インフィニット・ストラトス 忘れ去られた恐怖とその銀龍   作:妖刀

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お久しぶりです。今書いてる章の次の章の資料をそれなりに集め出した妖刀です。それにしてもゴジラのサウンドトラックっていいですね。聞いてて気分が高まる。Amazonで新品を手に入れたからそれ絵気分がさらに上がってるし。

っと話がそれましたね。では本編どうぞ!


怪獣学 5

昼休みが終わり、現在午後1時。教室は昼休みの感覚が抜けきってないのか、あちこちで話し合ってる女子達がいる。何か時折一夏たちの方をチラリと見て、その後何か話し合ってるがよくわからない。

その時教室の扉が開いたため、女子達は一瞬で静かになり、授業の準備をする。

そして入ってきたのは家城燈である。

 

「さて、授業始めるわよ……。ふぁ……、眠っ……」

 

小さく欠伸をする燈はそういって瞼を擦る。この時数人の女子が彼女の目元に隈ができてることに気付く。一体遅い時間まで何をしていたのだろうか。

 

「せんせー、やる気あるんですかー?」

 

「わかってるわよ……、さて」

 

そして先程までののんびりした雰囲気をまるでなかったかのように、とても真剣な表情で生徒たちを見つめる。きなり空気がピリピリしだしたことに生徒たちは戸惑いの表情を浮かべている。

その中、燈はただ真剣な表情を崩さずに口を開く。

 

「さて、今日の怪獣学はフランケンシュタインだったんだけど、予定を変更して別の生物よ。後これからするのはテストにはもちろん出るし、ちゃんと受けておかないと自身の生死にかかわることでもあるから、きちんと受けておくように」

 

まるで千冬のような相手に反論させないような口調。いつもの優しい雰囲気の燈はそこにはおらず、いるのは何時になく真剣な家城燈だ。何人かの女子が何か反論しようとしたが、彼女のいつになく鋭い目線で強制的に黙らされ、ただ口がもごもご動くだけであった。

 

 

 

「さて、今日の朝聞いた通り渋谷に巨大生物が出現。そして篠栗君が重傷を負ったわ。私はその巨大生物と交戦した更識楯無さんからその時の映像データと相手の強度が大まかにまとめられた数値のデータをもらって、今回の資料を作成したのよ。……まあ、こんな前話は置いといて、と」

 

この時燈は手元のキーボードとカーソルを扱い、電子黒板にとある画像を幾つも出す。だが今までと違って背景が暗くてわかりにくいうえに、若干ブレがある写真ばかりだ。写真から出は分かりにくいが、黒くてヌメリとした光沢ある体。それに反するかのように目の部分が緑色に輝いており、近くにある鋭い牙がその生物の凶悪さを引き出しており、何人もの生徒がブルリと体を震わせる。

だがブルリと体を震わせるのはこれだけではない。4対8本の脚が生えており、一番前にある前肢は先が鋏、いや槍状になっており、それが壁に刺さってる画像もある。

 

 

「この生物はメガヌロン。前にラドンの時にも説明したけど……覚えてる子はいるのかしら?とりあえず覚えてる人は手を上げて?」

 

この時手を上げたのは一夏、本音、静寐、などの少数だ。燈はあまりの少なさに軽くため息を漏らすが、普通に予想は出来てたため、

 

「……まあいいわ。このメガヌロンは元々古生代、石炭紀に生息してたものと同一と考えられるわ。この時の大きさは大きいので50センチ。小さいのが20センチとバラバラね。で、これが当時の化石よ。これはドイツで発見されたものね」

 

この時灰色に近い土らしきものに、大きなヤゴの化石が映っている。その化石の隣に男性が立っており、大きさからして昆虫としては大型ともいえるだろう。この画像を見て、少し驚いたかのような表情を浮かべてる女子達が多数だが、この中でラウラが一番驚きの表情を示している。

 

「ふむ、我が国にこんなのがあったとは知らなかった……」

 

どうやら博物館とかに行ったことがないのか、とても関心のある目でその写真を見ており、周りはそんなラウラを不思議そうな目で見ている。

 

 

「先生。実際50センチなら襲われてもIS持ってる篠栗君なら大丈夫じゃないんですか?」

 

「違うよ。あの男が弱いから襲われるのよ」

 

「本当に男は弱いわね」

 

「まあ私たちがISを使えばどうにもなるけどね」

 

『キャハハハ』

 

そう言って一部の女子が騒ぎ出し、周りにいた女子達が嫌悪丸出しの目でその女子達を見ており、異様に重い空気になり始める。実際一夏も馬鹿にしてる女子達の方を眉間に皺を寄せているし、本音なんかいつもニコニコ笑顔のはずなのに全く目が笑ってない。それに気づいた本音の友人たちはうっすら冷や汗を流しており、そして本音が何か言おうと口を開きかけたとき、燈がつよく教卓の上を平手で叩いたのだ。

いきなり音が鳴ったため、体をビクッ!と震わせる女子達。一夏も例外でなく、体を振るわせた後に何だ何だ?と周りをキョロキョロと見渡すほどだ。

 

「ねえ、今は授業中だから静かにしてくれない?それともIS纏って渋谷のメガヌロンが出現したエリアに置いてけぼりにされたい?」

 

ただ抑揚のない、恐怖さえ感じさせるような声が無音の教室で響く。今までの授業は真耶みたいな雰囲気だったりしてたのが、今はその雰囲気さえ感じさせず、ただ騒いでた女子達を冷たい目で見ている。睨まないだけマシなのだろうが、女子達にはそう思える余裕がないのか体をカタカタ震わせている。

 

「ねえ、どっちにする?貴女たちがこの2択を選んでもいいのよ?選ばないなら私が選ぶけ「し、静かにしますから!」そう、ならすぐにその口を閉じなさい!」

 

燈が少し怒鳴るかのように言うと、生徒たちは一気に静かになり、周りを軽く見渡した後に燈は小さくため息を吐いた。

 

「……さて授業に戻るけど、メガヌロンは大きさによって体の強度が異なり、小型の1メートル半までは牽制用の射撃武器で潰せるけど、2メートルから牽制用が効かなくなり、今のところ最大体長3メートルの物が確認されており、ISの近接攻撃も防ぐほどの防御力を持ってるわ。特に一番固いのが頭部よ」

 

燈はカーソルを操って電子黒板に動画の画面を出す。

それは先程見た写真の時と同じで周りは暗く、ISを使ってるのだろうか、移動がとても素早い。道は細く、入り組んでいるため右に曲がったと思ったらすぐに左に曲がったりと、恐らく目線がカメラの映ってるところなのだろう。画面酔いをしそうな勢いだ。

その時画面が一時停止して、燈が電子黒板の前に立つ。

 

「これは更識さんからい頂いたメガヌロン交戦したときの映像よ。編集は一応してるけど、気分が悪くなったら席をはずしてもいいわ」

 

燈はそう言って電子黒板から離れた後、画面の方に顔を向けるのであった。

映像は再び再生される。

先程みたいに高速で移動してるが、時折心配そうに抱きかかえている航の方へと視線を映しているのがよくわかる。航は先程からぐったりした様子で、顔は青白くなっており、ところどころ血で顔を汚している。

それを見た女子達は小さく悲鳴を上げるが、これはまだ序章だ。

 

『ギギィ!』

 

『くっ!邪魔よ!』

 

この時マンホールから現れたメガヌロンは、蒼流旋によって下あごから頭部をくし刺しにさた後、そのまま穂先を捻って頭を千切り捨てられる。これで返り血を浴びる楯無だが、どちらかというと航に返り血がつかないようにし、そのまま次の曲がり角を曲がる。そして約10メートルほどストレートの道だったため、そこを駆け抜けようとしたら自分がいる約4メートル先の壁にひびが入って砕けるとともに、体長3メートルのメガヌロンが現れた。

その時、楯無が不意に目線を自分の肩に向けると、そこには体長約50センチのメガヌロンが引っ付いており、楯無はそれを振り払うが、足元に大量にいることに気付くなり顔が真っ青になる。

 

『ひぃ!?』

 

大量にメガヌロンが足元に引っ付いてるところを見た生徒たちは一気に顔を真っ青にし、何人かが口元を抑えて教室を出て行く。恐らく大量のメガヌロンを見て気持ち悪くなったのだろう。一夏も実際顔が青くなり始めてるが、最後まで見たいのか、足を抓って我慢しながら映像から目を離さない。

そのころ楯無は蒼流旋を構え、そのまま突撃をするが、メガヌロンも突撃をして頭で蒼流旋を受け止める。それと同時に力技で楯無を後ろに下がらせた。

 

「うそ……」

 

誰が言ったのかわからないが、生徒の一人がそう呟く。まあ無理もないだろう。ISが巨大な虫に力勝負で負けてるのだから。

そしてメガヌロンは力の入れすぎで壁に突っ込んでしまい、その間に楯無は一気に逃げ出す。そして振り返ったころには3メートルのメガヌロンは腹側から氷柱で貫かれて息絶え、そして路地裏から出るところで映像が終わった。

映像が終わったこの時には、生徒の数は半分ほど消えており、帰ってきた生徒は若干げっそりとしている。なお一夏は顔がもう真っ青だ。近くにいたシャルルが「大丈夫」と聞くと、「大丈夫だ、問題ない」と返すため、心配そうな顔を浮かべたままシャルルは燈の方を向く。

 

(おいおい、シャルルはこんなの見て大丈夫なのかよ・・・・・)

 

この時一夏はシャルルが普通に映像を見てるのに、顔色を全く変えないことの驚きを隠せない。

 

 

「さて、この5分ほどの映像だったけど……結構な人数が減ったわね。まあ無理ないわ。私も初めて見たときは似たような感じだったし。さて、この映像で分かった通り、メガヌロンは群れを成して行動し、この様に大型の個体はISの攻撃を受け止め、しかも押し返してくほどの力を持ってるわ。明確な弱点と言ったら腹側の外皮がそこまで硬くないということと関節部が割と脆いというところね。そしてこの生物にはISに対して恐ろしい能力を持ってるわ。それがこの映像よ」

 

燈はカーソルを扱って先程とは別の映像を2つ出す。前者は普通にアリーナで撮影されたもので、後者は、先程の映像と同じところで撮影されたものだろう、とても暗くてただぽつぽつとある街灯がそのくらい路地裏を少し照らしているだけだ。

そして前者の映像が再生される。操縦者は誰かわからないが教員の内の誰かだろう、ハイパーセンサーで様々な情報が取り入れられ、それを利用して的確に処理をしていく。実に普遍的な戦い方だ。だがこれがいったい何なのだろうか、生徒たちは首を傾げる。

 

「今のは私のISを使った時の映像ね。基本的に私はマニュアルで操作してるけど、ハイパーセンサーが様々な事の処理をしてたわね?次はそれを踏まえたうえで見てみなさい。で、これが問題の映像よ」

 

そして燈は後者のメガヌロンと遭遇したときの映像を再生する。映像は先程から暗く、ただ至近距離になってメガヌロンが見える程度だ。しかも先程と違ってハイパーセンサーが知らせていたアラームなども一切鳴っておらず、楯無はまるで自分の勘に頼るかのように動いているのだ。

 

「あとISを扱ったことがあんまりないだろうから言うけど、ISのハイパーサンサーは夜でも周りを昼のように見せる能力があるの。でもこれはそうではないわ。どういうことか分かる?」

 

燈が行ったことが理解できてなかったのか多数の生徒が首を傾げるが、一番最初に一夏を除く専用機持ちたちが意味を理解して顔を青ざめさせる。その後生徒たちも理解し始めたのか、どんどん顔が真っ青になっていき、燈はそれを見渡した後に口を開く。

何が言われるのか。生徒たちは事実びくびくしながらそれを聞くしかない。

 

「理解したようね。実際に更識さんは自分の肉眼や勘などを頼りにこのメガヌロンを捌いているの。これは国家代表とはいえ、実際には難しいことだわ。しかも手負いの篠栗君を抱えてるとなるとその難易度はさらに上がり、二人ともメガヌロンに食べられてもおかしくなかったの。それで『キーン、コーン、カーン、コーン』あ、チャイムが鳴ったわね。今日の怪獣学はここで終わり。次回は普通のに戻るか、これ(メガヌロン)の続きをするか未定だけど、予習復習はちゃんとしておくように。後、まだ戻ってきてない生徒たちにノートを見せるなりなんなりしておいてね」

 

そう言った後燈は教室から出て行く。そして謎の重圧から解放された中で一番最初に動いたのは一夏だった。

 

「やばっ・・・・・!?」

 

「一夏、どうしたのだ!?」

 

いきなり顔を真っ青にした一夏が教室を急いで出て行くため、箒は驚くが一夏に声をかける。だがそれが聞こえてないのか聞けてもそれどころじゃないのか分からないが、一夏はすでに教室の外で、箒が外に出たころにはすでに姿が見えなかった。

箒はどうしようか悩んでる時、隣に心配そうな顔を浮かべてるシャルルが立つ。いきなり何なのだろうか?箒は少し眉間に皺を寄せる。

 

「篠ノ之さん。僕が見てくるから」

 

「む……。な、なら頼むぞ」

 

「任せて」

 

どうやら一夏の心配してくれるのだろう。相手が女子なら警戒したが、男子なら問題ないなと判断した箒は、シャルルに一夏の様子を探らせることにするのであった。

 

 

 

 

 

その頃、一夏は猛ダッシュで教室を抜け出し、遠くになるが数少ない男子トイレに駆け込む。そして便器に顔を向けて下を向くと、胃がモゾモゾとした感覚がすると同時に吐瀉物を吐き出し、ただ来道悪さが無くなるまで吐き続ける。

 

「ぁぁ……。くそ……」

 

とりあえずいったん吐くものは吐いて出ないため、一夏はげっそりとした顔で洗面所で手と顔を洗い、顔を拭かぬまま目の前にある鏡を見るなり溜息を吐いた。

思い出すはあの映像。ただ最初は興味で映像を見てたのに、あのメガヌロンが大量に引っ付いてるところで顔が青ざめ、喉がすっぱくなる感覚に襲われた。だがそれを下に無理矢理押し戻して映像を見続けたが、途中からめまいが起きるし、吐きたい気持ちでいっぱいになってしまい、途中から授業に付いていけてない。

 

「はぁ……。ここまできついとは思わなかった。だけど航と楯無さんはあれを生で見たんだよな……」

 

そう、あの2人は生で見て、それで似てて帰って来てるのだ。自分は自衛隊に入りたいと言っていたが、こんなのと戦うとなると気が持つのか……。ただ一夏は洗面所で項垂れるしかなかった。

 

「一夏、大丈夫……?」

 

「ん……?何だ、シャルルか……」

 

その時声をした方を向くと、そこには新亜ぴそうな顔をしたシャルルが立っており、一夏は少しきついながらも心配を掛けない様に無理やり笑みを浮かべる。

 

「クラスのみんなが心配してたよ?」

 

「あぁ……あともう少ししたら戻る。だから待っててくれるか?」

 

「うん、わかった」

 

そしてシャルルが出て行ったのを確認した後、一夏は口を濯ぐなどをして出来るだけ臭いを消し、シャルルの元へと向かう。

 

「そういやシャルルってあの映像見たとき気持ち悪くならなかったか?」

 

「えっ?あ、ん。僕はそういう系のゲームをしてるから大丈夫だったよ」

 

「え、そんなので大丈夫なのかよ!?」

 

「う、うん」

 

この時シャルルは少し困ったかのような笑みを浮かべるが、一夏はそんなのを気にせずただ驚くだけだ。そして教室に戻った後、いろんな女子達に心配されたが「大丈夫だ」と返して席に着き、そして次の授業に備えるのであった。

そして次の授業が始まるのであった。




すでに被害者は出た。もう前みたいに生徒たちの勝手にさせるわけにはいかない。これ以上被害者を出さないために。

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