひでえな、お前」

 

そう言ってる時にパンパンと手を叩く音がした。音源を見てみるとそこには千冬がいる。

 

「何時まで朝食を食べている!食事は迅速に効率よく取れ!遅刻したものはグラウンド10周だ!」

 

そう言ったため、周りは急いで食事をとっていく。航はさっさとどんぶりを乗せた盆を返却口に置き、教室に向かうのであった。

 

 

 

 

 

そして一時限目、授業内容は怪獣学。昨日と同じ通り航と一夏は準備満タンでいつでも来い!と言うほどの気前でいるが、周りの女子はとてもやる気のなさそうだ。

そして燈が教室に入ってくる。そして始まりの号令が終わる。

 

「では前回はゴジラの説明だったから、その次の怪獣の説明をしていくわ」

 

そう言って電子黒板に現れた写真は

 

「この怪獣はラドン。身長50メートル、翼長120メートル、重さは1万5千トン。現れた年が1956年で最初に現れたところが阿蘇山付近の炭鉱地下よ」

 

その後さまざまな写真を展開していく燈。ラドンの雛の写真、その後に何か虫を食べている写真、空を飛んでる写真など様々だ。

 

「阿蘇山付近の地下で卵から生まれたラドンはその後メガヌロン、この写真で食べている虫のことね、を食べて大きく成長、そして

 

「先生、メガヌロンってどういうのですか?この写真を比較する限り5メートルはありそうなんですけど」

 

一夏が質問をする。

 

「あら、そこの質問する?まあいいや。今から簡単に説明をするから、っとその前に写真ね、はい」

 

そして電子黒板前に出された白黒写真を見た女子達は一気に顔を真っ青にする。見た目は鎧をまとった大きな芋虫にも見える。だが顔に大きな複眼が二つ、そして前足にあたる部分には大きな鋏が2対生えており、どう見ても虫とは呼びにくい姿をしていた。

 

「これがメガヌロン。大きさは全長8メートル、重さ1トン。3億年前に生息来ていたトンボの幼虫、ヤゴよ」

 

「これがトンボの幼虫!?嘘でしょ!?ヤゴの形してないじゃない!」

 

恐らく昆虫好きの女子がいたのだろう、ヤゴであることを本気で拒絶している。まあ、無理ないだろう。まあ、上から見たら芋虫に近い形だし、陸上で普通に活動してるし。

 

「まあそう思うでしょうね。で、メガヌロンは阿蘇炭鉱出現後、民家などを襲撃。人を食べるなどをしてあたりを恐怖のどん底に落としていたわ。でもそれを主食とでもいうかのようにラドンの雛はそれを食べていたの」

 

人を襲うって聞いたときに誰かがのどをごくっと鳴らす。

そして雛でどれだけでかいんだよとツッコミを入れたくなる一同だが、怪獣だからしょうがないと思って我慢する。

 

「でその後成長したラドンは飛んで行き、当時の戦闘機の攻撃で海に不時着。だけど復活して西海橋を破壊、そして福岡で大暴れした後にどことなく現れたもう一頭のラドンと共に福岡を更にめちゃくちゃにした後、どこかに消えたわ。そして当時の科学者が鳥の持つ帰巣本能で阿蘇山に向かったと言われ、当時の自衛隊はラドンを阿蘇山の火口に落とす作戦を立案。その後うまくいった作戦で、最後は二匹とも阿蘇山の溶岩にのまれて死んでいったわ」

 

そしていろいろと電子黒板に書いていき、また生徒の方を向く。

 

「この後鉱山の中を確認していき、メガヌロンは確認できた分は駆除。そして阿蘇山付近の鉱山一帯は全て閉山したわ」

 

そこまで説明して燈は軽く周りを見渡す。やっぱりだ、4分の3以上は話を聞いていない。分かっていたがこの絶望感が自分を襲う。

そしてチャイムが鳴ったため、続きはまた今度で授業はここで終了し、号令の後にトボトボと教室を出て行く。

 

(毎回のことだからわかっていたけど、やっぱり落ち込むなぁ……)

 

そして階段を下りて職員室へと向かうのであった。

 

(やっぱり燈さん悲しそうな顔してたな……)

 

航は休み時間窓の方を向いており、一夏が何か話しかけていたがほとんど聞いてなかった。

 

「航、聞いてるのか?」

 

そしてやっと気づいたのか一夏の方を向く。

 

「ん、ああ。すまん、聞いてなかった」

 

「おいおい、何だよそれ」

 

「すまんな」

 

そう言った後すぐにチャイムが鳴ったため、一夏はさっさと席に戻る。

そして授業が始まるのであった。

 

 

 

 

 

「航……、難しすぎるんだけど……」

 

「しょうがないさ、俺だってどうにか付いて行っている状況なんだから」

 

一夏は頭がオーバーヒートしたのか完全に机に突っ伏しており、完全にグロッキー状態だ。航は腕を組んだままそんな一夏を見ている。

 

「どうしてこんなに難しい単語が……」

 

そういう風に呻き声ともいえる声で言っており、あまりのグロッキー状態に航の頬は引き攣る。

その時、クラスにいる女子の大半が二人達に元へ一気に駆け寄ってきた。

 

「織斑君、篠栗君」

 

「質問いいかなー?」

 

「今日暇?後で暇?夜は暇?」

 

「harry up!」

 

いきなりの質問攻めで二人はたじたじ状態になるが、周りはそんなの関係ないとでもいうかのようにどんどん質問を吹っかけてくる。

 

「ねえねえ織斑君、千冬様って休みの時って何をしてるの?」

 

「え、案外だ「一夏、後ろ」えっ、ぶおっ!?」

 

この時一夏の頭に出席簿が叩き下ろされる。一夏はいきなりの痛みに頭を押さえて蹲り、そして何があったのかと後ろを向く。そこにいたのは出席簿を持った一夏の姉、織斑千冬である。

 

「休み時間はもう終わりだ。さっさと席に着け!」

 

そして蜘蛛の子を散らすかのように席に戻っていく女子達。航は一夏が叩かれる前にはいつの間にか席に戻っており、一夏はそんな航を恨めしそうに睨みつける。

 

「ところで織斑と篠栗、お前らのISだが準備までもう少しかかる」

 

この言葉に一夏は首を傾げ、航はピクリと片眉が上がる。

 

「織斑のは学園が用意し、篠栗のはとある企業がISを提供するそうだ」

 

一夏は何が何なのか理解しておらず、首を傾げたままだ。

 

「織斑、教科書6ページを朗読しろ」

 

千冬がそう言ったため、一夏は教科書を開いて朗読を始める。

航はそれを聞いていたが、めんどくさくなったのかそれを簡単に考えることにする。要約すると『ISコアは世界に467個しかない』、『コアは篠ノ之束にしか作れない。そして作れる本人は行方不明』『そして一夏と航は実験体』ということだ。

 

「あの、篠ノ之さんって篠ノ之博士とどういう関係で……」

 

「篠ノ之はあいつの妹だ」

 

千冬がそう言った時、教室のほぼ全員が驚きの表情を浮かべ、一気に箒の方を向いて騒ぎ出した。。

 

「篠ノ之さん、それって本当!?」

 

「凄い!このクラスに有名人の身内いるなんて!」

 

「篠ノ之さん、今度ISについて教えてよ!」

 

周りはそう言ってるが、誰も箒が握りこぶしを作ってプルプル震えてることに気付かない。

 

「あの人は関係ない!」

 

そして立ち上がって机をバンッ!と叩き、大声で叫ぶ。周りはいきなり叫ばれたため困惑しており、

 

「あの人は関係ないんだ……」

 

箒はそう言って静かに席に着いていく。一気に空気は悪くなり、千冬と一緒に来ていた真耶はオロオロとしだす。

 

「さて、授業を始めるぞ。山田先生、号令」

 

「は、はい!」

 

そして授業が始まるのであった。

 

(あれ、箒っていつの間に教室にいたんだ?)

 

航はそんなことを思っているのであった。

 

 

 

 

 

そして昼休み、ここは全学年共有の食堂。航は一夏と一緒に昼食を食べていたが、途中で席を離れて、そして戻ってきたときに箒がいつの間にか航の席を盗っているのを確認した。

一夏は一夏で航の席を箒が盗っていることに気付いておらず、箒も航がジト目で見られていることに気付いていない。

そして何時までも箒が動かないことに疲れたのか、航は一夏のいるところまで歩いていく。

 

「おーす、今戻った、って箒。何俺の座ってた席盗ってんだ」

 

「な、関係ないであろう!」

 

「いや、関係ある。そこのテーブルに置いてある飯、俺のだし」

 

そう言って航が指さしたのは、食べかけの和風ステーキ定食。和風なら女子も食べないことのないだろうが、どう見ても量が2~3人前ほどある。

 

「こ、これは私のだ!」

 

箒はそこの席を動きたくないのか苦しい言い訳をする。だがそれを聞いたとき、航の顔はニヤリを笑った。

 

「あっそ。なら頑張って食えよ~。俺はまた頼んでくるから」

 

そう言ってクルリと体を旋回させてその場を離れて行こうとする。

 

「ねえ、君たちって噂の男子搭乗者?」

 

「ん?」

 

「はい?」

 

この時、いきなり聞きなれない声がしたため、航は立ち止まって声のした方を向き、一夏も声のした方を向く。

そこにいたのはリボンの色からして3年生の女子だ。彼女は一夏の方を見ており、航の方はまあ、見ておくかって感じで見ている。

 

「ねえ、二人ってISってどれくらい乗った?」

 

「俺は、大体30分ぐらいです」

 

一夏がそう言って後、航も同じくと答える。

 

「だめよ、そんなんじゃ代表候補生には勝てないわ。代表候補生って大体300時間は乗ってるのよ。だから」

 

そして3年女子はぐいっと一夏の方に寄る。

 

「私がISに着いて教えようか?あ、君もついでに教えようか?」

 

そう言って一夏にはいい笑顔を向けるが、航については見下すかのような顔だ。

 

「あ、お願い「いや、いいです」え、箒……」

 

一夏はいきなり放棄に遮られたことに戸惑う。3年の女子もいきなりのことで少しイラついたのか、目が笑っていない。

 

「あら、あなたはいきなり何なの?1年生だから教えるのはきついでしょ?」

 

「大丈夫です。私、篠ノ之束の妹ですから」

 

「えっ!?」

 

箒のカミングアウトに驚く3年生。そして無理と悟ったのか一夏の元を離れていき、どこかへ消える。

 

「一夏、何かお前、箒にISのことを教えてもらうことになったな」

 

「あ、ああ、そうだな」

 

一夏はいつの間にか隣に来ていた航に肩をポンと叩かれる。

 

「そういや航は誰かにISのことを教えてもらうのか?」

 

一夏は、航が楯無に学科の方を教えてもらってるのを知らないためそう聞く。

 

「ならしょうがないわた「大丈夫だ、問題ない。すでに昨日から同室の人に教えてもらってる」何!?」

 

箒はドヤ顔で航に教えてやると言おうとしたが、まさか既にいるとは。それで顔を真っ赤にする箒。

 

「だ、だがISを使うなら体力がいる!だから今日の放課後、剣道場に来い!」

 

「マジかよ」

 

「当たり前だ!一夏もちゃんと来るんだぞ!」

 

「お、おう……」

 

それで無理やり、二人は放課後に剣道場に行くことになるのであった。

 

「あ、航。ここにいたの」

 

「あ、か……楯姉」

 

その時食堂の奥から現れたのは、昼食を食べ終わったのか、食器の乗った盆を持っている楯無である。

 

「まだ時間があるからちょっと生徒会室に来てくれない?」

 

そう言った時、航は頬をポリポリ掻いて、眉がへの字に曲がっている。

 

「あー、まだ昼めし食ってないんだ。だからちょい待っててくれない?」

 

「え、まだ食べてないの?いったい何をしてたのよ」

 

「いやー、ちょっとな」

 

そう言ってチラリと箒の方を見る。箒は航を睨みつけており、目線を外して小さく肩をすくめる。

楯無は顎に手を当てて何か考えており、そして口を開く。

 

「うーん、なら放課後は?」

 

「放課後は……、箒に剣道場に来いって言われてるから……」

 

「何か大変ね……」

 

そういうが楯無は困り顔。航はどうにかしようと、

 

「まあ、さっさと早く終わらせて生徒会室に行くから」

 

「何!?」

 

そう言って箒は立ち上がって航を先程より鋭い目で睨む。だが航もそれが気に入らないのか睨み返す。

 

「こっちにも用があるんだよだからさっさと終わらせる。だたそれだけだ。」

 

そう言って航は一夏と箒の元からさっさと離れていくのであった。

 

(うわ、航少し頭に来てるな。あいつ、本気で終わらせるつもりか……)

 

一夏はそう思いながらさらに残っている昼食をつまむのであった。

なお箒は、自分のと言い張った和風ステーキ定食をさっさと返却口に返すのであった。

 




この怪獣学、54年版ゴジラが死んで日本に合わられた怪獣の順番で出していきます。勘が鋭い人は、次の紹介する怪獣が何か分かるはずです。

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