インフィニット・ストラトス 忘れ去られた恐怖とその銀龍   作:妖刀

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どうも、最近疲れ気味の妖刀です。やっと最新話更新できる。


ではどうぞ!


実力

「うおぉ!?」

 

「きゃあ!?」

 

いきなりのことであった。一夏たちはアリーナのシールドを突き破ってきた光の雨に驚いて後ろに下がる。そして合流した後に再び轟音が起きて、二人は自分の得物を構えていつでも反応できるようにする。

そして落ちてきたときに起きた砂煙が晴れ、中から現れてきたのは2機の黒いISだった。

 

「何よ……、あれ……」

 

鈴はその姿に言葉を失ってしまう。

その姿は人のようだが人とはかけ離れているのだ。両機とも大きさは3メートルほどで、一機は両碗部には五連装チェーンソーが装備されており、それがマニピュレーターのように開いたり閉じたりしており、もう一機は腕が丸くなっており、そこの掌部とも呼べる部分に銃口が取り付けられている。パッと見では前衛用と後衛用と呼べる二機である。

二機は二人の方を見ており、前衛型は挑発するかのように刃を少し回転させ、後衛型は二人に銃口を向ける。

 

『織斑、鳳、もうすぐ制圧部隊がそちらに向かう。だからピットに退避しろ』

 

その時千冬から回線がつながるが、二人は動かなかった。いや、動けなかったと言った方が正しいだろう。

 

「織斑先生、ここで下手に退避すると観戦席に被害が届くかもしれません。だから制圧部隊が来るまでここで足止めをさせてください」

 

鈴がそう言った後、管制室で何か話し合う声が聞こえ、千冬が答えた。

 

『……わかった。10分……いや5分で突入するからそれまで持ちこたえてくれ、いいな』

 

「「了解!」」

 

そして通信を切り、二人は隣同士でゴーレムたちに向けて得物を構える。

 

 

「一夏、あくまで私たちは足止め。だからそこまで攻撃を加えなくていいわ」

 

「わかった」

 

その時、後衛型からビームが放たれ、二人は観戦席に向かわれない様に一夏は前衛型、鈴は後衛型を相手するのであった。

 

 

 

 

 

『きゃぁぁ!?』

 

いきなりの衝撃で、観戦席から沢山の悲鳴が上がる。いきなり何が起きたのか訳が分からず、分かるのはシールドを何かが突き破ってきたぐらいだ。

 

「楯姉!いったい何が!?」

 

「分からないわ。だけど、これはやばいってことね」

 

その時だ。

 

「なっ、遮断シールドが発動してる!?」

 

いきなりのことであった。観戦席は遮断シールドでおおわれ、中が真っ暗になり非常灯の赤色が中を照らす。女子達はパニック状態になって通路を繋ぐゲートへと向かうが、扉が開かないことにパニック状態をさらに引き起こす原因となる。

 

「皆静かに!」

 

この時全員がビクッとなって声のした方を向く。そこにいたのは、焦った様子も微塵に見せない更識楯無の姿だった。

全員は泣きそうな顔で楯無を見る。

 

「私がここにいる限り皆に危害を与えさえることなんてさせないわ。だから安心して。私が守って見せるから」

 

そう言ってほほ笑む楯無。彼女のその姿は不安に駆られていた女子達の心に光を灯すかのようで、先程までパニック状態になってた女子達が動きを止める。

 

「あと過去に日本を守った龍がいるからね」

 

そう言って楯無が振り向いた先には航の姿。航は俺!?っていうかのように驚いた顔で自身に指さしており、楯無はそうよ、と言うかのように頷く。

航はキョロキョロと周りを見渡すが、周りからは助けてというかのような視線だらけで、小さくため息を吐いた後、航は覚悟を決めて

 

「わかった」

 

と一言言った。それで頷く楯無。

 

「さーて先生たちの方に連絡を入れてみないとね」

 

そして回線をつなぐ先は管制室。

 

「こちら更識です。管制室、だれか応えてください」

 

『こちら千冬だ。どうした、更識』

 

繋がったことに安堵の息を吐く楯無。そして顔を引き締めて本題に入ることにする。

 

「織斑先生、現在状況を教えてください」

 

 

 

 

 

ここは管制室。そこでは教師陣が忙しそうにしており、その中でも燈は教師陣に細かい指示を出しており、千冬は現在観戦席にいる専用機持ち達に回線などを繋いで指示をしている。

実際燈は侵入者が入ってきたときの指示はとても上手く、千冬はそこまでできないため、自分のカリスマ性を生かして生徒たちを安心させたりするのが仕事だ。

 

「頑張ってくれ一夏、鈴……」

 

千冬は先程指示を出したが、片方は素人、もう片方は代表候補生。鈴がどれくらい一夏のフォローができるかわからないし、どれくらい持つのかもわからないため、不安だったが顔に出さないようにしている。その時真耶から声をかけられる。

 

「織斑先生。やはり何者かによってハッキングされており、教師陣が扉を破っていいかと要請が来ています」

 

「だが行けるのか?ピットの扉は灰色の鱗殻(グレー・スケール)でも耐えるほどの代物だぞ?」

 

その時だ。スピーカーから楯無の声がしたのだ。

 

『こちら更識です。管制室、誰か応えてください』

 

「こちら千冬だ。どうした、更識」

 

千冬は近くにあったマイクから応える。向こう側で安どのため息があったことから色々と大変だったようだ。

 

『織斑先生、現在の状況を教えてください』

 

「現在アリーナ内に所属不明機が二機侵入。織斑たちが足止めをしており……。おっと、更識。そこの近くに通路のある扉があって閉まっていたら壊して構わん。他の専用機持ちが扉を破壊して避難誘導を始めた。お前は破壊後避難誘導を優先してくれ、いいな」

 

『了解』

 

そして回線は切れ、千冬は溜息を吐きたかったが、他の専用機持ちから避難状況報告が来るため、それに対応するのに忙しなく指示を飛ばすのであった。

 

 

 

 

 

「よし、許可が取れたわ。みんな、ここから10メートルぐらい離れて」

 

楯無はそう言った後周りにいた女子達を下がらせる。そして手に持ってた扇子が輝き始め……。

 

「来て、蒼龍」

 

そして楯無は一瞬だけ眩しく光り、光が収まった時、そこにいたのは深層の蒼色と淡い蒼色の装甲をもつISだった。

 

「機龍……?」

 

航はそう呟く。

腕の装甲は機龍に近く、爪もIS特有の形ではなく五本指ながら機龍のもので、装甲の量は他のISに比べて少ないが、あちこちが機龍に酷似している。

そして頭部にポニーテールみたいに機龍の尾に似たのが装備されており、それが時折自分の意志でも持ってるのかというかのような動きを見せるのだ。

他には非固定浮遊部位(アンロック・ユニット)に青く、透明な結晶体がある。

 

「じゃあみんなさっきより離れててね……」

 

そして楯無が展開したのは、大型近接ブレード『村雨』であった。楯無はそれの柄を片手で持った後、切っ先を扉にチョンと当てたとき、扉から冷気が放たれ始めた。

その後楯無は腕を引いた後、突きの体勢になり。

 

「はあ!」

 

村雨で一気に突きを放ち、扉が粉々に砕け散ったのだ。

その場にいた全員は金属製の扉が粉々に砕けたことに驚いていたが、今が非常事態ってことを思い出して楯無指示のもと、避難を開始する。

この時航は扉から一番遠い、アリーナ側に立っており、そこでシャッターを破ってゴーレムが入ってこないか見張りをしている。

そしてここの人数が多すぎて、こけて踏まれたりしたせいで怪我を負った子を運んだりしてるうちに5分は経ってしまったが、避難が順調に進んでおり、残り1割も切ったほどになった時だ。

 

「お姉ちゃん」

 

「ん?」

 

自分とは違って内側に跳ねた水色の髪。顔には眼鏡型の液晶ディスプレーを掛けている。そこにいたのは自分の愛する妹、更識簪だ。その隣には本音もおり、二人は手をつないだまま楯無のとこに来ていた。

 

「お嬢様~頑張ってくださ~い」

 

「お姉ちゃん……、頑張ってね」

 

「任せなさい。私はIS学園最強なんだから♪」

 

そう言って笑みを浮かべる楯無。その光景を航は微笑ましく見ていた

 

「あ」

 

その時簪と目が合ったが、さっと目を逸らされ、苦笑いを浮かべる。まだあの事を引きずってるのか……。

航にとっては過ぎたことだからどうでもいいのに、こうなってると苦笑いが出てしまって仕方がないのだ。

そして簪は楯無と何か話した後、通路の方に向かおうとしたが

 

 

ドォォォォォン!!

 

『!?』

 

シャッターを突き破って無人機、ゴーレム近接型が侵入してきたのだ。

いったい何があったのか。それは数分前に遡る。

 

 

 

 

数分前、アリーナ内では、一夏と鈴がゴーレムたちを観戦席に向かわせないように奮戦していたが、二人とも近接型ゆえ、ゴーレムたち相手に苦戦を強いられていた。

 

「くっ!戦いづれぇ……!」

 

「当たりなさいよ……!」

 

一夏は近接型ゴーレムの腕から出される攻撃をずっと回避を繰り返していた。近接型ゴーレムの腕は五連チェーンソーのため、起動しているせいで雪片で受けたら一気に持ってかれるか砕け散ってしまうのだ。先程もそれでチェーンに引っかかって持っていかれそうになっており、まともに攻撃を繰り出せぬまま焦燥感を募らせる。

鈴は龍砲を使って遠距離型ゴーレムに攻撃を仕掛けるが、ずっと回避されて、そしてお返しと言わんばかりに撃たれたビームを回避していく。

お互いに射撃戦をしているようだが、鈴の使う龍砲は中距離用。遠距離用のビームを使うゴーレムには距離が大きすぎ、威力減衰をどうしても起こしてしまう。

二人はお互いに攻めることができず、救援が来るまでの5分が30分にも1時間にも感じた。

だが、その時二人に通信が入ったのだ。

 

『織斑君!鳳さん!聞こえますか!』

 

「「家城先生!」」

 

通信から聞こえたのは燈の声。二人はやっと5分経ったのかと安堵しようとしたが、ゴーレムたちの攻撃でする暇が無くなる。

だが、この通信が入るってことは救援が駆けつけてくれるってことだ。一夏は無意識ながら口元に小さく笑みを浮かべており、チェーンソー部分にあたって火花が散りながらも、渾身の一撃で近接型ゴーレムを地面近くまで吹き飛ばす。

そして

 

 

ガキンッ!バキッ!ガキャガッ!……バガガガァァァン!!!!

 

『はぁぁぁああああ!!』

 

固く閉ざされたピットのゲートが、両腕に灰色の鱗殻(グレー・スケール)を装備した教師たちのISによって破壊される。そして教師たちは灰色の鱗殻(グレー・スケール)をパージし、アサルトライフル、対戦車用無反動砲などを展開し、アリーナ内部へと突入をし、ゴーレムたちを睨みつける。

教師たちの編成はラファール・リヴァイブが4機、打鉄が3機の7機による混合編成。

 

「さ、二人ともご苦労様でした。あとは私たちがしますから下がってください」

 

その内の一人が優しい笑みを浮かべながら二人に下がるよう呼びかける。二人はやっと出番が終わったと安心しきった顔をしており、扉がぶち抜かれたピットの中へと逃げるように戻っていく。教師たちはそれを確認した後、教師たちは一気に無人機たちへと攻撃を開始した。

まずラファールリヴァイブに乗った教師たちがアサルトライフルで牽制し、近接型ゴーレムの動きを着々と封じる。そのとき上空にいた遠距離型ゴーレムがビームを連射してきたが、それを難なくかわしながら近接型ゴーレムの動きを封じていくラファールリヴァイブに乗った教師たち。

 

「こっちも忘れんじゃないわよ!」

 

『!?』

 

その時、遠距離型ゴーレムの両腕と片足にいきなり何かが巻き付いて来たのだ。遠距離型ゴーレムは首を動かして何が巻き付いたかを確認すると、そこには打鉄を纏った教師たちが右手首近くから放った、先がアンカーのようになってるワイヤーが巻き付いていたのだ。

遠距離型ゴーレムは力任せに腕を動かそうとするが、殆どびくともせず、そして

 

「「「はぁぁぁ!!」」」

 

『!?』

 

教師たちは打鉄3機の重さを利用してPICを切り、4機一緒に地面に落ち始めたが、地面スレスレのところでPICを起動。そしてゴーレムだけを地面に叩きつけ、左手首近くからもアンカー付きのワイヤーを放ってゴーレムの動きを絡め封じていき、ついにゴーレムは動くことができなくなってしまった。

 

「どう?対巨大生物用に作られた特製ワイヤーの固さは?そう簡単にちぎれないでしょ」

 

一人の教師がそう言う中、両腕に装備されたビーム発射口は他の教師に灰色の鱗殻(グレー・スケール)で潰され使うこともままならず、完全に捕まった状態になっている。

 

『こちらα。所属不明機を捕獲したわ。そっちは?』

 

『こちらβ。もうすぐ終わるわ。っと、終わり!』

 

この時近接型ゴーレムと戦っていた教師たちは、既にワイヤーでグルグル巻きにして捕まえており、胴体もそうだが、10枚あったチェーンソー部分は砕かれたりと殆どが使い物にならなくなっている。

教師たちはやっと終わったと安堵して、全員武装を格納していたが、この時近接型ゴーレムのカメラアイは赤く光ったのに誰も気づいていない。カメラアイの一つが見つめる先は遠距離型ゴーレム、そして他のカメラアイが見つめるは、シャッターの向こうにいる航であった。




原作でもツッコミ入れたかったけど、何故無人機とか侵入したときに教師が働かない!

あと近接型ゴーレムの腕はグラインドブレードみたいのが両腕に付いてると考えてください。
そして教師たちが使ったISにはグフカスタムのヒートロッド(電気流れないけど)が両腕に装備されてる状態です。

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