インフィニット・ストラトス 忘れ去られた恐怖とその銀龍   作:妖刀

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どうも、モンスターアーツで『ガメラ1996』を買った妖刀です。しいて言うならガメラ、足があんまり可動範囲が狭いね。


特訓のはずが

授業が終わり、航は教室を出た時だった。

 

「笹栗君、ちょっと来てくれるかな?」

 

その時燈に呼ばれ、航は何かあったのかと疑問に思いながら燈の方へ向かう。

 

「家城先生、どうしました?」

 

「この前の試合みたよ。とっても良かった」

 

そして部分部分動きを注意されながらもいろいろと褒められ、嬉しそうな顔をする航。

 

「唯一つだけ気になったんだけど、なんで機龍の名前が四四式機龍じゃないの?」

 

「へっ?」

 

その時航が固まる。

 

「あれ、言ってなかったっけ?『式』が入るときはその機体が就任したとき、今で言うなら2044年だから四四式が正しいの。だから四式だと2004年に就任したってことになるわ」

 

この事実を知った航はなるほどっと頷いていた。そして頭をポリポリと掻き、苦笑い浮かべる。

 

「いや~、三の次は四だから四式でいいかなって思ってましたから」

 

「ものすごく単純ね……」

 

そう言って小さくため息を吐く。自分がそういうところを教えてなかったせいもあるが、こんな風に単純だと何とも言えないほどだ。

 

「まあ、名前はのちに変えれないこともないから変えたくなったら言ってね」

 

「え、変えれるんですか?」

 

「ええ、一回だけならISは名前変えれるの」

 

「なら考えておきますね」

 

そして燈は階段を下りていき、航はさっさと教室に戻っていく。

そして次の授業の準備に取り掛かるのだった。

 

 

 

 

その後昼休み、航は楯無と一緒に昼食を食べており、二人はスパゲッティを選び、航はカルボナーラ、楯無はミートソースを食べていた。そしていろいろ話題があって楽しそうに話していたが、楯無が少し真剣な顔をして口を開く。

 

「航、生体保護機能が使えないなら体を機龍に慣らしていくしかないから放課後第三アリーナに来て」

 

「わかったけどさ、何で機能が使えないんだ?」

 

航はカルボナーラをその後口に入れる。

 

「本当よね……」

 

楯無は今日の朝見たあの言葉を思い出す。

 

『我従ワヌ。人、全テヲ奪ッタ。家ヲ、家族ヲ、我ヲ。許サナイ。タトエ我ラノ血ヲ持トウト、人ヲ許セヌ』

 

人に対して強い恨みを持っているような感じだった。そう、まるで過去に人に迫害されたかのような。

そして一つ気になるキーワードがあった。

 

『タトエ我ラノ血ヲ持トウト』

 

(それって……、まさか、ね……)

 

楯無が思い浮かべるはG細胞。過去にオリジナルの機龍にゴジラのDNA、もといG細胞が使われてたと聞いてるため、おそらくそれがこのIS版機龍にも組み込まれており、ISコアに干渉したのではないのかと思われる。

 

(だけどG細胞はすでに20年前のテロですべて無くなってるはず……)

 

そう、約20年前に中東の国際テロリストの幾つかのグループがいきなり自衛隊駐屯所を襲ったのだ。その時に様々な怪獣の細胞が政府の指示で隠されており、それが表に出されたことで当時の内閣はズタボロ。国民は怒り心頭だったが全て今度こそ処分したということでどうにかなったらしい……。

 

(だけどG細胞は他の生物と融合したらその生物はもとの姿をあんまりとどめてないっていうし……)

 

思い出すはG細胞などを研究していたと思われる一冊の本。先代楯無こと自分の父親が手に入れた代物であったが、読んでみるとそれはひどいものであったため、あんまり思い出せないほどになっている。

 

(まさか航にG細胞が入ってるとしたら……。いや入ってたら死んじゃうはずだし……、でもあの回復力は……)

 

楯無は途中から思考の沼にドップリと浸かり……。

 

「楯姉?」

 

「ん、どうしたの?」

 

「何か考え事?」

 

この時航に呼ばれたため意識をこちらに戻した楯無は、何でもないと笑顔で返して昼食を食べていく。

 

「ちょっとそこの席、いいか?」

 

「「ん?」」

 

2人はいきなり聞こえた声の方を向くと、そこにいたのは和食セットを持った一夏と、一夏と同じのを持った何か不機嫌そうな顔をした箒がいた。別にいいと返事をした後、航のとなりに一夏、楯無の隣に箒という男女に分かれてお互いに向かい合う形になっている。

そしてお互いになって昼食をとっている。なぜ無言になったかというと、箒の『私、不機嫌です!』というオーラが話す気を削いでいくのだ。

とりあえずこの空気を打開するため、航は楯無に話題を振ることにした。

 

「そういえば楯姉」

 

「ん、何?」

 

楯無はいきなり航が話しかけてきたことの少し驚いたが、航がチラリと気まずそうな顔をした一夏を見た時に考えが一瞬で分かったのか、とりあえず話題にのることにした。

 

「怪獣学で思ったんだけどさ、ここの学園、平成のゴジラとかの映像はあるけど、昭和のゴジラ、もとい最初に現れたゴジラの映像とかってないの?」

 

一夏はこの時、自身も気になっていたのか楯無の方を見る。この時箒が一夏を睨みつけていたが、一夏は見なかったことにして楯無の答えを待つ。

 

「ああ、それね。無いことは無いけど、何でも『上から白黒と言えどもグロテスクすぎるから出せない』って家城先生が嘆いていたわ」

 

「何だよそれ」

 

航は眉間に皺を寄せて不機嫌な顔をしている。だがその時、とある仮定が思いつく。当時はヘリコプターとかなかったし、映像編集技術がそこまで発展していなかったかもしれないからそういう映像が多く入ってるかもしれないのだ。もしそういうのを普通に流せばトラウマになる生徒が続出し、怪獣学が潰される可能性があるから出せないのだろう。

怪獣学が潰されるのは確かに勘弁だ。だがそういうのを流さないと怪獣に対する危険視をする生徒が少なくなるのではないのか?

出せないなら今の技術で編集して出せばいいのだろうが何かが違う。その何かを求めるために航は考えるが……。

この時一夏も航と同じことを考えてるのか、眉間に少し皺をよせて腕を組んでいる。

 

「一夏、私はもう食べ終わったぞ。早く食べないと置いていくぞ」

 

「え、マジか。ちょい待ってくれ。早く食べるから」

 

箒に催促された一夏は急いで昼食を口に書き込んでいくが

 

「まあそう慌てないでいいじゃない。昼休みはたっぷりあるんだから」

 

「え、そうですか?なら……」

 

この時楯無が急いで昼食を食べる一夏にそう言い聞かせ、一夏は食べる速度を少し落とした。この時箒は不機嫌そうな顔で一夏を睨みつけるが、楯無に椅子に座るように言われたため、嫌々椅子に座る。

 

「そういえば織斑君。専用機貰ったけど、きちんと扱いこなせる自信ある?」

 

「えっと……、本音言うと扱いきれる自信がありません。千冬姉が使っていた暮桜みたいにブレード一本ですけど、何か牽制用でもいいので射撃武装がほしかったですね」

 

楯無は一夏が割としっかりとした性格だったことに少し驚きの表情を見せ、

 

「一夏!何を甘えたこと言ってる!男なら刀一本で勝って見せろ!」

 

この時箒が一夏に突っかかって来た為、一夏はどうにか言い返そうにも箒の気迫によって何も言えなくなってしまっている。

 

「まあまあ落ち着きなさい。なら私がブレード一本でもそれなりに勝てるように鍛えてあげるわ」

 

「本当ですか!?ならお「結構です」箒!?」

 

一夏は渡りに船だったのか嬉しそうにしてたのに、箒がいきなり訳の分からないことを言ったため、驚きの表情を浮かべたまま箒の方を見る。

 

「私が教えるからあなたの出番はありません。航でも教えていたらどうです?」

 

「おい箒、その言い方「何か言ったか?」いいえ、なんでもありません」

 

一夏は箒に言い返そうにもやはり封殺されて何も言えない。

楯無は箒の言い方にすこしイラッときたのか、目を細める。

 

「ならあなたはしっかりと教えれるの?」

 

「私、篠ノ之束の妹ですから」

 

「だから何?」

 

この時楯無がニコニコと笑顔で返してきたため、箒は今までなかった反応に戸惑い、後ろに一歩二歩下がる。そして楯無はニコニコの笑顔のままだが目が薄ら開いており、何か恐ろし妖な気配を出して口を開く。

 

「あなたが篠ノ之博士の妹とかどうでもいいの。ただきちんとISについて教えれるの?織斑君、下手に成績残せなかったらモルモットとして政府に引き取られるのよ?それを阻止できるように、私は航と一緒に教えるだけ。織斑君が代表候補生にそれなりに勝てるほどの成績を残せるまでに成長させることができるって言うならこっちは何も言わないわ」

 

楯無はそこまで行ってすっきりしたのか、ふぅ、と小さくため息を吐く。航は心の中で拍手を送っており、一夏も楯無を尊敬の目で見ている。

だが箒は俯いたままプルプルと震えており、顔を上げたときに怒りの孕んだ表情で楯無を睨みつける。

 

「ならどっちが一夏にISについて教えれるのかISで勝負だ!」

 

この時一つ上の先輩に普通にため口で話す箒に

 

「あらいいわよ。ISはこっちで用意しておくから、放課後第三アリーナに来なさい。私は待ってるわ」

 

それが挑発に感じたのか箒は楯無を睨みつけて、盆を返却口をと戻して食堂を出て行くのであった。

その光景を見ていた航は、小さくため息を吐いて楯無の方を見る。楯無は航と目が合った時、笑顔をで返したため、問題ないなと判断するのであった。

 

 

 

 

 

放課後、第三アリーナには白式を纏った一夏、打鉄を纏った箒、機龍を纏った航がいた。だがこの中に楯無がいない。箒はイライラしてるのか、展開している近接ブレードを地面に刺したり抜いたりを繰り返している。

その中一夏と航は黙秘回線(プライベート・チャンネル)で話をしていた。

 

『航、大丈夫なのか!?箒がこええよ!』

 

『楯姉、何をしてるんだ?箒のイライラの捌け口がこっちに向きそうで怖いんだが……』

 

この間にも箒は近接ブレードをザクザクと抜き刺しを繰り返しており、地面が少し掘れてるのかブレードが先程より深く埋まってる。

 

「お待たせ」

 

その時後ろから声がした。

全員が振り向くと、そこにいたのは打鉄を纏った楯無の姿であった。

 

「あれ、楯姉。専用機持ってたんじゃ?」

 

航は前に聞いた専用機を使ってないことに疑問に思う。

 

「専用機は今整備に出してるから訓練機の打鉄で来たわ。さて、篠ノ之ちゃん。あなたの決闘乗りに来たわよ。この日本国家代表、更識楯無が相手をしてあげるわ」

 

国家代表。その言葉を聞いたとき航は初耳だったのか驚きの表情を浮かべ、一夏は国家代表の意味を記憶の中から探しているのか腕を組んで上を向いてる。

 

「ならば、尋常に、勝負!」

 

箒はそう言った後、手に持ってた近接ブレードで楯無に切りかかる。

 

「な、ほう「遅いわ」へっ?」

 

一夏は箒がいきなり切りかかったことに驚いて止めようとするが、すでに楯無はブレードの軌跡かれ逸れており、ブレードは何もないところを切っていく。

 

「なっ!?だ、だが!」

 

箒はそのまま振り下ろしたブレードの刃を楯無の方に向けてそのまま切り上げるが、楯無はステップを軽く入れて箒の攻撃をのらりくらりとかわす。この後楯無にブレードを一回でも当てようとするが、それでも楯無に全てかわされるのであった。

既にこの動作が5分ほど続いており、楯無は涼しい顔をしているのに対し、箒は息が上がったのか肩を上下させている。

 

(なぜだ、なぜ当たらない!)

 

箒はひたすらブレードを振るうが当たらないことに焦り募っていく。その時だ、楯無から強い気配を感じたのは。

 

「さて、二人に教えないといけないから、ごめんけどここで終わらせちゃうね。来て、村雨」

 

楯無がそう言った後右手に展開されたのは、刃渡り2メートル半はある大型近接ブレード『村雨』であった。銀色に光り、刃紋が妖しくユラリユラリと揺れるブレード。いや、実際には日本刀、大太刀というべきだろう。楯無はそれを両手で持ち、中段の構えで箒に切っ先を向ける。

そして箒が瞬きをしたとき、

 

「はっ!」

 

「へっ……?」

 

いつの間にか刃の部分が箒に袈裟切りの形で当たっていた。

箒は何時の間に切られたのか分からないまま体が浮いてしまい、そのまま叩きつけられる。この時同時に刃が深く当たるため、地面に叩きつけられた時の衝撃と共に一気にシールドエネルギーを削り、残りが3割を切っていた。

 

「ぐぅぅ……!」

 

箒はこの時の衝撃で意識が飛んでしまいそうになるが、どうにか意識を保ち、そしてフラフラになりながらも立ち上がる。

 

「凄いわね。この一撃を浴びせて立ち上がる子、そうそういないのに」

 

この様子を楯無は笑みを浮かべていたが、箒にとってはそれが挑発にしか見えないのか再びブレードを握りなおして楯無に躍りかかる。

そして、再び剣を振るうが一撃も当らず、最終的に箒の喉元に村雨の切っ先が当てられ、

 

「参った……」

 

箒は楯無に一撃も当てることができず、降参するのであった。

 

「いい動きだったわ。怒りに我を忘れて突っ込んでたのがあれだけど、その部分をなくしたらそれなりに強くなれるわ」

 

楯無に笑顔でアドバイスされたとき、箒はいきなり何のことかと思ってブレードを構えるが、敵意がないことに戸惑いを感じ、ブレードをゆっくりとおろしていく。

 

「さて、箒ちゃんも私が教えようか?強くなれる見込みがありそうだし」

 

そういわれたとき、箒は俯いたまま何かぼそぼそと言った後、ピットへと逃げるように戻っていく。

そして箒の姿が見えなくなった後、航は楯無の所へと向かう。

 

「楯姉、なんでアドバイスとかしたのさ?」

 

「ん?だって私の一撃を耐えたから少しうれしかったのよね。だから、ついしちゃった」

 

とても楽しそうな笑みで答えられたため、小さくため息を漏らす航。そして楯無による航と一夏のIS訓練が始まった。

 

「さて最初にだけど、私はほとんど攻撃はしないから私に一撃を入れてみて」

 

「「へっ?」」

 

いきなりのことでキョトンとする二人。ハッとして二人は元に戻った後、少し抗議する。

 

「いや楯姉。さっきの試合見て思ったけどどうやって楯姉に一撃入れろっていうんだよ」

 

「そこは頑張ってみなさい」

 

「……へーい」

 

楯無の反論は許さんというかのような言葉に反論するのをやめておとなしく従うことにし、そしてどっちが先に行くか決めた後、最初に楯無に一撃を入れに行くのは

 

「俺か」

 

「お前だ」

 

航であった。

 

「決まったわね。さて、お姉さんの体、触れるかしら?」

 

体を少しくねらせて言う楯無。一瞬だけ航の指がピクリと動くが、気を引き締めるかのように尻尾を地面に叩きつける。

 

「あら、そっちはやる気満々みたいね。さて、始めましょうか。あと航は今回は急制動とか禁止ね。それで入院とかしたら目も当てられないし」

 

それに賛成して航はうなずく。

そして楯無は村雨を構え、航は0式レールガンとバックユニットの安全装置を解除する。

そしてお互いに睨みあって、航がブースターを点火して楯無目掛けて突っ込んだ。

 

 

 

 

 

結果からして、航は楯無に一撃もいれることはできず、逆にカウンターの背負い投げをされて負けるということになり、一夏は雪片を受け流されてそのまま村雨で居合いを食らって負けるのであった。




機龍、本当は四四式機龍じゃないといけないのに四式機龍だよ。三の次は四だからって、航のネーミングセンスが安直すぎるよ。

もうそろそろ他の怪獣の伏線とか入れていきたいな。



誤字とかあったら『誤字ラ』が現れたと伝えてください(笑)
では感想、誤字ラの出現報告待ってます

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