インフィニット・ストラトス 忘れ去られた恐怖とその銀龍   作:妖刀

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何時なったら怪獣出るのかって?メガヌロンがまた出演するから待っててね。

では本編をどうぞ!


五反田食堂

中間テストが終わって数日後の6月上旬に、航は一夏に誘われて航は五反田弾のところに訪れていた。久々に会った時に軽く拳をぶつけて笑いあっていた二人だが、一夏に早く行こうと催促されたため弾の部屋へと向かう。

そして今は弾の部屋にあるゲームをしていたが……。

 

「うぉ、弾お前俺がこんなゲーム苦手なの知ってるだろ!」

 

「知らねえなぁ!おら、トドメだ!」

 

「甘い!格闘カウンター!」

 

「ダニィ!?」

 

「おらおらおらぁ!」

 

そしてコンボが決まって弾のキャラクターの体力が0になり、航の勝利で終わる。弾は仰向けに倒れて、溜息を洩らした。

 

「そういやお前がそのキャラ得意なの忘れてたわ……」

 

「でもこっちもやばかったぜ。もうすぐ死ぬかと思ったし」

 

現在してるゲームはISVS(インフィニット・ストラトス・ヴァーサス・スカイ)。今話題のISのゲームで、最新バージョンの日本代表が楯無そっくりだったため、航はそれを使っていたのだ。

 

「航、どう見ても日本代表の顔と機体が楯無さんに似てるから強いんだろ」

 

「あ、ばれた?」

 

ニシシと笑う航。このゲームの日本代表は2種類あるが、万能な黒髪の方に比べて水色髪の方は性能が極端に低い。だが、航にとっては楯無にしか見えないからこっちの方を使うらしい。

 

「ん?楯無さんって誰なんだ?」

 

弾は聞きなれない名前に耳を傾け、一気に起き上がって一夏の方を見る。

 

「ああ、俺の幼馴染。写真見る?」

 

この時一夏ではなく航が話してきたため、そっちかい!って思いながらも航がスマホで撮った写真を見る。そこに写っていたのはISスーツを着た航の腕に抱き付くISスーツの楯無の姿である。その状況に頬を赤くして驚いてる航が何か可愛く見えてしまう。

 

「航!お前何可愛い子に腕組まれてんだよ!羨ましすぎだろ!」

 

「いや、いいじゃねえか別に!」

 

肩を掴まれガクガクと揺さぶられる航だが、弾の額に掌を当てて力技で剥がしてく。まあその後ゲームを再開して3人は楽しんでいたが……。

この時、いきなり扉が開かれた。

 

「おにぃ!何時まで遊んでるの!お爺ちゃんが……って一夏さん!?」

 

入ってきたのは弾と同じ赤色の髪の毛をした少女。いつもの格好なのか、ラフな服装でいるため客である男二人は少しびっくりしており、少女の方も客がいることにびっくりしていた。

 

「蘭!お客さんが来てるって言っ「おにぃ!何で一夏さんが来てるって伝えてないの!?」お、おう……」

 

その後蘭は勢いよく部屋を出て行き、自室に入り込む。その後バタンバタンと騒がしい音がしたが、男たちは特に気にせず、昼食を食べるために弾の家の一階で営業している『五反田食堂』へと向かった。

 

「おう、ガキども。よく来たな」

 

「お久しぶりです、厳さん」

 

一夏が返事した男性、五反田厳は歳が80を超えるのに筋肉マッチョの老人だ。今も中華鍋を片手で扱いながら他の料理も作っている。とりあえず航と一夏は注文をした後、弾の座ってるテーブル席へと向かう。そして昼食である業火鉄板炒めが来た為食べようとしたとき。

その時食堂の扉が開いたため、弾が立ち上がる。

 

「いらっしゃいませ……って鈴か」

 

「何よ。私で悪い?」

 

入ってきたのは鈴。弾の反応に頭に来たのか不機嫌な様子だ。だが一夏を見るとその不機嫌な顔もすぐに潜めて、一夏の前に座る。

 

「一夏さん、待たせまし……た……」

 

この時二階からワンピース姿に着替えた蘭が下りてきたが、鈴を見たときに動きが止まる。弾も航もコレはやばいと判断し、航は盆を持ってカウンター席に逃げようとしたが、下手に動けば厳のオタマアタックが額に直撃する。

そのため逃げれないと判断した航と弾はせめて気付かれない様に、隣のテーブル席へと盆を持って移動する。幸い気付かれなかったのか、安心して安堵の息を吐き、取り合えず修羅場になりそうな一夏たちを観察するのであった。

 

「久しぶりね、蘭。前見た時よりは大きくなった?」

 

「久しぶりです、鈴さん。そうですね、鈴さんよりは胸、大きくなりましたよ?」

 

「へー、そうなんだ」

 

二人はニコニコ笑顔で話し合ってるが、お互い目が笑ってない。一夏はとりあえず訳分からんこの空気をどうにかしようと航たちの方を向くが、航と弾は一気に目を逸らす。

一夏はあまりの状態に涙目になったため、小さくため息を吐いた航は別の話題を出して女二人の話題を逸らすことにする。

 

「そういや鈴。お前中間テストの怪獣学、何点だった?」

 

この話題をしたとき鈴は溜息を吐く。まるで最初から結果が分かってるかのように。その溜息に首をかしげる蘭だが、鈴にとってはどうでもいいことだ。

 

「81点。あんたたちはどうせ100点でしょ?」

 

「「正解!」」

 

同時に親指を立てていい笑顔をする二人。鈴は二人を殴りたいと一瞬思ったが、そこはグッとこらえる。その時鈴はクラスで起きたとあることを二人に話した。

 

「そういえばさ、テストの怪獣学だけど……。赤点取ってる人多くなかった?」

 

「そういや多かったな。航、どれぐらいが赤「クラスの5分の3だな」だそうだ」

 

「そう……。私のクラスだけじゃないのね」

 

鈴は何か安心したかのような表情をする。まあクラス代表で、自分のクラスの点数が悪いと何か言われるという噂が多数あったため、他のクラスも同じ状況だとわかって安心したのだろう。

 

「あの~」

 

「「「ん?」」」

 

3人は何かと思って声のした方を見ると、そこには蘭が控えめに手を上げており、弾も声は出さなかったが手を上げている。

 

「どうしたんだ?2人とも」

 

「怪獣学って何ですか……?」

 

それもそうだ。他の学校では一切行われておらず、自衛隊でもするところが減ってきた講義のため、知る人はあんまりいないだろう。

それに納得した3人であるが、この時鈴と一夏が航の方を向く。

 

「俺?」

 

「「うん」」

 

どうやら航に説明させようとしてるようだ。しょうがないと溜息を吐き、スマホを出そうとしたらオタマが顔に直撃した。

 

「食事中に携帯なんか出すんじゃねえ」

 

「……すみません」

 

マナーに厳しい人である厳にオタマを投げられおとなしく謝る航。そしてさっさと昼食を食べ終わって、改めてスマホを出して、前に撮影した自分のノートの一部を二人に見せる。すると、二人の顔は驚愕の表情へと染まっていく。

 

「え、IS学園ってこういうのもするんですか!?」

 

「へ~面白そうだな」

 

蘭は驚き、弾は興味津々に画像を見る。そんな2人とお喋りに更けるが、この時蘭は、一夏が楽しそうに話してるのを見て、一夏と一緒のところに行ってみたいと思い、とある決心をする。

 

「決めました!私、IS学園を受験します!」

 

その言葉は一夏たち3人だけでなく、来ていたお客さんもキョトンとした表情になっている。その状況で一番最初に戻ったのは、兄である弾だった。

 

「ちょ、蘭!おま、自分が何言ってんのかわかってんのか!?」

 

「おにぃは黙ってて!一夏さん、学園に入ったらその時は指導よろしくお願いしますね?」

 

笑顔でそう言う蘭だが、一夏は苦い顔をしており、鈴は俯いてプルプル震えている。航は呆れたのか、溜息を吐いて天井に視線を向ける。

その中、弾は蘭の説得をするが蘭は首を縦に振らず、弾はとても困った表情を浮かべる。

 

「弾。蘭が決めたことなんだから蘭の好きなようにさせろ」

 

「だけどよ爺ちゃん……」

 

弾は祖父の言葉に音量が小さくなっていく弾。その間にも適性がAだの言う蘭。それを見た一夏は何とかしようとした時だ。鈴が立ち上がって、蘭の目をしっかりと見る。その眼力にビクッとなる蘭。

言った何なのだろうか。誰もがそう思った時、鈴は口を開く。

 

「蘭、あんたは覚悟があるの?」

 

「え、な、何の覚悟ですか?」

 

「だからIS学園に入る覚悟よ」

 

この時の鈴の目は真剣なものであり、それを見た蘭は冷や汗を掻きながらたじろぐ。

 

「確かにあんたは成績もいいだろうし、適正もAと中々ない人材よ。だけどあそこはIS、兵器を扱うところなの」

 

「へ、兵器って……。ISはスポーツでしょ?」

 

「航のIS、機龍だけどそれでもスポーツって言える?私、何回か戦ったけど本気で死ぬかと思ったわよ」

 

模擬戦のことを思い出したのか、顔を青くしてブルっと震える鈴。思い出すのはミサイルの嵐と、硬い装甲によって放たれるカウンター。双天牙月が防がれたときに何回死を覚悟したか……。

とりあえず顔を横に振って先程のを記憶の片隅に戻し、蘭の方を再び向く。

 

「で、蘭は覚悟あるの?」

 

「私は……」

 

鈴の迫力に縮こまる蘭。その様子を見た厳は厨房を出、間に入って仲裁に入る。

 

「まあまあ落ち着け。まさかゴジラと戦うわけじゃあるまいし。蘭が入っても「ありますよ」何?」

 

厳は声のした方、航の方を向く。いきなり言われたため睨みつける厳だが、航の眼つきはそれに劣らない鋭い目つきだ。

 

「……どういうことだ」

 

厳の言葉は先程より重厚感があり、周りにいた人たちはあまりの迫力に息をのむ。

 

「もともと怪獣学は日本に怪獣が現れたときに対処できるように行われてる授業です。あと自衛隊が怪獣を相手にしてる時、数が足りなかったらこのIS学園から専用機持ち、適正が高い生徒が前線へと送り出されます」

 

「何……だと……?」

 

この時厳の眉間に皺が深く刻まれ、周りは普段見見せない大将の姿にビビり始める。だが航はビビってる様子を見せず、厳の目をしっかりと見る。

 

「厳さん。あなたって確か、被害者世代でしたよね?ならゴジラのことは……」

 

この時厳が俯いて震えてることに誰もが気付く。顔は真っ青になっており、冷や汗はダラダラ掻いている。まるで何か恐怖におびえてるようだ。

 

「おじい、ちゃん……?」

 

蘭は震えてる厳に近寄って顔を覗き込むが、その表情は恐怖に染まっており、今まで見たことない祖父の顔に戸惑いを隠せない蘭。この時二人は目が合う。

 

「蘭……、頼むからIS学園の受験はやめてくれ……。お願いだ……」

 

この時厳から放たれた声は弱弱しく、蘭も、弾も一夏も、鈴も、航も、客たちも驚きの表情を浮かべる。

 

「え、でも……」

 

「頼む。ゴジラと相見えると生きて帰れる可能性がないんだ……!だから……!」

 

「大丈夫だよ。だってISはゴジラより強「それは違う!」ひっ!?お、おじいちゃん……?」

 

いきなり怒鳴られたことにびっくりする蘭。厳は怒鳴ったため肩を上下させながら息しており、疲れたのか近くのいすに座り込む。

 

「いきなり怒鳴ってすまなかった。でもな、蘭。ゴジラはISとかで倒せない。これだけは分かってくれ」

 

「爺ちゃん。もしかして、ゴジラ見たことあるのか?」

 

この時弾の質問に、無言でうなずく厳。

 

「爺ちゃん。いったいゴジラを見た時、何があったんだ?」

 

そして厳は口を開いて話し始める。自分が見たことを、鮮明に。




恐怖は何時まで経っても忘れられない。

次回は厳さんが見たゴジラ襲来の話です。


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